バグリッチさんの同定の通りオドリバエ科のHemerodromia属の1種ですが,この時期に東京で活動しているというのは非常に意外でして,興味ある記録です.属としては正式に記録されていませんが,私の整理した標本についてみると日本には12種以上が棲息しています.多くは中胸の背板は一様に黒褐色かあるいは一様に黄色です.写真のように暗条を表す種はごく少数です.そのようなわけで,ちょっと珍しい種ですから,宜しかったら詳細な撮影場所を教えていただければ幸いです.
この属の種は幼虫が流れの淡水性で,小型の水生昆虫の幼虫などを捕食しています.成虫は流れの岸のイネ科などの草本の上に多く,やはり小型の双翅類などを前脚で捕獲して食べます.ですから,岸の草を掬うことで採集できます.体が細く,色が黄白色のものが多く,しかも捕虫網の中であまり活発に動かないので,良く眼を凝らさないと見逃します. 再び同じ場所に行かれるのでしたら是非上記の方法で採集してみてください. なお,この属より一般に大型で,翅に中室があるChelifera属もほぼ同じ生態ですが,個体数も種数もHemerodromiaより少ないです.また,これら2属と同じように前脚が鎌形の捕獲脚に変形したオドリバエに,Chelipoda属,Phyllodromia属があり,両属あわせて日本に10種足らず棲息しています.これらは,腹部がHemerodromiaのように,長くなく,触角刺毛がかなり長く,また翅にR4脈がありません.これらの属は,幼虫が水生ではないようで,流れの近くより,山道や山腹の草むらを低く掬うと採集できます.
アノニモミイア様
詳細な解説ありがとうございました。撮影した場所は、八王子市の長池公園という場所で、下記のURLにアクセスマップなども掲載されています。 http://www.pompoco.or.jp/nagaike/index.htm 公園の中の撮影した場所は下記にマークした場所です。 http://biodb.i.hosei.ac.jp/nagaike/FMPro?-DB=NagPhoto.fp5&-Lay=page&-Format=photopage.html&-Max=1&NagP=NagP03605&-Find 撮影した場所は水際から10mほど離れたシラカシの葉の裏側で、アノニモミイアさんの解説にあるように、動きは緩慢でストロボを20回近く焚いても、同じ葉に止まったままで飛び立つことはありませんでした。 というわけで、撮影した個体は今、止まっていたカシの葉ごとフィルムケースに収まり手元にあります。メールでご連絡いただければ、アノニモミイアさんに送付させていただきます。 |
前便はtosakaさんの「ハエでしょうか?」の返信のつもりでしたが,無題で投稿してしまいました.文面から「はえでしょうか?」への返信であることはご理解いただけたと思います.
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![]() 山形県小国町で6月に撮影した5mmほどの小さなハエです。 学研生物図鑑昆虫VにMetopia argyrocephalaギンガクシマバエとして収録されているものとよく似ています。 Web図鑑のニクバエ科リストを見ると、この種はギンガクヤドリニクバエとなっていて、同属同亜属Metopia (Metopia)には他にゼニゴギンガクとヒコサンギンガクという種も並んでいます。分布は、ギンガクが九州以南、ゼニゴとヒコサンは日本とされていますが、学研図鑑ではギンガクが全国となっています。 昔は全部ギンガク1種とされていたものが分けられたってことかと想像します。 で、このハエの名を知りたいのですが、資料がありません。 よろしくお願いいたします。
このグループ(ギンガクシマバエ・ギンガクヤドリニクバエ)類の交尾器の図ならCiNii(http://ci.nii.ac.jp/cinii/servlet/CiNiiTop#)でDLできますよ。
「Sarcophagidae」で検索して、190件めくらいだったかな? H.Kurahashi STUDIES ON THE CALYPTERATE MUSCOID FLIES FROM JAPAN VII. REVISION OF THE SUBFAMILY MILTOGRAMMINAE (Diptera, Sarcophagidae) これには交尾器の図も出てますので、標本の交尾器が出てればわかると思います。
ハエ男様
早速、DLしてみました。著者名と科名で検索すると28件でしたのですぐに判りました。 Metopia属の検索結果は、1=>2=>3=>M. argyrocephalaとなりました。Geniについては、CerciとParalobiがかろうじて見える標本なのですが、argyrocephalaは図示されておらず、頼りの第5腹板は腹部が縮んでいるために見えません ^^;) Squamaが薄黄色であること、額と頭頂の間に剛毛列を欠くこと、腹部第1,2背板後縁に直立剛毛があることの3点が生態写真でも分り、argyrocephalaギンガクヤドリニクバエと判断してで良いようです。 となると、九州以南とする分布情報は修正の余地がありそうですね。 画像は、よろしければWeb図鑑にお使いください。
pakenyaさん、ちょっと横から失礼しますm(_ _)m
argyrocephalaのゲニ図は、最後にごちゃっと載っている図の中にあります(Fig.14と16)。 >Squamaが薄黄色であること、額と頭頂の間に剛毛列を欠くこと、腹部第1,2背板後縁に直立剛毛があること 前の2点はその通りですが、最後の第1,2背板の直立剛毛はゼニゴ♂にもありまする(ないのはゼニゴ♀)。
猫又様、こんにちは。
言葉足らずで誤解を招いてしまったようです。すみません。 M. argyrocephalaのゲニについては、背板側のcerciなどが図示されていませんので、私の状態の悪い標本では確認ができなかったのです。ちゃんと、解剖しないといけないってことですね。修行します。 それから、顔がconspicuouslyに銀色のMetopiaは3種のオスだけで、これらは第1,2背板後縁の直立剛毛があれば、ヒコサンと区別でき、額上部の剛毛の有無とsquamaの色彩でゼニゴと区別できることを、自分なりに確認したものだったのです(有弁翅類は全くの素人なので、同定できたことがとてもうれしかったのです)。 また、色々教えてください。 よろしくお願いいたします m(_ _)m |
一応、当BBSはプログラムによる自動投稿は拒否するようになってるんですが・・・
最近はいよいよ網の目をかいくぐって、スパムが増えてきました。 近々対策はしようと思ってますんで、今しばらく我慢してくださいませ・・(対策を調べなきゃ〜) |
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