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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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ハナアブでしょうか? 投稿者:KURO 投稿日:2008/10/12(Sun) 23:25:00 No.4914  引用 
久々の投稿ですが、よろしくお願いします。
オオハナアブに混じって花から花へと飛んでいました。
体長1cm以上の大型で腹部は扁平でしたが、結局分かりません。
名前が特定できるようでしたらご教示下さい。
10/12 徳島県佐那河内村


Re: ハナアブでしょうか? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/10/13(Mon) 00:06:41 No.4915  引用 
おそらくヤドリバエ科Tachinidaeのヒラタヤドリバエ亜科Phasiinaeに属するシナヒラタヤドリバエEctophasia rotundiventris (Loew)でしょう.幼虫はカメムシ科やツノカメムシ科の多くの種に寄生するそうです.

Re: ハナアブでしょうか? 投稿者:KURO 投稿日:2008/10/13(Mon) 04:54:19 No.4916  引用 
アノニモミイア 様
早速の返信ありがとうございます。
趣味のカメラで昆虫など撮っていますが、
ハエやアブには全く疎いので、撮るたびに教えてもらっています。
どうもお世話になりました。

もう1種のヤリバエは・・・ 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/10/10(Fri) 22:12:19 No.4904  引用 
こんちは。

 先日のヤリバエLonchoptera sp.と同時に採ったもう1種のヤリバエです。

 髭剛毛が黒いこと以外は、ハコネヤリバエの特徴と一致していると思います。

 このような髭剛毛の黒いハコネヤリバエでよいかどう悩みました。
 ご教示いただけましたら ありがたく存じます。
 宜しくお願い致します。
 


Re: もう1種のヤリバエは・・・ 投稿者:三枝豊平 投稿日:2008/10/12(Sun) 09:05:40 No.4912  引用 
バグリッチさん.お尋ねのヤリバエは間違いなくL. hakonensisハコネヤリバエの雄です.新訂原色昆虫大図鑑第3巻では検索表や記載の中で鬚剛毛vibrissaが黄色であると記述してありますが,本種の場合にvibrissaが列島南方の個体群では時折個体変異が現われ,淡褐色から暗褐色になる個体が現われます.検索表などの中でvibrissaの色彩の記述は除外した方がよいと思います.

正しい同定のためハコネヤリバエの雄の腹部端半部側面の概形を示した図(古く作図した未発表のものです)を添付します.本属では日本列島内でも種によっては交尾器の諸突起に生じる刺毛の位置などはわずかの地理的変異がみられます.この図は兵庫県扇の仙の個体に基づくものです.本種は特に挿入器が著しく先端に向かって肥大するのが特徴です(先端部はかなり膜質になりますので,その形状は一定しません).また,尾角突起が短く,あまり変形や特殊な刺毛を生じていません.腹部腹板にも変形や特殊の剛毛を生じていません.同定の参考にしてください.


Re: もう1種のヤリバエは・・・ 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/10/12(Sun) 17:42:21 No.4913  引用 
三枝豊平様

 わかりやすく、詳細に解説いただき ありがとうございます。
 変異の範囲かも?と思いながらも、検索のキーとなっていた為に、慎重になって悩んでおりました。
 未発表の図は、手元のサンプルとよく一致します。

 今後とも 宜しくお願い申し上げます。                   

ミバエの1種 投稿者: 投稿日:2008/10/11(Sat) 09:34:10 No.4907  引用 
あまり鮮明に撮影できませんでしたが、翅に特徴的な模様があるので、もしも画像から名前が判るようでしたらご教示いただけないでしょうか。
よろしくお願いいたします。

撮影場所:東京都八王子市 雑木林の林縁
日時:2008年10月5日午前8時半頃


Re: ミバエの1種 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/10/11(Sat) 10:37:32 No.4908 ホームページ  引用 
tosaka様.

恐らく,クロホソスジハマダラミバエではないかと思います.

日本産のミバエ科は170種以上記録されているのですが,30種程度しか実物を見ていないので,近縁種との違いがいまいち自身がありません.

別板のミバエの話題にあったように,一部の種類を除くと採り難い種類ばかりのグループなので,なかなか実物を見る機会がありません.

Re: ミバエの1種 投稿者: 投稿日:2008/10/11(Sat) 11:12:19 No.4909  引用 
茨城_市毛様
早速ご教示いただきありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

画像をwebで検索してみたところ、カメムシBBSに投稿されていた画像に対してハエ男さんが「クロホソスジミバエ Hendelina fossata (Fabricius) のようですね。」
とコメントをつけていたものが見つかりました。

Re: ミバエの1種 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/10/11(Sat) 15:36:23 No.4911 ホームページ  引用 
tosaka様.

和名のシノニム(synonym:同物異名)ですね.
クロホソスジミバエがやや古い和名で,最近はクロホソスジハマダラミバエと改称されています.どちらも,おなじ Hendelina fossata (Fabricius, 1805) のことです.

これは何という名前でしょうか 投稿者:むいむい 投稿日:2008/10/10(Fri) 22:54:16 No.4905  引用 
こんばんわ、初めて書き込ませていただきます。
9月27日に奈良県の生駒山(川の近く)で撮影したハエ?なのですが、名前がわからないのです。
胸が黄色で腹が黒っぽかったです。
写真初心者で全体が撮影できていなくて申し訳ないのですが、
よろしくお願いします。


Re: これは何という名前でしょう... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/10/11(Sat) 00:39:39 No.4906 ホームページ  引用 
むいむい様.

恐らく,クロバエ科のミドリバエと思われます.

Re: これは何という名前でしょう... 投稿者:むいむい 投稿日:2008/10/11(Sat) 11:26:55 No.4910  引用 
茨城_市毛様

ありがとうございます。
黄色かと思ったら緑色だったのですね。
他の写真を見てみたら確かに緑っぽかったです。
またわからないことがあったらよろしくお願いします。

無題 投稿者:こてっちゃん 投稿日:2008/10/07(Tue) 19:30:46 No.4899  引用 
達磨先生、お久し振りですこんにちは!Anonymomyia先生が「くもの巣に掛かったセミに集まるシリアゲの画像」をご覧になり、会員外でも投稿できるかどうか分かりませんが、良かったら長翅目談話会の会誌に投稿をとおっしゃってますが、撮影された方(なかじーさん)が、投稿するのは構わないけど郵送できないという事です。メールアドをお知らせ下さいとのことでした。乳母心、お節介やきのこてっちゃんでした。

一般のひとも、双翅目をはじめ、長い翅目系の昆虫など雑昆といわれた目立たない昆虫に目を向け始めたようです。ハネカが沢山見つかると良いですね!

Re: 無題 投稿者:達磨 投稿日:2008/10/08(Wed) 10:22:13 No.4902  引用 
私は人を覚えるのが大変苦手でして、失礼ですが、どなたでしたでしょうか。
こちらは私の掲示板ではありませんので、ほかの方にご迷惑にならないよう、個人的な連絡はメールなどで直接お願いいたします。

Re: 無題 投稿者:こてっちゃん 投稿日:2008/10/09(Thu) 00:58:41 No.4903  引用 
達磨先生の一ファンです。以後きをつけます。すいませんんでした。管理人様にも、有難うございました。

このヤリバエは? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/10/05(Sun) 23:41:22 No.4884  引用 
こんちは。

 9月27日に埼玉の山地でヤリバエ数種を採りました。
 ウスグロヤリバエ、グンバイヤリバエ、処理中の1種、そして この種です。
 もしかしたら、ヤチヤリバエかも・・・と思いますが、『後眼縁剛毛の最上部の剛毛は黒』というキーで異なってしまうようです。しかし『その黒い剛毛はホントに一番上の後眼縁剛毛か』と聞かれると、ちょっと自信が無いです。

 ゲニの様子から、お解りになればご教示お願い致します。


Re: このヤリバエは? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/10/05(Sun) 23:43:22 No.4885  引用 
同種の拡大写真です。

Re: このヤリバエは? 投稿者:三枝豊平 投稿日:2008/10/06(Mon) 10:13:34 No.4889  引用 
このヤリバエは新訂原色昆虫大図鑑第3巻の2402番のウスグロヤリバエの項の末尾に記述した本種の近似種です.両種はしばしば同所的で,場所や季節によって両種の個体数の比はかわります.

なお,2403のクモスケヤリバエの記述のかなりの部分は編集・校正段階のミスでグンバイヤリバエの記述とダブっていますので注意してください.申し訳ないことです.早めに正しい記述をこの欄に投稿します(以前に夏までに投稿するとか言いましたが,まだできていません,無責任な言い方ですが来年の夏くらいに考えておいてください).分布も九州が入りますし,また冷温帯から暖温帯まで生息します.雄の後脛節がやや肥大し,強めの毛を密生することが和名の由来でしょう.種の検索表のところでは本種に正しい記述がしてありますので,検索表だけに限れば問題がありません.

Re: このヤリバエは? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/10/06(Mon) 22:08:35 No.4897  引用 
三枝豊平様

 早速のご教示に 心より御礼申し上げます。
 ウスグロヤリバエの項の末尾の種は気にはなっていましたが、そう簡単には見つからないと思っていました。

 クモスケヤリバエの期日の件は過去ログにて確認しておりました。ご注意いただき感謝申し上げます。

 採集地点付近では夏にクモスケも採れていますので、合わせて5種のヤリバエの分布が確認されました。似ていますがいろいろいることがわかり、楽しいです。

 今後とも 宜しくお願い申し上げます。
 

Re: このヤリバエは? 投稿者:三枝豊平 投稿日:2008/10/07(Tue) 02:46:48 No.4898  引用 
ヤリバエ科の日本産の種はいずれも幼生期がわかっていません.調べたいところです.

ハコネヤリバエは山腹に主に生息しますので,これは地上の腐葉土中に生息することは疑いないと思います.

一方,少なくともクモスケヤリバエとウスグロヤリバエは渓流の石上や水でじゅくじゅくした林道の路面などで良く採集されますので,おそらく淡水性かと思っています.

高層湿原のような場所ではヤチヤリバエの生息地ですので,このような場所を狙うと本種が採集可能です.かなり遅くまで発生します.

ツマグロヤリバエも山腹に生息し,山地性(本州ではほとんど亜高山性)で,埼玉ではおそらく奥秩父山系で発見される可能性があるのではないかと思います.

ヤリバエ類の雄の前付節は種特異的に変形していますが,この部分は交尾の際にメスの翅の前縁を掴むのに使っているのをウスグロヤリバエで観察したことがあります.本種は産卵と1齢幼虫まで得たことがありますが,以後の飼育に失敗しました.

Re: このヤリバエは? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/10/07(Tue) 21:52:10 No.4900  引用 
三枝豊平様

 幼生期に関する興味深い情報をありがとうございます。

 私の持っているヤリバエに関する知見は極めて少ないのですが、ウスグロヤリバエは近所の平地(関東平野の真ん中)の雑木林で採集することが出来ます。
 ここは、川からは遠く、また水湿地からも数百メートル離れた場所で、アズマネザサの中を通る小道です。
 このわずかな知見に限ってみますと、幼生期が腐葉土中の可能性もある、という考えも捨てきれないかも知れないと感じてしまいます。

 残念ながら、近年、大幅に伐採され、あまり採れなくなりましたがまだ辛うじて生息はしているようです。

 幼虫の確認はかなり難しそうなテーマですが、意識して観察したいと思います。

 引き続きご教示のほど 宜しくお願い致します。

ツリアブ2種の翅 投稿者:田中川 投稿日:2008/10/06(Mon) 02:49:07 No.4886  引用 
クロバネツリアブとマエグロツリアブ、この2種の右翅を同じサイズに加工して比較図を試作してみました。マエグロツリアブの翅にはクロバネツリアブと誤同定されやすい雌のものを使いました。この図で見るように、2種の翅脈は明瞭に異なると思っています。
脈や室の名称については私には良く分かりませんので教えていただきたいと思います。
第1肘室の位置と名称は正しいですか。
M1室とM2室の位置は正しいですか。
M1室の末端の位置は正しいですか。
M2脈の位置は正しいですか。
径室はそれぞれ第○径室ですか。

「みんなで作る双翅目図鑑 画像一括閲覧ページ」のツリアブ科に載っているクロバネツリアブの画像のうち、ひとつはマエグロツリアブ♀と思います。マエグロツリアブの翅脈と一致します。クロバネツリアブの腹部第3節には白色の鱗毛帯がありますが、第2節には白色ないしは黄色の鱗毛は生えていないはずです。マエグロツリアブは「腹部第2節後半の側方と第3節は黄色鱗毛で被われる」と北隆館の古い図鑑に記されています。


Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:三枝豊平 投稿日:2008/10/06(Mon) 09:53:34 No.4887  引用 
田中川さん.
双翅目の翅脈相は多くはMNDのMcAlpineの解釈に従っていますが,これは多くの根拠から明らかに部分的に間違いでして,彼の

CuA1脈はM4脈
CuA2脈はCuA脈
CuP脈はCu偽脈(Cu pseudovein)
A1脈はCuP脈
A2脈はA1脈
cua1室はm4室
cup室はcua室
a1室はcup室
a2室はa1室
にそれぞれ対応します.

正しい解釈に基づくツリアブの脈相と,この基本になるガガンボダマシの脈相の新訂原色昆虫大図鑑第3巻に載せた図の原図(サイズは縮小)を添付しておきます.ご質問ですが,

第1肘室の位置と名称は正しいですか.
 この室は正しくはm4室です.
M1室とM2室の位置は正しいですか.正しいです.
M1室の末室の位置はただしいですか.正しいです.
M2脈の位置は正しいですか. 正しいです.
径室はそれぞれ第○径室ですか.図を参照下さい.


Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:三枝豊平 投稿日:2008/10/06(Mon) 09:54:47 No.4888  引用 
ガガンボダマシの翅脈相です.

Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:三枝豊平 投稿日:2008/10/06(Mon) 10:39:53 No.4890  引用 
ガガンボダマシの翅脈相は貼り付けてある画像をクリックして,それでも文字がかすれていたら,現われた画像をもう一度クリックして大きくしてください.そうすれば判読できるでしょう.

またツリアブの翅脈相の図でpsedoveinと誤記したのは正しくはpseudoveinです.訂正しておきます.

Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:田中川 投稿日:2008/10/06(Mon) 11:34:42 No.4891  引用 
三枝豊平様、ありがとうございます。
いろんな疑問が氷解しました。
ツリアブ2種の翅脈に対応する翅脈相の図がなかなか見つからなくて、難儀しておりました。
ツリアブの図で、r4が2室あります、またM3脈とm3室が見当たりませんが、何か理由があるのでしょうか。

Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:三枝豊平 投稿日:2008/10/06(Mon) 12:58:06 No.4892  引用 
「r4が2室あります、またM3脈とm3室が見当たりませんが、何か理由があるのでしょうか。」ということですが,

R2+3とR4の間,R4とR5の間にそれぞれ1本の二次的な横脈がはいったために,r2+3室とr4+5室がそれぞれ基部と端部に2分されたと言うことです.なお,翅室の名称はその前の翅脈の名称を使うことになっていますので,翅室の間に2次的な横脈が入っても,二分された室の名称は変わりません(もちろん,基部とか端部とか,basal section, apical section; proximal section, distal sectin等と分けることは可能です).

M3脈とM4脈の同定は大変難しい問題です.下に示したオドリバエ科の場合のように,これらの脈のどちらかが退化しつつある状態の種があると,同定がやりやすいのですが,中間的なものは概して見付かりません.それで,これらの脈の本来的な位置を考えて適宜,いずれかに推定しているわけです.R2+3脈の場合のように,M3+4脈とするのが最も無難な措置のはずですが,そのように行なうことが少ないようです.

オドリバエ科のLeptopeza属では中室からのM脈が2本です.本来はオドリバエ科では3本ですが,本属では中室の前端に短いM1脈の痕跡が現われるので,2本の脈は前からM2,M3と同定できます.同様にHybos属では中室からでる2本の翅脈の間に,中室横脈から短い脈が痕跡的に現われる個体があります.このことを一つの根拠として,前の脈はM1,後の脈はM3と解釈しています.すなわち中室の前から出るM脈がLeptopezaとHybosでは異なる翅脈ということになります.両属で中室前端の形も少し違っていて,これも上記M脈解釈の根拠になります.なお,オドリバエ科ではM4が消えたと言う解釈で,この科の原始的状態での3本のM脈を前からM1, M2, M3と解釈しています.

Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:田中川 投稿日:2008/10/06(Mon) 14:06:59 No.4893  引用 
三枝豊平様、懇切な説明をいただき、ありがとうございます。
良く理解できました。

Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/10/06(Mon) 18:32:36 No.4895 ホームページ  引用 
田中川様,三枝様.

わかりやすい解説ありがとうございます.

確かに,ハンマーさんが撮影したツリアブはマエグロツリアブのようですね.
大阪湾からは30km近く離れているようなので,移動個体かも知れません.
マエグロツリアブは,大阪近郊でも稀に採れているようです.

双翅目関連は参考書が少ないので,下記の書籍を参考にするのが良いと思われます.図書の収蔵先は「NACSIS Webcat」や「NDL-OPAC」で調べられます.

・Manual of Nearctic Diptera 1981-1989

・Contributions to a Manual of Palaearctic Diptera. 1997-2000

双方とも,双翅目全体についての形態の解説や,各科の解説が収録されています.

Re: ツリアブ2種の翅 投稿者:田中川 投稿日:2008/10/06(Mon) 21:43:59 No.4896  引用 
茨城_市毛様、マエグロツリアブの情報、ありがとうございます。また、参考図書も紹介いただき、ありがとうございます。

フトハチモドキバエのオス? 投稿者:平群庵 投稿日:2008/09/21(Sun) 14:41:13 No.4861  引用 
いつもお世話になります。
フトハチモドキバエのオスかと思うのですが絵合わせの写真がなく、腹が細いので「フト」を疑ってしまいます。
何者でしょうか? 
体長:15mm 2008年7月 奈良県平群町 建物の壁


Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/09/24(Wed) 18:10:15 No.4864  引用 
平群庵様.

フトハチモドキバエ Eupyrgota fuscaに比べ,翅の暗色部が少ないようです.

別の角度の写真はありませんか?

Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:平群庵 投稿日:2008/09/24(Wed) 19:05:35 No.4866  引用 
別の角度写真です

Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/09/24(Wed) 21:05:46 No.4867  引用 
平群庵様.

今回の質問に答えるのに,色々と文献を調べてみました.

やはり極東の昆虫の検索でしか日本産のデガシラバエ科を調べることは出来ないようです.

デガシラバエ科を書いた,Korneyev&NarchukはHering等のタイプ標本も調べているので,かなり精度は高いと思います.

残念ながら,E. fuscaやE. flavopilosaのタイプは調べていないのですが,旧北区やエチオピア区等のデガシラバエ科は彼が一番詳しいようです.

さて,写真のほうは,
やはり,翅の先端1/4ほどが暗色で,腿節の大半が黄褐色なので,Eupyrgota luteola (Coquillett, 1898) オオハチモドキバエと思われます.

フトハチモドキバエEupyrgota fusca Hendel, 1914は,腿節全体が黒褐色で,翅も広く暗色とされています.

なお,体毛が赤褐色な場合はEupyrgota flavopilosa (Hendel, 1914)となりますが,この種は原記載以来記録が無いようです.

では,また.

Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:平群庵 投稿日:2008/09/24(Wed) 23:44:07 No.4868  引用 
市毛様  
文献を調査していただき恐縮です。
ネット上ではオオハチモドキバエは希少ということになっていて情報が不足しています。私のように趣味で生き物の写真を撮っている者には名前が調べやすいありふれた虫でよいと思っているのですが、時折変なやつに遭遇してしまいます。
ありがとうございました。

Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/09/25(Thu) 21:33:54 No.4869  引用 
平群庵様.

確かに,レッドデータなどに出てきますね.

各県でレッドデータに双翅目をリストアップしていますが,まともに同定出来る資料が無い種類が多いので困ります.

トキの放鳥のニュースがさかんに流れていますが,双翅目のような地味な研究にも国費を投入してほしいものです.

ロシアなどもソ連崩壊後は研究費が少なくなり,100人に1台しかコピー機が無いとの話も聞いていますが,それでも極東の昆虫の検索には100科以上の双翅目がまとめられています.
内容的にレベルが低い科もあるようですが,とりあえず検索出来るだけでも羨ましいです.

Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:pieris 投稿日:2008/10/05(Sun) 08:33:05 No.4881  引用 
皆様こんにちは
このスレッドを拝見し、以前フトハチモドキバエとしていた画像をオオハチモドキバエに訂正いたしました。ありがとうございました。画像データは長崎県大村市黒木渓谷 2004.07.12 です。


Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/10/05(Sun) 16:43:35 No.4882 ホームページ  引用 
pieris様.

確かに,Korneyev & NarchukがオオハチモドキバエEupyrgota luteolaとしている種類のようですね.

参考までに,Korneyev & Narchukの図を貼っておきます.
図4.E. luteola, 図10-11.フトハチモドキバエE. fusca;
図4,11. 翅, 図10.♀中腿節.


Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:pieris 投稿日:2008/10/05(Sun) 19:26:24 No.4883  引用 
市毛様
大変ありがとうございます。ハエ目は気付くたびに撮影しているのですが、むやみに画像が増えるだけの体たらくです。ここなどでやり取りしていらっしゃる内容を見せていただいて、自力で可能と判断できたものだけを自分の保存画像とほそぼそと照合しています。
勉強をすればそれに越したことはないのですが、ハエ目は膨大すぎてなかなかとっかかれません。
またのお力添えを、厚かましくもお願いいたします。

Re: フトハチモドキバエのオス? 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/10/06(Mon) 18:29:12 No.4894 ホームページ  引用 
pieris様.

私も,10年ほど前にハエ類を集め始めた際には,手当たりしだいに標本にしてみましたが,種名が判明したのは極一部です.
未解明の標本が溜まっています;^_^)

文献も千数百件程集めてみましたが,断片的な情報が大半なので種名まで到達できるものは少ないようです.
もっとも,ハナアブ科の文献は2000件以上集めていますから,さらに色々な文献を読むことによって解明できる場合もあると思います・・・・

双翅目談話会 第12回 同定会・勉... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/10/02(Thu) 18:43:19 No.4879 ホームページ  引用 
双翅目談話会では,第12回 同定会・勉強会を千葉県立中央博物館で下記のような予定で行います.

日時:2008年11月23日(日)午前10時より
   午前10時 同定会
     12時 昼食・休憩
   なるべく弁当を御持参下さい.
(館内にレストランがあります.)
  午後 1時 勉強会
   講演(未定)
   ミニ講演(未定)
  午後 3時〜5時 一人一話

<忘年会を午後6時頃から予定しています(会場未定)>
◆場所:千葉県立中央博物館
www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/

会員以外も参加可能です.

アタマアブ科では 投稿者:田中川 投稿日:2008/09/30(Tue) 00:03:33 No.4874  引用 
2008.9.25 三重県津市の海岸部。イネ科の草むらにて撮影。
体長はせいぜい3ミリくらい。アタマアブ科ではと思いますが、種名までには辿り着けないのでしょうか。
交尾中の一個体が頭部を取り外すようなことをして、また元通りに収めていましたが、これは何なのでしょうか。


Re: アタマアブ科では 投稿者:田中川 投稿日:2008/09/30(Tue) 00:06:01 No.4875  引用 
元通りになりました。

Re: アタマアブ科では 投稿者:田中川 投稿日:2008/09/30(Tue) 00:14:39 No.4876  引用 
翅脈は「みんなで作る双翅目図鑑 画像一括閲覧ページ」で見られるアタマアブ科のものと似ています。

Re: アタマアブ科では 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2008/09/30(Tue) 12:04:37 No.4877 ホームページ  引用 
田中川様.

確かにアタマアブ科の1種です.
頭部の形状や翅の縁紋からPipunculini族と思われます.

Pipunculini族は,記載されているだけでも70種近く日本に分布しているようです.腹部斑紋などの明瞭な特徴を欠くので,顕微鏡で精査しないと同定出来ません.
また,数年前に手元の標本を調べた際に,同定出来ない種類が結構あったので,もっと種類が多いのかもしれません.
(日本産アタマアブ科は,1990年時点で107種)

1枚目の写真は,メスが頭部をクリーニングしていると思われます.頭部と胸部との筋肉が細いので,こすった際に伸びてしまうようですが,非常に面白い写真ですね.

Re: アタマアブ科では 投稿者:田中川 投稿日:2008/09/30(Tue) 23:33:52 No.4878  引用 
茨城_市毛様、ありがとうございます。
これらの写真では属までの絞込みが出来ないのですね。こんな小さな彼らに類似の仲間がたくさん居るのですね。できるだけ種の特徴がわかるような写真を撮りたいと思います。

メスが頭部をクリーニングしていたのですね。当初はオスに襲われているのかと思いましたが、頭が元通りに収まっていたので不思議でした。標本を試みましたが、頭が取れてしまい、諦めました。細くて、もろい筋肉で繋がっているんだなと実感しました。

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