これはヤドリバエの仲間ではなくて、ミズアブ科のネグロミズアブCraspedometopon frontaleです。人家の周囲に多いアメリカミズアブ(時には糠みその中に幼虫が発生することがある)や、汲み取り式の便所の周囲を飛翔するコウカアブなどがミズアブ科に含まれます。
三枝豊平様、どうも有り難うございます。
どうやら見当違いのところを調べていたようです。双翅目は難しいです。 |
はじめまして。
札幌市在住で、半翅目を中心に採集している中1です。 近所のプラタナスで一昨年ダルマカメムシ(北海道RDBで絶滅危急種)を採集したので、追加個体を得るために時々観察しています。それで、同じ木で写真のアシナガバエをよく見るのですが、なかなか同定できないでいます。 先日、Dolichopodidaeで検索してみたところ、Medeteraによく似ているように思いましたが確信が持てません。 また、Masunaga, K.; Saigusa, T. (1998) A taxonomic study of the genus Medetera Fischer von Waldheim of Japan (Diptera: Dolichopodidae)を見てみましたが、触角端刺の状態など自宅にある顕微鏡(ニコンのファーブル)では確認しづらい部分もあります。 よろしくお願いします。 6/12 札幌市
鮮明な画像ではありませんが、ほとんど確実にMedeteraの1種の♂です。
中1とのこと、属の同定の難しいアシナガバエ科の本種を良く同定しましたね。 種までの検索をするためには、腹部を切断して(胸部との境界部からでいいでしょう、もし他の部分も壊しそうなら、腹部を切断しないで虫全体をつかう)、これを10%くらいの苛性ソーダまたは苛性カリの水溶液に1日ないし2日くらい漬けておいて、それから水のなかで綿棒などでそっと数回押さえて中の内臓などが解けた液を出して、それを10%くらいの酢酸(あるいは家庭用の酢)に数分間いれて、後にまた水につける、と言う操作をすると、♂交尾器の細部が観察できます。これをできればグリセリン80%位の水溶液にいれると次の操作がやりやすいでしょう。(グリセリンが入手できなければ、便秘の時に使う浣腸の液体ーこれもグリセリン溶液ですーを使えます) なお、苛性ソーダや苛性カリは強アルカリですから、皮膚やウールの服装につけると、皮膚などが酷くただれたり、衣服に穴が開いたりするので、十分に注意して扱う必要があります。 以上の処理が終わった材料をできれば中央が円く凹みのあるホールスライドというスライドグラス(手に入らなければ普通のスライドグラスでもいいでしょう)に載せて、グリセリンを封入剤にしてカバーグラスをかけて、普通の生物顕微鏡で観察すると、♂交尾器の細部が観察できるでしょう。 あなたが引用されている私たちの論文で交尾器を比較すれば、種が分かるかもしれません。ただし、この属にはこの論文で発表した種のほかにまだまだかなりの数の未記録の種が日本列島には生息しているので、あなたの標本の種がこの論文で確実に同定できるとは限りません。 Medetera属の成虫は、樹幹や屏などに体をそり返すような姿で静止していて、そこにいる小型の昆虫を捕食します。また、幼虫は朽木などの中に生息していて、キクイムシ類の幼虫を捕食することが知られています。多分他の生息場所で、別の軟弱な昆虫を捕食している可能性もあります。
三枝豊平様
ありがとうございます。 夏休みか、できればその前に交尾器の解剖をしたいと思います。この文献の検索表を使って同定してみますが、日本未記録種がまだまだいるそうなので、引用文献にあるもので入手可能なものも読んでみたいです。時間があれば。 ハエの交尾器の解剖は楽しそうですね。この文献を見るかぎり種ごとの差異が大きそうなので。アワフキムシのそれのときは、違いが微妙なので交尾器をみたら余計に判らなくなってしまったことがあります。 訂正:中1→中2 です。年齢詐称していてすいません(わざとじゃないです、一応)。
アワフキムシ科の場合には確かに同属内では♂交尾器の形態の種間差は微妙ですね。
双翅目でもそのような例もありますが、概して明確な種間の差がでるものです。 それと、交尾器などの着色が強くて、生物顕微鏡(透過光でみる)では構造が分かりにくい場合は、苛性カリや苛性ソーダの液の中に、長めに(2.3日くらい)入れておくと、脱色が進んで細かな構造が分かりやすくなります。もちろん、処理する容器はフタをしておかないと、蒸発して濃度が高くなったり、いろいろと具合が悪いことがあります。Medeteraの♂交尾器は通常かなり着色が強いので、上記を参考にしてください。 苛性カリなどの処理を早くしたい場合は、カップヌードルなどの空容器に熱湯をいれます。そして、小さな容器(ペットボトルやドリンク剤の蓋でもいい)に苛性カリ水溶液を少量いれて、それに処理しようとする材料をいれます。それを湯の表面に浮かせて、お湯を入れた容器に蓋をして、10-15分置いておくと、通常の処理(筋肉や内臓などが分解・溶解して、キチン質の外骨格だけが残る)が完了します。 なお、札幌在住とのことで、ご存知かもしれませんが、私が得た情報では、北大の博物館がそのうち双翅目の標本作成や解剖についてパラタキソノミストの実習を行なうとのことです。問い合わせてみたらいかがでしょうか。
Adippe様,三枝様.
今年の「ハエ目昆虫パラタクソノミスト養成講座(中級)」は既に締め切られています. 6/20-21に実施されます. http://museum-sv.museum.hokudai.ac.jp/activity/parataku/paratahyouji.php?renb=37.html 私も一度は参加してみたいのですが,中々日程が合いません.
三枝豊平様
交尾器の詳しい処理の方法を教えていただきありがとうございます。 三枝豊平様、茨城_市毛様 ハエ目昆虫パラタクソノミスト養成講座(中級)は、先月応募して当選の通知書が来ました。対象が高校生以上なので少し不安もありましたが当選できて嬉しいです。以前舘博士と2度お会いする機会があったのでOKだったみたいです。これで、今まで一部のハエでしかできなかった科までの同定ができるようになったり、殆どといっていいほど意味不明だった翅脈や剛毛などの名称が判るようになり、これからの昆虫採集がもっと充実したものになることを思うととても楽しみです。 昨日と一昨日、一泊二日の宿泊学習がありました。 虫用にPPサンプル管(空1つ、酢エチ入り1つ)を持って行ったのですが(もちろん内緒で)、捕る時間がなくて収穫はゼロでした。寒かったせいか、蚊もあまりたくさんはいませんでした。 |
ルリチュウレンジの幼虫に産卵するハエをみつけました。
出来はよくないですが、動画も撮りました。(マックでは見ることができないようです。) http://video.nifty.com/cs/catalog/video_metadata/catalog_090614209087_1.htm
ハンマー様.
Arge similisに寄生が確認されているのは,Drinomyia bicoloripes(Oswaldia bicoloripes)が知られています. Shima, H., 1980. Study on the Tribe Blondeliini from Japan (Diptera, Tachinidae) : III
市毛様
どうもありがとうございます。 ご紹介頂いた文献はダウンロードできました。 私にとってはほとんど意味不明ですが、ぼちぼちと解読したいと思います。
ルリチュウレンジに寄生するヤドリバエDrinomyia bicoloripes Mesnilは、Drinomyia hokkaidensis (Baranov)のjunior synonymですから、有効な学名は後者D. hokkaidensisのようです。なお、本種の和名はキアシハリバエとなっています(Shima, H., 2006. A host-parasite catalog of Tachinidae (Diptera) of Japan. Makunagi/Acta Dipterologica, supplement 2)。
三枝豊平 様
どうもありがとうございます。 Drinomyia hokkaidensis キアシハリバエの可能性があるということで、メモしておきます。 |
当掲示板をご覧の皆様、アクセスありがとうございます。管理人の古田です。この度のアカウント切れでご迷惑をおかけしてすみませんでした。
本来はこのような場所に書き込むべき内容ではないのですが、資金的に苦しい現状でもあり、何かご依頼があればご連絡いただければ幸いです。 (価格については内容により応談有りです。) 当面の連絡先は@hotmail.comか携帯メール(@以下がezweb.ne.jp)までお願いいたします。(メールのアカウントはfurumusiです。) |
虫撮りをしていたらブユがまとわりついてきて迷惑だったので、捕まえて瀕死にし
(写真を撮った時点ではもう死んでいます)、持って帰りました。 北隆館の図鑑で調べるとキアシオオブユが近いようでした。ただ、脚が「脛節とふ節は黄褐色」 (写真によってはこの箇所が黒ではなく茶色っぽく見えますが)というのと 胸背や額の毛はこれで長毛の範囲なのかといった不安なところがあります。この死がいは今も持っています。 これはなんというブユでしょうか。
新屋様.
翅脈などの細かい点が見えないので辛いです. 古い文献ですが,論文情報ナビゲータCiniiで「日本産ブユ科 Simuliidae の種の検索表と薬剤によるブユ幼虫の駆除法について」という論文が閲覧できます.その後追加された種類などがありますが,とりあえず参考にしてみてください. http://ci.nii.ac.jp/naid/110003824651 追記.北海道のブユに関しては下記のような文献もあります.1981年時点で31種のブユが記録されているようです. 北海道産ブユ類の分類学的研究および獣医学との関連性について Taxonomic Study of Black Flies in Hokkaido, with Notes on their Veterinary Viewpoint : Diptera : Simuliidae http://ci.nii.ac.jp/naid/110006454287/
撮っている間はここでも羽が重要とは知っておらず、羽を誤って大変な状態にしてしまいました。
また寄ってきたら捕まえようと思います。しかしブユは向こうから寄ってくる他では夜の明かりくらいでしか見ない…
日本のブユ科の普通種については、東海大学出版会発行の「日本産水生昆虫」のブユ科のところに検索表があります。
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