ヤチバエ?という問合せですが,科の推定が少し的外れでした.ヤチバエ類はメスの腹端がこのように伸びてはいません.それにヤチバエ類は湿地に棲息していて,写真のような植物が生えているような場所にはあまりいません.
写真のハエは斑紋の特徴からミバエ科のキイロケブカミバエXyphosia punctigera Coquillettでしょう.北隆館の原色昆虫大図鑑第3巻のPlate 112の13図に♀の写真が,保育社の原色日本昆虫図鑑下巻のPlate 51の899図に♂の写真があります.
さっそくの御教示ありがとうございます。科から間違えているとは・・・無知でお恥ずかしい限りです。図鑑の該当図まで詳しく教えていただき感謝いたします。さっそく見ました。
北隆館の記述に「幼虫はアザミの花頭内で生育する」とありました。上の写真で止まっているのはノアザミの頭花なので、交尾後、ノアザミに産卵するはずだったのだろうか、と興味深く思いました。 精進いたしますので今後も御指導のほどよろしくお願いします。 |
これはオドリバエ科Empis属Planempis亜属の1種でまだ学名が付けられていない種です.この亜属の多数の種が日本に棲息していますが,写真の種は北アルプスから記載されたE. (P.) seminitida Freyとその近縁種からなるseminitida群のもので,下北半島では7月中旬から8月上旬にかけて発生します.写真でかろうじてわかるように翅の中室がメスでは著しく拡大して,翅の縁ちかくまで広がっているのが,この種の特徴です.脚に羽状剛毛が生じるのはこの群のメスでは一般的な特徴です.北海道にもこの種のようにメスの中室が著しく拡大した種が生息しています.
この種群の多くの種では,♂は渓流の上空1−3m位を活発に飛翔しながら求愛給餌用の小さな昆虫をさがします.本種の配偶行動の群飛については私は観察していません.
アノニモミイアさん、ご教示ありがとうございます。配偶行動の群飛など探すのが楽しくなります。ハエは面白いですね。
(追伸。全く別件ですが昨年11月初旬に沢筋でたくさんのハエの群飛を見て、よくはありませんが動画に撮ってブログにのせていますhttp://snowmelt.exblog.jp/m2006-11-01/#4499030。彼らには求愛給餌は見られませんでした。交尾は見ました。オドリバエではなさそうだと思っています。)
写真と動画はケバエ科のケバエ属Bibioの秋季発生の1種です.一見オドリバエの群飛に似ていて,私も高所で群飛している場合はオドリバエの群飛かと間違うことがあります.
アノニモミイアさん、ありがとうございます。今年はもうちょっとうまく撮ろうと思います。
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先週京都府の河川敷で採集したニクバエです。体長は約9mm。
普通に検索表を読んでいくとPterellaあたりに行くのですが、メスのせいかよくわかりません。 触角刺毛が羽毛状でないのでヤドリニクバエ亜科と思いますが、もしわかりましたらよろしくお願いします。
諸国巡礼の旅(現地調査)より戻ったワシです。
Argeさんの採集したのと同種と思われる個体を私も三重県で採集したのですが、現在サンプルが手元にありませんので、戻って来次第精査してお答えしたいと思います。 ところで、最近「ハチ系サイトの(蜂と亀)」はどうなってしまったんでしょうか?ご存知ですか?
ハエ男様
ありがとうございます。 ニクバエはオスはゲニタリアの絵合わせでなんとかなるのですが、メスはニクバエ亜科ではあきらめて採集していません。 他の亜科なら何とかなるかと思ったのですが、ネット上に出ているオスと斑紋が違うのでよくわからなくなりました。 これで属の検索表もオスしか使えないとなるともうお手上げです。 また同定できましたらよろしくお願いします。 蜂と亀のページは、管理人さんにメールする機会があって、ついでに聞いたところ、「個人的な理由により閉鎖しております」とのことです。
Argeさん、ハエ男さん、こんにちは。
え〜と・・・Kurahashi(1970)の検索表でPterella属になるんですよね。 私の考えですが、、、 ・web上で時々見かける「獲物を抱えたクロアナバチを追うハエ」に似ている 例えば、イッカク通信発行所>自然観察な日々の「クロアナバチ(その2)」に出てくるハエは見た目そっくり!! http://ikkaku2.exblog.jp/4405402 ・日本蜂類生態図鑑 講談社(1982)に載っている「アナバチヤドリバエ」の写真にも似ている。この写真には「クロアナバチの巣孔の近くで,産卵する機会をねらっているアナバチヤドリバエ」というキャプションがついている。 というわけで、Kurahashi(1970)のアナバチヤドリバエ P. fasciata fasciata 、現行のニクバエリストではアナバチヤドリニクバエ Protomiltogramma fasciata にあたるものの可能性が高いと思います。あくまで見た目の話ですので、種名の決定には標本の精査が必要ですが、解明の手がかりになればと思います。
いきなりイッカク通信が出てきてしまいましたね。このサイトの作成者 安田守氏はワシの実家の近所に住んでて、お友達なのです。(今、長野県で最も面白い視点で虫をとらてるカメラマンだと思っています。)ちなみに先日、彼著の本が出ました。(ちょとワシも協力してます。)
著者 安田 守 『森の休日5 集めて楽しむ 昆虫コレクション』 出版社:山と渓谷社 サイズ:AB判96ページ ISBN:978-4-635-06326-5 価格:\1890(税込み) もし良ければ見てやってくださいませ。 (ナナフシモドキの一生をとらえた画像は圧巻というよりは笑えました。)
みなさま、書き込みありがとうございます。
返事が遅くなってすみません。 実は属の検索表がちゃんとあっているかもあまり自信がないのですが。 問題は双翅目web図鑑に載っているアナバチヤドリニクバエのオスと全く色彩が違うことです。Kurahashi(1970)でも色彩などの記載がないのでさっぱりわかりません。 仕事の隙を突いて昨日は滋賀県に行ってきました。 琵琶湖の周りに砂浜があって、古い記録では海浜性の甲虫なども記録があるので、ハマベニクバエがいるのではないかと思ったのですが、場所の選択を誤ったかペキンとナミしか取れませんでした |
トッコ様.
マガリケムシヒキの仲間だと思います.
茨城@市毛様へ
ありがとうございます。 HPにて確認ができました。
トッコさん>ようこそ
別の記事でも書いてはあるのですが、再確認のために書いておきますね。 同定(種名を調べる事)を頼む場合、必ず、その昆虫の採集場所(または撮影場所)、日時などを入れるようにしてください。(昆虫には同じように見えても地域によって別種、別亜種となる場合があるので、特に採集場所情報は重要です。) また本来、双翅目(ハエ目)の同定を一方向のみの画像から行う事はかなり無理がある作業です。特に双翅目は他の昆虫と違うところは体の紋もさることながら体の剛毛や刺毛の本数、生え方、脚の形状、色彩、毛の生え方、翅脈、♂交尾器などが重要な識別点とされているのです。(これらの剛毛等がわからない画像ではどうしても〜の一種としかならない場合が多くなるのです。) 出来れば複数方向からの画像があると同定精度が高くなります。 ということで、今後もよろしくお願いいたします。
ハエ男様へ
お世話になります。 申し訳ありませんでした。 次回また機会ましたらご指摘のように詳細を 添付したいと思います。よろしくお願いします。 |
コメントがないので素人ですが一言.Leptogaster属は雄交尾器の構造に相違が見られますが,写真のようにメスの場合は種までの同定は難しいのではないかと思います.どなたかムシヒキアブに詳しい方で♀でも種の同定ができればいいのですが.
クモを餌にしているとのこと,本属の種は地上近くの小枝や枯れ枝の直下をそれに沿うように水平に飛翔して,そこに静止している獲物を捕獲するような行動がしばしば観察されます.オドリバエ科のRhamphomyia属のCalorhamphomyia亜属のいくつかの種も同じような狩りの行動をあらわし,R. (C.) latistriata等はもっぱらクモを狩ります. また,本属の種で飛翔しながら(ホバリングのような)交尾を続けるのを観察したことがあります.これも他のムシヒキアブとはずいぶん違った行動だと思いました. |
諏訪の入笠山で撮影したアリノスアブです。
雌雄とも体はエメラルドグリーンの金属光沢を持ち、胸背は黄色系の長毛に覆われています。腹部は第3節以降が黒っぽく、淡色の毛に覆われる第2節と対照的です。 「日本のハナアブ」のシリグロアリノスアブや、「札幌の昆虫」に掲載されているニシキアリノスアブあたりに似た感じですが、区別点が分らないので困っています。
撮影・採集地点は、入笠山のひとつ南の山頂(1960m)です。当日(7/6)は曇りがちだったせいか、動きは不活発でしたが、個体数は結構多く、交尾ペアを5組は見ました。
標本のgeniの画像(側面)です。 教えてください。
私にもわかりません.
「札幌の昆虫」の生態写真を見ても判るように,生時と死後とでは胸背の色彩が著しく異なるため,生態写真では余計判りません. 同定については,下記の文献の検索などを読んでみて下さい. http://ci.nii.ac.jp/naid/110004702065/en/ ざっと見た感じでは,ミヤマアリノスアブとニシキアリノスアブが非常に近縁なようで,腹部の黒色毛の分布もほとんど同じですが,生時の胸背の色が全く異なります. 本州編の検索が出ないと,山岳性の同定は難しいようです. なお,アリノスアブ亜科の交尾器は,外見が非常に酷似しているので,殆ど検討されていないようです. 内部構造を緻密に検討すると,同定に使用出来るかもしれません.
市毛様。いつもお世話になります。レスが遅れて申し訳ありませんでした。連日30度超の千葉と都内の現場を渡り歩いておりました。
生態写真と標本写真では全く雰囲気が変わることは多いですね。標本写真を添付します。まずは、♂の背面です。 小楯板には1対のトゲがありますが、トゲアリノスほど目立ちません(写真では分らないです)。腹部の第2節から第3節は黄色の長毛に覆われ、第4節は前半がほぼ黒色短毛で覆われています。
最後に触角です。
第1〜3節の比は3:1:2です。 先に添付したように、surstylusは細長く、中央部に切れ込みがあります。 これらの特徴は、ニシキアリノスアブ:Microdon yokohamaiの記載と異なる部分がありません。♀個体では、第4腹板の被毛に淡色のものが混在することが異なりますが、それ以外は全く一致しているようです。 ミヤマアリノスアブの胸部はどのような色彩なのでしょうか?
ミヤマアリノスアブは,私のHPに載っていますが,撮影方法が古いのでちょっと色が違って見えます.生時にどのような色彩であったかが,うろ覚えなのですが,ニシキのような顕著な色彩はしてなかったと思います.
pakenya様が採集したのも,恐らくミヤマとしている種類なのでしょう. 後は,自力で調べるしかないようです;^_^) 北大で撮影した写真を調べたところ,Microdon nigrodorsatumはアリノスアブMicrodon japonicusに近似した種類のようでした.(スナップ的に写した写真なので,あまり良くわかりません) 本州のアリノスアブも,細かく調べると色々と出てくるかもしれません.
はじめてコメントさせていただきます。北海道の種の著者の一人です。市毛様のおっしゃるとおりニシキと「ミヤマ」(=「シリグロ」)は非常に近縁で、ニシキを記載する際にも同種すべきか否か迷いました。しかし、頭部の形態(計測値)が明瞭に異なるのと、寄主が異なるということで(ニシキがクロヤマアリを寄主とするのに対し、「ミヤマ」がヤマクロヤマアリを寄主とする)、今後の課題に残しておこうという結論に達しました。まだ知られていませんが、ヤマクロヤマアリの分布からして東北地方でも採集される可能性があり、北海道と本州中部の間の標本を待って検討したいと考えています。
入笠山の個体はわたしも採集しており、一般に「ミヤマ」と呼ばれている種と同種であることを確認しています。 ちなみにこの仲間の交尾器は複雑でありながらもほとんど使えません。内部構造も詳しく調べましたが、いまのところ同定に有用な形質は見つかっていません。アメリカのMicrodonは詳しく調べられていますが、その著者によると交尾器が使えないのはどこでも同じようで、腹部の毛斑や色彩、頭部の計測値がやはり手がかりとなるようです。
maruyama様.
わざわざ御足労ありがとうございます<m(__)m> 本州編のアリノスアブの検索が出るのをお待ちしております.
maruyama様、ご無沙汰しております。
・・・って、ハンドル名だけじゃ判らないかな。 ミヤマ、シリグロ、ニシキの周辺の事情を理解しました。 東北や奥只見でも探してみます。 また、よろしくお願いします。
市毛様、まだまだ細かい問題が多く残されており、検索表は当分先になるとは思いますが、とりあえずは「日本産好蟻性昆虫データベース」を数年中に公開する予定で、そこに大部分の種の写真を掲載したいと考えております。
pakenya様、うーん、すみません。どなたかわかりません。よろしければ、個人的にメールいただけると幸いです。奥只見で調査されているのでしたら、新潟から最近記載された正体不明種nigrodorsatumがそのあたりに分布する種に該当するかもしれません。成果を楽しみにしております。 |
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