おはようございます。
2022/09/10 神奈川県の逗子市にて、外見がTachina amurensisに類似しているヤドリバエさんを採集しました。 中国蝿類の下巻のTachinaの検索表を辿ると Tachina amurensisに落ちましたが、中国蝿類の下巻に載っている頭部や交尾器の図と比較すると、触角第3節や側尾叶(surstylus)の形態が明らかに異なるように見えるので、amurensisではない可能性があるのではないかと思っています。 (中国語の検索表を辿ることに慣れていないので、どこかで間違ってるかもしれないですが...。) 本個体が何者かわかる方がいらっしゃいましたら、ご教示よろしくお願いいたします。
ふかさわ様
自分も基本的には中国蝿類を参照しているので,Tachina amurensis はだいたいそのようなものだと思っています. 普通種のようでも個人的には5個体ほどしか採っていなかったです. https://www.researchgate.net/publication/262797333_Identification_and_taxonomy_of_the_West_Palaearctic_species_of_Tachina_Meigen_Diptera_Tachinidae_based_on_male_terminalia_and_molecular_analyses amurensis は出てこないのですが,旧北区西部のTachina のオス交尾器の研究があり,中国蝿類の共通種を比べてみると,surstylus 背面先端の印象が異なるものが多いです. 材料の扱い方や描き方のくせが影響している可能性があると思います. ついでになりますが,嶌先生が1990年にまくなぎ誌に投稿された報告によると,T. jakovlevi は日本にはおそらく産しないとの事です. (2014年の日本昆虫目録には一応「?北海道」と載っています) 腹部第三と第四背板に側心剛毛(lateral discal bristle) をもたないものがあれば,もしかしたら真のjakovlevi かもしれません. 探してみるのも面白いかもしれません.
大宮様
ありがとうございます。 材料の扱い方や描き方の癖などによる違いの可能性がある… 1つの文献だけではなく、他の様々な文献見ることは重要だと改めて感じました。 (そもそも多数の文献に載ってないなど、情報が少ないのは別ですが…) 本スレに載せた個体はamurensisと同定いたします。 ---- >ついでになりますが… ネット上に「ヨコジマオオハリバエ」とされてる個体が沢山居ますが、amurensis含めて、複数の種が含まれている気がしています。 Tachinaは詳しく調べる前は何となくヤドリバエ科の中でも比較的区別しやすく、調べやすい分類群なのだろうと思ってましたが 今回調べてみて、別にそんなことは無く、とても奥の深い分類群だと感じました。 今後も、野外で見かけたら積極的に採集しようかと思います。 |
まるやま様.
写真のメバエは,ハチモドキメバエConops vesicularisです.
茨城@市毛 様
ありがとうございます。ずっと分からずにモヤモヤしていました。 ハエ目は同定が難しいですが、それだけに奥が深いですね。 |
こんにちは。
写真のヤドリバエを、2021年9月26日に、福井県の自宅にて採集しました。 以前にも、同種と思われるハエを数個体採集しており、 さらに、今年の7月18日にも1個体採集しました。 旧北区のマニュアルの検索表で同定すると、 Clairvilliopsというあまり聞き慣れない属に辿り着きました。 presutural ac setaeがabsentなのがとても特徴的です。 胸部背面の剛毛については、0+1ac, 2+3dc, 0+2ialです。 katepisternal setaeは2つです。 体長は4mmから6.5mm程度です。
Clairvilliopsの特徴として、『Apex of abdomen of female with a pair of semiglobular corpuscles. 』という文が書いてあったのですが、この「semiglobular corpuscles(半球状の部分?)」というのは、下二つの写真で赤矢印で示した部分のことなのかなと考えたのですが、
これだと、突起があまりに短くて、あまりハサミハリバエ族らしくないなぁと思い、本当に同定が合ってるんだろうかと心配になりました。 日本昆虫目録では生息地に本州が含まれていませんでしたが、Tachinidae Resourcesの世界のヤドリバエのチェックリストには、本州も含まれていたので、一応、本州にも生息するようです。 「Annotated keys to the genera of Tachinidae (Diptera) found in tropical and southern Africa」に載っている横顔の図とはおおよそ一致するようですし、 自分の家の周りには、Clairvilliopsの寄主であるクモヘリカメムシが大量発生しているので、Clairvilliopsの可能性は高いんじゃないかなとは思いつつも、 本当にこの部分を「semiglobular corpuscles」と解釈していいのか、不安になったので、質問させていただきます。
虫キョロリス様
分布が日本,コンゴ,タンザニア,マレーシア,台湾. 難易度が高そうですね. 極東の昆虫の検索によると,胸部の剛毛の数は一致しています. メスの腹端部の説明を翻訳サイトに貼り付けると, ”15-20個の短い棘を持つ半円形の小さな葉があります.先端のスパイクは発達していません.” となります. 小さな棘について書いている他の文献が探せていませんが,今回の標本にはなさそうに見えますね. Herting, B. 1981. Typenrevisionen einiger palaarktischer Raupenfliegen (Dipt. Tachinidae) und Beschreibungen neuer Arten. Stuttgarter Beitrage zur Naturkunde. Serie A (Biologie) 346: 1-21. https://ia800205.us.archive.org/19/items/biostor-95787/biostor-95787.pdf Paradionaea orientalis Baranov からClairvilliops inermis Mesnil に変更した文献で,日本の記録も出てきます. Dionaea が大きな鉗子を備えた産卵管をもつのに対して,Clairvilliops は, " Zange des Ovipositors zu zwei kleinen, runden Korperchen reduziert, die zusammen nur so breit sind wie 3/10 der Basis des kegelformigen 5.Tergits. " 翻訳サイトに貼り付けると, ”産卵管のはさみは2つの小さな丸い体になり、それらを合わせると円錐形の5番目の背板の底の3/10の幅になります。” と説明しています. 他のハサミハリバエ族の形状とは異なるようです. PaleKey やMoschWeb では,(=modified pincers) (変化したはさみ)と解釈されています. 自分も採ってみたいものです.
大宮様、ありがとうございます!
>小さな棘について書いている他の文献が探せていませんが,今回の標本にはなさそうに見えますね. 腹端の突起、顕微鏡で最大限まで拡大して観察してみたのですが、 うーん、棘は無さそうですね。。。 手元にある他の標本も見てみましたが、棘らしきものはやはりありませんでした。 (写真は、産卵管の半円形の葉を、横側から撮ったものです。) Clairvilliops属は、今のところC. breviforceps 一種のみの記録がありますが、 実際は、棘のある種と棘のない種というふうに何種類かいるのかも(?)知れませんね。 >他のハサミハリバエ族の形状とは異なるようです. そうなんですね…あまりに他のハサミハリバエ族と違ったので、びっくりしました… >Paradionaea orientalis Baranov からClairvilliops inermis Mesnil に変更した文献で,日本の記録も出てきます. おぉ、有難うございます!この文献は知りませんでした… これは、かなり細かい特徴書いてありますね! 最近は、色々用事があって、あまり虫の同定をする時間を取れてないのですが、 用事が終わって、時間に余裕ができたら、 この論文の説明と合致するかどうかじっくり精査してみようと思います!!
虫キョロリス様
新しい写真で太めの剛毛のようなものが並んでいますが, 棘がどんなものを指すのか,文献に図がないので分かりませんね. 機械訳の解釈もしんどいので,余裕がある時に取り組んでみてください.
虫キョロリスさま
先日,大阪市立自然史博物館へ収蔵庫の整理・調査に行った際,Clairvilliops属がいないか探してきました. 高知県で2004年9月に採集された個体等があり,掲示板に出す許可を得ました. 腹端部を左斜め下から撮りました. 赤で囲った部分は右側の尾葉の内側で,解像度が低いですが点々と白く光っているのが小さな棘状の突起です. 以前投稿していただいた写真では腹端部真ん中がが黄色っぽく見えるので,排出物があるのかもしれません. 博物館でも脂が出て見にくくなった個体がありました. ご参考までに.
大宮様
なんと!! ありがとうございます!! なるほど、この写真だと、棘があるのがよくわかりますね! 黒い尾葉に銀白色の棘が点在...なんともクールで魅力的です。 大宮様の仰る通り、僕の個体は、排出物が原因で尾葉の内側が見にくかったようです。 Clairvilliopsは、僕の家の近くでは、そんなに個体数の少ない種類ではなさそうなので、 またメスの追加個体を得たら、尾葉の内側、確認してみます! |
まるこぽんた 様.
御推測通り,Phasia aurulansで合っていると思います.
ありがとうございます、発見例が少ないようで色々検索した結果、ここに同じが画像があり、投稿させて頂きました。
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芋虫のつぶやき 様.
アメリカミズアブは腐植食性と言うイメージが強いので,朽木や腐植物に直接産卵すると思っていました. 調べてみたところ,アメリカミズアブの養殖場では下記のURLのように隙間を持たせて束ねた木材(egg collecters)に産卵させるように誘引しているのがありました. https://zenyrgarden.com/tag/black-soldier-fly/ |
芋虫のつぶやき 様.
見たことがないガガンボ等が採れたとぬか喜びした後,ルーペで良く見ると体にダニが斑紋のように付いていてがっかりすることが良くあります. 下記の論文によると,Johnstonianidaeジョンストンダニ科のJohnstoniana erransの幼虫は,ガガンボの蛹に集まり羽化時に成体に乗り移るとようです. Wohltmann A. 1996. On the life cycle and parasitism of Johnstoniana errans (Johnston) 1852 (Acari: Prostigmata: Parasitengonae). Acarologia, 37(3): 201-209.
市毛 様
いつもありがとうございます。 私も見た瞬間は腹部が橙色の種と思って色めき立ちました。 ダニが蛹に集まるとは驚きです。どうやって蛹化場所を特定し集まるのか見当もつきません。ダニの世界もまた奥深いですね。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
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