![]() 写真の種類は、Rhamphomyia属の1種です。恐らくCalorhamphomyia亜属ではないかと思います。 体長約10mm。7月末に茨城県の標高1000mのブナ帯で採集しました。 極東の昆虫の検索Empididaeで調べると、Rh.(C.) nipponensis Freyに辿り着きましたが如何でしょうか?
先ほど、「馬場博士採集の新潟県のオドリバエ科」を思い出し調べてみました。
この文献の検索で調べると、 ・前脚基付節の下面には10本程度の剛毛が混じる。 ・後腿節のav剛毛(anteroventral)は長く、全体に亘って粗生する。(剛毛は途中からほぼ腹面中央側に列がずれてくる。) ・オス交尾器(aedeagus)はほぼP.194図3のように第1湾曲が強く角張っている。 このような特徴を持っているので、写真の種はRh.(C.) flavobasalis Freyとなるのでしょうか?
検索されたとおり,写真の種はRhamphomyia (Calorhamphomyia) flavobasalis Frey,1951のオスです.本種は東北各県と群馬,新潟の標本を検しています.しかし,茨城県のものは初めてみました.主に産地ブナ帯で6月を中心として成虫が出現する普通種です.R. nipponensisは大阪,京都など近畿地方北部に分布する種で,今回のものとは別の種です.
Calorhamphomyia亜属は未記載種を含めて日本列島に役45種生息し,主に本州のブナ帯を主要生息地としていますが,少数の種は瀬戸内の低地(R, itoi)や中部山岳の高地(R. pretiosa)に進出する種もあります.北海道は3種,九州は10種未満です.極東からは日本列島のみ(北海道から九州本島と対馬)で,ずっと飛んで北米頭部のアパラチア山脈からその北縁のカナダにまた役40種が生息しているもので,典型的な東亜・北米東部型の分布を示す昆虫群です. ![]() 連続で申し訳ないのですが、この写真のRhamphomyia属の1種はRhamphomyia(Orientomyia) spirifera Freyで良いのでしょうか? Ito&Saigusa(1967)A revision of the Japanese species of the Subgenus Orientomyia Saigusaの交尾器の図とはほぼ合致します。 よろしく御願い致します。 ![]() 採集地は茨城県北部の標高約600mのブナ林で、6月下旬の採集です。 同地では、現在森林総研九州に在籍する末吉氏が報告書をまとめております。 ・末吉昌宏他(2003)皆伐後の温帯落葉樹林の二次遷移に伴う双翅目昆虫群集の変化 http://ss.ffpri.affrc.go.jp/labs/kanko/388-4.pdf#search=%22%E6%9C%AB%E5%90%89%20%E5%8C%97%E8%8C%A8%E5%9F%8E%22
あなたが同定されたようにRhamphomyia (Orientomyia) spirifera Freyの雄です.本種は本州中部から九州までの低山地ないし山地に生息していて,個体数はあまり多くはありません.その結果,群飛や捕食性の観察もほとんど行われていません.
Orientomyia亜属は日本列島から台湾,中国中部にかけて分布しており,Calorhamphomyia亜属に比べるとどちらかといえば暖温帯性のRhamphomyiaです.北米やヨーロッパには分布していません.日本には既知種のほかに,6種の未記載種が生息しています.交尾したペアはHilara属の大部分の種やRhamphomyia属Megacyttarus亜属のように,交尾中ずっと空中を飛翔する性質があります.低い位置で飛翔中のペアが発見された場合は近くの上空で群飛が観察されます.
かなり精緻な写真です.これらの写真を撮影されたカメラの機種,撮影方法(光源,使用レンズ,接写方法など)について教えてください.
アノニモミイア様、毎回詳しい説明ありがとうございます。
ますますオドリバエが面白くなってきました。 オドリバエの写真は、ズーム付きデジカメ(Panasonic DMC-FZ7)に実体顕微鏡の対物レンズ(Leica 1.0X Planapo)とリングライト照明を取り付けたカメラで撮影しております。 デジカメをマニュアルフォーカスに設定しておき、顕微鏡スタンドを上下させて微妙にピントの違う10-15枚の写真を撮影します。 撮影した写真をHeliconFocusで自動的に合成処理をしています。http://heliconfilter.com/pages/index.php?id=509 今後ともよろしく御願い致します。 |
ハンマー様。
スズキベッコウハナアブかニトベベッコウハナアブと思われますが、翅の紋が見えないので判別が困難です。 胸背後側部〜小楯板後縁の剛毛が淡色に見えるので、恐らくスズキベッコウハナアブと思われます。
市毛さま。
どうもありがとうございました。 検索してみると大変面白い生態のアブのようですね。 |
********双翅目談話会からの連絡事項************
「はなあぶ」No.22の原稿締切りは8月末日となっております。お早めに原稿を編集係までお送り願います。 送付先アドレスは、「はなあぶ」各号の投稿規程に書かれております。 なお、メールで送付する場合は、別にCD-ROMかフロッピーにいれたものと、打ち出した原稿を編集係まで郵送してください。 |
調子が悪い悪いと思いながらもだまし、なだめ、すかしながらも使ってたワシのPCですが、ついに起動しなくなりました。
とりあえず再インストールしてみましたが・・・ いまのところ動いてくれてます・・・が・・・各種詳細なデータやバックアップの復旧はもう少しかかりそうです。(別にホームページのほうはサーバーにデータがあるので問題ないですけどね・・) とはいえここ数ヶ月のアドレスやデータはだめそうです・・頭痛い遺体・・ やっぱ、部屋が暑すぎるのだろうか・・
ハエ男様、御愁傷様ですm(__)m
たぶんHDDの寿命ですかね。 私もリムーバルケースに入れっぱなしで常用していたHDDは異常に寿命が短かったですね。冷却不足だったと思われます。 ところで、本体ケースのファンは大丈夫でしょうか? こちらもHDD程高回転ではありませんが、ベアリングが痛んだり、ホコリ等で回転数が落ちている場合があります。 会社で使用しているパソコンの中には、10年以上毎日使用されているものもありますが、やはりHDDや冷却ファンが壊れます。 いずれにしても、現在使用しているHDDのS.M.A.R.T.値を確認しておいたほうが良いと思われます。リアルタイム監視でなければフリーソフトで簡単に見られます。 |
昆虫のけい節部分にある「距棘」という読み名が解りません。
どなたか教えて下さい。
野比太様。
素直に、「きょきょく」という読みではないのでしょうか? 私はあまり考えない性格なので、距棘(きょきょく)・距刺(きょし)と読んでいます。
「きょ・きょく」です。
|
みなさま、はじめまして。
愛媛で虫をやっている千尋と申します。今回は、みなさまにお聞きしたいことがあるので、投稿させていただきます。 私は、今年の6月初めに石鎚のふもとにある面河渓に採集に行ったのですが、その時の採集品のなかに、ジョウザンナガハナアブと思われる種が含まれていました。 自分で調べた限りでは、本種の分布は北海道と本州になっており、四国は含まれていません。 もし、いままで四国から記録がないのなら、然るべきところに報告しようと思います。 ただ、図鑑で分布に四国が含まれない種でも、実は四国から見つかっているということが、ままあるようなので、本種ももしかするとすでに四国から見つかっているかも知れません。 また、もし本種が四国に分布しないようでも、近似の別種が分布しているのでは? とも考え調べてみたのですが、結局よく分かりませんでした。 これらのことについて教えてください。よろしくお願いいたします。
双翅目談話会会誌「はなあぶ」の記事タイトルの検索は当サイト内のみんなで作る双翅目Web図鑑http://furumusi.aez.jp/diptera_web.htmの「検索」でキーワードを入れる事である程度できます。
しかし、これまでのところジョウザンナガハナアブが関連しそうな記事は見当たりませんでした。 双翅目の図鑑はこれまではごくごく少数の研究者によって書かれていますのでどうしても分布記録についての記述は不十分なものにならざるを得ません。あくまでも目安程度に考えると良いと思います。 また初記録かどうかは判断できなくても、記録が少ないことは確実だと思われるので発表されることをお勧めします。 現在、当サイト内においてハナアブの記録をまとめようとしてハナアブネットというコーナーを作りつつあります。http://furumusi.aez.jp/fly/hanaabu-net/hanaabu_net.htm この中で、近畿、関東、中部の一部の記録はすでに公開されてますが、四国はまだ手を付けていません。ぜひ四国の県のハナアブ記録情報がありましたらお知らせください。
ハナアブネットで近畿などの記録を作っているArgeと申します。
近畿が終わったら四国も作る予定で情報を集めていたのですが、まだ全部集まっていません。 四国のハナアブ科の記録としては2つぐらいしか大きなものはなさそうです。 一つは愛媛県から出ている「小田深山の自然」という本で2分冊になっていてたぶん2のほうに載っています。大阪市立自然史博物館にはあるので私は一部見たことがあるのですが、ハナアブのところはまだちゃんと見ていません。今月中に博物館に行く予定があるので確認してみます。 もう一つは古い記録で、素木博士と枝重博士による面河と石鎚の調査の記録です。これも実物は見たことがないのですが、九州大学の昆虫学論文データベースで検索ができます。以下のURLで、「昆虫学文献データベースの検索」から、簡易検索でジョウザンナガハナアブで検索すると、記録が出てきます。 http://konchudb.agr.agr.kyushu-u.ac.jp/konchur/index-j.html SHIRAKI, T., EDASHIGE, T, 1953. The insect fauna of Mt. Ishizuchi and Omogo Valley, Iyo, Japan. Trans. Shikoku Ent. Soc., 3(5-6): 84-125. ここからは詳細なデータ等はわかりません。 また、この記録がなぜその後の図鑑等に反映されていないかも不明です。 それに、ハエ男さんも書いておられるように、記録例も少ないようですし、古い記録ですので、新たに記録を発表したほうがいいかもしれません。
みなさま、ありがとうございます。
記録はないか、あってもごく少数で古いものであるということで了解しました。 やはり、どこかへ記録を出したほうがよいようですね。 >一つは愛媛県から出ている「小田深山の自然」 実は、私は某LOVE大の学生で昆虫学研究室の関係者です。 先輩が小田深山の調査に絡んでいるようなので、たぶん文献もあると思いますので、こんど見てみます。
大阪の自然史博物館で、ハチの研究会の行事に参加したついでに、各地のハナアブの分布試料も集めてきました。
「小田深山の自然」ですが、やはりジョウザンナガハナアブも記録されていました。 大原賢二・山本栄治, 2000. 小田深山およびその周辺のハナアブ類. 小田深山の自然II: 907-931. 1994年と97年に計3個体が採集されています。写真もありますし大原氏の同定ですので間違いはないと思われます。 とはいえ、やはり記録例の少ない種のようですので、発表したほうがいいと思われます。 |
- Joyful Note -
- Antispam Version -