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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/02(Mon) 10:11:30 No.5037 ホームページ  引用 
 昨年11月10日に東京都世田谷区西部で撮ったケバエです。雄はかなりの頭数がおり、群飛と言うほどではありませんが、数頭が空中で待機しているところも見られました。しかし、同種の雌と思われる個体は1頭見ただけです。
 No.4201にアノニモミイア氏の「前脚の脛節の先端に刺があるようにみえますので,この形質があるとすれば,ケバエ科のBibio属ということになります」とのお話がありますので、これもBibioと思われます。しかし、北隆館の圖鑑には該当するものがありませんでした。九大の目録に拠ると本州に産するもので16〜17種、TKMには12種しか記録がありませんし、秋に発生する種は少ない様なので、何とか種まで落ちないものでしょうか。
 雄雌あるので、写真の枚数が多くなってしまいました。


Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/02(Mon) 10:12:39 No.5038 ホームページ  引用 
 雌を斜め前方から

Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/02(Mon) 10:14:07 No.5039 ホームページ  引用 
 雄の背面

Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/02(Mon) 10:15:46 No.5040 ホームページ  引用 
 雄の頭部胸部側面

Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/02(Mon) 10:18:29 No.5041 ホームページ  引用 
 ワカバグモに掴まっている個体。翅脈と尾端が見えます。
 他に腹部背面の写真もありますが、枚数が多くなるので遠慮しておきます。


Re: Bibio属の1種 投稿者: 投稿日:2009/02/02(Mon) 13:53:43 No.5042 ホームページ  引用 
お久しぶりです。皆様。
このケバエは仰るとおりBibio属。
前脛節内側の棘が小さく、後脚の第1付小節が膨らむこと、平均棍が黄色く、体を覆う毛が白っぽいことから
Bibio flavihalterだと思います。

Re: Bibio属の1種 投稿者: 投稿日:2009/02/02(Mon) 14:10:24 No.5043 ホームページ  引用 
秋に出現するケバエでよく似たのにBibio gracilipalpusというのがいますが、こちらは写真のとおり、雄は真っ黒といった感じです。
これまで、特に一生懸命収集していたわけではないので、時期尚早という感もありますが、今編集している栃木県立博物館の研究紀要に栃木県産ケバエの収蔵標本をまとめた報告を出します。今のところ、栃木県から14種が見つかっています。この報告をまとめる作業をつうじて、明らかに取りこぼしているものがあるので、実際には20種前後がいるんだろうなという印象を持ちました。


Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/02(Mon) 15:27:47 No.5044 ホームページ  引用 
 達磨様:
 
 初めまして。
 早速の御回答有難う御座います。B.flavihalter(ウスイロアシブトケバエ)は、北隆館の圖鑑に晩秋に発生する唯一のケバエとして載って居ります。多くの特徴は図鑑の記載と一致したのですが、「胸部は・・・♀では全体赤褐色」とあるのに対し、写真のケバエでは中胸盾板に明確な2条黒条があるので違うと判断してしまいました。どうも双翅目の中には、中胸背の模様に変化が多い種がかなりある様で、素人としては判断を誤るときがあります。
 有難う御座いました。

Re: Bibio属の1種 投稿者:三枝豊平 投稿日:2009/02/04(Wed) 00:44:18 No.5052  引用 
本種は達磨大師の仰せのとおり,Bibio flavihalter Hardy & Takahashiです.

本種のtype locality(模式標本の採集地)は九州の九重山です.中部九州の標本でも,雌の胸部は全面的に橙黄色ないし暗赤褐色のものから,あなたの写真に見られる暗条の位置が暗化し始めるものまで個体変異があります.原記載では全面的に橙黄色の個体に基づいた記述があり,北隆館の原色昆虫大図鑑の旧版及び新訂版でも笹川先生によって原記載の記述どおりの説明がされています.なお,あなたは「北隆館の圖鑑に晩秋に発生する唯一のケバエとして載って居ります。」とありますが,前記2図鑑にはこの記述は見当たりません.どの図鑑にこの記述があるのでしょうか.因みに,晩秋に出現するBibio属はHardy & Takahashi (1960)でも本種を含めて3種が記録されており,さらにもう1種B. montanusは秋というより晩夏から初秋にかけて中部山岳地帯の高所で発生します.これら4種の他に秋に出現するBibioは日本で少数の未記載種があります.

Re: Bibio属の1種 投稿者:Arge 投稿日:2009/02/04(Wed) 09:56:07 No.5053  引用 
アーチャーン様

ケバエの文献についてですが、Pacific Insectsは以前も紹介しましたがWeb上で公開されています。

Hardy, D. E. & Takahashi, M., 1960. Revision of the Japanese Bibionidae (Diptera, Namatocera). Pacific Insects, 2(4): 383-449.

http://hbs.bishopmuseum.org/pi/pi2-4.htm

ここでPDFを見ることができます。
ファイルは10MB以上と非常に重たいのでご注意下さい。
全部英文ですが、ゲニタリアや脚などの図も入っているので、参考にはなると思います。

Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/04(Wed) 12:41:10 No.5054 ホームページ  引用 
三枝先生:

 専門家ならではの模式標本や個体変異についての情報有難う御座います。No.5053のArge氏に紹介して頂いた論文を早速見てみましたが、やはり「雌の胸部は全面的に赤褐色」と書かれていました[追記:これが原記載論文であることに後で気が付きました]。

 「晩秋に出現する唯一のケバエ」と書きましたのは、北隆館の新訂原色昆虫大図鑑第3巻に載っているケバエ科昆虫の解説で、出現期に晩秋(11月前後)を含んでいる種がNo.1744のウスイロアシブトケバエ B. flavihalter(10〜11月に成虫出現)のみであったことに拠ります。図鑑には「晩秋」とは書かれておりませんが、少し「意訳」に過ぎたでしょうか。

 有難う御座いました。今後とも宜敷御願い申し上げます。

Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/04(Wed) 13:19:11 No.5055 ホームページ  引用 
Arge様:

 文献の紹介有難う御座います。早速Download致しました。
 こちらのケバエ科の目録を見ると、その多くがこの論文(Hardy & Takahashi,1960)により記載された種であることに些か驚かされました。ケバエ類はそれまで殆ど研究されていなかったと言うことです。

 しかし、九大やこちらの目録ではケバエ科は26種ですが、この論文(1960)では5属36種(P. motschulskiiを除くと35種)、また「赤坂御用地と常盤松御用邸のケバエ科昆虫」(2005)ではその後の笹川氏の新種を含めて5属36種、となっています。その後の研究でシノニムとされた種があるのでしょうか。

Re: Bibio属の1種 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/02/04(Wed) 15:00:56 No.5056  引用 
アーチャーン様.

これは,ケバエ科の範囲の問題です.

Hardyでは,ケバエ科Bibionidaeに次の3つの科を含めて考えています.
ケバエ科Bibionidae + トゲナシケバエ科 Pleciidae + ヒゲナガフルカ科 Hesperinidae

分けるべきか,ケバエ科の中で3亜科として扱うかは,著者の考えかた次第で変わったりするので,よく判りません.

Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/04(Wed) 16:08:43 No.5057 ホームページ  引用 
茨城_市毛様:

 これは不注意でした。こちらや九大の目録では2属しか入っていないことに気が付きませんでした。それだけケバエには知り合いが居ないと言うことを証明している様なものです。

 実は、今までケバエと言う虫は弱々しくだらしがない感じがして、余り興味が持てなかったのですが、今回雌を見て中々精悍な所もあると見直しました。笹川氏の論文も手に入りましたから、今後はこれらの文献でケバエ科は何とかなりそうです。

 御指摘有難う御座いました。

Re: Bibio属の1種 投稿者: 投稿日:2009/02/05(Thu) 09:56:12 No.5060 ホームページ  引用 
flavihalter雌の胸の色を調べたりともたもたしている間に三枝先生はじめ色々な方に関連の書き込みをいただき助かりました。栃木県立博物館収蔵のflavihalter雌は6個体。これらの個体はどれも一様に赤褐色をしておりました。やはり標本は沢山集めなくてはいけませんね。
秋に出現するケバエできれいなのが手元にありましたので、コメントが遅れたお詫びに写真を貼付。
北海道のBibio pomonae iwasugensis Ouchi, 1940です。


Re: Bibio属の1種 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/06(Fri) 10:52:23 No.5066 ホームページ  引用 
達磨様:

 わざわざ標本を探す労を取られたとの由、恐縮です。有難う御座いました。
 全個体一様に赤褐色だったそうですが、この写真の様な中胸背に2黒条ある個体は少ないのでしょうか(此処に投稿する前にWeb上で同じく中胸背に2黒条あるケバエの写真を見付けたのですが、その後どう探しても見つかりません)。

 このケバエについては、昨日私のもう一つのWeblogに掲載致しました(先ず雌のみを)(http://wolffia.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/bibio-flavihalt.html)。これも、皆様の御協力の賜です。有難う御座いました。

 なお、此処で正体が判明した虫をWeblog等に載せる際は、此方に逐次報告するのが御世話になった者としての義務かと思いますが、人によっては自己宣伝に過ぎると感じられる方も居られるかも知れません。皆様(特に管理人様)は如何お考えでしょうか?
 最近は、このことが少し気になって余り報告していないのですが・・・。

Re: ブログへの内容引用について 投稿者:ハエ男 投稿日:2009/02/06(Fri) 13:38:29 No.5067  引用 
管理人のハエ男で@出稼ぎ中です。
双翅目関連のウェブ上の記事の精度については私をはじめ、ここに登場してくださる各方々の大きな懸案事項でありました。

間違った情報をだしてしまって、それが検索エンジンにヒットしてしまい、またその間違った情報が引用されて・・・といった悪循環も一部では起こっていたわけです。

ここで回答してくださる方々はわかっている部分とまだ研究が進んでいない部分、または混乱している部分等も考慮してきちんとして回答してくれていますので、サイトの信憑性を確保するためにも同定者(または同定協力者)の名前とそれの出先は明記していただくのが良いと思います。

ここでの回答は参考資料がしっかりした回答ですので、なにか同定精度についてトラブルがあった場合でも、その内容について再検討が可能となります。

その意味でもアーチャーンさんのサイトのように同定協力者を明記していただけると大変良いと思います。

Re: ブログへの内容引用について 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/02/09(Mon) 13:51:07 No.5068 ホームページ  引用 
管理人様、他皆様:

 管理人様以外からはお答えがありませんが、察するに、皆様やはり質問者がどの様な形で公表しているのか、気にされておられるのではないかと思います。一時、自己宣伝の様な気がして、公表先を書き込むことを控えていたのですが、今後は、公表後出来るだけ速やかに此方に明記することに致します。

 また、此方に載せる写真は出来るだけ枚数が少なくなる様にしています。しかし、Weblogに載せる際にはもっと沢山の写真を出しており、このサイトの閲覧者がその他の写真を見たい場合にも、公表サイトのurlが書かれている方が便利ではないかと思います。

 既に公表しているのにも拘わらず、まだそのことを此方に報告していない虫については、それぞれのスレッドに御礼と公表したサイトを書き込む積もりで居りましたが、最近投稿した虫のスレッドは現在消えたままになっておりますので、以下に纏めて御礼かたがた報告致します。なお、此方では複数のurlは書き込めない筈なので、urlの先頭にある半角小文字の「h」を全角の「H」に書き換えてあります。
 
 1.チビクチナガハリバエの1種 (Siphona paludosa) Http://plaza.rakuten.co.jp/Wolffia/diary/200901190000/ 三枝先生他皆様有難う御座いました。
 2.シマバエ科(Homoneura sp.?) Http://plaza.rakuten.co.jp/Wolffia/diary/200812110000/ アノニモミイア様、市毛様有難う御座いました。
 3.センダングサケブカミバエ Http://wolffia.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-4e0b.html ウミユスリカ様有難う御座いました。
 4.ヒゲブトキモグリバエ? Http://wolffia.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-9335.html アノニモミイア様、バグリッチ様有難う御座いました。
 5.キタモンヒゲブトキモグリバエ Http://wolffia.cocolog-nifty.com/blog/2008/12/post-9210.html バグリッチ様有難う御座いました。

ハエ男@出稼ぎ中の連絡先 投稿者:ハエ男 投稿日:2009/02/05(Thu) 12:30:35 No.5061  引用 
ただいま白馬のスキー場(ジャンプ台前)に出稼ぎに来てる管理人です。
当サイト関連の連絡事項&古田あての連絡事項はしばらくの間(3月いっぱいまで・・)出来れば@hotmail.comの方にいただけるとありがたいです。

もちろんアドレスのはじめはfurumusiです。
雪の中にへんなハエがいないか見てきたいと思います。

Re: 出稼ぎ中の連絡先 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/02/05(Thu) 20:58:36 No.5062  引用 
ハエ男様.

ハエと関連の無い変わったタイトルだったので,スパムと勘違いして削除しようと思ってしまいました(^_^;)

日焼けに注意して,稼いでください..

Re: 出稼ぎ中の連絡先 投稿者:アノニモミィア 投稿日:2009/02/05(Thu) 22:25:45 No.5063  引用 
ハエ男様

市毛さんと同様にタイトルからなにかいかがわしい画像でも出るのかと思ってしまいました.

Chioneaなどのほかに,可能性としてはMecopteraのBoreusが雪上にでる可能性がありまし.北海道では発見され,かつて塩尻峠でこれを見たという人もありますので,可能性はかなりあると思います.シリアゲとはいってもいたって小型のほぼ無翅(短翅)昆虫ですから,かなり注意が必要かと思います.生きたのをみたことがないのですが,ぴょんぴょん雪上を跳ねるとか.また,Thyreophorinaも腐肉を使ってでさがしてみてください.

Re: いつかきっと 投稿者:ハエ男 投稿日:2009/02/06(Fri) 02:59:29 No.5064  引用 
タイトルを修正しちゃいました。

いつか雪中のハエのいかがわしい交尾器の画像をだしたいとおもいます。

アブ科でしょうか? 投稿者:風林火山 投稿日:2009/02/03(Tue) 22:18:15 No.5049  引用 
お世話になります。
昨年7月5日に灯火採集でカーテンに飛来した種(愛知県産)です。体長は約15mm、全身黒色で長毛を密生し、脛節および第1ふ節が黄褐色を呈します。
特徴的な斑紋で、翅脈からアブ科かクサアブ科かと考え調べてみましたが、門外漢の私では無理でした。
これは某調査で得たもので、この調査には京都のO先生がDiptera担当で参加されています。近いうちにO先生にお渡しするつもりですが、後学のために質問させていただきました。
ご教示いただけましたら幸いです。


Re: アブ科でしょうか? 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/02/03(Tue) 23:10:49 No.5050  引用 
風林火山様.

恐らく,タマユラアブ科Pelchorhynchidaeのベッコウタマユラアブ Pseudoerinna fuscata Shiraki, 1932 と思われます.

Re: アブ科でしょうか? 投稿者:三枝豊平 投稿日:2009/02/04(Wed) 00:25:13 No.5051  引用 
市毛さんの通り,この写真の種はベッコウタマユラアブです.北隆館発行の新訂原色昆虫大図鑑第3巻(2008)の2273番を参照下さい.この科は私の改訂担当でしたが,写真は旧版のものをそのまま使ったので大変不鮮明ですが,ほぼ本種の特徴を識別することができるでしょう.旧和名はベッコウクサアブです.

本種は比較的稀な種です.できれば採集データを私宛にお知らせ下さい.京都大学では理学部または農学部関係の生物系の教官または院生で日本昆虫学会の会員であれば私への連絡先がわかると思います.

Re: アブ科でしょうか? 投稿者:風林火山 投稿日:2009/02/04(Wed) 21:47:16 No.5058  引用 
市毛様、三枝先生

御教示ありがとうございました。
北驫ルの図鑑は調べたのですが、完全に見落としていました。失礼しました。
稀な種のようで、検索しても情報があまりないようですが、京都府レッドデータブックに掲載されていました。
採集データについては後日お手紙にてお知らせしたいと存じます。

ハナアブの幼虫はどういう場所に... 投稿者:新屋 投稿日:2009/01/30(Fri) 19:33:04 No.5026  引用 
学校のビオトープに深さ約10cm、直径20〜30cmの池(容器に水を入れたもの)があります。中には少量の土や落ち葉があります
(何グラムとか厚さといったことは具体的にはわかりません)。これを池1とします。もう1つ、周囲約30cm×60cm、深さ約20cmの池(衣装ケースを使用)があります。
中には水草と多量のピートモスが入っています。これを池2とします。池1に現れたのはただカの幼虫だけです。冬に凍った池2を探ると
カ・ユスリカの幼虫とコミズムシ類が出ました。濁った水だったらハナアブや近い種の幼虫が現れるのではと思うのですが、
何か産卵場所に条件があるのでしょうか。成虫のハナアブ、シマハナアブ、オオハナアブは何度かビオトープの花に来ています。

Re: ハナアブの幼虫はどういう場... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/31(Sat) 15:45:29 No.5029  引用 
レスがないので門外漢ですが失礼します。

水深が深いと幼虫の生育環境に適さない可能性が考えられます。

オナガウジの尻尾のような部分は呼吸器官で、この長さは最も伸びたときで15cm(WikipediaでRat-tailed maggotの項)と記載があります。種によって最大長さは異なっていると思いますが、いずれにしろオナガウジが水底に潜んで長くこの呼吸器を伸ばして水面まで届くことが必要ではないかと推察されます。もちろん壁面に張り付き呼吸することも考えられますが安定していないと思います。

池2は水深20cmと記載されていますので、やや深すぎるのかもしれません。

私は、途上国で下水処理施設として使われている酸化安定池(Waste Stabilization Ponds)での蚊の発生防止法として、水深を深く保つことと日陰をつくらないことによって、池が蚊の発生源にならないという文献を読んだことがあります。ボウフラの生育環境で水深が重要な要素だとすると、オナガウジはその形態上、水深が一層問題ではないかと思いました。

なお「蚊」の幼虫(ボウフラ)の生育環境については非常に興味があるので、どなたか水深との関係について文献等の情報があれば教えていたがければ有難く思います。(別に質問すべきですが)

もう1つの影響因子として、池の表面積があるかもしれません。ハナアブではないのですが蚊の幼虫の生息環境(=成虫の好む産卵箇所)では、面積が小さい水溜りほど、蚊の幼虫の数が多いという研究結果も見つけました。
http://www.sove.org/Journal%20PDF/December%202003/Lester%20and%20Pike%2003-07.pdf

これは、蚊の幼虫の天敵との関係で、天敵の好まない環境に卵を生もうとする行動と関係しているようです。

なお新屋さんのご質問に触発されて、ネットでハナアブの幼虫の情報を探してみたら極めて面白い生物で、私も興味が出てきました。

Re: ハナアブの幼虫はどういう場... 投稿者:新屋 投稿日:2009/01/31(Sat) 19:44:36 No.5030  引用 
深すぎなのですか。浮かんでしのぐと思っていましたが這うのみなんですね。
カは面積が小さい方がいるんですね。確かに池2にはわずかにしかいませんでしたし、10cm×10cm、水深10cm未満の
箱にはいっぱい出ました。一般家庭に、そうした浅い濁った水たまりってあるのでしょうか…うちにはないです。

Re: ハナアブの幼虫はどういう場... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/31(Sat) 20:19:32 No.5031  引用 
新屋様.

詳しくは判りませんが,岸辺の有無も関係するかも知れません.
自宅の池は,深さ20-25cm程ですが,時折オナガウジがいます.(大概,浅い岸辺に近い場所にいますが,時折深い場所で浮くようにしていることもあります.)

親を観察していると,岸辺をうろうろしていますので,適度な場所で産卵しているのだと思われます.

野外での観察でも,シマハナアブやキョウコシマハナアブ,ナミハナアブは湿地の泥っぽいところで産卵しています.

あるいは,親が安定して止まれる場所が必要なのかもれません.
産卵の足場となるだけではなく,幼虫が蛹化するために池を脱出するためにも親が止まれるような爪が引っ掛かる斜面が必要です.

なお,カの場合は,直接水に産卵し,蛹から直接空中に飛び出る生活をするので,このような足場は不要なようです.

Re: ハナアブの幼虫はどういう場... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/31(Sat) 22:14:19 No.5032  引用 
なぜ少し大き目の池2にはハナアブの幼虫がいないのかを考えてみました。

池2には、ユスリカの幼虫等がいたと報告されています。これらの虫に食われた可能性も考えられます。

ユスリカの幼虫は手元にある"The Chironomidae; The biology and ecology of non-biting midges"を見ると、雑食性で、他の昆虫の幼虫を襲って食べることもあると書いてあります。

Re: ハナアブの幼虫はどういう場... 投稿者:新屋 投稿日:2009/02/01(Sun) 15:19:29 No.5034  引用 
池1には岸がないです。2は衣装ケースのふちまでは土に埋まっていないのでヤゴなどは上陸できないと思われます。オナガウジは
ナメクジのように腹ではりつけ…なさそうですね。成虫が産卵するのは近くの土でできるとして、幼虫が水に入ることは
できなさそうです。なるほどこれではいけませんね。

ユスリカの幼虫って獰猛なものなんですか!?一般的には有機物とかを食べる感じですが、モンユスリカ亜科は肉食だそうですね。
池2から羽に紋のある成虫は発生しています。また、ボウフラの頭も見つかっています…

調べてみると卵はゼリーに包まれているんですね。水深3〜4cm、水槽の側面(もちろん内側です)にサカマキガイの卵みたいなものが
ありましたがユスリカのものかもしれません。泥まゆに入った幼虫を見ていますが珍しいものではないそうです。

似た問題で悩む 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/02/03(Tue) 12:51:48 No.5046  引用 
新屋様

実は私も似た問題で悩んでいます。

私の場合は蚊です。

庭のテーブルの上に、3つ小さな容器を並べています。

はじめは空でした。そのうち雨が降り、庭の木からは落ち葉が供給され、ひとつの小さな世界が出来上がります。しばらく雨が降らないと干上がることもあります。こんな状態で1年半以上も放置し、どのような生物が発生するのか観察しています。

当然、ボウフラは湧くだろうと期待していたのですが、さっぱりボウフラの発生はありません。庭には蚊がいないわけではありません。むしろ夏などいやになるほど蚊が飛び回っています。しかし、私の観察している小さな容器には全くボウフラが出ないのです。

容器は、白いマグカップ、ジャムの入っていたガラス瓶、いらなくなったお茶碗です。

蜂などの死骸(おぼれたようだ)はありますが、肉眼で見える大きさの生きた生物はこの3つの容器に発生しません。

その理由をあれこれ考えてたのですが、今朝「蚊の不思議」という本を読んでいてp98に「産卵容器に対する嗜好性」という内容が記載されており、容器の色による蚊の産卵の差があるという話が出ていました。

蚊は古タイヤの小さな水たまりにはよく産卵しここが諸外国でマラリヤ蚊や黄熱病の蚊の発生源になったているという話をよく読みます。

確かに、私の庭の容器は白や明るい色ですので、この色の問題があったのかもしれないと、気が付きました。

今度は、黒っぽい色の容器で試してみようと思っています。

新屋さんの問題も産卵場所に対する成虫の嗜好の差が反映されているのかもしれず、色も一つのファクターかもしれません。

Re: 似た問題で悩む 投稿者:新屋 投稿日:2009/02/03(Tue) 19:37:20 No.5048  引用 
池1はビニールで白っぽいし、池2も透明な白ですが、水は黒っぽいです。タイヤの水たまりで増えるというのは
聞いたことがありますが、そんなところで栄養分が足りるとは… 風で飛んできた葉とか死がいとかが栄養源でしょうか。

カなどがどういう条件で産卵するかということは、あまり調べられていないのでしょうか。意外と近くにふしぎがあるものですね。

ユスリカ科? 投稿者:池ぽちゃ 投稿日:2009/02/02(Mon) 02:15:53 No.5035  引用 
こんばんは、どうもはじめまして。愛知県在住の高校生、池ぽちゃと申します。
写真は本日、父親と共にドライブに行き、川の近くを歩いた時に手に止まった個体で、綺麗なので種類を調べようと思ったのですが、私は専門的な文献も持ち合わせておらず分かりませんでした。
もしよろしければ、わかる範囲でお答えいただければ幸いです。斑紋などが特徴的なので、詳しい方がご覧になれば、もしかしたら分かるのでは?と思いました。
どうぞよろしくお願いします。


Re: ユスリカ科? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2009/02/02(Mon) 03:37:02 No.5036  引用 
お父さんとドライブするなんて,素敵なご家族ですね.

さて,写真は双翅目(ハエ目)キノコバエ科(Mycetophilidae)のトンボキノコバエ族(Exechiini)の1種です.この仲間は日本に100種以上も生息していて,ほとんど研究されていない上に,翅の脈,胸部の毛の生え方,雄の外部生殖器などを詳しく調べないと種類はわかりません.ですから写真でわかるのは,前記したようにトンボキノコバエの1種というところまでです.

キノコバエ科の多くは幼虫が茸や菌類を食べて生長します.オーストラリアなどでは洞窟の壁に住んでいて,粘液の糸を下げ,幼虫がホタルのように発光して,これに集まったこむしが粘液の糸に掛かると,これを食べるという変わった性質を持つ幼虫もあります.

高校生とのこと.将来趣味としてでもいいですから,これを機会に,日本のキノコバエに興味をもって,いろいろと調べてみませんか.あなたが,このキノコバエを綺麗だと思って写真を撮り,さらに名前を知ろうとされたように,この世界は未知の事柄にあふれていますよ.

Re: ユスリカ科? 投稿者:池ぽちゃ 投稿日:2009/02/02(Mon) 23:25:10 No.5045  引用 
アノニモミイアさん
早速のご回答感謝いたします!どうもありがとうございました!
やはり双翅目というグループは未知な部分が多いようですね。
ただ今回逆にいえば多くの発見があるということを教わりました。

実は私、以前から水棲昆虫が好きで、色々と採集する事を趣味としています。完全な趣味なのですが、現在は県内のトビケラを個人的に採集調査しているところです。もっとも、今は冬なので採集はできませんが(苦笑)
水生昆虫を採集していると、ガガンボをはじめ多くの双翅目を目にすることがありますが、双翅目は少し難解すぎると思い今までは意図的に避けていました。
今後はそちらにも目を向けて行こうかな、と思っています。

ご教授ありがとうございました。
また何か分からない種類が捕れたら、質問に来るかも知れません。

Re: ユスリカ科? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2009/02/03(Tue) 15:06:30 No.5047  引用 
水棲昆虫に興味があるとのこと.双翅目ではユスリカなどは最も種数の多い水棲昆虫ですが,他に大型のものではアミカ科があります.アミカ科の多くは成虫がユスリカより遥かに大形で,幼虫も採集しやすいし(これからが多くの種ではシーズン),成虫も渓流にかかる樹木の枝や,小滝脇の岩陰などに静止していて掬い網法(スイーピング法)で採集できます.幼虫も東海大学出版の日本産水生昆虫で検索できるし,成虫は北隆館が最近出版した新訂原色昆虫大図鑑第3巻に検索表もあります.あまり種数の多い科ではないので,水棲双翅目を調べるには手始めとして手ごろな科です.ご参考までに.

Walker(1852)がネットで見られる... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/28(Wed) 06:49:11 No.5019  引用 
原稿執筆中に,原記載を読みたくなってネットで調べていたら,なんとネットで読むことが出来ました.

Walker, F. 1852 Diptera. In Insecta Saundersiana: or characters of undescribed insects in thecollection of William Wilson Saunders, Esq., F. R. S., etc. London, 1:1-474

http://books.google.co.jp/books?id=V9ooAAAAYAAJ&dq=Walker+Insecta+Saundersiana+Diptera&printsec=frontcover&source=bl&ots=qGzaTlxrR0&sig=5VBCZNzIuBLUJ4u4aGOsOVx8b3k&hl=ja&sa=X&oi=book_result&resnum=3&ct=result

Googleがネットで本を見られるようにしていたのは知っていましたが,こんな専門的な本も見られるようになっていたとは驚きです.

良い時代になりました(~o~)

P.S. $200出して買おうと思っていたので助かりました;^_^)

Re: Walker(1852)がネットで見ら... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/02/01(Sun) 09:00:26 No.5033  引用 
茨城_市毛様

早速、当方もダウンロードしました。全文ダウンロードできるのは初めてでした。

Google Scholar
http://scholar.google.co.jp/schhp?hl=ja
も、学術文献を能率よく検索でき便利です。

ヨコジマオオハリバエの顔 投稿者:アーチャーン 投稿日:2008/08/25(Mon) 14:57:52 No.4806 ホームページ  引用 
ヨコジマオオハリバエの顔写真です。
ある種のヤドリバエ(と一部のハナバエ?)の顔は、このヨコジマオオハリバエのように、触角の下から前額−顴溝に沿って顔板が外れてしまった様になっているものがあります。一体、この部分はどうなっているのでしょうか。
妙な問い合わせですが、宜しく御教示下さい。


Re: ヨコジマオオハリバエの顔 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/23(Fri) 19:18:03 No.5004  引用 
アーチャーン様,超かめレスです;^_^)

丁度購入した本に,額嚢が膨らんだ状態の図がありました.

自分が考えていた以上に,顔が開くようです.

出典は,The European Families of the Dipteraです.


Re: ヨコジマオオハリバエの顔 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/01/28(Wed) 09:35:03 No.5020 ホームページ  引用 
茨城_市毛様:

 額嚢がこんなに長く伸びるとは知りませんでした。
 触角の下側が殆ど無構造に見えるのは、額嚢が伸びるときに折り畳まれ、額嚢が膨らみやすくする為なのでしょうか。

 The European Families of the Diptera、前縁脈の切目を殆ど指標にしていないとのこと。私には有用そうなので、注文しました。NHBSは高いので、Abebooks経由です。
 私は「何でも屋」なので、その前に、Borror and Delongs's Introduction to the Study of Insects と言うのをAmazon.co.jpで買いました(日本で売られている方がずっと安かったので)。Dipteraはまだ検索していませんが、チャタテムシの検索ではかなり役に立ちました。Dipteraに関しては、全体(検索表と科の説明)で約70ページあります。必要に応じて頭部胸部の構造や剛毛についての図版が沢山あって、初心者には使い安そうに見えます。

Re: ヨコジマオオハリバエの顔 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/28(Wed) 12:24:42 No.5021  引用 
アーチャーン様.

確かにNHBSは高いです.

私は,PEMBERLEY Natural History BOOKSを良く利用しています.送料もInternational Economy Airにして節約しています.http://www.pembooks.demon.co.uk/

価格体系が日本と異なっているのは理解しているつもりですが,同じイギリス国内でここまで違うと別の本ではないかと戸惑います.

Introduction to the Study of Insectsは懐かしい本です.現在は第7版になっているのですね.
かなり昔に,TTS昆虫図書で前波さんに薦められて買いました.確か,初めて買った海外の昆虫学書です.

Re: ヨコジマオオハリバエの顔 投稿者:アーチャーン 投稿日:2009/01/28(Wed) 15:55:50 No.5024 ホームページ  引用 
茨城_市毛様:

 確かにPEMBERLEY Natural History BOOKSは安いですね。ただ、残念ながら、私の必要としている東南アジア関係(特に植物)は少ない様です。

中国の現状と双翅目研究の目的 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/24(Sat) 17:47:10 No.5005  引用 
双翅目に興味を持ち、いくつかの本を読んだりネットで資料を探したりするうちに、自分の専門分野とは異なる状況に気がつき、その違いに大いなる興味を持ちました。

双翅目についてたとえば、「中国蠅類」のような分厚い本が出ています。これは中国で出版された本ですが、中国はこのような双翅目について(ひょとすると昆虫全般について)、日本よりも進んでいると理解していいのでしょうか?

中国がこのような分野について研究が進んでいるとすると、それはなぜなのでしょうか?農業や衛生面から実用的な意味があり研究が進んでいるのでしょうか?国が特別の目的で研究促進していると考えるべきなのでしょうか?


そもそも、双翅目の研究は、純粋に博物学的な興味以外では、どのような目的で行われているのでしょうか?

(農作物の害虫や衛生昆虫としては、研究目的がはっきりしています。またショウジョウバエは遺伝子の研究のための対象として取り上げられている。)

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/25(Sun) 08:27:49 No.5010  引用 
赤塚カケス様.

私の憶測としては,分類も科学研究ですから,国力誇示的な考えがあるのではないでしょうか.

中国の場合,文化大革命などで科学が停滞していましたので,追いつき追い越せ的なパワーもあると思います.

また,中国でのタイプ標本の貸出禁止や昆虫標本の国外持出禁止などの話を聞く限り,標本=国有財産となっているようです.

ロシア(ソ連)はかなり分類が進んでいるようで,下記のようなシリーズが多数出版されており,重要文献となっています.
・Fauna of Russia (Fauna of U.S.S.R)
・Keys to the insects of the European part of the USSR
・Keys to the Insects of the Russian Far East

旧ソ連が崩壊してからは,研究の環境(予算等)がかなり悪化したようですが,それでも黙々と色々な論文が出てきます.

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/25(Sun) 11:54:19 No.5012  引用 
茨城_市毛様

レスを頂き有難うございます。

「中国蠅類」まだ入手していないのですが、「書虫」に出ているこの本の写真を見ると凄い情報量のようで、中国の凄さというものを感じます。ただ紙質が悪い、とこぼされている書き込みを見つけたので、せっかくの本が紙質で損なわれているとすれば残念です(途上国は似たようなもので、たとえばタイで出版された本は表紙は立派なのですが、中の紙は藁半紙のような紙で出来たものがあり、途上国の出版事情にその国の方に同情してしまいます。タイ人はあまり本を読まないので出版が成り立ち難いようです)。

昔は、私の分野(土木工学)でも、ロシア語やドイツ語で多数の論文が出されていて、古い先生方の中には、数ヶ国語を読んでおられた方があるようですが、今はほとんど英語で用が足りるようになり、便利になりました。

昆虫の分野は、中国やロシアが進んでいるというのは、私には有る意味で驚きでした。日本もこのような分野(基礎科学)にももっとお金が入ってきて、専門家が育つ仕組みを考えないと国力という点からも心配です。ポスドク問題と併せて、基礎科学の充実が必要ですね。

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/25(Sun) 21:21:25 No.5014  引用 
赤塚カケス様.

「中国蠅類」については,本の厚さを抑えるためか,結構薄い紙が使用されています.紙質が悪いのか,めくった拍子に破けることが時折あります(^_^;)
白色度は悪くないのです.コピーするとバッチリ裏写りしますが・・・.

中国の本は何冊も持っていますが,こんなデリケートな紙は初めてです.

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2009/01/26(Mon) 00:22:45 No.5016  引用 
赤塚カケス様

私は昔、海洋生物学関係の研究室にいたことがあるのですが、そこの先生からいろいろこの辺りの事情を教えていただいたことがあります。

西側各国では分類学の研究対象は基本的には研究者個人の意思に基づいて自由に選ばれてきました。これに対して東西冷戦時代の東側では、国内の生物相は国の財産であるという理念に基づき、大学で研究者の卵の段階から各分類群の分類学の研究者を計画的に割り振って養成し、国家プロジェクトとして生物相の解明を推進してきたのだそうです。

ですから、昆虫に限らず、旧共産圏の生物相は解明度が非常に高いようなのです。

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/26(Mon) 20:42:28 No.5017  引用 
茨城_市毛様

>中国の本は何冊も持っていますが,こんなデリケートな紙は初めてです.

「中国蠅類」は欲しい図書の1つですが、ちょっと心配になってきました。でも結局は購入すると思います。

ウミユスリカ様

>ですから、昆虫に限らず、旧共産圏の生物相は解明度が非常に高いようなのです。

旧共産圏にはそんな秘密があったのですか。生物兵器への利用などもひょっとしたら念頭にあったのかも・・・・ということまで想像を逞しくしてしまいました。

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2009/01/27(Tue) 21:16:34 No.5018  引用 
もともとの発想は、共産圏というよりヨーロッパ文化に古くからあるものなのです。

インベントリーInventoryという語をお聞きになったことがありますでしょうか?これは貴族の領地なんかで、領主の狩猟の対象となる動物がどんな種類がどれだけいるのかを調査して、目録にしておく事を指していた語です。現在では商店なんかのたな卸しのことも指していますが、元祖インベントリーも欧米ではずっと行われ続けました。

それどころか、ヨーロッパの勢力が新大陸、アジア、アフリカへと拡大していくと、博物学者を派遣して、その地にどういう(潜在的)生物資源が存在するのかを徹底的に調査するようになります。欧米の植民地帝国を縁の下で支えていたのは、このインベントリー活動でした。当時、日本にもこういう目的でシーボルトが派遣されてきましたよね。

ですから、(日本を除く)西側諸国でも自国の生物相のインベントリーは着実に進められてはいたのですが、共産圏ほどには国家プロジェクトとして計画的には行われなかったと言ったほうがよいのかもしれません。ロシアにしても西ヨーロッパに比べると近代化の遅れた後進国でしたので、その遅れを取り戻そうというあせりは大きかったですから、ソ連時代にはそれを工業化と同じ発想で、計画的に推進したんでしょう。

ハエ目の図 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/24(Sat) 21:15:27 No.5006  引用 
1.「ハエー人と蠅の関係を追うー」篠永哲著 八坂書房
2.「新版 日本の有害節足動物」 東海大学出版会
 を見るとすばらしく細密に描かれたハエの絵が収録されています(1番はカバー裏)。(左の写真は1番の本からデジカメで)

長時間でも見飽きない美しい絵です。

生物系の教育では、顕微鏡を見て正確にスケッチするトレーニングを受けるということを聞いたこともあり、この分野の方は概してスケッチは上手だと思います。ただ、上記の本に掲載されているスケッチは、抜群の上手さです。

ボタニカルアートという植物を描く分野がありますが、同様にこのような昆虫を描く特別な手法やテキストなどは存在してるのでしょうか?自分でも挑戦したくなって来ました。図鑑もこのような絵で出来たものがあれば手元においてじっくり眺めたいものです。鳥では外国の図鑑はイラストで描いてあるものが多く、そのような図鑑を集めたり見たりするのも楽しみの1つです。

もし昆虫の絵を描くヒントなどがあれば教えていただければ幸いです。


Re: ハエ目の図 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2009/01/25(Sun) 00:39:07 No.5008  引用 
衛生害虫のハエや蚊の全形の墨絵の多くは,かつて神奈川県にあった米軍の衛生関係の研究所と関係のある職業的画家によって描かれたものである,と言うことを聞いたことがあります.かなり信憑性がありますが,この画がそのようなものの一つであると確信があるわけではありません.また,日本の昆虫学者がそのような画家に依頼して描かしたものかもしれません.

今,日本でこのような画を描く昆虫学者はほとんどいないでしょう.昨年逝去された蝶類研究家(非職業的)である五十嵐 邁さんはアゲハチョウ類の幼虫や蛹の詳細な着色図を描いています.例えば彼の著書の講談社発行の「世界のアゲハチョウ」にでている画の多くは彼が描いたものです(後年は専門の画家に依頼したので,これらの画のすべてを彼が描いたわけではありません).世界文化社発行の彼の絶筆,「アゲハ蝶の白地図」にも彼が晩年に描いたテングアゲハの蛹の図があります.この図はしかしやや衰えが見とれます.また,手代木求さんの「日本産蝶類幼虫.蛹図鑑」にも彼が描いた素晴らしい着色図があります.

現今の大学の昆虫学関係の研究室では,特に全形図の写生を指導するようなことはほとんどないでしょう.ただし,交尾器などの解剖部分の線画は必要ですから,教えたり,また学生が自主的に習熟して描くようになっています.このような形態図の描き方を解説した著書はありません.もうずいぶん前(60年近く前でしょう)に雑誌「新昆虫」の創刊頃の号(1,2巻頃だったでしょう)で,昆虫写真家の確か染井さんだったでしょうか,線画の書き方の解説をしたのがあったと記憶しています.昆虫の外骨格の骨化部(クチクラが厚く硬い部分)を白く抜いて,膜質部(クチクラが薄く柔軟に伸縮できる部分)を点を打って表現する形態図の描き方は,米国の昆虫形態学者Snodgrass(Principles of Insect Morphologyの著者)の手法に基本的には倣ったもので,この変形(凹凸の状況を輪郭より細い補助破線を用いて表現する画法,など)は九州大学で昭和35年頃に2名の研究生(白水先生とともにシジミチョウ科Zephyrus類の著名な研究者で故人)と院生(今は退職者)によってほぼ確立され,これが今多くの昆虫学者に踏襲されています.一方,しばしば見られるような凹凸や濃淡を点の密度で著す画法とはべつに,前述の形態図よりも多くの細線を用いて表現する写生画法は,大英博物館(自然史)(British Museum (Natural History),今のThe Natural History Museum)の昆虫画家Terziやその後継者Arthur Smithによって確立され,後者がAquatic Insects of Californiaで示している水生半翅類の多くの全形図はその最たるものです.この画法に従って描かれたものが,今は絶版になっている北隆館の日本昆虫分類図説第1集第3部半翅目・アメンボ科の全形図です.この図は前述の「院生」によって描かれたものです.手に入りにくい本ですが,もし,このような画に興味がおありでしたら図書館などで参照ください.

形態の画像については,一部では依然としてプレパラート標本を写真撮影しているのもあります.特に,日本鱗翅学会の「蝶と蛾」に掲載される論文の多くは最近特に写真になっています.ただ写真撮影をする場合は,Helicon Focusなどの焦点合成ソフトなどを使わない限り,対象が1平面的でないとピントのずれが起るので,結局立体構造を持っている交尾器などを平圧してスライド作成をすることになり,それによって本来的な形状がゆがめられる欠点があります.しかしまた逆に写真ですから,それによって示される客観的状態も表現される利点があります.

ご参考になるかどうかわかりませんが,あなたの質問へのお答えとします.

Re: ハエ目の図 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/25(Sun) 07:59:12 No.5009  引用 
赤塚カケス様.

昆虫の描画については,下記のブログで紹介したことがあります.
http://dipterist.cocolog-nifty.com/syrphidae/2007/10/scientific_illu.html

このほかにも,"Scientific Illustration"等のキーワードで探すと,色々なHPがあります.

日本の場合,研究者が図まで全て書くのが一般的ですが,欧米では文章は研究者が書き,図は専門の画家が書くことも多いようです.大概,論文の謝辞に誰が描いたか記されていますし,図にサインが入っていることも良くあります.

先の図版については,アノニモミイア様が記されているように,伝説のアメリカ陸軍の406号研究室(Dep. Ent. 406th Medical Laboratory, U. S. Army)で描かれたものと思われます.Fauna Japonicaの謝辞にイラストレーターの名前が載っています.
一説では,1枚1週間とか1ヶ月掛かったとの話や,ものすごい高給取りだったとかの話もあります;^_^)

P.S. 確かに,本文と図を分担したほうが研究としては効率的ですが,見ると描くとでは形態に対しての観察の深さが異なるようです.
私のような素人の場合,見ているだけではわからなかったことが,描いて初めて気が付くことが多々あります.

Re: ハエ目の図 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/25(Sun) 11:35:07 No.5011  引用 
アノニモミイア様
茨城_市毛様

とても詳しいレスをいただき有難うございます。
昆虫のイラストだけでもずいぶんと奥が深いのだなと、コメントを読んで感じました。

市毛様にご紹介いただいた
http://www.entomology.umn.edu/museum/links/5051.html
にアクセスすると、イラストの描き方のパワーポイントのテキスト(説明)が出てきてとても参考になります。

またその中で、テキストとして
The Guild Handbook of Scientific Illustration
が紹介してあり、この本をアマゾンで立ち読みしたら、非常に面白そうな本でした。

双翅目に興味をもったら、色々な新しい世界が増えてきて楽しいです。(仕事でも少し役に立ちそうで、講演の機会などで少しハエの話題を使おうと思っています)

Collecting and Preserving Inse... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/25(Sun) 21:45:46 No.5015  引用 
茨城_市毛様に教えていただいたイラストのサイトからパワーポイントの資料をダウンロードして、そこに掲載されている情報から、昆虫等の採集と整理のテキストにたどり着きました。

PDFで70ページ近いもので、一冊の本(英文)が無料でダウンロードできますので報告しておきます。

米国の農務省のサイトで
http://www.ars.usda.gov/Main/site_main.htm?docid=10141&page=1

Introductionのところから全文PDF版がダウンロード可能です。
本の名前は
Collecting and Preserving Insects and Mites: Tools and Techniques
です。

このサイトを頻繁にごらんになっている方はご存知の内容だとは思いますが、昆虫初心者の私には非常に参考になりそうなテキストです。

以上ご報告しておきます。

The European Families of the D... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/23(Fri) 09:01:15 No.5002  引用 
円高を機会に,The European Families of the Dipteraを購入してみました.

旧北区の双翅目マニュアル(CMPD)が出てから殆ど経っていないのに,なぜこのような本が出版されたのか興味がありました.

予想ではCMPDのダイジェスト版と考えていましたが,巻頭に意外な一言が書かれていました.

「Identification of Diptera is often considered to be difficult. Experience shows
that in particular the smaller species can present the student with various problems.
This is partially due to the question whether the vein which forms the front margin of the wing (the costa) shows one or two breaks. or none at all. This character is used in many identification keys because of its reliability to distinguish between (groups of) families. It is nevertheless also sometimes a rather difficult character. Therefore. the key included here has been designed to employ this character as little as possible.」

従って,この本の検索では,殆どこの特徴を使っていないようです.

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100] [101] [102] [103] [104] [105] [106] [107] [108] [109] [110] [111] [112] [113] [114] [115] [116] [117] [118] [119] [120] [121] [122] [123] [124] [125] [126] [127] [128] [129] [130] [131] [132] [133] [134] [135] [136] [137] [138] [139] [140] [141] [142] [143] [144] [145] [146] [147] [148] [149] [150] [151] [152] [153] [154] [155] [156] [157] [158] [159] [160] [161] [162] [163] [164] [165] [166] [167] [168] [169] [170] [171] [172] [173] [174] [175] [176] [177] [178] [179] [180] [181] [182] [183] [184] [185] [186] [187] [188] [189] [190] [191] [192] [193] [194] [195] [196] [197] [198] [199] [200] [201] [202] [203] [204] [205] [206] [207] [208] [209] [210] [211] [212] [213] [214] [215] [216] [217] [218] [219] [220] [221] [222] [223]

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