どなたからも返信がないので、あまりパッとしない一言。写真がやや鮮明度を欠くのが難点ですが、
1枚目はハネフリバエ科Ulidiidae(またはUlidiinae)のように思えますが、特徴的な翅の斑紋ですね。私はまだ見たことがありません。 2枚目はヤブクロシマバエに似ています。 3枚目はヤドリバエ科であることは間違いないですが、本科の同定は科の分類学の専門家でないと無理ですし、また写真では大変厳しいものです。
頭部も撮影しました。
また、Ulidiidaeで画像検索すると、 http://www.flickr.com/photos/imarsman/33807132/ というよく似た画像を発見しましたが、詳細は分かりませんでした。
引用されたサイトの画像を見ました。あなたの個体に大変良く似ていて、恐らく同種ではなかろうかと思います。この画像がどこの材料か分かればいま少し異同についての判断ができるのですが。
いずれにしても大変特徴的な翅の斑紋を持っているのでこの群に詳しい方にとっては一目瞭然でしょうが、私のUlidiidaeに関する知見はいたって乏しいものですから、はっきりしたことは何も言えません。 しかし、新しい写真で見る限りUlidiidaeのことは間違いないでしょう。ダイズコンリュウバエのようなPlatystomatidaeヒロクチバエ科ではありません(cua室、旧来のcup室または臀室が後方に鋭く伸びる点がこの科の重要な特徴です;ヒロクチバエ科ではこの翅室の端は直角ないし鈍角であって、鋭角に突出しない)。 Ulidiidaeは九大のカタログではPhysiphora flavipesが上げられていますが、素木先生の「昆虫の分類」ではヨーロッパから知られているP. demandata(ハネフリバエ)の和名について解説され、分布に本州が含まれています。P. flavipesは東南アジアに広く分布する種で、上記カタログでは宮古島が挙げられています。P. demandataは翅が無紋です。 いずれにしても、あなたの標本の種は私自身採集したこともありませんし、標本をみたことがないので、標本を検鏡しない限り、属などの正確な判定は写真ではやや困難です。
有難うございました。近いうちに、もう一度追加の個体を集めてみようと思います。
また、自分が見落としていましたが、こちらの掲示板のNo.4010にケンセイさんが投稿している種が近いように思えます。(Euxesta pechumani Curran?とされています) さらにEuxestaで検索すると、 http://bugguide.net/node/view/28246 こちらのサイトにNo.5777と同じ写真があり、それによるとカナダで撮影されたもののようです。
旧北区のカタログではEuxesta pechumaniは,北米から記載され,ヨーロッパにも分布するとあるので,この種ではないかと思います.Euxesta属は主に新大陸の属であちらには30種ほどいるようです.
Physiphora属の種はしばしば花に集まっていることがあるので,もしこれに似た生態をしているのであれば,採集するのに花を狙うのもいいかもしれません.複数採集できたら標本を見せてください.
アノニモ先生から「達磨は採っていないか?」とのお問い合わせがありました。実は今年の春に採集し、同定までした記憶があるのですが、標本の行方が分からず、、、、、、。
今日になってやっと博物館の未整理標本の中にまぎれているのを発見しました。 採集地 栃木県宇都宮市桑島大橋下、2009年5月4日 Otitidae, Euxesta sp.という同定ラベルをつけていました。
達磨大師の種も同じものでしょう。なかなかすっきりした感じのいいハエで,一度は採集してみたいですね。未整理標本から掘り出すのは一苦労だったでしょう。
Otitidaeは最近はしばしばUlidiidaeに含められているので,大師もEuxestaをOtitidaeに分類して同定したのでしょう。
達磨様、標本写真有難うございます。
以後2度ほど同じポイントに行きましたが、追加の個体は得られませんでした。8月以降は、大学受験がある関係でかなり動けなくなると思いますので、最初の個体だけでも三枝先生にお送りしようと思います。いかがでしょうか。
大学受験とか。受験生ですか?それだと,これからハエどころではないですね。そちらのほうに邁進してください。まだこれからも機会はあることですから追加個体の採集は無理をしないでください。
標本をお送りいただけるとのこと,見せていただければたいへん参考になります。
はい、受験生です^^;
少し遊び過ぎなのは自覚しているのですが・・・ つきましては、どちら宛てにお送りすればよいでしょうか。また、標本などを発送したことがないので、どのようにすればよいかご教示お願いします。
Bacon. Lさん:
標本についてのご配慮有難うございます。 私の連絡先につきましては,本掲示板最上部にある「トップに戻る」をクリックすると,管理人の古田治さん(ハエ男さん)の連絡方法として,急の連絡先としての携帯メールのアドレスが示されていますので,古田さんに私の連絡先をお尋ねください。教えてくれるはずです。古田さんはいま白馬に出向いているようですが,携帯では連絡がつくだろうと思います。 標本郵送の方法を少々詳しくなりますが,書いておきます。 少数の標本を送るのには百均などで売っている一番小さなタッパーが適当です。マウントしていない標本であれば三角紙(一般的な)に同大のティシューを1枚入れて,その上(間ではなく)に標本をのせ,ただ単に包んで,これをタッパーに入れて三角紙が動かないようにふわふわになる程度に脱脂綿などをいれて(強く押さえないように),厚手の封筒に入れて送れば安全です。 一度三角台紙などにマウントした標本は,少数であれば簡便な方法は三角台紙を針からはずして,三角台紙ごと三角紙の中央に置き(この場合はティシューは不要),三角台紙の一部を糊で三角紙に貼ってこれが動かないようにして,この三角紙を前述の場合と同様の方法で郵送すれば大丈夫です。 ついでに,針に刺した標本の場合は,針の長さよりやや深めのタッパーの底にペフ版(発泡スチロールは少々針が抜けやすい)を両面接着テープで貼り付け,これに標本を刺して蓋をし,これをユーパックの小などにいれて,周りに梱包材(もみくちゃにした新聞紙でも十分)をいれて送れば大丈夫です。この場合,稀に標本が台紙から外れたり,時には針が外れることもあります。それが箱の中で動き回らない方法として,箱の隅2ヵ所くらいに脱脂綿の小指大の塊を作ったものを針でとめておきます。そうすると,外れた標本などがそれに引っ掛かって,それ自身も傷まないし,他の標本を傷めることもありません。 いずれも,郵送は短時日ですから,防虫剤などを入れる必要は全くありません。 それでは宜しくお願いします。
丁寧にありがとうございます。
ご連絡、教えて頂きました。恐らく9月前ぐらいになると思いますが、お送りいたします。 |
NO5797に返信が出来ないので別スレでお礼申し上げます。
早速のご確認ありがとうございます。
他に似た種がいるのではと思って投稿しましたが、 やっぱりスズキベッコウハナアブで良かったんですね。 残念ながら採集はしていませんが、 見つけた場所にはしばしば立ち寄っているので、 再度出会えれば採集したいと思います。 近くにクヌギ林があって樹液を出している木もあります。 また、雨天だったので薄暗く、ピッタリの出現環境だったみたいですね。 |
梅雨明けがずいぶんと遅くなっていますが,虫の世界は盛夏に入っているようです。これからの季節,私たちの身近の草地ではイエバエ科のクキイエバエ属Atherigonaやハナレメイエバエ亜科のハエ達が繁栄しています。篠永先生の「日本のイエバエ科」によってこの仲間の概要が分かり始めています。
この掲示板に関わっておられる双翅目に興味をもたれている方々や双翅目談話会の皆さんにひとつアピールがあります。それはこれから8月より秋にかけて容易に採集できるクキイエバエ属について,それぞれの場所でどのような種がどのくらい生息しているか,調べてみたらどうだろうか,と言うことです。その理由は, 1.市街地やグランドなどの空き地の草原,平地の耕作地の周囲や,河川の土手から山地の草原まで,イネ科の植物が繁茂している場所ではどこでもごく普通に生息していて,採集が容易である→身近の場所から調べられ,多数の個体が採集可能である。 2.クキイエバエ属は基本的には熱帯性のハエで,日本列島は分布の北限にほぼ相当する→地球高温化(地球温暖化)に伴う(熱帯性)昆虫類の北上がチョウやセミなどで課題になっているが,双翅目では必ずしも問題視されていない。本属は熱帯性という点から調査対象として適している。 3.添付ファイルのように,日本列島にはかなりの種が生息しており,恐らく種によって温度適応が異なり,現在でも分布北限は種間でかなりの差が見られる→種による地球高温化への適応の違いを将来明らかにできる。 4.添付の検索表を用いれば,ニコンの実体顕微鏡ファーブルレベルでも十分に種の同定が可能である→多くの方々が調査に参加できる(実体顕微鏡を持たない方はファーブルに5万円の「設備投資」をこの際行なうと,この課題に限らず自然を詳しく見る目が大きく開ける)。 5.添付の検索表は主に色彩・斑紋を中心にしており,一部に♂腹端の上雄板突起の形状を示してあるので,これらの特徴は材料を解剖しないでも観察可能。 現在の段階で分布データをとっておくと,将来更に高温化が進んだ段階で昆虫の北進などを検証するための資料になるのではないかと思います。 Atherigonaはずんぐりした多くは黄褐色のハエで,頭部を側面からみるとほぼ矩形,特に前背端が角張って,その部分から触角が下方に伸び,ほぼ直線状の頭部前縁に沿うように位置しています。最も普通のAtherigona reversuraの♂を示しておきます。 検索表や上雄板突起の図は別に掲載します。 なお,私が「昆虫と自然」誌42巻12号:pp.32-35(2007)に示した吸虫管を用いて,冷却スプレーを長めに噴射すると,たいていの双翅類はその段階で凍死します。この方法でAtherigonaも採集できます。
日本産のAtherigonaクキイエバエ属の私が持っている標本に基づく検索表を添付します。
なお,この検索表は文献としては未発表ですので,出版物などに転載することは決してやらないでください。個人的にプリントアウトして使ってください。 添付:5799.txt (9KB)
日本産クキイエバエ属Atherigona亜属数種の上雄板突起の図を示しておきます。色彩は無視してください。撮影条件でかなり異なっています。これらの突起は通常外部に露出しており,腹部の端を後背方からみると全形がわかります。
上左:A. reversura ギョウギシバクキイエバエ 上右:A. oryzae イネクキイエバエ 中左:A. sp. 1 (?exigua) 中右:A. boninensis サトウキビクキイエバエ 下左:A. falcata キイロクキイエバエ(仮称) 下右:A. biseta モロコシクキイエバエ
三枝豊平様
詳細のご解説は 大変貴重でありがたいものです。 実は、昨年同様な話題がありましたので、気にしていましたが春はほとんど採れず、7月になってから、ポツポツ採れ始めました。 近所(関東南部の平野)で先週・今週の休日に採った個体の内、オスだけを同定したところ、ギョウギシバ14頭とA. sp. 1 (?exigua)2頭でした。 結果としては、ギョウギシバが優先していました。 7月12日に埼玉の丘陵地で採ったのはオス2個体でしたが、A. biseta モロコシクキイエバエ1頭と、A. sp. 3と思われる種1頭でした。 三枝様の検索のsp.3の三葉状突起の記述についての 自分の解釈に不安な部分がありますので、図を添付してみます。 上雄板突起の形態はイネクキイエバエに似ていました。 図からわかる範囲でご教示いただけましたら幸いです。
バグリッチさん。早速ご連絡有難うございました。種によっても発生期に違いがあるのかもしれません。
あなたが埼玉の丘陵地で採集された1頭は,あなたの同定の通りAtherigona sp.3です。私の材料を解剖したものの上雄板突起,三葉状突起,腹部背板の斑紋についてのたいへんラフですが略図がありますので添付しました。他の種もこのような略図がありますので,必要に応じておりおり掲載したいと思います。 本属の種は近い場所でも種構成が異なることがあるようでして,これも幼虫の食性などを考えると,生息場所の植生についても考慮する必要がありそうです。幼虫の食性なども分かるといいのですが。 確かにギョウギシバクキイエバエはかなり普通ですが,これをほとんど欠く場所もあります。 |
Bacon.L さん、こんにちは。
画像の個体は、ご推察のとおりSyritta pipiensモモブトチビハナアブの♂です。著しく肥厚した後腿節の形状と色彩で識別は確実にできます。南西諸島や小笠原には同属の別種が分布しますが、関東などの本土では本種のみが分布しており、草地的環境に見られます。 一般的には、腹部背板第2・3節の斑紋はオレンジ色で丸く小さいものが多いですが、時折Bacon.L さんの標本のように淡色で大きな四角い紋を持つものも見られます。 なお、日本産のSyritta4種の検察表は、はなあぶ23号に市毛さんがまとめています。
pakenyaさん、ありがとうございます。Syrittaは本土には一種しかいないのですね。個体変異のある種は、なかなか自信がもてませんでした。
またよろしくお願いいたします |
達磨大師が夏に入って博物館の本業で多忙のようで、ガガンボへのコメントがありません。
写真のガガンボはまず間違いなくTipula属の1種ですが、カスリガガンボなどに一見翅の斑紋が類似していますが、透明斑の位置が異なっています。Tipula属にはおびただしい種が含まれていますので、あるいは未知の種かもしれません。顕著な斑紋をもっていても、交尾器の構造が異なる近似種が多数あるのがこの仲間です。 今のところ、カスリガガンボに翅斑が類似したTipula属(キリウジガガンボ属)の1種と言うところでしょう。
アノニモミイア様、ありがとうございます。
カスリガガンボに翅斑が類似したTipula属の1種と覚えておきます。標本にして、いつか種名の判る日が来ることを願っております。
アノニモ先生のご指摘のとおり、多数の種がいるので答えに窮するのです。
この写真のガガンボはTipula strix Alexander, 1918によく似ていますが、翅の模様は全くちがうので、この種の近縁種としておいて頂くのがよいかと思います。strixは図示されたことがなく、亜属の所属も不明とされるガガンボなのですが、愛媛大学にAlexander同定の標本が保存されています。この種もご他聞にもれず、近縁な未記載種(?)がいくつも見つかっていて、一度タイプ標本を見ないとどれが本当のstrixだか判断しかねます(発見時、雌個体を元に記載されました)。 じつは、以前、栃木県の那須御用邸でつかまえたこの仲間をstrixと同定したのですが、後々、自信がなくなってしまいました。
達磨様、ありがとうございます。
達磨様をも悩ますような種に出会えただけでも幸運だったと思います。 |
遅ればせながら、、、
ウスナミガタガガンボやカンキツヒメガガンボなどの属するLibnotes属の一種には違いありません。 自宅にこの類の標本があるので、帰宅後、またコメントさせていただきます。
改めて家の標本と見比べて見ますと、九州や沖縄から記録のあるLibnotes puella Alexander, 1924と同じもののように思えます。Libnotes属のガガンボは夜、カブトムシを探しに行くとしみだした樹液の近くの樹幹で体を震わせているのを見ることができます。ただし、観察不足で、樹液の近くで何をしているのかは知りません。
達磨様、ありがとうございます。
南方系のガガンボなんですね。 私の掌で亡くなりましたので、標本にしておきます。 |
お久しぶりです。皆様、梅雨も明け、野に山に出撃にお忙しいことと存じます。
写真はかなり以前(2007年6月下旬)に我が家の庭(東京都世田谷区西部)で撮ったオドリバエです。体長は3.5〜4mm。この当時の機材は、現在のとは異なり、やや解像力が低いのでお蔵入りにしていたのですが、これまでに我が家で見かけた唯一のオドリバエでもあり、正体を知りたく御伺いを立てることに致しました。 頭部は球形に近く、胸部は著しく盛り上がり、また、CuA脈が長く、cua室は第2基室より長く先端が尖っていること、更に、交尾時に雄の尾端が雌の左側に廻っていること等からHybos属ではないかと思うのですが、後腿節は余り太くなく、棘も疎らです。Hybos属でしょうか。宜しく御教示下さるよう御願い申し上げます。 このオドリバエは一昨年(2007年)の6月下旬に庭の低いところを毎日の様にフラフラと漂っておりました。しかし、昨年と今年は遂に一度も見ることが出来ず、写真を撮り直す機会がありませんでした。残念です。
写真のオドリバエはHybos属ではなくて、Syndyas属です。Hybosとは、1)触角が頭部の中央よりかなり上方(背方)から生じる、2)翅の第1、第2基室を分ける中脈(M)が著しく弱く、しばしばほとんど消失する、3)胸背には広い範囲に柔らかな長めの毛をかなり密生する、4)後脛節が先端に向かってかなり肥大する、と言うような特徴で識別できます。
旧北区はS. nigripes1種のみでして、日本産のものもこれに同定できると思いますが、まだヨーロッパのものとの交尾器などの比較を行なっていません。本種は日本では平地から山地まで広く分布していて、どちらかと言えば谷地のような環境を好みますが、平地のちょっとして木立などでも見かけることがある普通種です。 熱帯には更に多くの種が生息していまして、これらの多くは翅のmicrotrichiaの発達が悪く、いわゆるガラス状透明の完全に透き通った感じで、M脈は全く消失しています。ほとんどの種はHybosの一般的なサイズに比べるとかなり小型です。 本種の交尾中のものは観察したことがありませんし、写真もはじめてです。興味深く拝見しました。
三枝先生
早速の御回答有難う御座います。Syndyas nigripes (Zetterstedt, 1842)とのこと。北隆館の新訂圖鑑、九大の目録、当サイトの目録の何れにも載っていないのは、交尾器の比較がなされていない為と理解致します。亜科はHybotinaeで宜しいのでしょうか(求愛給餌をしないグループですね)。 なお、交尾の写真は、余り質が良くありませんが、別の角度から撮ったり、結合部分の見えるものもあります。もし、先生がお望みであれば、追加掲載致します。
Syndyas属の亜科はHybotinaeでいいです。Empididaeを細分する分類ではHybotidaeセダカバエ科ということになります。
オドリバエ科については群飛をする仲間について、生態を知る機会が多いのですが、群飛をしないで、かつ訪花しない仲間については私はスイーピングネットで採集することに専念して、生態についてはほとんど観察したことがありません。本種についても同様です。 交尾の写真も興味ありますが、静止姿勢で体をずいぶんと前かがみにしているのも、通常のHybos属の種とはかなり異なっているように感じました。Hoplocyrtoma属の種が摂食中にこれに似た姿勢(更に角度が大きい)をとるのを思い起こします(本属ん摂食中の写真についてはこの掲示板に以前投稿されたものがあったと思います)。
三枝先生
先生の様なオドリバエの第一人者が観察されていないとは一寸意外でした。実は、私はオドリバエという求愛給餌するアブが居ると言う話は知っておりましたが、実物を見るのはこれが初めてだったのです(その後も見ていません)。庭の低いところを漂っている黒い羽虫が葉に留まったのでマクロレンズで覗いてみたところ、ハンマー氏がブログに掲載されている捕食中のオドリバエ(Hoplocyrtoma japonica、先生がコメントされているページです。http://plaza.rakuten.co.jp/hammeratsannda/diary/200704020000/、本サイトではNo.3474)と同じ様な姿勢をとっているのでオドリバエと直感した次第ですが、オドリバエと言うのはもっと大きい虫だと思っていたので、かなり意外でした。最初の出会いがこの様なものであった為、オドリバエの多くは逆立ちに近い姿勢で留まるものだとばかり思っていたのですが、その後の本サイトに掲載されるオドリバエの写真を見ると、何れも普通の姿勢で留まっています。逆立ちに近い姿勢で静止するオドリバエは例外的なのですね。 交尾写真を3枚追加致します(スペースを使い過ぎて恐縮です->ハエ男様)。ブレボケの酷い写真もありますが、まァ、楽屋裏の写真と言うことで御寛恕下さい。最初の写真は交尾を最初に撮った写真で、交尾し始めたところでないかと思います(07/06/26 08:01:56)。2枚目は約30秒後の08:02:22、この後が既に掲載済みのNo.5726(08:02:40)で、次が約3分後のNo.5727(08:05:58)、今日3番目の写真が最後で08:07:16です。記憶に拠れば、この雌雄はこのまま1時間以上同じ体勢を取っていました。 先生には何時も御世話になっています。有難う御座いました。
アーチャーンさん。
Syndyasの交尾の興味深い写真を見せていただき有難うございました。 本種はあなたが書かれているように、野外ではしばしば飛翔中の個体を見ることがHybosなどより遥かに多いと思います。福岡市の自宅庭でも時折本種を見かけますが、静止しているときよりもゆっくりと飛翔中の個体を見ることが多いです。 オドリバエ科(広義)では狩りの行動が連続的な飛翔中に行なわれるもの(EmpisやHilaraなど)と、静止していて近くを飛ぶ餌昆虫を空中で捕獲するもの(Hybos, Bicellaria, Hoplocyrtomaなど)、葉や岩などの上を走りながら餌昆虫を見つけて捕獲するもの(Tachypeza, Chersodromiaなど)、湿地や渓流の湿石上で静止していて動きの鈍い幼虫類などを捕獲するもの(Clinocera, Wiedemanniaなど)などがあります。Syndyasはまだ観察したことはありませんが、恐らくEmpis型の捕獲を行なうのではないかと思える飛翔です。Synechesについて知っている限りでは、これもEmpis型の捕獲です。 オドリバエ科に限らず、双翅目の昆虫については、摂食行動、配偶行動(群飛や求愛給餌を含む)、さらに産卵行動などを個々の種について委細にわたって詳しく調べていくことが、種の生活像を知る上で大変重要な事項と思われます。フィールドではつい見つけると採集が先行しますが、種を限定して、採集より前に観察を行なう必要もあるでしょう。スチール写真撮影もこれに集中してしまうと、観察がおろそかになったり、また観察結果を十分に記録しないような結果に陥りがちです。
三枝先生
オドリバエ類の捕食習性についての御話、興味深く拝読致しました。この辺りには余りオドリバエは居ないのではないかと思っておりますが、近くにはかなり水量のある泉も数箇所あり、今後注意してみたいと思います。 有難う御座いました。 |
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