![]() 最初に見つけた時は、この後ろにもう1個体くっついていたのですが、撮影しようとしたところ全員で飛んでしまい、最後尾のものは逃げてしまいました。合体した2個体はよたよたと重そうに飛んで、再び砂上に降り立ちましたので、そこを撮影したものです。 新潟市 2009年5月11日撮影 ![]() ハネボシの♀は、アリスタの形状以外は♂とそっくりな外見です。双翅目web図鑑のハネボシスナニクバエの解説にありますように、特に頭部の輪郭がよく似ています。 http://furumusi.aez.jp/wiki.cgi?Sarcophagidae018 ♀のアリスタは・・・先半分が白いという発言もありましたが、確認したところ先半分の色がやや薄くなってはいますが、白いとはいえません。何を見間違えたんですかねぇ・・・すみません(平謝)。 |
この画像はオドリバエ科のミナモオドリバエ属Hilaraの1種の雄です。Hilara pachyneura種群に属することは画像からほぼ間違いないのですが、正確な同定は雄交尾器を調査する必要があります。もし、余分の標本がありましたらお送りください。
ここで、H. pachyneura種群と仮に呼んでいる1群は、胸部背面に強い剛毛を欠き、腹部も短い軟毛で覆われているもので、一般に翅脈が太く、しばしばR4脈とR5脈が広い角度で離れていく傾向があります。日本列島にはこの種群が私が持っている標本でも10種ほどありまして、それでも依然としておりおり新しい種が見つかります。 ミナモオドリバエ属(ナガレオドリバエ属とも言います)は主に流水、時には止水の水面に脚をつけるほど接近して水上飛行機の水面滑走のように飛翔しながら、水面に浮かぶ、あるいは羽化した軟弱な昆虫をとらえて、これを多くは前脚の第1付節から分泌する繊細な糸状の物質で荒く包んで、群飛中に雌に渡して交尾を空中で続けます。少数の種では交尾中に静止する、求愛餌なしで交尾する、夕暮れから夜間に活動する、渓流のぬれた石や岩の表面で求愛餌を探す、などの行動が見られます。 群飛での採集は容易ですが、水面滑走中の雄はネットをぬらさないで採集するのは簡単ではありません。かなりの種が雌雄共に花を訪れて吸蜜し、活動エネルギー源にしているようです。
Hilaraとしては大変珍しい状況の写真ですね。この画像を見た一瞬、撮影のアングルもありますが、これがHilaraとは思いませんでした。本属が静止している状態は、葉の上か沢の縁の岩陰など(一部の種は花の上)で、今回のような湿った岩上の状態は見たことがありません。
おーやぎさんからお送りいただいた標本を雄交尾器を含めて精査したところ、当初推定したとおり、この種はHilara pachyneura Freyでした。
本種はR. Freyによって1955年に、フィンランド昆虫学会の機関誌Notulae Entomologicae 35:6-8にわたって、伊藤修四郎先生により長野県美ヶ原(Japan, Honsyu: Sinano, Utukusiguhura, 1,400m[原記載の原綴])で1953年5月19日に採集された多数の雌雄(Mehr.♂♀)に基づいて記載された種です。その後、日光、広島県芸北高原などの標本を検しています。 本種は中型ないしやや大型のHilaraで、体は黒色、胸背は灰黒色粉で密に覆われ、前方からみると黒い1対のdc条とその外側のやや太い条が現れ、胸背の刺毛は短く、毛状;雄の前脚は強い剛毛を欠き、前脚第1付小節は中程度に膨らむ;腹部は暗灰色粉で密におおわれ、淡色の短毛を生ずる;翅の翅脈は太く、黒色。このような形質の組合せを持っています。近似種からは雄下雄板突起の先端は大きく二叉し、それぞれがまた鋭い2突起に分かれているので、識別できます。種名のpachyneuraは言うまでもなく太い翅脈に基づいているのでしょう。 本種の配偶行動は私は観察したことがありません。 |
おーやぎ様。お元気で青森県北部の生物の観察・撮影をされているご様子ですね。
さて、この画像のオドリバエに似たものは、Planempis亜属とPolyblepharis亜属があります。メスの場合には両属はきわめて類似していて、なかなか画像では識別が難しい面があります。Planempis亜属は日本列島では著しく種数が多く、もし、Planempisであっても種までの同定はかなり難しいです。Polyblepharisですと本州の種数は数種ですから種の同定は可能です。 画像でみますと、翅の基半部が著しく黄色味が強いのですが、これは自然の色彩を的確に現しているのでしょうか。 脚の色彩や羽状剛毛の長さや生えている範囲などを、画像から判断して同定する必要がありますので、しばらくお待ちください。 |
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