初めてご相談させていただきます。
甲殻類の研究をしている友人が隠岐諸島島後の海岸近くで今年の5月11日に採集したハエなのですが,同定にお力添えいただけないでしょうか。 採集地は草むらか,海辺なら礫海岸だったそうです(一緒のラベルで入ってた他の虫は,主に草むらにいるであろう種でしたが,海辺で採っただろうコホソトビミズギワゴミムシもありました) Twitterでは,ハナレメイエバエ亜科の親水性の捕食性イエバエ科,フンバエ科かハナバエ科あたりの種ではないかとご教示いただきました。 隠岐の生物相調査の一環で採集したため,記録がない種であれば共著で報告したいとのことで,もし見ていただけるようでしたら手元にある2個体の標本をお送りいたします。 恐れ入りますが,よろしくお願いいたします。
やかん 様
連絡先等のメールをしました. もしよろしければお送りください.
大宮 様
温かいご連絡誠にありがとうございました。 返信させていただきましたので,よろしくお願いいたします。
標本を調べましたので,掲示板にも結果の報告をします.
Anthomyiidae ハナバエ科の,Fucellia apicalis Kertesz, 1908 ツマグロイソハナバエ (旧称ノトツマグロイソバエ) でした. 本種は既に隠岐諸島から報告されているようです. http://www.green-f.or.jp/kenhou/oki_kontyu/Sbhgf_23_001.pdf 右のオスは翅の先端の黒斑が無いように見えますが,実際にはごく薄く色がついており,テネラルであると思われます. 交尾器を解剖したところ,F. apicalis であると確認できました.
右のメスは前脚が無く,同定形質のひとつである前脛節の後剛毛が確認できませんが,
腹端部を解剖したところ,第6腹板が大きく幅広いので,やはり同種であると確認できました. 本種と近縁種についての文献は以下の通りです. 范ほか,1988. 中国経済昆虫志 第三十七冊 双翅目 花蝿科. 堀克重,1961. 能登内浦の磯に棲息するFucellia apicalis Kertesz について.金沢大学理学部能登臨海実験所年報,(1): 36-39. Hori, K. & Kurahashi, H. 1969. Notes on the five Japanese species of the genus Fucellia Rob.-Desvoidy (Dipt., Anthomyiidae). Sci. Rep. Kanazawa Univ., 14(2): 237-252. Suh, S. 2019. Insect fauna of Korea. Volume 5, Number 4. Anthomyiidae. Arthropoda: Insecta: Diptera: Muscoidea. iv + 217pp. National Institute of Biological Resources. ついでですが,近隣諸国の文献を比べると,中国経済昆虫志224ページの第5腹板の図で, 676がF. chinensis ,679がF. boninensis と書かれているのは,おそらく逆であろうと思います. |
背面からの写真ではないので判断が難しいです.
以前この掲示板等で出ていた,ヤドリバエ科のPandelleia属の不明種に似ているように思います.
ご教示ありがとうございます!
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ゆずりは様.
写真のハナアブは,ベッコウハナアブの仲間ではなく,Mallota(ハラブトハナアブ属)の仲間です. 都内ですと,Mallota rubripesマツムラハラブトハナアブの可能性が高いと思います.
茨城@市毛様
ご回答ありがとうございます。 確かにマツムラハラブトハナアブが近いようです。 これほどの色彩変異があるとは知りませんでした。 |
小金井虫様.
御推測通りミギワバエ科です. 恐らく,Setaceraウキフネミギワバエ属ではないかと思われます. こちらも,体の細かな毛の生え方や本数等を見ないと判断が難しいです.
茨城@市毛様
こちらも、ご返信いただきありがとうございます。 ウキフネミギワバエ属Setaceraのかのうせいとのこと、 こちらで記録したいと思います。 |
小金井虫 様.
御推測通り,カトリバエ属のメスと思われます. Lispeカトリバエ属はオスでの検索表しかないので,絞り込みは困難です.
茨城@市毛様
早速のご返信、ありがとうございます。 やはり、難しそうですね…。 カトリバエ属LIspeで記録したいと思います。 |
genki様.
ゴマフアブです.
茨城@市毛様、
ゴマフアブですね。ネットで画像確認致しました。 有難うございます。 |
NO 10319で市毛様に「Pedicia subtransversa Alexander, 1933かその近縁種」とされたガガンボですが、先日、まとまった生息地を発見、交尾行動などを観察しました。
今回、サンプルも採集してありますので、希望する研究者があればご提供します。 2023.7.2 長野県白馬村
芋虫のつぶやき様.
非常にきれいな写真ですね. ガガンボ類は地味な体色の種類が多いので尚更きれいに見えます. 中胸背盾板の正中部に暗色中条が無いので,Pedicia subtransversa triacanthaのようです(正確には不明瞭な正中縦条を備えています). 「森の学校」キョロロのブログに,ガガンボの専門家の加藤大智氏の解説と写真がありました. http://www.matsunoyama.com/kyororo/blog/?p=6772 なお,同種は新潟雨飾山産の標本を元に記載された亜種であり,基亜種Pedicia subtransversa subtransversaは白馬岳産の標本を元に記載されております. 基亜種は,中胸背盾板に3本の縦条を備えると記されているので,はっきりした縦条を備えていると思われます. 余剰標本があれば提供して頂ければ幸いです.
茨城@市毛 様
ご丁寧なコメントありがとうございました。 やはり白馬山系に生息する種なのですね。 生息地は林に囲まれたやや暗い湿地で、14:30頃から活発な 配偶行動が見られました。 早速、標本の送付について手配いたします。 どうぞよろしくお願いいたします。 |
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