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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/02(Wed) 16:15:45 No.3418  引用 
先日アノニモミイアさんのところへお邪魔したときにこの掲示板を教えていただきました。よろしくお願いいたします。
さっそくですが、ムシヒキの種名が知りたく投稿いたします。冬虫夏草の1種通称ツノダシムシヒキアブタケ(どうもハエヤドリタケの無性生殖世代と思われます)に寄生されています。生きているムシヒキというわけにいかず申し訳ありませんが、この場所ではこの種のムシヒキアブだけが寄生を受けており、たいへん面白いと思います。総数はいままでに60-70個体ほど見たでしょうか。このムシヒキはマガリケムシヒキかなと思いますがわかりません。場所は佐賀県の標高300mほどの地点です。


Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/02(Wed) 16:16:40 No.3419  引用 
同じ種だと思います。

Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/02(Wed) 16:17:57 No.3420  引用 
これもそうです。

Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/02(Wed) 16:22:19 No.3421  引用 
何枚も貼り付けて申し訳ありません。もう一枚だけ貼っておきます。
ムシヒキが菌にどのような状況で感染するのかわかりませんが、このようにして固着して死んでいるのが見つかる範囲は極狭い範囲で、このような発生地を『坪』と呼ぶそうです。


Re: はじめまして 投稿者:ハエ男 投稿日:2007/05/02(Wed) 19:58:17 No.3422  引用 
pierisさん>興味深い画像をありがとうございます。
残念ながら画像では種の特定は出来ないと思われます。
後頭部の毛がL字状に大きく曲がっていればマガリケムシヒキ類であるといえるのですが、後頭部が良く見えないので、判断できないといったところです。

ムシヒキの冬虫夏草は始めてみました。

Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/02(Wed) 20:36:03 No.3423  引用 
ハエ男さん、初めまして。
コメントありがとうございます。このようにみすぼらしく風化?状態にあるので種の特定は恐らく不可能だろうと思っていました。これらの画像は1,024×768にサイズダウンもしくはトリミングしたものを再加工して投稿しました。オリジナル画像は今は別の場所に保管しています(まだ他のたくさんの画像があります)ので、念のために後日にでも後頭部が写っている写真が中になかったか探して見ましょう。

このツノダシムシヒキアブタケは全国的にも大変に珍しいものらしく、ネットの検索でもほとんど引っかかってきません。幸いにも坪が見つかりましたので4年ほど継続観察をしているところです。


Re: はじめまして 投稿者:ハエ男 投稿日:2007/05/02(Wed) 23:59:53 No.3424  引用 
5枚目の画像でははっきりと後頭部の毛が大きく曲がっているのが見えますので、マガリケムシヒキ類であることがわかります。どうやら♂の画像と♀の画像が混じっているようですが、1枚目と2枚目の画像の前腿節先端が赤褐色になっているところから(ナミ)マガリケムシヒキになるのではないかと考えられます。(もしかしたらハラブトマガリケムシヒキの可能性もありますが・・)

Re: はじめまして 投稿者:バグリッチ 投稿日:2007/05/04(Fri) 22:24:49 No.3425  引用 
こんちは。
 感激です。ツノダシムシヒキアブタケ!

 珍しいものなんですね。当然、私は見た事ありません。
 ツクツクボウシタケとヤンマタケまでが限界です。
 スッゴク見てみたいです。
 是非、観察・研究をお続け下さい。

 ではまた。

Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/29(Tue) 11:48:29 No.3518  引用 
ハエ男さん、バグリッチさんコメントありがとうございます。
大変遅くなりました。在庫の写真の中には曲がった毛の部分が鮮明に写っている写真はあまりありませんでした。


Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/29(Tue) 11:53:37 No.3519  引用 
この冬虫夏草の坪に行ってきました。幸い同種と思われるムシヒキが何頭もいました。ストロボ使用で見難いですが、全身の写真を写してきました。
♂です。


Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/29(Tue) 11:55:07 No.3520  引用 
同じく♂です。

Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/29(Tue) 11:57:12 No.3521  引用 
こちらは♀です。写しに行ったのは5月の27日でしたが♀のほうが多かったです。

Re: はじめまして 投稿者: 投稿日:2007/05/29(Tue) 12:03:18 No.3523  引用 
もう一枚♀です。私のほうは種の同定までは必要ありませんのでマガリケムシヒキの1種とさせておこうと思っております。
このムシヒキにだけしかこの場所では寄生が認められませんので、大変興味深いです。
ありがとうございました。

カオスジモモブト! 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/28(Mon) 07:10:54 No.3515  引用 
こんにちは

例のトゲナガ近似の追加を狙って新潟のフィールドに出かけてみました。が、追加はできず・・・

ですが、山頂部のキタゴヨウの倒木でテリトリーを形成するクロハラナガハナアブモドキやキョウトハナアブと共にこいつが採れました!

新潟県初記録でしょうか。


Re: カオスジモモブト! 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/28(Mon) 20:00:37 No.3516  引用 
昔作った検索表では、下後側板の毛の有無しか書かれておらず、手元に標本が無いこともあり、触角以外の区別点がうろ覚えです。
オスの顔の中条部が黒い(微粉を欠く)ので、大丈夫だとは思います。
昔撮った触角の写真を添付します。

恐らく、新潟からの初記録になると思いますが、越佐昆虫同好会の最近の会誌の確認が必要だと思います。
(カオスジモモブトは2004年が初記録。当然、櫻井(2002)新潟県産ハナアブ科目録には未収録)

かなり使えるとは思うのですが、... 投稿者:珍カラ 投稿日:2007/05/26(Sat) 13:28:15 No.3505  引用 
八重咲きのクチナシを陽あたり良く風通しの悪いところで栽培すると
葉がベトベトしてくるのですが、そこに多種の微細な「1mm前後」の
飛ぶ虫が訪れるのですが、これってトラップとして結構有効だと思うんですが・・・

Re:トラップの目的 投稿者:ハエ男 投稿日:2007/05/27(Sun) 10:05:11 No.3507  引用 
虫を捕らえるトラップとしては有効かもしれませんね。

ただ、どういう目的でトラップをかけるのかが重要になってくると思います。

ただ単に防虫・防除のみの目的でしたら粘着式のトラップでも有効なので、お話しの八重遅咲きのクチナシでも良いかもしれませんが、かかった獲物を回収していろいろと見ようとするには問題が出てきます。(翅や体の剛毛がめちゃくちゃになっちゃいますと種の同定が難しくなるのです。)

ですから、私たちが双翅目採集のためのトラップをかける場合はできるだけ翅や剛毛を壊さないような方法はないかと試行錯誤してます。

Spheginaに挑戦 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/14(Mon) 19:05:00 No.3462  引用 
大きく撮影できるのを武器に、繊細で美しいSpheginaを撮影し始めました。腰のくびれがいいですよね。

会津の猪苗代町で7月上旬に採集されたナガハナダカチビハナアブ:Sphegina elongata Shiraki et Edashige,1953です。
北隆館の3巻にツノチビヒラタアブとして載せられている種です。でも、背面からの写真だけでは判りにくいです。


Re: Spheginaに挑戦 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/14(Mon) 19:11:43 No.3463  引用 
ツノチビーの角がこの写真です。
第4腹板の片側が突出して角を形成しています。
背面の写真もよく見ると、第3、第4背板の後縁は斜めになっており、すごく特徴があります。

ところで、Sphegina属はAsiospheginaと基亜属に区分されているようですが、どこで亜属を見分けるのでしょうか?
ご教授いただけると幸いです。


Re: Spheginaに挑戦 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/19(Sat) 21:59:06 No.3480  引用 
亜属の区分は、第1腹板が発達しているのが基亜属で、退化しているのがAsiospheina亜属です。

残念ながら、現在日本産Sphegina属の同定は非常に困難です。

Fauna Japonicaでは7種が収録されていますが、現在日本にはその2倍以上の種類が分布しています。北海道を丹念に調べると3倍近くに増えると思います。
また、未確認ですが未成熟個体と成熟個体とで体色が変化するとの情報もあります。

Sphegina属は、日本産ハナアブの分類の中で、現状として最も分類が困難な属です。
なぜなら、講演等で何回か取り上げたように、素木が研究した殆ど全ての標本(タイプ標本・同定標本)をアメリカのDr.Thompsonが四半世紀以上借り出しており、再三の返還請求にも応じてくれないようです。
北大も根こそぎ持って行かれているので、愛媛大にも残っていないと思います。

極東の昆虫の検索を見ても、この属の検索には交尾器や腹部末端の形状が重要なようです。

したがって、ロシアなどで記載され交尾器などが図示された種類以外の同定はsp(=japonica?)等としています。

Re: Spheginaに挑戦 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/19(Sat) 22:56:45 No.3481  引用 
追伸。

恐らく、写真の個体がナガハナダカチビハナアブSphegina elongataだと思います。

しかしながら、本州には第3〜4背板の後縁が斜めで、第4腹板に突起を持つ別種も見つかっているので、両種が四国に分布していると、記載文だけでは区別できなくなります。

Re: Spheginaに挑戦 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/21(Mon) 11:12:34 No.3488  引用 
市毛様

Spheginaの亜属の区別点を後教授いただきありがとうございます。

やはりSpheginaの同定は難しいんですね。
Cheilosiaと匹敵するぐらいの難物と見ました。
ですが、どちらも結構いっぱい採れるので何とかならないかと思っている人も多いと思います。
私としては、まずは、手持ちの標本をじっくり見て、撮影画像を提供しようと思います。それについて、お墨付きをいただけたら、web図鑑に載せていくのもありではないでしょうか。

今後ともよろしくお願いいたします。

Re: Spheginaに挑戦 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/21(Mon) 20:21:00 No.3490  引用 
pakenya様。

実は、素木氏の記載の場合、タイプ標本が見られないという事が重要な問題となります。

Fauna Japonica等での彼の記述は、Holotypeの特徴を記述しているケース以外に、タイプに指定していない同定標本の特徴を記述してたり、全く別の種類の特徴を記述しているとしか思えない記述だったりと、種毎にパターンが変わります(^_^;)

従って、彼の記載文に合致していても、本当に合っているのかタイプ標本を見なければ判断出来ません。

Sphegina属については、元会長が検索を作ったことがあるのですが、種類の多さとタイプ標本が無いというあまりの危うさに継続を断念してしまいました。(sp.が11番までありました)

現状としては、ハナアブ目録にあるStackelbergが記載した4種が確実なのと、極東の昆虫の検索に交尾器が図示されたjaponica, thoraciaca, elongateをsense Mutin&Barkalovとして当てはめておくのが適当かと思います。
あとは、近縁種の扱いをどうするか考えなくてはなりません。

このような理由があるので、極東の昆虫の検索をはじめとして、素木の記述を参考にした文献は、全て疑わなくてはなりません。
素木のタイプ標本を色々と調べていくと、近隣諸国の分類にかなり影響を与えます。

Re: Spheginaに挑戦 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/24(Thu) 14:32:20 No.3501  引用 
市毛様

Spheginaの問題点、概ね了解いたしました。
確実に同定できるものが全体の半分以下ということは、非常に残念なことですね。

現在日本語で交尾器や腹部末端の形状を図示したものは存在しませんから、ここのWeb図鑑に掲載すれば、利用価値があると思いますので、私の挑戦は継続したいと思います。
ご支援をお願いします。

今度は、ハナアブ図鑑にも載っているコハナダカチビハナアブS. (Asiosphegina) nitidifrons Stackelberg, 1956と思われる標本です。会津の猪苗代町で2005年7月の採集です。


Re: Spheginaに挑戦 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/24(Thu) 14:36:53 No.3502  引用 
写真の順番が逆になってしまいましたが、第4腹板の形状や剛毛の状況は図鑑の記述と合致します。geniの形状は資料がないので未確認ですが、細くて長いsurstylusが特徴的ですね。

nitidifronsであっておりますでしょうか?


Re: Spheginaに挑戦 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/24(Thu) 22:59:25 No.3503  引用 
pakenya様。

交尾器などの特徴を見る限り、Sphegina(Asiosphegina) nitidifronsです。

交尾器の観察で問題なるのが、乾燥標本の交尾器は変形していると考えなければならない点です。

交尾器の比較的柔らかな部分が乾燥時に収縮して変形しますが、その他に標本作成時に交尾器を引き出す時に変形させたり、固定用の針に押されて変形したりする場合も有ります。

私は変形を防ぐために、交尾器は志賀の微針を使用して固定します。(微針の紛失に注意。時々ピンセットで弾いてしまい探し回ります。)

茨城で採集したS.(A.)nitidirrons 体長約5.5mmの乾燥した腹部末端です。


Re: Spheginaに挑戦 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/24(Thu) 23:15:37 No.3504  引用 
同じ個体をKOH処理したものです。

surstylusの感じがかなり変わったように見えます。
また、hypandriumの内側にあるaedeagusの感じも変わります。

通常、原記載などの図はKOH処理したものですから、乾燥標本と見比べるのが困難な場合が多々あります。

このような点を調べながら原記載などと照合しなければならないので、非常に時間がかかります。

先日ブログに書いたように、本州を丹念に調べると北海道でしか記録がなかったハナアブが結構見つかります。
今後のハナアブの同定には、極東ロシア産全てと照合するぐらいの気負いが必要と感じます。

バルサン氷殺ジェット 投稿者:珍カラ 投稿日:2007/05/24(Thu) 10:03:50 No.3499  引用 
−40度で凍死させてしまうようですが
標本に使えるでしょうか

Re: バルサン氷殺ジェット 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/24(Thu) 12:27:16 No.3500  引用 
私は考案した吸虫管で双翅類などの採集をしています.この吸虫管は吸い口側のキャップを外すとこの側のすぐ内側に網の仕切りがあって,虫を口の中に吸い込まないようになっています.吸い口側のキャップを外して,通常はクロロフォルム麻酔を行った後,吸虫側のキャップを外して動かなくなった虫を殺虫管に収容します.クロロフォルムの代わりに,市販のスポーツ用の冷却スプレー(アイスバーグなど)を1−2吹き管内にスプレーすると低温のために一時的に動かなくなり,クロロフォルム麻酔と同じ効果が得られます.また,クロロフォルム麻酔より短時間で処理ができます.

最近殺虫用にバルサンが2種類(飛翔中,歩行中)の殺虫目的の凍殺スプレーを販売しています.前記したスポーツ用の冷却スプレーと同じように使ってみました.効果はスポーツ用と同様でしたが,使い方にもよるのでしょうか,吸虫管の内面にかすかに粘着層が生じるのか,微小なヌカカなどは管壁にへばり付く傾向がみられました.大型のものはそのようなことはありません.しかし,スポーツ用のにくらべると添加物が多いようで,わたしとしてはスポーツ用を今後も使うつもりです.小形(60cc位)のは100均でも販売しているとか.これだと1本だけポケットに入れて用い,予備を数個をザックにいれて置くという手も考えられます.

BBSのURLの書き込みについて 投稿者:ハエ男 投稿日:2007/05/23(Wed) 13:24:37 No.3498  引用 
投稿者の皆様にご迷惑をおかけしてすみません。

当BBSスパム防止のために、いわゆるNGワードによる該当語句があった場合の投稿拒否、URLを3件以上書き込んだ場合の投稿拒否、英語(半角英数)のみの投稿は拒否などの設定をしております。

今回TKM事務局さんの投稿の場合NGワードに設定してあった「.nl/」・・・要するにオランダがらみのドメインの拒否が設定してあったためと考えられます。
同様にルーマニアなどのスパム送信の温床ともなっている国のドメインも拒否されるようになっています。

今回はオランダについてはNGワードから削除しましたが、同様にURL一件だけでも投稿拒否されてしまう場合はURLの中にNGワードが含まれている可能性があります。

その場合は今回のTKM事務局さんのようにスラッシュ「/」を@などのほかの記号に置き換えるなどの方法で、対応していただきますようお願いいたします。

スパムデータは大体3ヶ月ごとに更新され、かなりのペースで増加していきます。(システム作成者が配布してるのでそれを組み込んでいます。)

ご面倒をかけて申し訳ありませんが、ご理解をいただきたく思います。

メバエもかっこいい 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/16(Wed) 17:41:20 No.3473  引用 
こんにちは

満開のオオバエゴノキに来るハナアブを狙っていたら、変な動きのドロバチ?がいたので採ってみると、メバエでした。
なかなか同定できない種が多いのですが、これは北隆館に載っているムネグロメバエ Conops (Asiconops) opimus Coquillett,1898でした。

うれしかったので載せちゃいます。

この巨大な腹部の突起は、何に使うんでしょうね。


Re: メバエもかっこいい 投稿者:TKM事務局 投稿日:2007/05/22(Tue) 21:11:57 No.3491  引用 
 メバエ、かっこいいですね。その割には図鑑以外の同定ツールがないのが残念です。あまり採集する機会がありません。最近入手したメバエの重要文献を挙げておきます。

(1)前田泰生,2006,島根県産メバエ類の採集記録,すかしば,(54):1-6,[日本産リスト31種。島根県産15種]
(2)Tanaka, A.(田中梓),1960,The List of Conopidae of Japan,神戸山手女子短期大学紀要,(5):17-24,[19種]
(3)Maeta, Y. & Macfarlane, R. P.,1993,Japanese Conopidae (Diptera) : their biology, overall distribution, and role as parasites of bumble bees (Hymenoptera, Apidae),Jap. J. Ent.61(3):493-509
(4)Smith, K.,1969,Handbook for the identification of British insects, Diptera Conopidae,,18pp.

 メバエはハチに寄生しますが、なんと飛んでるハチの腹部に直接産卵するのだそうです。したがって宿主のハチがいるところでないとなかなか得がたい、とのことです。

 「神戸山手女子短期大学紀要」ってなんでこんな雑誌にメバエの論文がのっているのだ。「田中 梓」さんって何者でしょうか?

Re: メバエもかっこいい 投稿者:TKM事務局 投稿日:2007/05/22(Tue) 21:26:27 No.3492  引用 
 こんな絵解き検索のHPもあります。
http:@@home.hccnet.nl@mp.van.veen@conopidae@index.html

 URLを記入すると迷惑投稿としてはねられてしまうみたいですね。
 @を/に置き換えてお使いください。同じHP内にハナアブやシギアブの絵解き検索もあります。

Re: メバエもかっこいい 投稿者:ハエ男 投稿日:2007/05/22(Tue) 23:02:18 No.3494  引用 
URLの投稿は出来るように設定してあるので、2件までは書き込めるはずです。

3件以上あると拒否されちゃうようになってるはずです。

あとメバエ科の文献としては中国蝿類にも一応日本との共通種は出ています。(ただし絵はきれいじゃないから絵合わせは注意が必要ですが・・)

Re: メバエもかっこいい 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/23(Wed) 08:12:49 No.3495  引用 
TKM事務局様。

先ほど調べましたら、投稿したURLがオランダだったので、スパムフィルターに引っかかっていました。

ハエ男さんと対応を協議します。

Re: メバエもかっこいい 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/23(Wed) 08:14:06 No.3496  引用 
TKM事務局様。

メバエは、前田さんの1993年の報文と2006年の目録とで学名の変更がいくつか有りましたが、詳細がわからないので困ったものです。

参考になる文献としては、
Zimina L. V.(2000) A Key to Parasitic Flies of the Family Conopidae (Diptera) from Middle Asia, Ent. Rev. 80(3)
が役立つと思います。

また、
Stuke, J.-H. (2002) Eine neue Myopa-Art aus Japan (Diptera: Conopidae). Studia dipterologica 9(2):413-419
も外せません。
http://www.schwebfliegen.de/sonderdrucke/stuke/maetai.pdf


田中さんについては知りませんが、長崎女子短大紀要にもI氏のハナアブ関連の報文が載っていますよ。
(短大紀要でシノニム処置はしないでほしかった;^_^)

昔から、高校や大学の紀要で記載する人がいますが、入手困難なのが結構ありますね。

Re: メバエもかっこいい 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/23(Wed) 12:15:35 No.3497  引用 
田中梓さんは台湾で青木朗さんと共に双翅類の研究をされていて,戦後引き上げられて神戸山手女子短期大学の教授になられた先生です.私もお会いしたことがあり,大変温厚な人柄の方でした.先生のコレクションはすべて兵庫県立人と自然の博物館に寄贈されて,整理されています.青木さんは北隆館の日本昆虫図鑑(一巻の厚い黒白の本)のオドリバエ科,アシナガバエ科,ツリアブ科,シギアブ科,ムシヒキアブ科などを素木先生と分担執筆されています.田中,青木両先生のことについて台湾大学の朱先生が著された台湾昆虫学史話の関連ページをpdfで添付してあります.

大学の紀要で記載するのは過去も現在も,印刷事情を含めてやむをえないところがあるのではないでしょうか.Insecta Matsumurana, 台北帝国大学理農学部紀要,Esakiaをはじめ,大阪府大農学部昆虫学出版,京都府大学術報告農学,Sieboldiaなど我が国でも多くの分類学上の新分類単位の記載が大学の紀要で行われてきたし,現在も行われています.この点は外国でも同様で,California大学を例にとっても膨大な文献が総説も含めてこれまで出版されています.これ以外ということになると,学会誌と博物館の紀要が主要な新分類単位の発表媒体になっています.ただ,研究業績の評価という点からは,紀要の多くが論文の査読制をとっていないので,特に若い研究者は査読のある学会誌に投稿する傾向が最近は強くなっています.

市毛さんが言われるように,言葉はよくないのですがマイナーな大学の紀要は確かに入手が困難で,大学自体がなくなっている事さえあります.北上四郎先生がお亡くなりになる前に出版されたアミカの最後の総説も終戦直後の印刷事情が極めて悪い1950年に熊本女子大学学術紀要に発表されています.この大学は1947年(白水先生が湯浅啓温先生が疎開先の伊那谷で採集されてクロミドリシジミを記載された年)に熊本女子専門学校として開学されたもので,現在の熊本県立大学です.この総説の入手もおそらく簡単ではないでしょう.今はほとんど死語になっている粗末な藁半紙に印刷されており,酸性紙のためにぼろぼろになりつつあります.

たとえ著名な紀要でなくても,それがZoological RecordsやCurrent Contentsなどのレビュー誌の発行元に届けられていれば,シノニムの発表も含めて知ることができるのですが.Zool. Rec.に載っていないとなると,結局その当時は無視されても致し方ないことになります.
中国の地方のフォーナの調査報告書などには新種の記載がかなりでていますが,無視されているものもあります.


添付:3497.pdf (89KB)

ササヤマオビでしょうか? 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/18(Fri) 16:46:51 No.3477  引用 
こんにちは

4月に世田谷で採集したEpistropheです。
顔の中隆起に黒帯があり複眼は無毛、黄色い額に黒い立毛があります。

市毛さんから頂いた「オビヒラタアブ類暫定検索表(斑紋がキイロの種類限定)06/12/30版(当面引用禁止)」ですと、key2でsasayamanaに限りなく近いのですが、前額の色が一致しません。あ、

今気づいたのですが、検索表key2の「前額は黒色」は「前額の毛は黒色」だったりしませんか?
それであれば、すっきりするのですが。

よろしくお願いいたします。


Re: ササヤマオビでしょうか? 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/18(Fri) 16:48:04 No.3478  引用 
横顔のアップです。

Re: ササヤマオビでしょうか? 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2007/05/18(Fri) 19:04:07 No.3479  引用 
pakenya様。

後脚付節先端3節が黒色になる点と、腹部斑紋からするとEupeodes属のような気もするのですが?
後腿節基半が黒色で、腹部腹板中央に黒色斑を有し、後腹板Metasternumに毛がいっぱい生えていませんか?

そうでないとすると、全く知られていないオビヒラタアブですね。

また、私の検索では、変異が多い毛の色は極力使わないようにしています。
極東の昆虫の検索の場合、毛の色を多用していますが、日本産の標本では合わない場合が多々あります。
日本産の個体では、気温などの条件により、極東ロシア産より明色になり易いようです。

Re: ササヤマオビでしょうか? 投稿者:pakenya 投稿日:2007/05/21(Mon) 10:39:24 No.3487  引用 
ガ〜ン! やってしまいました。

市毛様のご指摘で、はっと気づきました。ちゃんと属を調べてなかったです。大石さんの絵解き検索のみでEpistropheと思い込んでおりました。

第2背板の側縁が縁取られており、紛れもなくEupeodesです。
一番の普通種のひとつ、フタホシヒラタアブEu. corollaeでした。標準的な個体に比べ細身で、第2背板の斑紋が大きめである上に、縮んで変形したことで惑わされてしまったようです。

お騒がせして申し訳ございませんでした。

Empis (Planempis)属の一種 投稿者:Arge 投稿日:2007/05/13(Sun) 18:51:45 No.3459  引用 
お世話になります。

5月3日に兵庫県揖保川河川敷で採集したオドリバエです。
河畔林周辺を交尾しながら飛んでいました。
Empis (Planempis)と思われますが、それ以上は文献未入手でわかりません。

よろしくお願いします。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/13(Sun) 23:20:26 No.3461  引用 
写真の種は同定された通りEmpis属Planempis亜属です.これは同亜属のpan groupに属するEmpis (Planempis) latro Frey, 1953の雄です.本種は大阪高槻市産の1雄1雌に基づいて記載されたもので,岡山県中部でも採集されていますので,今回採集された地点はその間に入ります.pan groupの種は西日本で言うと5月の連休頃に成虫が発生し,雄成虫はその頃に発生する大型のBibioを婚姻贈呈用の餌(求愛餌)として捕らえて,それを携えた状態で森林の高い梢に集まり,ここを群飛場所にします.求愛餌が大きいので,雄は長時間は群飛しないで,雌やそれらしいものが近くを飛ぶと一斉に飛び立ってそれを追います.本種は九州から四国にかけて分布するE. (Planempis) panにややにていますが,この種では腹部背板が全面的に黒色で黒毛を生じるのに対して,本種では背板両側は幅広く黄褐色のpollinosityで覆われ,その部分の毛が黄色ですから,簡単に区別できます.中部・信越地方にはまた別の種が生息しています.これら2種は世界最大・最重のオドリバエです.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:Arge 投稿日:2007/05/14(Mon) 22:32:06 No.3465  引用 
アノニモミイア様

いつもありがとうございます。

今回も市毛さんのNo.2663の写真は見たのですが、交尾器の色や形がちょっと違う気がしてあっさり否定してしまいました。
まだ修行が足りないようです。

まだ少しオドリバエはありますので、今後ともよろしくお願いいたします。

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/15(Tue) 11:28:44 No.3467  引用 
No.3461には説明不足がありました.
Argeさんの採集された兵庫の個体は間違いなくE. latroそのものですが,No.2663の市毛さんの個体についてもっと正確にコメントすべきでした.市毛さんの採集された関東の個体は,脚や翅の色彩からE. latroだろうと書きました.しかし,雄交尾器の尾角突起の側面から見ると末端の瘤状部の上下への膨らみが模式産地の関西のものよりかなり弱くなっています.また左右の尾角突起を背面から見ると,先端に向かって徐々に一様に尖っています.しかし,関西のlatroは瘤状部は強いし,また背面から見ると囲んでいる卵円窓の後縁辺りから側縁が急に細くなっています.

まだ,十分に各地の材料が入っていないので確定的な事はいえませんが,pan群もCalorhamphomyia亜属のformidabilis-praecellens群とおなじような地理的クライン+地理的変異があるようです.クラインは南から北に向かって前記しました雄尾角突起の瘤状部の縮小と背面からみた屈曲の減少(なだらかな側縁),腹部背板の毛の色彩と翅の色彩の淡色化が起り,一方脚の色彩は黒から部分的・そして全面的に黄色化が起ります.しかし,脚の色彩は必ずしも一様なクライン的変化を示していないようです.

ですから,Argeさんが「交尾器の色や形がちょっと違う気がして」と言われたのは詳しく観察された結果でして,これまで記載された種をどのように扱うかは,もっと各地の材料がそろわないとなんともいえない状況です.私の手元の標本では2種が混生するところはありません.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハンマー 投稿日:2007/05/15(Tue) 22:58:41 No.3469  引用 
写真は昨年5月13日に兵庫県三田市で撮影したものです。写真では細かいことはわからないだろうと、ブログに出して放置していたところ、最近これはEmpis (Planempis) latro Freyだと教えていただきました。
この種の名前が出ていたので、便乗させて頂きます。
撮影場所には数十本のカエデが植栽されていて、毎年5月初旬にこの種の群飛が見られます。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハンマー 投稿日:2007/05/15(Tue) 23:05:38 No.3470  引用 
今年5月3日に上と同じ場所で撮影した群飛の様子です。
アノニモミイア様が書かれている通り、時々一斉に飛び立ちました。私は風の影響だと思っていました。
飛び立つ数は、多いときは100を超えているように私には見えました。
下手な写真ですが、全個体が求愛餌を抱えているのがかろうじてわかると思います。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/16(Wed) 03:43:19 No.3471  引用 
ハンマーさん.Dipterophilusとアノニモミィアはシノニムです.Hilaraのことでインターネットでオドリバエを検索すると渓流釣り関係のサイトがたくさんあるとお伝えした後に,私自信もそれを検索しましたら,あなたのブログでHoplocyrtomaやPlanempisの素晴らしい生態写真を拝見して,種名など書き込んだ次第です.E. pan群の種は大型で,求愛餌も大きいし重量感・存在感のある写真がとれるものですね.今回ここでは公表されていませんが,特に飛翔中の個体が求愛餌をもって飛翔している写真はなかなか撮れないものです.海野さんがホームページでおそらくRhamphomyia (Eorhamphomyia) jezoensis Matsumura, 1915 (=sanguis Frey)の交尾飛翔中(Rhamphomyiaの種の大部分の種では交尾は静止して行いますが,本種は例外です)の写真を公表していますが,なかなか飛翔中のものはピントが合いにくくて難しいですね.

ハンマーさんの撮影場所が三田市と分りましたので,撮影された種は確実にEmpis (Planempis) latro Frey キバネオドリバエ(原色昆虫大図鑑第三巻, p.205)です.

それにしても100頭あまりの群飛と言うのは壮観でしょうね.私はpan群についてはこれまでせいぜい20頭ほどの群飛しか観察したことがありません.多数の個体が集まると,相互の干渉で雌がこなくても一時的にもつれ合うように雄が飛び始めることがあります.群飛で飛び続けるのはエネルギーの消耗になるためか,大型の求愛餌の場合には群飛場所で静止したり,あるいは群飛形式をホバリング型にしているようです.またヨーロッパで秋に出現するRhamphomyia (Eorhamphomyia) spinipesでは雌が群飛場所に来てシラカバなどの梢付近に静止しており,雄が求愛餌(中型ミズアブ)をもってこの場所に飛来すると多くの雌が一斉にこれを追って交尾します.このように雌が雄を追っていく種も稀にみられます(Empis (Anacrostichus) cyaneiventris FreyルリハラオドリバエでもAllognostaのような雄にとっては大きい求愛餌を用いる場合は,雄はホバリングしていて,雌がこれに衝突ないし接近すると雌は積極的に雄の前に出て雄を誘導した後に交尾します).E. latroの配偶行動を詳しく観察されるとずいぶん良いデータが取れると思います.

ハンマーさんへお願いです.Hoplocyrtomaを撮影されたカメラとレンズ,撮影条件など教えてください.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハンマー 投稿日:2007/05/17(Thu) 07:17:13 No.3474  引用 
アノニモミイア様、どうもありがとうございます。
>Dipterophilusとアノニモミィアはシノニムです.
あんな写真を見て、種名を言えるような方がweb上に何人もいらっしゃるとは思えないので、ひょっとしたらとは思っていました。
飛翔写真はたくさんいるから撮れるというか、撮る気になるというのが正直なところです。来年はまたじっくりと観察したいと思っています。

写真はブログでHoplocyrtoma japonica Saigusa & Kato, 2002と教えていただいたオドリバエと同じ日(4/1)、同じ場所(兵庫県三田市)で撮った別個体です。逆立ちして餌を食うという習性はとても不思議な気がしました。

カメラは大したものを使っていなくて、書くほどのものではないのですが、E. latroも含めて写真は全てCanonのS2ISというコンデジで撮っています。この写真のような接写の場合は、ズームをテレ端にしてクローズアップレンズNo.5と3を重ねて撮っています。内臓ストロボに手製のリフレクター(?)のようなものを取り付けて、設定はマニュアルで絞りF8、SSは1/250でした。この条件で撮影距離はレンズ前から約8cmでした。

Argeさんの立てられたスレッドなのに、割り込んでしまってすみませんでした。


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/17(Thu) 14:34:00 No.3475  引用 
ハンマーさん撮影条件についてお知らせ下さって有難うございまいた.参考になりました.

Hoplocyrtomaはなぜこんなに逆立ちするのか不思議です.これに近縁のBicellaria属がありますが,これはやや小形で,一般に黒っぽく,後脚が正常で腿節が肥大していません.早春に雑木林に出る種と,今頃から出る種がありますし,中部地方の高山では7月頃に別の種もでます.これらがどんな姿勢で摂食するか注意して見たことがありません.なお,Hoplocyrtomaは北米に2種知られていまして,その他では日本だけに数種いて,そのうちの西日本の平地ー低山地に比較的多い(場所は意外と局所的ですが)のが撮影された種です.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:平群庵 投稿日:2007/05/20(Sun) 00:16:24 No.3482  引用 
割り込み失礼します。
ネット上での絵合わせができなくてそのままにしていたものですが、これもキバネオドリバエでしょうか。
[ No.3459 ]の写真とは口吻の長さが違うようですが伸びるものなのでしょうか。
体長14mmの大きなものでした。
2007年4月下旬、奈良県平群町で撮影


Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/20(Sun) 01:36:31 No.3483  引用 
平群庵さんの雌の写真は形態,色彩およびサイズから判断してキバネオドリバエの雌と同定できます.口吻の長さを気にされているようですが,Empis属などでは口吻を構成する上唇(labrum)は骨化していますので長さは変化しませんが,上唇を包み込むようになっている下唇の場合は,下唇基部から唇弁(laberum)の根元までの部分の膜状部が死後には伸びてその結果下唇全体がしばしば伸長することがあり,そのために,口吻が全体的に長く見えることになります.ですからNo. 3459の標本の雄はこのようにして下唇が伸長したものと思いますので,今回の生時のものより長く見える例でしょう.

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:平群庵 投稿日:2007/05/20(Sun) 18:21:56 No.3484  引用 
アノニモミイア様、ありがとうございます。
フタオレメバエというのが折りたたみ式の口吻を持つあったので、このオドリバエもなにか伸びる仕掛けを持っているのかなと思ったのですが、伸びてしまう理由を読んで「へぇ〜」×80です。
ところで、キバネオドリバエをネットで調べていて気が付いたのですが、
Empis latro で検索すると和名がギンバネオドリバエとなっているサイトがあります。単なる入力ミスだと思いますが、それが「みんなで作る双翅目Web図鑑」だったのでお知らせしておきます。

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:ハエ男 投稿日:2007/05/20(Sun) 20:03:52 No.3485  引用 
Empis latro の和名については九大の昆虫学名和名辞書の中ではギンバネオドリバエとなっています。(つまり九大目録でもそうなってると思われます。)

一応、あのデータは市毛さんが九大目録を参照して作られたのでそうなっていると思われます。

Re: Empis (Planempis)属の一種 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/21(Mon) 02:08:45 No.3486  引用 
これまで気付きませんでしたが,九大目録では確かにギンバネオドリバエとなっています.原稿作製段階の入力ミスでは.本種の和名キバネオドリバエは北隆館の原色昆虫大図鑑ではじめて伊藤修四郎先生が命名されたものだと理解しています.以降この名称が変更された例を見ませんので,ギンバネは元に戻して,キバネとすべきでしょう.キンバネであっても実態に則しませんし,ましてやギンバネでは全く異なります.Web図鑑の方も変更した方がいいと思います.

Hilara sp.と思います 投稿者:バグリッチ 投稿日:2007/05/14(Mon) 21:28:05 No.3464  引用 
こんちは。

 埼玉の某所で毎年採れるもので、Hilara ではないかと考えました。
 腹部の根元の2-3節白いので、生時は 特徴的です。

 見た目が変わっているので、種名または ヒントがいただけましたら嬉しいです。

 宜しくお願いいたします。


Re: Hilara sp.と思います 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/14(Mon) 23:30:53 No.3466  引用 
小楯板scutellumの剛毛の数を数えてみてください.これが4本でしたら高知県簗瀬から2雌に基づいて記載されたHilara (Hilara) neglecta Frey, 1952です.本種は西日本では5月上旬に発生する低山地ないし山地渓流の最も普通の大型Hilaraです.雄は渓流面で羽化するユスリカやカゲロウなどを捕獲して,前脚第一付節から分泌される糸でくるんで,求愛餌とし,渓流の淵の上空1−2mの高さで直径2−5mの水平円形の群飛軌道で周回飛翔をします.交尾中のペアもこの群飛中か,それよりやや下をゆっくり飛翔します.本種はこの時期にはヤマメやアマゴの好個の餌となり,これらの渓流魚の胃を裂いて見ると本種で一杯の場合がしばしば見られます.
試みにインターネットで「オドリバエ」と検索してみてください.そのほとんどは渓流釣りの人々の話題の項目がです.それほど本種は虫屋より釣り屋に良く知られた昆虫で,これを擬したドライフライさえも作られています.
なお,雄の腹部基半部が白っぽくなる種はほかに,H. leucogyne,H. melanogyne, H. itoiが既知種でして,それ以外に少なくとも日本列島からは5種の未記載種があります.H. neglecta自体も北海道から九州にかけて雄交尾器に地理的変異がありまして,その扱い(亜種とするか異所的な種とするか)はかなり微妙なところです.H. melanogyneとその近縁未記載種(中部山岳で雌の翅が拡大する種)は触角第3節が赤褐色,生時の複眼も赤褐色ですので識別できます(これは黄昏群飛性のためでしょう).他の種は小楯板剛毛が6本以上です.それぞれ求愛餌採取と配偶行動が種特異的で,中には同じ水面を狩りの場とするH. neglectaの雄をもっぱら求愛餌にして,水面上50cm程の高さで距離2mくらいの水平往復軌道で群飛する種もあります.
Hilaraの配偶行動は多様で,行動生態的に大変興味あるところです.群飛を見つけたら,ゆっくり観察すると結構面白いものです.

Re: Hilara sp.と思います 投稿者:バグリッチ 投稿日:2007/05/15(Tue) 21:26:41 No.3468  引用 
アノニモミイア 様
 ご教示 ありがとうございます。深く感謝申し上げます。

 本種のscutellumの剛毛の数は、画像のように4本でした。(見づらい画像ですいません)
 従いまして、ご教示によりますHilara (Hilara) neglecta Frey, 1952にあたる種であると思われます。
 念のため 触角も画像をつけましたが、触角は赤褐色でした。
 H. melanogyneとその近縁未記載種は、scutellumの剛毛の数は何本でしょうか?今後のために お伺いできましたら ありがたく存じます。

 宜しくお願い致します。
 


Re: Hilara sp.と思います 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2007/05/16(Wed) 05:16:13 No.3472  引用 
最初に掲載された写真をもっと注意して見るべきでした.H. melanogyneの小楯板剛毛はH. neglectaと同様に4本です.H. melanogyneは触角が赤褐色であるほかに,雄の前脚第1付小節(metatarsus, basitarsus, 1st tarsomere)は脛節先端よりわずかに太い程度で,表現的には円筒型,長さも脛節長よりやや短い程度でneglectaより長く細い,前額(frons)は左右の複眼が極めて接近する為にHilara属としては例外的に狭く,前単眼(中央単眼,anterior ocellus, frontal ocellus, median ocellus)より幅がせまく(neglectaでは前単眼より遥かに幅広い),複眼の個眼(ommatidium)が前方で著しく拡大する,雄交尾器の背板葉(tergal lobe)に長い剛毛を生じる,雌では翅が全面的に暗褐色になる,等の特徴があります.前回の写真でも部分的に重なっているのでやや分りにくいのですが,第1付小節は長く,細く,また交尾器には長い剛毛がみえます.今回掲載された頭部の写真ですと,前額は前単眼より明らかに狭く,以上の特徴から本種は高知県のYanase(魚梁瀬)の栃谷,西川から5雄3雌に基づいて記載されたHilara (Hilara) melanogyne Frey, 1952に同定できます.

H. melanogyneの狩りと配偶行動の詳細は不明です.日中に淵の上で少数の雄が飛翔しているのや,夕暮れの上空にシルエットとしてしか確認できない時間に沢沿いの林道の上空2-3mを飛翔(おそらく群飛)していたのを観察したことがあります.谷沿いの岩陰などからキノコバエなどと驚いて飛び出してくることもあります.複眼が橙色を帯びること,複眼が前額で接近し,個眼が大型化すること,などは夕暮れ活動性との関連があるかと思います.

Re: Hilara sp.と思います 投稿者:バグリッチ 投稿日:2007/05/17(Thu) 21:20:32 No.3476  引用 
アノニモミイア様

 詳しいご解説に 御礼申し上げます。

 Hilara (Hilara) melanogyne Frey, 1952として、記録させていただきます。
 画像が悪い事で、混乱を招き、申し訳ありませんでした。

 しかし、近似種の情報も頂戴できました事、本当に勉強になります。
 残念ながら、狩りや配偶行動は観察できていません。
 是非とも、確認。撮影をしてみたいと思います。

 引き続き、宜しくお願い申し上げます。

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