これはオドリバエ科Empididae(またはこれを細分化したセダカバエ科Hybotidae)のLeptodromiella属の1種です。もともとこの属は北欧から記載されたものですが、日本にも数種が生息していて、いずれも未記載種です。
短い口器、触角刺毛が白色で微毛を密生すること、翅の臀葉の発達が悪く、翅の中室から出る脈が2本、R5脈を欠く、などの特徴があります。 成虫は春に出現し、主に森林の地表近くに生息し、しばしば表土上に静止しています。食性などは不明です。 日本産の種は脚の色彩や中胸背板のpollinosityの状態で識別することができますが、一箇所に複数種が生息することはないようです。 近縁な属にLeptopeza, Ocydromiaがあり、いずれもわが国に分布しています。
三枝豊平様、ありがとうございます。
オドリバエ科のハエと初めて出会いました。スレンダーで魅力的なハエですね。松林にまた覘きに行ってきます。 |
サーバーの障害で昨日アクセスできなかった方がいたのではないかと思います。
ご迷惑をお掛けしましたがすみませんでした。無事復旧しましたので、またよろしくお願いいたします。 話は変わりますが、ハエ男は無事出稼ぎを終了し、本日飯田に帰還します。 連絡先は変わらずfurumusiと(@aez.jp)です。 談話会会員の皆様は4/4に大阪でお会いしませう。
ハエ男様.
また,データが全部消えたのではないかと不安でした. 大阪で会いましょう. |
ヒメガガンボ科に属する
Erioconopa elegantula (Alexander, 1913) だと思います。
達磨様、ありがとうございます。
Erioconopa elegantula (Alexander, 1913)で検索しても日本語のページでは何も出てきませんでした。良く似た学名の イツモンヒメガガンボ, Erioptera (Erioptera) elegantula, Alexander. 1913 というのを見つけましたが、この種の情報も多くは無いように思います。 何年も前にガガンボのことを詳しく紹介していたサイトがあったのですが、最近はそれが見つかりません。どこかの大学関係のサイトだったような記憶があるのですが、あのようなサイトが復活するとガガンボも分かりやすくなるのになあと思います。
田中川様.
ガガンボ関連は,Catalogue of the Craneflies of the World http://nlbif.eti.uva.nl/ccw/index.php で学名を入れるとシノニム等も簡単にわかります. ちなみに,Erioptera elegantulaとして記載された種類が,現在でErioconopa elegantulaという学名になっているようです. 九大のサイトにあった大蚊天国は,とある学生が卒業して消えてしまったようです.(昨年より改名して開店しましたが,種名リストは無いようです.) 同じく九大のヤドリバエのサイトも,教授が定年になって消えてしまいましたね. また,北大にもキノコバエのサイトがあったのですが,これも消えてしまいました. このような有用なサイトは,国が保管するとかしてくれると良いのですが;^_^)
茨城_市毛様、ありがとうございます。
イツモンヒメガガンボだったんですね。図書館へ行って調べてきます。 有用なサイトは本当に残したいものですね。作るのは大変な労力だったでしょうに。大学での研究というのは学生や教授が去ると引継ぎや残していこうとする考え方が無さそうですね。 |
埼玉県昆虫誌のカノコヤドリバエの学名が九大目録と違うので
ネットを探ってみたら、ライプニッツ農業景観研究センターの ページに「ヤドリバエ科のシノニムリスト」 http://www.zalf.de/home_zalf/institute/dei/php/index.php?page=Tachinidae がありました。左側のTaxonがジュニアシノニム、im DEI(ドイツ昆虫学研究所)がシニアシノニムとなります。 カノコヤドリバエ Isocarceliopsis hemimacquartioides Baranov 1934 ↓ Carcelia ceylanica (Brauer & Bergenstamm 1891) となるようです。
セスジ様.
セスジ様が紹介している頁は,ライプニッツ農業景観研究センターの収蔵標本リストであって,シノニムリストとは位置付けが若干異なると私は思います.(ハナアブ科を見ると,1980年代頃の学名となっているようで,その後30年分のシノニム処置が反映されていないようです) さて,問題のカノコヤドリバエの学名ですが,埼玉県昆虫誌の出典である埼玉県動物誌(1978)では,カノコヤドリバエに Carcelia(Euryclea) ceylanicaの学名が当てられております. 当時は,既にShima(1969)で日本産Carcelia属について解説していますが,Carcelia(Carcelia) hemimacquartioides を収録する一方,C. ceylanicaの学名は見当たりません.(C. hemimacquartioidesのHostにAmata fortuneiカノコガと記されています) Mesnil(1968)の,A Preliminary List of Tachinidae from Japanでも,C. ceylanicaの学名は出てきません. そして,日本産昆虫総目録(1989)では,カノコヤドリバエはCarcelia(Euryclea) hemimacquartioidesとなっており,そ の後の皇居のヤドリバエ科(2000)等でも,同様の扱いとなっております. 一方,中国ハエ類(1999)のCarcelia(Euryclea) ceylanicaの項目にはシノニムは記されていません. なお,Herting(1984)Catalogue of Palearctic TachinidaeのAnnotationsには, (43) C. (E.)-hemimacquartioides Baranov is not a synonym of ceylanica Brauer & Bergenstamm (Eufischeria). The types of the two species (seen by me) differ markedly in the width of the frons and the shape of the third antennal joint. との記述があるので,何かの論文でシノニムとされたものが復活したのではないかと思います. そのようなわけで,次の日本産昆虫総目録が出るまでは,カノコヤドリバエの学名はCarcelia(Euryclea) hemimacquartioidesで良いのではないかと思います.
Shima (2006) A host-paratsite catalog of Tachinide (Diptera) of Japan, Makunagi/Acta Dipterologica, Supplement 2 によれば,カノコヤドリバエの学名は:
Carcelia (Euryclea) hemimacquartoides Baranov です.おそらくこれが本種の学名としては最新情報でしょう. 寄主はカノコガ(北海道帯広)だけで,種の分布は北海道,本州,九州;中国(北京,上海,台湾)と示されています(本文は英文). なお,本件とは無関係ですが,学名に人名を用いるときに,それに hemi, neo, para, nigri-, -oides などの接頭語や接尾語をつけるのは,一般に好ましいこととは言われていません.本種の場合には,Baranovは,接頭語に加えて接尾語までMacquartに付けたことになります.この場合,たとえ人名ではなくとも,余り感じのよい学名ではないでしょう.「何々に似たものの半分」と言うようなことで,さっぱり意味が通じません.
市毛様・アノニモミイア様
ご教授ありがとうございました。収蔵標本リストですね。 早とちりで申し訳ございません。 |
田中川様.
アシナガバエ科のSyntormon属の1種と思われます. 過去ログに何度か出ています.
田中川様
私も、市毛さんに賛成です。
茨城_市毛_有弁類整理中様、バグリッチ様、ありがとうございます。
どうやら属名まで判明すれば良しとしなければならないようですが、「アシナガバエ科 Syntormon」で検索をかけてもほとんど何も出てきませんが、Syntormon属って新しい属名なのでしょうか。 こちらにも出ておりませんが。 http://furumusi.aez.jp/wiki.cgi?%A5%A2%A5%B7%A5%CA%A5%AC%A5%D0%A5%A8%B2%CA
Syntormon属は1857年にLoewによって創設された属で、世界に100種余り生息し、ほぼ全世界に分布していますが、北半球の温帯に最も種が多いものです。私も中国の種を何種か新種として記載しましたが、日本産のものは未研究のまま放置状態です。あなたが写真で撮影されたとおり、雄の第3触角節(第1鞭小節)が著しく伸長して、これに第2節が食い込むようになっていること、雄交尾器は小型で目立たないこと、多くの種で雄の後脚の第1付小節にえぐれや特殊な剛毛を生じることなどが目立つ特徴です。
日本でも早春に多く、平地の庭に出た裸地の漏水場所などある程度恒常的な湿地にたむろして、驚かすと後脚を下に長く垂らしてゆっくりと飛翔します。時には家の中にも入ってきて、食卓の上などに静止していることさえあります。アシナガバエ科としては身近にいて、しかも大変おとなしい仲間です。 日本のアシナガバエ科は海浜岩礁性のものと、渓流性のDiostracusはかなり詳しく研究されましたが、他の属はほとんど全く研究されていない、という状況です。
三枝豊平様、いつもながら判りやすく説明していただき、ありがとうございます。
生息状況や生態についての解説もありがたい事です。 |
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