![]() 先日「ユスリカの世界」を買ってみて、どうもユスリカの1種らしいと思い始めました。そこでChironomidaeで外国のサイトを見て回ると、Tanytarsus pallidicornisと言う(http://popgen.unimaas.nl/~jlindsey/commanster/Insects/Flies/SpFlies/Tanytarsus.pallidicornis.html)、添付の写真に全体も翅脈もかなりよく似たユスリカの画像が見つかりました。「ユスリカの世界」に拠ると、ヒゲユスリカ属Tanytarsusは成虫の体長3−5mmとあり、添付の写真の虫よりも大きめです。ヒゲユスリカ属の1種とするのは、単なる絵合わせなので非科学に過ぎますが、ヒゲユスリカ族の1種と考えても宜しいでしょうか。 この虫、冬期は稀でしたが、5月下旬には同種と思われるものが物凄い数いて、草むらを歩くとウンカの如く出て来ました。冬と違い非常に敏捷で、留まるとアッと言う間に葉裏に逃げ込んでしまいます。町内の2個所に多産していましたが、何れも直ぐ近くにかなり水量のある泉があります。 宜敷御教示下さい。
写真からの判定では、ヒゲユスリカ族の一種までしか判りません。5月頃にヒゲユスリカ属は水田脇の水路、溜め池等から非常に沢山出てきます。平地ではこの時期がこの族のピーク期です。残念ながらヒゲユスリカ族には外見では属までは識別するのは困難です。雄生殖器を見れば一瞬で属までは判るのですが。色彩も似たものが沢山います。黄白色のものが殆どです。
エリユスリカ様:
初めまして。早速の御回答有難う御座います。 「何蚊でしょう?」と言う問い合わせは余りにも無責任と思い、この蚊の所属をある程度まで解決することは、昨年の冬からの懸案でした。お陰様で漸くヒゲユスリカ族まで確実に落とす出来ました。 極めて普通でありながら、非常に小型である故にWeb上では写真が見つからないユスリカ類はかなり多いのではないかと思います。今までは敬遠しておりましたが、今後は少しユスリカ類も撮ろうと思っております。 有難う御座いました。今後とも宜敷御願い致します。 |
![]() 2009.3.10昼頃 三重県津市
海岸の磯に生息するTelmatogetonイソユスリカ属の1種でしょう.脈相が不明瞭にしか写っていないので,私には種の同定はできません.本属には場所によっては渓流性の種もあります.しかし,渓流に生息し,Telmatogetonに形態や行動がよく似ているのがDiamesaヤマユスリカ属です.早春から羽化しますので,渓流のぬれた岩の表面を走り回って雌を探している雄を観察できます.
Telmatogetonは海生のユスリカの1群で,成虫は飛翔かのうですが,われわれが観察するのはもっぱ磯を走り回っているすがたです.かたまりになっているというのは交尾したペアにほかの雄がまとわりついている状況ではないでしょうか. ほかに海生のユスリカはClunioウミユスリカ属がありますが,これはずっと小型で,雌は翅を欠き,雄はオドリバエ科のミナモオドリバエ属Hilaraの種のように水面を滑走するように飛翔して,雌を探します.凪いだ磯近くの海岸の海面を凝視して,白い微小な昆虫が水面を流れるように滑っている(実際は飛んでいる)のが観察できたら,それはおそらくClunioの雄です.ただし,Hilaraの中には海面で求愛餌の捕獲行動をとるものがあるので,Clunioと間違えるかもしれません. さらに,海生のユスリカにはPontomyiaオヨギユスリカ属があり,これも雌は無翅蛆状で,雄は翅が飛翔には適さない特殊な形に変形し,著しく長い脚を持っており,おそらくこれらを用いて海水面を滑走するのでしょう.この仲間は日没後に潮溜まりなどに現れるとのことですが,私は残念ながら観察したことがありません.紀州の沿岸にぎょう産するとの記述があります.
三枝先生のおっしゃられる通り、Telmatogeton(イソユスリカ属)の一種です。この属は日本から2種、T. japonica(ヤマトイソユスリカ)とT. pacificus(ミナミイソユスリカ)が知られています。紀伊半島ですとこの2種が混生している事があります。翅脈が判れば種の判定は可能です。一般にjaponicaに比べてpacificusは見た目、かなり小さく感じられます。また、紀伊半島ならイソユスリカ属の仲間であるハマベユスリカThalasomya(T. japonica:ヤマトハマベユスリカ)も見られるかも知れません。
イソユスリカは岩に付着した藻の中で、ハマベユスリカは潮溜まりの中で幼虫を見いだすことが出来るかも知れません。ハマベユスリカはしっかりと空間を確保できる容易な岩の隙間などで沢山の雄が集合して群飛します。 立て続けにユスリカの報告が出てきて、喜んでおります。
Thalassomyaです。
またまた訂正.Telmatogeton japonicusです。
![]() 種名が判明する可能性があるならと、翅脈を撮影したく、今日もイソユスリカたちに会いに行ってきました。 これらの写真で判らないようでしたら、捕まえてみようと思います。
いずれエリユスリカさんから専門的な回答があるでしょうが,翅のいわゆるCu fork(翅の後方に位置する二分岐した脈)の分岐点がr-m crossvein(Cu forkの分岐部の前方,翅の前縁に近くボヤーと暗色に見える斜めの短い帯に相当)とほぼ同じ位置ですから,ヤマトイソユスリカTelmatogeton japonicus Tokunaga でしょう.
なお,Cu forkの分枝の前の脈はM4脈,後の脈はCuA脈です.これらは従来伝統的にそれぞれCuA1, CuA2脈と同定されていた脈です.
Telmatogeton2種の図を示しておきます。三枝先生のご指摘通り、翅のfcuを矢印で示しました。これとr-m横脈との位置関係から2種を識別することが出来ます。参考にして下さい。
添付:5229.pdf (36KB)
三枝豊平様、エリユスリカ様、ありがとうございます。
イソユスリカについて、物知りになった気分です。 2種の比較図もすごく参考になりました。 ![]() オヨギユスリカ属は日本から2種が知られています。紀伊半島なら、セトオヨギユスリカPontomyia pacificaでしょう。私は、この種は観察したことがありませんが、西表島でおそらくサモアオヨギユスリカP. natansだと思うのですが、この種については実際に採集しております。時期は2月中旬でした。新月の夜8時ごろ、星砂ビーチです。真っ暗な中、懐中電灯を頼りに採集をしました。潮溜まりでは見ることは出来ませんでした。波打ち際で盛んに海水面を走り回っているのを見ています。極々狭い範囲を活発に動いていました。残念ながら、雌を採集することは出来ませんでした。紀伊半島なら成虫を観察することが出来るかも知れません。ただ、大変小さい、1ミリちょっとの大きさですので、注意しなければ見逃すかも知れません。 知り合いから、頂いたセトオヨギユスリカの雌の写真を貼付しておきます。
言い忘れましたが、幼虫は昼間、潮溜まりで採集致しました。ですから、潮溜まりでも活動しているのかも知れません。
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まだテネラルな印象で十分着色していないのでしょうか.今頃オオユスリカがたくさん羽化します.あるいはこの種では.なお,あなたのTrichoceraに関する投稿について,同定の困難さに関してNo.5174に書き込んでいますが,読まれましたか?
体の大きさはどのくらいなのでしょうか?三枝先生の井おっしる通り、今頃からオオユスリカが沢山出てきます。特に冬期から初春期にかけて発生するオオユスリカは体色が強く黒化しています。5月頃には斑紋の明瞭な淡色のものが多数発生致します。写真はテネラルなので種までははっきりしません。が、前脚の脛節と第1跗節の割合から、ユスリカ属Chironomusであることは間違いないでしょう。腹部に節を横切る細いバンドが見られることから、セスジユスリカの可能性が高いようです。
オオユスリカには沢山の同胞種がいて、形態での識別はとても困難になってきています。日本のオオユスリカもヨーロッパのものとは種が異なるのではと指摘されています。事実、諏訪湖の個体群に対して幼虫の染色体、DNA解析からヨーロッパのものから異なるとの判断から、Chironomus suwaiと言う名前が、つい最近与えられました。とりあえず私はこれに対してスワオオユスリカという和名を与えています。これは、従来のC. plumosusと区別するために与えたものです。C. suwaiはあくまでも諏訪湖周辺部の個体群に対して命名されたもので、九州、北海道と同一種であるとの確証は無いためです。この事は、C. suwaiの命名者にも了解済みです。 なお、写真は雌個体のようです。特徴のはっきりしたものを除き、雌のみで種を同定することは、ユスリカでは、特に日本では、まだまだ困難な情況にあります。
三枝豊平様、エリユスリカ様ありがとうございます。
体長は5ミリは超えるが10ミリには遠いというような感じで見ておりました。ユスリカの写真撮影は初めてでしたので、こんなに彩りが鮮やかなものとは知りませんでした。テネラルの個体たちに共通した彩りなのでしょうか。ユスリカというと集団での活動を思い浮かべますが、この時期の彼らは個体数が少ないのですね。周りには他の個体の姿が見られませんでした。また、腹部に毛が生えていたのにも驚きでした。ユスリカには普通のことなのでしょうか。 「第1跗節」は文字化けしているのでしょうか。 今度ユスリカを見つけたら、雄の個体を撮るように心がけたいと思います。 三枝豊平様、No.5174の書き込みはもちろん読ませていただいております。共感していただいた部分があると知っただけでも恐縮しております。底なしの深井戸を覗かせていただいたような気持ちです。奥が深すぎて私ごときには返す言葉もありません。
体長が10ミリを超えないのなら、セスジユスリカにほぼ間違いないでしょう。セスジユスリカの幼虫は家の周囲のやや流れのある溝や、水田脇の水路などに生息しています。このセスジユスリカに外見のそっくりなヒシモンユスリカというユスリカも沢山います。私もユスリカを見始めた頃は両種の違いが全然判りませんでした。セスジユスリカと異なる幼虫を採ってきて飼育したはずなのに、羽化してきた成虫は皆セスジユスリカなのは何故だと随分悩んだ事があります。今は、雄の生殖器、斑紋のパターンで識別は出来ますが。この両種の幼虫はうまく棲み分けています。セスジユスリカは流水中に、ヒシモンユスリカは止水中に生息します。例えば、5月頃この両種は水田などで沢山出現しますが、水田脇の側溝にはセスジユスリカが水田内にはヒシモンユスリカがすんでいます。また、ミクロネシア、小笠原にはヒシモンユスリカにそっくりなミナミヒシモンユスリカ(Chironomus samoensis Edwards)と言う種が分布しています。沖縄や八重山にいる種がヒシモンユスリカなのかミナミヒシモンユスリカなのかはまだ結論が出ていません。私は後者だと思うのですが。これについてはオーストラリアの研究者が今、染色体、DNAで解析を行っているところです。彼には、本土産のヒシモンユスリカを飼育して、全ステージのサンプルを送ってあります。結論を楽しみにしているところです。
ユスリカに興味を持って頂ける方が、一人でも増えて下さるのはとても嬉しいことです。先の文章で文字化けしたもの:前脚のケイ節とフ節の割合、です。 |
日時:2009年 4月 4日(土)午前10時より
10:00〜 同定会 12:00〜 昼食・休憩 なるべく弁当を御持参下さい. (近所にコンビニ・ほかほか弁当があります.) 13:00〜 事務報告・会計報告 13:30〜 講演 14:15〜 ミニ講演 15:00〜 休憩・写真撮影 15:30〜 一人一話 <懇親会を午後6時半頃から予定しています(居酒屋 ニュー汐屋)> ◆場所:大阪市立自然史博物館 実習室 博物館へは職員通用門より入館してください.
市毛様、総会の案内ありがとうございます。
なお、遠方から来られて前日および当日に宿泊を予定している方のために、主要なメンバーが宿泊する予定のホテルをお知らせしておきます。 ホテル名:スーパーホテル梅田・肥後橋 電話番号:06-6448-9000 宿泊費:無料朝食付きで1泊6,090円(税込) |
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