レスがないので、達磨さんが落胆していてはと一言。
Mecoptera型の祖先から進化した双翅類では、例えばバナナバエのように前脚で胸部背面を掃除する芸当もあるのですが、シリアゲモドキにはその能がないのでしょう。 前脚の基節基部の周囲の膜質部(とくに腹中線側)が広くないと、基節を垂直に上にあげることができないのでしょう。 他人事ではありませんが、私も手先を肩甲骨の間までは伸ばすことができないので、この辺りが痒いと難儀します。写真のシリアゲモドキに同情。 投稿には場所とともに年月日を。
確かに、レスポンスがないと寂しいものですね。
フィルムカメラの時代と違って写真と一緒に勝手に撮影日が記録されるので、私のようなものにはありがたい時代となりました。知り上げもどきの写真は今年の7月17日。エサキヒメコシボソガガンボは7月の26日でした。 アノニモ先生、今度のクリスマスに孫の手でも送りましょうか?わたしも、「もしや?」と思い、トライ。何と、いつの間にか両手が背中で届かなくなっていました。固くなったのか、背油がのりすぎているのか。焦り、焦り。 |
せっかくの写真ですが、この二枚は焦点深度が浅い(ピントが甘い)、照明の方向が不適当、のために科の見当が決定的には付けられません。クロバエ科ではM1脈が中ほどで強く前方に屈曲するのですが、それも写真では不明瞭です。
しかし、全体の感じではイエバエ科のシロマキバイエバエMyospila argentataに似ていますね。南西諸島と東京では皇居で採集されたと、篠永先生の「日本のイエバエ科」には記述、図示されています。参照してみたらいかがですか。 なお、写真についてですが、2枚目は胸部背面に光が当たっていないので、この部分の模様が分からない。それと、やはり翅の形質は双翅目では必須の場合が多いので、このような標本写真では撮影しにくいでしょうが、翅の全面にピントが合った画像が必要です。もう一度上記示唆に従って撮影してみたらどうでしょうか。
アノニモミイア様
貴重なご示唆をありがとうございました。 早速、『日本のイエバエ科』を注文致しました。 撮影も再挑戦してみます。 アドバイスに心より感謝申し上げます。 FS
翅の写真からクロバエ科ではなくてイエバエ科のことは間違いありません(M1脈が直線状、CuA+CuP脈(いわゆる臀脈A1脈)が翅の縁に達していないなど)。
私はイエバエ科について詳しくないので確信は持てませんが、篠永先生の本では、新しいい画像の胸部背面の色彩斑紋からもシロマキバイエバエの可能性が大きいと思います。 正しい同定をされるのなら、同書を参照しながら、記載と合わせる必要があるでしょう。
アノニモミイア様
返信ありがとうございました。 たいへん勉強になりました。 篠永先生の本でさらに同定を試みてみたいと思います。 ありがとうございました。 |
KT様.
キノコバエ科の仲間と思われます.
市毛様、ありがとうございます。キノコバエ科というのが分かって嬉しいです。
キノコバエ科のシワバネキノコバエ属Allactoneuraの1種です。このキノコバエについては、本掲示板で検索してみてください。
アノニモミイア様、ありがとうございます。やはりシワバネキノコバエの仲間でしたか。この間、採集して、この掲示板で
確認していただいたのですが。今回は明るい林縁でしたので違うかもしれないと思っておりました。またひとつ、私の記憶のページに一つ引き出しができました、ありがとうございます。 |
![]() さてまたアシナガバエで恐縮ですが、今年の10月中旬に神戸市で採集したアシナガバエです。とりあえずはなあぶ30号の田悟(2010)を見ていますと、その中でGen sp. 4とされている種と酷似していることに気づきました。 一体これはなんでしょう、とお伺いするばかりでは恐縮ですので、中国動物誌を参照してみたところ、Sympycninae亜科に属するHercostomoidesという属のものに非常に特徴が似ているのではないかという結論に至りました。なお、採集したこの個体はおそらく雌だと思いますが、中国動物誌では雌は未知とされています。 この属にはHercostomoides indonesianusという種くらいしかいなさそうなので、ほぼこの種ではないかと思いますが、いかがでしょうか。みなさんのご意見をお伺いしたいと思います。 その種の写真を公開しているサイトもありました。よろしくお願いします。 http://evolution.science.nus.edu.sg/Empidoidea/Hercostomoides_indonesianus.html
書き忘れておりましたが、体長約2mmです。よろしくお願いいたします。
Campsicn様.
確かに,中国動物誌だけを読むとHercostomoides属の可能性が高そうに見えます. しかし,これを如何にして確認するかが大変な作業となるのです. 中国動物誌に書かれているように,このHercostomoides属は近年Telmaturgus属から独立した属ですから,従来のTelmaturgus属との違いを調べなくてはなりません. なぜなら,World catalogによれば,全北区にはT. parvusが,旧北区にはT. tumidulusが,東洋区にはT.indonesianusと同時にIndonesia原産で記載された種類が3種ほど分布しているとなっていますので,混同している可能性を消去しなければなりません. まずは,Hercostomides属を新設したMeuffels et Grootaert(1997)の論文を読み,Telmaturgus属との区別点を調べる必要があります.(Stud. Dipt.は北大農学部にあります) Meuffels et Grootaertの区別点が♀にも適用出来る特徴であれば,Hercostomoides属である可能性がより高くなります. その他,極東ロシア周辺に近縁の属が分布していないかという点も確認する必要があります. 次に,中国動物誌の分布を読むと,Hercostomoides indonesianusは中国でもかなりインドネシア寄りの地域に分布しているようですので,♂を探して交尾器を確認して同種かどうかの判断が材料がそろいます. (交尾器を確認する際に,近縁属が♂交尾器で区別可能な種類であるか確認しておく必要があります.交尾器が図示されているからと言って,交尾器で確実に区別出来るとは限りませんし,個体変異及び地域変異の幅もある程度調べる必要があります. 以前,私はヨーロッパ産の近似種の交尾器と日本産の交尾器だけを調べて区別可能と判断してしまい,恥ずかしい思いをしました(^_^;) 旧北区に広く分布する種類の場合,ヨーロッパ,西部ロシア周辺,東部ロシア周辺,日本と4〜5地点ぐらいの交尾器を見ないと難しい種類の場合があるようです.両端の標本の交尾器では確実に別種と思えるほど形状の差が出ているのですが,中間地点の標本を何点か加えて見ていくと,連続的な変異との意見を否定出来なくなるのです) 結果的には,Hercostomoides indonesianusの近縁種という結論になりそうな気配ですが,日本から未記録の種類を確定するには,このような地道な作業が必要です.
茨城@市毛様
確かに、中国動物誌だけで判断するのは無理がありましたね。危うく勝手に早合点してしまうところでした。未記録種の正確な同定には、地道な確認作業が欠かせないこと、肝に銘じておきます。特に分布の広い種は同定が困難になるようですね…。 Meuffels et Grootaert(1997)は取り寄せて確認してみたいと思います。偶然とれた個体なので、追加で採集できるかはわかりませんが、もし♂も採れたら交尾器も確認してみようと思います。 ご親切にコメントして下さり、ありがとうございます。また何か分かりましたら報告させていただくかも知れませんが、よろしくお願いします。 ![]() まず一つ間違えていたことが。 雌雄で触角第3節の大きさなどが大分違うらしいということで気づいたのですが、この標本はメスではなくオスだったようです。尾端が脚で隠れてよく見えない上、交尾器自体もかなり小型のようです。 改めてMeuffels et Grootaertを見てみますと、Telmaturgusは ・オスの複眼が額部分で接する ・触角第1節に毛がない ・触角第2節は横長で、第3節に指状に突き出さない ・触角第3節は短く、端刺は基部付近から生じる ・胸部の地の色が金緑色 ・後腿節に前方亜先端剛毛がある などの点でHercostomoidesと異なるようです(あと2,3の相違点がありました)。これらの点についてはこの標本と一致しますので、やはりHercostomoidesで問題ないのではと思います。 ちなみにMeuffels et Grootaertでは、石垣島で採集されたこの属の標本がH. indonesianusと異なる特徴を持っており、別種なのではないかとの記述があります。もしかするとこの標本も、そっちの別種の方なのかも知れません。 ですので、やはり交尾器を詳細に観察したいのですが、下手に触ると脚などが取れそうですし、そもそもこのようなサイズのものを観察できる手立てがなく、どうしたものか思案中です(うちにある双眼実体顕微鏡では、この写真のサイズくらいまでしか見えません)。 正露丸を使って脚などの整形ができるとの書き込みがありましたが、このように時間が経った標本でも出来るのでしょうか…?
Campsicn様.
中形種までは,軟化が可能ですが,微小種は整形するのは危険です.特に,剛毛などの脱落が顕著に起きます. 交尾器の観察には,腹部ごと外して,水酸化カリウム溶液で煮るか乳酸で煮るのが良いと思います.(体長や標本の古さで時間が変わるので結構厄介です.煮過ぎると透明になってしまい観察が困難です) 微小種の交尾器の解剖は,非常にデリケートですので,熟練していないと困難です.(私も,3年間の介護生活の間にすっか り腕がなまってしまいました(^_^;) これだ微小種になると,実体顕微鏡ではなく,光学顕微鏡での高倍率での描画が必要になると思います.
茨城@市毛様様
やはり無理がありそうですね。交尾器を取り出して観察というのは経験がないため、いきなりこのような微小種で行うことはさすがに躊躇してしまいます。沢山の個体を確保できていれば挑戦してみたいとは思いますが…。 光学顕微鏡の入手も含め、まだまだやるべきことがいろいろありそうです。アドバイスありがとうございます。 |
- Joyful Note -
- Antispam Version -