またまた,質問させていただきます。素人です。
今回はニクバエ科のハエです。腹部背面の市松模様からニクバエ科までの特定はできました。ここから先の特定はやはり生殖器を見るしかないのでしょうか? 判別しづらい画像かもしれませんが、分かる限りのご意見よろしくお願い致します。
素人様.
ニクバエ科については,♀で種の同定が出来るのは専門的にニクバエ類研究していた数名だけと伺っています. どのように調べていくかについては,国立情報学研究所の論文ナビゲータ [サイニィ]で,加納六郎(1954)日本産ニクバエ類普通種の検索 を読んでみてください.http://ci.nii.ac.jp/ 各部の名称や,絵解きでのニクバエ科の普通種の検索例が載っています. 双翅目を含めた昆虫全般でも,雌雄どちらかだけでしか種名が確定できない種類が色々とあるようです. 特に,双翅目は雌雄どちらかでしか種名を確定できないケースが多いと思います. 余談ですが,私も30年ほど前には昆虫の生態写真家を目指す若者でした.東京の本屋まで出かけて,地方では入手できない色々な図鑑も多数買い込みましたが,生態写真だけからでは絵合わせで種名が確定できないことから,撮影した虫を標本にするようになったのが収集の始まりです. 標本収集が始まってからも,比較する近似種がないと文面を読みこなせないことから,いつの間にか写真よりも収集に方向転換してしまい,今に至っています. 今のように,デジカメ+ネット社会だったら,このような分野にのめり込んでいなかったと思います. 数年前に長男に部屋を譲る時,思い切って昔のリバーサルフィルムを殆ど廃棄しましたが,「家が建つくらいお金をつぎ込んだな」としみじみ思いました(^_^;)
茨城@市毛 様
ご回答ありがとうございます。また、とても参考になる論文まで紹介していただき、誠にありがとうございます。 標本収集に至る経緯も興味深いものでした。これからもよろしくお願いいたします。 |
素人様.
これまで何度となく,この掲示板では双翅目の同定について討論されていますが,基本的には詳細な全体像が分からないと,種まで特定することは出来ません. 他の昆虫と異なり,体表面の剛毛の本数や微毛の有無,向き,長さの比率等の情報が必要となります.場合によっては,交尾器の内部形状まで見ないと判断できないケースもあります. 今回の画像のハエは,クロバエ科やニクバエ科,ヤドリバエ科等の仲間と思われます.
茨城@市毛 様
早速のご返答ありがとうございます.全体像を撮影し,投稿したかったのですが,保存状態が非常に悪かったため黒く変色してしまいました. 一応,参考までに画像を載せたいと思います.因みに,体長は6mm度でした. 無理なご質問で大変申し訳ありませんでした.
体のぼんやりした画像から推定できることは、このハエがクロバエ科の1種であろう、ということでしょう。それ以上の同定はこの画像だけに基づくと、クロバエ科の専門家であれば別でしょうが、まず不可能かと思います。
Anonymomyia 様
ご回答ありがとうございます。私の技術不足のためきれいな画像が撮れていないにもかかわらず、ご回答していただき、感謝いたします。 私もいろいろな図鑑を見てニクバエ科ではないかと考えていました。 ところで、別の質問になるのですが、素人でも上手にきれいな画像を撮影する何か良い方法はないでしょうか。よろしければご教授よろしくお願いいたします。
私は標本写真には全く精通していません。これまで本掲示板に投稿した写真は今は古い機種のオークションにもあまり出てこない機能の大変低いニコンのCOOLPIX 990というデジカメで撮影したものです。数ミリ以下のものは、このカメラのレンズ部に双眼実体顕微鏡の10倍の接眼レンズを逆付けして(間にアダプターをつけて)撮影してきました。こんなことを書くと、なんてお粗末な機種で撮影しているものか、と皆さんから呆れかえられるかと思います。
こんな機種ではなくても、今は様々なデジカメが販売されているでしょうから、それらのマクロ機能を使えば確実に良い写真が撮れると思います。照明もLEDのさまざまな懐中電灯で十分でしょう。 なお、「福岡市の蝶」というサイトの画像掲示板には昆虫の撮影についていろいろと投稿がありますし、サイトの管理人の福田さんにお尋ねになれば、適当な示唆が得られることと思います。
素人様.
ネット上には色々な高倍率でのマクロ撮影について書かれているページがたくさんありますので,試行錯誤してみてください. デジカメの種類や持っている設備によって色々とあります. 高倍率クローズアップレンズを付ける方法 http://www.camecame.com/camera/a1/macro/ 顕微鏡+コンパクトデジカメで簡易的に撮る方法 http://www1.cncm.ne.jp/~itoyama/dejikame.html 一眼レフでリバースアダプタを使う方法 その他,探せば色々な方法があります.
Anonymomyia 様,茨城@市毛 様
多くの情報を書いていただき、ありがとうございます。 いろいろと試行錯誤してみたいと思います。 |
私も、どこが決め手になるか確信はないのですが・・・
手持ちの資料の中では、平凡社の日本動物大百科第9巻 昆虫IIのP136に載っている写真のマツダマダラヒロクチバエ Euprosopia matsudai がいちばん似ていると思います。 マツダマダラヒロクチバエの記載論文はCiNiiで閲覧可能ですので、ご覧になってみて下さい。学名で検索するとヒットします。 http://ci.nii.ac.jp/ 検索表を見ると、マツダマダラは腿節が黒くて丸顔、オオマダラは腿節が明褐色で馬面ということのようですね。 私は、マダラヒロクチバエの仲間の実物を見たことがありませんので、ハズレの可能性もあります。詳しい方がいらっしゃいましたら、フォロー願いますm(_ _)m。 8/24追記:マツダマダラヒロクチバエの学名が間違っていましたので修正しました。大変失礼しました。
有り難うございます。じっくり読んでみます。
pierisさんから,別の写真の投稿があったので改めて見直してみました.
腿節の色が見えないので辛いのですが,上の2頭はマツダマダラヒロクチバエ Euprosopia matsudai Kurahashi, 1974と思われます. 下の個体も同種の♀と思いますが,もしかするとオオマダラヒロクチバエ Euprosopia grahami Malloch, 1931の可能性もあります. |
以前、我が家で撮影したミズアブ科Pachygasterinae亜科のKolomania albopilosaに付いてお訊ねしたところ、ケンセイ様より東京都本土部昆虫目録に載っていないので「はなあぶ」などに短報を書いていただけないか、と云う御話がありました。この時は写真だけで虫体を確保しておりませんでしたのでお断りしたのですが、先日(2011/07/10)、我が家(東京都世田谷区西部)のカラスザンショウの葉上に似た様なミズアブが居たので、恐らくK. albopilosaであろうと思い、マクロレンズで覗いて確認する前に網を振ってしまいました。
それが、写真のミズアブです。しかし、管瓶に生きたまま入れ、メガネを掛けて観察したところ、腹部の白毛帯がありません。後で、写真を撮ってみると、触角の色も全く異なり、鞭節の先から黄白色の刺毛が伸びています。 Manural of Nearctic DipteraでStratiomyidaeを検索すると、何と、日本に記録のないBerkshiriaに行き着いてしまいました。Diptera info、BugGuide.net等で調べると、胸背の瘤、触角の形態や色、脚の色など、実際よく似ています。 しかし、このManualには、Kolomaniaは載って居らず、Kolomaniaを検索するとCosmariomyiaに辿り着きます。検索表が古いのか、分類に異説があるのか分かりませんが、他に文献を知らないので、これ以上の判断は私には無理の様です。 一体、このミズアブは何属なのでしょうか。宜敷御教示下さい。
アーチャーン様、投稿ありがとうございます。
確かにKolomania albopilosaではなさそうですね。 では何かという問いですが・・・私も良くわかりません。 体型などはWallacea属に似ているように見えますが・・・ 実物を見ないと何とも言えないですね。 Berkshiria属は新北区の属かもしれませんが、私は知らないので良くわかりません。旧北区のマニュアルで同定するとはっきりするような気がします。返事がいつになるかわかりませんが、ミズアブ科について詳しい双翅目談話会の事務局のO氏に問い合わせておきました。回答があればお知らせします。 ということで。 ケンセイ@ミズアブ科はまだまだ不明種がいろいろいるようです
アーチャーン様.
残念ながら,Manural of Nearctic Dipteraはタイトル通り新北区の双翅目だけを解説しているので,旧北区や東洋区の双翅目の属の検索は出来ません. 写真だけでの判別は困難なのですが,Wallacea albiesta Meijere, 1907と思われます. Wallacea属は,日本周辺からAustralasia区にかけて分布する属で,新北区やエチオピア区,新熱帯区には分布していません. 属名からすると,ウォレス線で有名なA. R. Wallaceに献命されていると思われます.
ケンセイ様.
御回答有難う御座いました。 O氏への問い合わせ、宜敷御願い致します。 東京都本土部昆虫目録を見るとPachygasterinae亜科はネグロミズアブ1種のみなので、種が分かれば1種増えますね。 市毛様. 御回答有難う御座いました。 旧北区のマニュアルが欲しいところなのですが、現在入手可能なのでしょうか? また、Wallcea albiesta は、九大やこちらの目録ではそうなっていますが、W. albiseta で検索した方が沢山ヒットします。意味としても albiseta ならば「白刺毛」で分かり易いのですが・・・。何方が正しいのでしょう。
アーチャーン様.
確かに,W. albisetaの打ち間違いでした. なお,Contributions to a Manual of Palaearctic Dipteraは絶版のようですね. 親戚に考古学者がおり,文献は金を借りてでも買っておけと言われた覚えがありますが,大学生を抱えていると苦しいところがあります. それでも,I Tachinidi della Fauna Italiana や Manual of Central American Dipteraを買っておきたいです(^_^;)
市毛様.
やはりalbisetaでしたか。九大目録も結構綴りの間違いがありますね。 Contributions・・・は、AbebooksにVol.3だけありましたが、3.6万円もしています。仮に全巻有っても果たして幾らになるのやら、現在の経済状況では一寸買えそうにありません。
アーチャーン様.
円高が進んでいるので,思い切ってI Tachinidi della Fauna Italiana を注文したのですが,売り切れという返信が届きました。゜゜(>ヘ<)゜ ゜。ビエェーン イタリア語に躊躇していたのですが,「602 species from 236 genera are illustrated (773 high quality digital photos using a binocular microscope, 503 electron micrographs and 247 line drawings)」という解説にそそられていたので,いつかは買いたいと思っていたのです. イタリア語で書かれたヤドリバエ科の本なんて誰も買わないだろうと思っていたのですが,考えが甘かったようです(^_^;) それにしても,どんな写真か興味があります.
今、http://www.bookfinder.com/ で検索してみたところ、Pemberley Natural History Booksと云う本屋に1冊あると出ます。Biblio.com(Biblio.co.uk)とabebooksの両方に出品している様です。
昔、大学にいた頃、ある特殊な分野で、20世紀初頭のイタリア語の大論文(200ページ位)があり、大学に残れば読むつもりだったのですが、飛び出してしまったので、未だに読んでいません。
アーチャーン様.
アメリカの本屋からドル払いで安く買うつもりでしたが,アドバイス通りイギリスのPemberley Natural History Booksから購入しました. 送料込みで140ポンド,約18000円でした. 電子顕微鏡での剛毛の写真を見ると,卓上電子顕微鏡が買いたくなりますね.日立製,日本電子製共に約520万円と対抗しているようですが,低真空に強いのは日立のようですね. それにしても,いまだに120万画素というのは驚きです.一昔前の3000万円クラスのデジタル式走査電子顕微鏡と変わらない低画質です(^_^;) やはり,卓上型ではなく低真空対応の中級機以上を買わないとがっかりしそうです. P.S. 残念ながら,今年のサマージャンボも外れました(^_^;) |
ミズギワイエバエを採集しているという事は、当然同じ環境に出現するミギワバエ科も採集しております。ということで、順次、採集しているミギワバエ科も紹介していきます。
まず、キタミズギワイエバエと同じ大野池で多く採集された Setacera viridis。池のほとりの泥のぬかるんだ水溜りに群れて、泥の表面に繁殖した藻類を盛んに食んでいます。陽光の元ではまるでキンバエ類のように輝いて見えます。
先の画像はSetacera viridisの♂でしたが、こちらは同種の♀です。腹部の後方下面にやはり産卵用と思しき『熊手様構造』が突き出ているのが見えますでしょうか。Setacera viridisは泥中産卵種で、幼虫も成虫の摂食域と同様の環境で育つのではないでしょうか。
http://www.ingentaconnect.com/content/esa/envent/1977/00000006/00000006/art00013
Setaceraの幼虫は確かにシアノバクテリア(藍藻)を含む雑食の藻類食の様です。 |
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