またお世話になります。写真のハエの名前が知りたいです。
採集場所は愛知県あま市、日付は2012年12月7日です。体長8[mm]です。 日当たりのいい木の葉の上にもいて、そちらの方が写りは良かったのですが、採集した個体は落ち葉の上にいました。 捕まえてすぐ死なせてしまうのは抵抗があったので、家で飼っていましたが、つい先日死んで標本にしました。
ゲニタリアを引き出してつながったまま乾燥標本にしたかったのですがうまくいきませんでした。歪んだりちぎれたりしました。
膜質や水分などでよく見えなかったので、台所用漂白剤に水酸化ナトリウムが入っているものを薄めて浸してみました。 以前にアノニモミイア様がキッチンハイターに言及されましたが、メーカーは違いますが使ってみました。 中和は食用酢を、グリセリンは皮膚のあかぎれにつけるものを使いました。 かなり色が抜けてしまいました。もっとかっこよくできるとよかったのですが。 ParadichosiaやMelindaに似ていると思ったのですが、どうでしょうか。
Melinda属は下記の文献を見ました。
加納(1962) 日本産ハエ類の研究 : クロバエ科 Melinda 属の 3 新種について 衞生動物 13(1), 1-6, 1962-04-05 6種の対応表があります。自分の標本の場合、 後iaは2、 前iaは普通の大きさのが1本、 palpusの色の表現は微妙で、 翅の色の違いは分からず、 stは1+1、 脚は腿節も脛節も明色、です。 同時に腹部も明色なのを本文から探しますが、きれいに該当するものがありません。 ちなみにM. itoi によく似た標本は別に持っています。
Paradichosia属は下記の文献を見ました。
Kurahashi(1965) STUDIES ON THE CALYPTERATE MUSCOID FLIES FROM JAPAN IV : REVISION OF THE GENUS PARADICHOSIA, WITH DESCRIPTION OF TWO NEW SPECIES (Diptera, Calliphoridae) 昆蟲 33(1), 46-52, 1965-03-20 検索表がありますが、iaは1+2、腹部は黄色、と進みました。 学名についてはいろいろと違うようですが、ウヅキイエバエモドキになりました。 ゲニタリアの図はありません。 しかしこの種は、以前ハエ男様がNo.1150から始まるスレッドで画像をあげてみえます。 尾角の先端が開くかどうかなど、違って見えます。 このようなわけで、わかりません。 ご教示いただけたらと思います。よろしくお願いします。
大宮 様
おはようございます.雄弁翅類の投稿が増えてうれしい限りです.コメントが付きにくい場合が多いですが気にせず投稿してください. この個体も悩みますね.難しいです.属レベルまではKurahashi1964 Kontyu 32(2):226-232等はご覧になっていることと思いますのでとばして,Paradichosia属(現在はMelinda)までたどり着いたとして,本邦産の本属で腹部が黄褐色ないし赤褐色になるものはウヅキイエバエモドキかツカモトコクロバエということになってしまいますが,ツカモトでは腹部第4,5節は黒いですし,複眼に目立たないですが白い短毛が疎生し,♂の腹部腹側に毛の束があり,脚の色も異なりますのでそれとわかります.この個体ではいかがでしょうか. 問題はウヅキです.この種は大きさも色彩もとても変異に富んでいるようで,腹部のほとんどが黄褐色のものから,かなり黒っぽいものまであります.腹部の正中に縦に走る黒いラインがあるものが多いです.お示しいただいた個体は,文献上はウヅキイエバエモドキにたどり着くかもしれませんが,たしかにちょっと違和感がありますね.胸部側面とくにhumerusがこれほど明色のものは見たことがありませんし,腹部もウヅキの♂としては剛毛が目立たず,斑紋も非典型的です.これが個体変異の範囲に含まれるのかどうかは私には判断がつきません.aedeagusの形は合致すると思いますが,お示しいただいた写真ではsurstylusの形がわかりにくいのでこれも判断しにくいところです. 国外の種類まで視野にいれるべきかもしれないですが,そうなってくると私にはよくわかりません.現時点ではウヅキイエバエモドキの疑いが濃厚,というところではないでしょうか.記録される場合は,お示しになられた参考文献をあげた上で,但し書きでこのような点が非典型的な個体と記しておくのがよろしいかと思います. いつも役に立たないコメントばかりで申し訳ないです.
大宮様、さんご様、横から失礼します。
腹部第5腹板の後縁がまっすぐに近い形状で、クロバエ科の♂っぽくないので、一瞬ナンダコレ?と思いましたが、それ以外の特徴からするとクロバエ科ですね。 ウヅキイエバエモドキが候補にあげられていますが、ゲニタリアの形状、特にphallusの部分が合わないのでこの種ではないと思います。 ハエ男さんが投稿されたウヅキイエバエモドキの記事では、No.1153の写真の、右側の黒いへら状で先端に透明な突起が出ているように見える部分がphallusです(写真の向きに注意)。http://diptera.jp/usr/local/bin/perl/dipbbs/joyful.cgi?list=pickup&num=1150#1150 文献では、ウヅキイエバエモドキのゲニタリアはFauna Japonica Calliphoridae のFig.14(Plate VII)に図示されてます。 それでは何者か?ということになると、私もわかりません。すみません。
大宮様,さんご様,猫又様.
腹板形状は気が付きませんでした.さすが猫又様. 図は,Hori(1961)の腹板と交尾器です. 難しい話になると,ネットに出ていない文献が色々と出てきます.大宮さんがお住まいの愛知でしたら,名城大学の図書館にFauna JaponicaやCatalogue of Palaearctic Diptera, Contributions to a manual of palaearctic diptera 等Dipteraの文献が揃っています.10円コピー機も使えるようなので,一度訪れてみると良いと思います. Melinda pusillaについては,旧北区南東部から東洋区・オーストラリア区と広範囲に分布する為,大分変異があるようです. Kurahashi, H. 1970. Tribe Calliphorini from Australian and Oriental regions. I. Melinda-group (Diptera: Calliphoridae). Pae. Insects 12: 519-42. で,3亜種に言及していますが,交尾器等については全く触れていません. なお,本種の属名については,中国・ロシアはGymnadichosia属となっています.
皆様、ご回答ありがとうございます。
さんご様 お示しいただいた文献は見ておりませんでした。基本的なところが抜け落ちているようでお恥ずかしいです。 見てみると、検索表の9と11のsuprasquamal ridgeは、今回翅の角度は上向きではないのですが、角度を変えないと見づらいです。 しかしこれは今後も利用できそうです。ありがとうございます。 属の変更についてはきちんとした知識がなく、教えていただいてありがとうございます。 典型的なウヅキイエバエモドキとの違いも示してくださりありがとうございます。 猫又様 違う所を明確に指摘して下さりありがとうございます。 自分のは見にくいですが逆三角のように広がっていると思います。 可能ならFauna Japonicaを見てみようと思いました。 茨城@市毛様 図をアップして下さりありがとうございます。 図書館の情報もありがとうございます。 そして対象地域が広がるとまたいろいろ情報が出てくるんですね。 名城大学付属図書館のホームページで蔵書検索をしました。2番目と3番目はヒットしました。 Fauna Japonica Calliphoridaeは出てきません。シーボルトの日本動物誌が出てきます。自分のやり方が悪いのかもしれません。 (他には中国動物誌がありました) いずれにしろ行って調べてみたいと思います。各科できちんと属の検索ができればだいぶ勉強になると思います。 今後は見やすい標本を作り、文献を集めてきちんと活用できるようになりたいと思います。 ありがとうございました。
大宮様.
確かに,名城大学の図書館のDBでは書名がCalliphoridae(Insecta:Diptera)となっていますね. この大学は,WebCatやCiniiに加盟してないので普通に検索すると出てきませんが,トゲハネバエなどを研究していた岡留恒丸先生が教鞭をとっていた昆虫学教室があるので文献が豊富なようです.
茨城@市毛様
追加のご説明、ありがとうございました。確認しました。 出かける前に説明を聞けて良かったです。書庫にあるようなので請求しなくてはいけません。 図書館の場所自体も、名古屋なら実際に行くのが簡単です。 ありがとうございます。
猫又 様
茨城@市毛 様 いつもフォローしていただきまして,ありがとうございます. 猫又 様 たしかに,ウヅキイエバエモドキらしくない個体ですね.パッと見ヤドリバエ科かと思ってしまったくらいです. 茨城@市毛 様 いつも貴重な情報をお示しくださってまことにありがとうございます.大変勉強になります. 大宮 様 申し訳ありませんが,そのようなわけでウズキイエバエモドキ(疑い)を撤回して,不明種とさせてください.
さんご様
こちらこそ、限られた情報しかお伝えできない中、真っ先にコメントいただき、感謝と同時に申し訳ありません。 もっと進歩して皆様にあまりご負担をおかけしないよう頑張りますので、今後ともよろしくお願いします。 |
ツリアブモドキ科のアカツリアブモドキの標本をお持ちの方があったらご連絡いただければありがたいです.それと,外観はこの種ににて翅に数個の透明紋を持つ標本をお持ちでしたら同様にご連絡ください.両者の関係を今調べています.
三枝様
いつもお世話になっております. それらしき標本を1個体,知人から託されて保管しています.しかし標本の状態がよくありません.採集者によると,マンションの階段の灯火の下に落ちていたものらしく,泥(油?)が付着していて細部が見にくいです. 原色昆虫大図鑑IIIの記述と一致しない部分もあり,アカツリアブモドキかどうかも自信がありません. このようなものでよろしければ,お送りさせていただきます.
さんごさんのご厚意で標本を調べることができました.アカツリアブモドキとは別種でして,さんごさんが多分「はなあぶ」誌上などに発表されるでしょう.さんごさん有難うございました.
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皆様こんばんは。
今年もよろしくお願いします。 大きくて派手な色のハエがアメリカセンダングサに訪花していました。 2012年9月下旬@山形県・山地の道端 図鑑を眺めてなんとなくダイミョウヒラタヤドリバエ(別名ダイミョウヒラタハナバエ)かなと思ったのですが、もしかしてセスジハリバエとかでしょうか? 未採集で写真も動画撮影中のスナップショットしかありません。 (恐れ入りますが動画は拙ブログへのリンクをクリックして下さい)
しぐま様.
こちらは,ヤドリバエ科のセスジハリバエTachina nupta (=T. mikado)の可能性が高いです. ダイミョウヒラタヤドリバエは下記のHPのPhasia hemipteraを参考にしてください. http://homepage3.nifty.com/syrphidae1/diptera_web/issun_photo.htm |
komachan様、はじめまして。
そして皆様、明けましておめでとうございます。 今年も私たちがいろいろな虫と出会えますように。^^ 私も素人なのでよくわかりませんが、 http://bugguide.net/node/view/372203 というところのガガンボによく似てます。 触角の違いは♂がクシヒゲ状で♀がシュッとした形なのかな? クシヒゲガガンボはそのような感じです。 『Limonia (Rhipidia)』で検索すると似たような触角のガガンボが見つかりました。 Limonia (Rhipidia) lecontei Alexander, 1940マダラクロヒメガガンボっていうのはどんなガガンボなのでしょうか?ちょっと気になります。
まあさん、ありがとうございます。
本年も、皆様にお世話になりたいと思います。 教えていただいた情報を基にするとLimonia duplicataの触覚が同じように思えます。 http://bugguide.net/node/view/90336 ご紹介いただいたURLの画像によく似た個体を撮影してあります。 これが♀ということになるのでしょうか。
私的には、たぶん同種の♀(ヒメガガンボ亜科Limonia (Rhipidia)属?)かなと思いますが、どうなのでしょう?^^;
まあ様,komachan様.
世界のガガンボ科のデータベースでは, Limonia (Rhipidia) leconteiマダラクロヒメガガンボ = Limonia (Rhipidia) maculataとなっています. まあ様の御指摘どおり,♂が櫛ひげ状で,♀は普通の触角です.
茨城@市毛 プロキシ変更中さん、ありがとうございます。
素人なりに単純に解釈すると、この個体はマダラクロヒメガガンボの♂と♀でよろしいのでしょうか。
茨城@市毛様、Limonia (Rhipidia) leconteiマダラクロヒメガガンボ = Limonia (Rhipidia) maculataなのですね、ありがとうございます。
触角の形もLimonia (Rhipidia)でよいようなので、 最初のコメントで紹介したサイトの写真のガガンボが一番近いと思いますが、Limonia (Rhipidia)の仲間ということで種名にたどり着けませんでした。 ので日本の既知種に Limonia (Rhipidia) isospilotqa Limonia (Rhipidia) lecontei = Limonia (Rhipidia) maculataマダラクロヒメガガンボ Limonia (Rhipidia) pulchraセアカヒメガガンボ の3種が載っていたので、 マダラクロヒメガガンボというのが気になったわけです。 ということで、Limonia (Rhipidia) maculataで探して見ましたら今回のガガンボはマダラクロヒメガガンボではないようです。 http://www.kolumbus.fi/esko.viitanen/rhipidia_maculata_e.htm どうでしょうか? これらのサイトの写真についても、専門家の方なのかそうでないのかも私にはわかりませんので、たくさんの写真が見つからない本種については、残念ながら今のところLimonia (Rhipidia)の仲間ということしかわかりません。。 何か追加情報あるといいですね。
現在ではRhipidiaは属として扱われることが多いようです。
達磨さん、まあさん、ありがとうございます。
この個体は、ヒメガガンボ亜科LimoniaのRhipidia属の一種の♂♀として整理してよさそうですね。 |
撮影日 2012.11.20
撮影地 長野県駒ケ根市 翅脈から検索するとタケカ科に近いように思えました。 さらに、海外の翅脈のサイトで検索すると「Allodia ornaticollis, wing」と表記された翅脈が若干の違いはあるものの似ていると思われます。 http://www.drawwing.org/insect/allodia-ornaticollis-wing アドバイスをいただければ幸いです。
こんな報文がありましたので、ご紹介まで。・・・ Allodia属の4新種は雄の尾端で判別しています。
Sasakawa & Ishizaki(2003) Fungus gnats of the genera Anatella, Allodia and Cordyla in Japan. Entomological science 6(2), 97-109.
キノコバエ科(狭義)の属などの分類では,翅脈相以外に翅の表面に生じるmicrotrichiaという微小な棘状の毛の配列や脚の距や棘の状態,触角の長さなども重要な形質になります.
写真の個体は翅脈相に関してはAllodiaやBrevicornuに似ていますが,この写真だけでは判断が困難でしょう.
ezo-aphidさん、アノニモミイアさん、ありがとうございます。
この画像では属までの同定はできないことがわかりました。 AllodiaやBrevicornuに似たキノコバエの一種として分類しておきます。 |
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