背面一方向のみで同定するのは正直厳しいのですが・・・
一応、翅の斑紋はハルササハマダラミバエに良く似ていると思います。ただ、このグループは小盾板(この画像では背中の黄色く見える三角形の部分)の黒い紋がどの部分にあるかなどが、この近縁なグループの同定には重要な部分なのです。(この画像ではちょっときついです。) ハエの仲間はチョウなどと違い、斑紋だけでは同定できない場合が良くあります。模様もさることながら体の剛毛や刺毛の配列なども重要で、これらが見えないと同定精度が著しく下がってしまうのです。(外見ではほとんど区別が付かず、交尾器を見ないとわからない種類もものすごく多いですし・・) 今回の場合は、あくまでも、「多分・・かもしれない」ということでお願いいたします。
ハエ男さん、今晩は。
ハエの仲間の同定が難しいことを理解できました。 つい、目にすると撮影し、後で、頭を痛めています。せめて、○○科とか、○○亜科の仲間まで解ればと思っています。 このミバエの仲間は、「多分ハルササハマダラミバエかもしれない」と紹介させていただきます。 有難うございました。 |
アノニモミイアさんの投稿が拒否されてしまったようなので、復活させます。
写真の種はEmpis (Polyblepharis) compsogyne Freyの雄です.三枝(平成7年)の検索表では6dで雄交尾器の尾角突起が背板葉を越えない点で6eに進み,6eでは体色が黄褐色,雄後脛節が単純,雄陰茎が強く湾曲する,でPolyblepharisに行きます.写真の個体のように筋肉を著しく収縮させる薬品(例えばクロロフォルム)で長時間殺虫処理をしますと,筋肉の硬直が死後も取れず,陰茎が強く押し出され,背板葉が内側に屈曲して,交尾体制をとります.その結果,背板葉が尾角突起より短く見えて,それが検索表の引き違いになったのではないでしょうか.下記の前の投稿の写真では正常(ほぼ同じ長さ程度ですが)です.青酸カリ殺虫では,前処理のクロロフォルム麻酔を長くやらない限り,このような収縮はおこりません.さらに注意すべきことは,このような収縮で骨化部が変形していますと,KOH処理を行っても正常の形に戻らないことがしばしばあります. 本亜属は日本列島に少なくとも6種分布しています.本種に極めて類似した別種(未記載種)が本州中部以南で同所・同時的に発生します.本種の雄は,後脚が付節を含めて黄褐色,前腿節の背面が暗色なので別種(後脚は少なくとも付節は暗色,前腿節はほぼ全面的に黄褐色)から区別できます.これら両種は本州中部以西ではしばしば同所・同時期に発生します. 個体数の多い種で,谷や沢筋の地上数mの木の枝の直下に大きな群飛群を造ります.あまりにも樹の枝直下のために,群飛に気付かない場合があります.Empisの配偶行動を観察するには最も適したものです.Nuptial giftも大きいし,pairはかなり低い位置に止まることがあり,雌がnuptial giftの昆虫を摂食する様子が観察できます. なお,昨年7月31日の投稿番号2547も参照ください.
アノニモミイアさんの投稿が拒否されてしまった原因は♂交尾器「陰茎」を意味する「pe-ni-s]が元から設定されていた拒否ワードに引っかかってしまったためと考えられます。(上記原稿はその部分を「陰茎」に修正しました)
出きるだけ拒否ワードデータの方を削除する形にしたいと思いますが、拒否ワード+拒否URLデータが膨大なので、その中の全てをチェックするのは少し時間がかかりそうです。 投稿拒否される場合は、原稿をチェックされ生殖器関連の用語を他の言い方が無いか考えてみるとよいかもしれません。
ハエ男様
お世話になっております。 アノニモミイア様 詳細な解説ありがとうございました。 クロロホルムや青酸カリは危険なので通常酢酸エチルを使っています。油断するとすぐ固くなるので、できるだけ早く取り出すようにしてはいますが。
青酸カリ殺虫管は一旦作製すれば,殺虫管の薬品部を破損しない限り絶対安全です.造り方は多分ご存知だと思いますが,私の場合を参考に書いておきます.
志賀昆虫普及社製の殺虫管を使います.まず殺虫管をよく洗剤を使って水洗いしておきます.台の上に紙を敷きます.乾かしたあと殺虫管の底のくびれより下の薬品部に約1/2青酸カリを入れます.青酸カリの薬品瓶の栓をとるときはペーパータオルなどをかぶせて栓を取り,この紙も処分します.瓶を傾けて薬品匙で慎重に青酸カリを取り出します(一度に多くとろうとするとこぼれて危ない).殺虫管に入れるときも,瓶壁に青酸カリの微粒子がつかないように注意します.底に青酸カリを入れたら,粒子が大きい場合はとくに割り箸の頭で上からゆっくりと,しかし力をいれてつぶしていきます.この際手荒にやるとこわれた小粒子が垂直に飛散して瓶外に出る危険性があるのでかなり慎重にやります.この割り箸も危険ですから安全な処理(例えば屋外で強酸の入ったビーカーなどに箸のカリが着いた部分をいれて分解させるとか;十分に密封してごみ収集日にだすとか)をしておきます.薬品を入れたら,青酸カリの瓶の栓を,やはりペーパータオルでつまんで,しっかり栓をします.次になるべく細かい鋸屑をくびれのところまで入れます.そして,別の割り箸の頭でそっと押し付けます.あまり無理に押すと鋸屑と青酸カリが混ざって,カリが上の方にくるので慎重に.それから焼石膏(工作用のはあまりよくないので,薬品店から焼石膏と注文して購入する)をビーカーのような物にいれて,水を注いで溶かします.水の量は微妙で,ビーカーを傾ければゆっくりどろどろとこぼれてくる,という程度です.傾けても落ちてこないのは水が足らないし,さっとながれてくるのは水が多すぎます.事前にためしてみたらいいでしょう.石膏を水でといたら,直ちに殺虫管の中に流し込みます.というより,ボテッボテッと2-3個どろっとした塊が落ちるという感じです.底に着いたら軽く瓶の底をとんとんと台に叩くと,石膏は鋸屑の上に広がります.この石膏の厚さは約1.5-2cmくらいが適当です.あまり深いと虫を入れるスペースが狭くなります. このようにして作った殺虫管は口をあけたまま,安全な場所に半日くらい置いて,石膏の水分がある程度乾くのを待ちます.その後,湿らせたチシューペーパーなどで内面を十分に拭いて,コルク栓をします.次に瓶を透明のビニールテープでぐるぐる巻きにします.特に薬品部は2重3重に巻いて,万一壊れても薬品が外に出ないようにします(底にも巻きます).薬品部より上は一重でいいですが,瓶口の部分は破損しやすいので布テープなどで3-4重に巻いておきます.コルク栓の上には,「劇毒物:どく きけん ふたをあけるな」と油性ペンで書きます.栓の横には「ふたをあけてはいけない」と書きます. 殺虫管を作るときに用いた割り箸は前記の通りしてから,紙などはそのままビニール袋などに密閉してゴミだしの日に燃えるゴミでだします.もちろん青酸カリの瓶は絶対安全な場所に施錠して保管します. このようにして作った殺虫管は,青酸カリそのものは外部に絶対に漏れません.石膏の水分と鋸屑が反応して木酢のような物が出るのか,徐々にこれが青酸カリと反応して青酸ガスを生じ,これが石膏の多孔質の間を通って瓶内にでてきて,これで殺虫が出来ます.殺虫管の中には一重にしたペーパータオルの幅5-7mm,長さ15cmくらいのを4-5枚いれておくと,中に入れた虫が痛みません. このような構造ですから,瓶をよほどひどく壊さない限り,内部の青酸カリそのものが外に出る危険性はほとんどありません.ただ,作製初期や長く使わなかった場合には最初栓をあけると青酸ガスが充満しているので,吸い込まないように注意すべきでしょう(いやなにおいがするのでわかります).瓶内が汚れたらぬれたチシューで拭います. 問題はこの殺虫管を落し物に絶対にしないことです.その可能性がある人は,瓶壁に「拾ったら警察に届けること,xx-xxxxに電話すること」と自分の電話番号をプリントした紙を貼って,その上を上部なセロテープでまいておくことです. このような殺虫管は大体2年間は十分ききます.いよいよ聞かなくなったかどうかはアリなどを入れてみて効果をためし,長時間死なないようでしたら,壊れ物で処理できるでしょうし,再生するなら手間がかかりますが,石膏をドリルなどで壊せばまた使えます. 長くなったついでに,後のハエの処理も書いておきます.殺虫管の中に1/3くらいDiperaが溜まったら,志賀昆虫普及社製の#458プラスチック丸型(貝殻,鉱石用)9cmに移します.内径の幅で長さが径の2.2倍くらいのペーパータオルをきったものを底から片側の側面,そして上面に来るように折っていれます(横から見ればコの字型).その間に先ほどの殺虫管用のテープ状のペーパータオルを8枚くらいいれておきます.蓋をあけて,中のテープ4本を取り出します,そして殺虫管の中身を中のテープごと容器の中に空けます.そして幅広のペーパータオルで上を覆い,その上にコアカソとか,カエデの若葉とか水分の多い葉を1-2枚のせて蓋をします.取り出した4枚のテープは空の殺虫管にいれます.このようにしたものを,リュックの底の暑くならないところに収容しておけば,夕方帰るまで中身のハエは柔らかい状態を保ちます.その日に処理できない場合は冷蔵庫に,また数日以上処理できない場合はチャック付きポリ袋に湿ったチッシューと共に入れて冷凍します. いずれにしても,殺虫管の中に入れるまでは青酸カリは極めて危険な薬品ですから,素手でつかむとか,こぼすとかは絶対にしてはだめです.この点と落し物にしない限り,青酸カリ殺虫管はdipteraには最適の殺虫管です.酢エチはどうしても湿り気で翅が傷むし,pollinosityがだめになることがしばしばあって,これに気を使うくらいなら青酸カリ殺虫管のほうがベターでしょう.ちなみに,青酸カリは印鑑をおせば化学薬品店から購入可能です(悪用禁止).
アノニモミイア様
木材組織からは、酢酸などの有機酸を揮発することが知られております。たとえば、貝類標本を木製のキャビネットに収納して何十年も保管しておきますと、貝殻の炭酸カルシウムが酢酸カルシウムなどに変化し、この結晶が霜柱のように成長して標本をぼろぼろに侵食してしまいます。このことが昔は知られておらず、細菌や菌による腐食と誤認され、消毒措置が取られたりもしたのですが、まったく無効でした。このことが判明したのは、たかだか数年前です。このため、国立科学博物館の貝殻乾燥標本の古いものも、かなり被害にあっており、タイプ標本の損傷も馬鹿にならないと聞いております。この酸が青酸カリと反応するのではないでしょうか。
アノニモミイア様
詳細な解説、ありがとうございました。 ただ、やはり最近はアマチュアで青酸カリの入手は大変そうなので、亜硫酸ガス等の使用も検討してみます。 ありがとうございました。 |
ウミユスリカ様 木材から酢酸が出る情報ありがとうございました.青酸カリ殺虫管の作製方法は私が出た研究室でずっと前から行ってきたものです.しかし,なぜ鋸屑をいれるのか,またそれでなぜ長期にわたってじわじわと青酸ガスが発生するのか,仕組みは知りませんでした.やはり想像したとおり酢酸など有機酸が生じるのですね.まさか木の棚から出る有機酸で貝の標本が傷むことは知りませんでした.昆虫の外骨格がキチン質で出来ているのは幸いだということですね.そうでなければ標本箱はすべて金属で作らなければ,標本が長持ちしませんから.
アノニモミイア様
ここ数年来、貝の標本は金属性キャビネットに入れるべきという指針がだいぶ定着してきたようです。また、かなり前から貝の標本箱として密閉性の高いプラスチックケースが普及しており、これに収納してからキャビネットに収納すれば、木製キャビネットでもかなり安全だと言われています。 それにしても、同じ現象が、かたや良好な昆虫標本作成に寄与し、かたや貝類標本を破壊してきたとは皮肉なものです。 ちなみに、私が「はなあぶ」に開始した連載にありますように、私はもっぱら亜硫酸ガス使用者です。ここ10年来、試薬を使った事件がいくつか起きたことから、薬局や試薬商が個人への試薬の販売に強力な自主規制をかけてしまっており、青酸カリの入手が困難になってきているからです。私が話をしたある試薬商は、たとえ塩化ナトリウムやブドウ糖であろうとも、個人への販売は自粛していると語っていました。今のところ所属が大学ということや、兄弟に医師がいることもあってそちらからのルートで試薬の入手も可能ですが、そういうルートが絶たれたときのために、もっと容易な入手ルートで得られる方法に熟達していたいという考えからです。亜硫酸なら、一般的なピロ亜硫酸ナトリウムを使う方法のほかに、観賞魚店で手に入るチオ硫酸ナトリウム(ハイポ)を使えますし、クエン酸なら食料品店でも入手が可能です。 |
2007年4月15日に志賀昆虫普及社の爺様の志賀卯吉さんがなくなったそうです。享年104歳とのことです。
今でこそネットで簡単に昆虫の道具が入手できる時代になりましたが、以前は志賀昆虫以外では難しい時代でしたよね。昆虫学の普及についてはその道具の供給などにおいて、まさに先駆者であり、ただただ感謝の言葉しか思い浮かびません。 お店に立たれて、「どこかに採集にいくの?うん、そうか。」と声をかけていただいたときの事が思い出されます。 謹んでご冥福をおいのりいたします。 通夜等の情報が必要な方はハエ男(古田治)までお問い合わせください。 |
先ほど気がついたのですが、ページ上にアルバムや旧過去ログというボタンが増えていますね。
アルバムボタンを押すと、サムネイル状に写真が表示されるようです。写真上のタイトルをクリックすると、発言のツリーが表示されるので大変便利です(^。^) スパム対策以外も、大分掲示板が進化したようですね。
今のところ、過去ログ扱いにならずに、すべて表示されていますので、意味がない機能ですが、将来的にはきっと使い勝手がよくなるものと思います。
ただ、やっぱし、旧掲示板から新掲示板へのデータ移植はやっぱし面倒でした。(画像の数が多いし・・) ちなみにURLは一度に2件まで書き込めるように設定してあり、3件以上入ってると投稿拒否されてしまうので、ご注意下さい。 |
カメムシの話題ですいません。
国立科学博物館で東アジア地域のカメムシ研究をテーマとしたシンポジウムが開催されます。詳細については下記の案内をご覧ください。私もヒラタカメムシの話をさせていただきます。当日参加者には付録としてヒラタカメムシ科の絵解き検索資料(亜科までを予定。属レベル検索は余力があれば作ります)を配布する予定です。 研究集会のご案内 サシガメ類の分類学研究者として知られる中国農業大学の彩万志教授が,日本学術振興会の招へい研究者として3月20日から2ヶ月間来日され,アジアのサシガメの共同研究をされています.この機会に,下記の研究集会を催すことになりました.皆様にはふるってご参加いただきたく,ご案内申し上げます.また,集会の後,会費制の懇親会も計画しています. 集会の参加費は不要ですが,会場準備の都合上,集会,懇親会に参加ご希望の方は下記までメール,Faxもしくは郵便葉書でお申込くださるようお願いいたします. 招へい受入研究者:友国雅章 記 研究集会 「東アジア産カメムシ類の分類学研究の現状と展望」 とき:2007年4月28日(土) 14:30?18:00 (13:30受付開始) ところ:国立科学博物館分館(東京都新宿区百人町3-23-1) 話題提供: 彩 万志(Wanzhi Cai):中国農業大学 Taxonomic studies on Heteroptera in China: past and present 林 正美:埼玉大学教育学部 日本産水生半翅類の研究動向 石川 忠:東京農業大学 アジア産サシガメ科の分類研究の現状と展望 長島聖大:伊丹市昆虫館 日本産ヒラタカメムシ科概説 ー現状と展望ー 山田量崇:徳島県立博物館 東アジア産ハナカメムシ科の分類学的研究 友国雅章:国立科学博物館 カメムシ類の分類学研究の世界的動向と展望 参加申込先:〒169-0073東京都新宿区百人町3-23-1 国立科学博物館 友国雅章 Fax 03-3364-7104 E-mail: tomokuni@kahaku.go.jp |
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