55188534
一寸のハエにも五分の大和魂・改
[トップに戻る] [新着順表示] [アルバム] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [旧過去ログ] [管理用]
1: 4枚翅のハエ? (4) / 2: ヤドリバエの仲間だと思うのですが (2) / 3: ガガンボ類の幼虫でしょうか? (6) / 4: トゲヒメヒラタアブでしょうか? (2) / 5: 京都府で得られたショウジョウバエ (5) / 6: 房総半島海浜のツルギアブ科(不明種?) (3) / 7: 富士山のアブ (2) / 8: クシツノアブ科について (2) / 9: Eupachygaster tarsalisメス? (1) / 10: ネグロクサアブ?の抜け殻 (7) / 11: ミズアブ科?不明種について (5) / 12: ハナアブ科不明種 (3) / 13: Choerades amurensisでしょうか? (6) / 14: Tabanus属? (2) / 15: 無題 (2) / 16: 無題 (3) / 17: ヤドリバエの不明種につきまして (2) / 18: 無題 (2) / 19: これはなんでしょうか? (2) / 20: ハチモドキバエ? (3) /

おなまえ
Eメール
タイトル
コメント
コメント内には下記と同じURLを書き込まないで下さい
参照URL
添付File  (100kBまで)
暗証キー (英数字で8文字以内)
投稿キー (投稿時 投稿キー を入力してください)
文字色

ハネカ記念日 投稿者: 投稿日:2008/02/22(Fri) 17:58:38 No.4319  引用 
「ハネカがいいね」と君が言ったから2月22日はハネカ記念日。

念願のキョクトウハネカが採集されました。無数に飛び交っていました。標本の写真が悪くてすみません。
アノニモミイア先生お出まし下さい。


Re: ハネカ記念日 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/22(Fri) 18:52:15 No.4320  引用 
ニャニャニャント夥しいハネカが採れて!!凄い.今日はニャンゴの日でなくてハネカの日.なんとか都合をつけて見に行かなければ.
沖縄の未記載種も含めて早く論文を書けということでしょうね.

Re: ハネカ記念日 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/22(Fri) 21:03:06 No.4321  引用 
すごいですね.

ついでにググッて見たら,上野パウダーフライという名称で
昨年3月末の群馬県上野村内神流川での状況が報告されていました.
http://riverwalkers.jugem.jp/?eid=387

茨城でも探してみたいですね.

Re: ハネカ記念日 投稿者: 投稿日:2008/02/22(Fri) 22:25:39 No.4322  引用 
市毛さんが紹介してくださったHPの生態写真いいですね。虫があまりに小さくて、あんな写真が取れる気がしません。明日もう一度採集に行って写真撮影もチャレンジしてみたいと思います。
ハネカを採集したので、この勢いで、まだ見ぬアミカモドキとサシチョウバエも今年のうちに採集してしまいたいものです。

Re: ハネカ記念日 投稿者: 投稿日:2008/02/23(Sat) 20:06:42 No.4323  引用 
昨日は興奮のあまり採集時の状況を書くのを忘れました。
採集地は栃木県鹿沼市上日向の大芦川。川の中〜下流域と言った感じで、河床には握りこぶし大の丸い石が堆積し、川の水は波や音を立てずにゆっくりと流れていると言った感じの場所です。採集地の200mほど上流で工事をしていた関係で水中の石の表面にはうっすらと泥がかぶっていましたが影響はないようでした。採集した時間は午後2時から4時の間。風は冷たかったですが、日が当たると多少ぽかぽかする陽気。風がやむとどこからともなく無数のハネカが飛び始めます。網で採集するのがもどかしいほどの数でした。
今日も採集に行くつもりでしたが、あいにくの強風と雪。今日は断念しました。

Re: ハネカ記念日 投稿者: 投稿日:2008/02/26(Tue) 17:41:40 No.4336  引用 
3連続の書き込み恐縮です。
アノニモミイア先生文献届きました。ありがとうございます。
Courtneyの検索表によるとキョクトウでなく「カスミハネカ Nymphomyia alba」です。

22日の書き込みは早合点。カスミハネカに修正します。

ヒゲタケカの1種でしょうか? 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/24(Sun) 22:04:31 No.4324  引用 
茨城県北部のミズナラ林内で採集した体長約5mmのキノコバエの♂です.
旧北区のマニュアルで調べると,Macrocera属と思われます.

触角は体長の約3倍ということで,北隆館の大図鑑(1965)で図示されたMacrocera vittataに似ていますが,胸背に明瞭な縦条を欠きます.

また,翅は多数のmacrotrichiaとmicrotrichiaを備え,翅端に不明瞭な暗色斑を備え,R1脈先端やSc脈沿いが暗色となります.

未記載種かもしれませんが,よろしくお願い致します.


Re: ヒゲタケカの1種でしょうか? 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/24(Sun) 22:06:01 No.4325  引用 
同,交尾器です.

Re: ヒゲタケカの1種でしょうか? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/25(Mon) 03:02:56 No.4326  引用 
この写真の種と同じものは広島の三段峡で私も多数採集しています.

私がかなり前にソーティングした日本産のMacroceraは約35種あります.その後の採集品の整理を行っていないので,さらに幾種かは増えているかと思います.

写真の種はヨーロッパのMacroceraの検索を行なっても,ぴったりと適合するものがありません.しかし,記載だけではなんとも同定できませんので,ヨーロッパの種の標本を一通りそろえないと,確定的な同定ができないのではないかと思います.以前書きましたBoletina trivittataのように実物とその雄交尾器を比較しないと,確信のある同定が困難です

というわけで,写真の種は未記載種である可能性がかなりありますが,そう決めるには調査不足という状態です.日本昆虫学会が編集・発行しているInsects of Japanの将来的な発行予定の広告では笹川満廣先生のMacroceridaeが含まれていますので,それを期待したいところです.

Re: ヒゲタケカの1種でしょうか? 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/25(Mon) 12:18:47 No.4327  引用 
アノニモミイア様.

Macrocera属が40種近く日本に分布していることだけでも,貴重な情報です.ありがとうございました.

笹川先生のInsects of Japanを待つことにします.

アシナガバエ科と思うのですが 投稿者:pakenya 投稿日:2008/02/21(Thu) 17:19:41 No.4311  引用 
こんにちは。暖かくなってきて、虫たちも動き出しそうですね。

今月10日に沖縄ヤンバルの川沿いで採集した4.5mmのハエです。m脈が翅の中央にあり、rmは翅の付け根近くにあること、ScはR1に合流することからアシナガバエ科と思います。

日本産水生昆虫で属を検索すると、key22までたどってTeuchophorus属に行き着きました。確かにC脈は幅広く骨化しています。

ですがこの属名は目録に出ていないし、このWeb図鑑にも出てきません。その他の資料を持たない私には、検証の手立てがありません。

よろしくお願いいたします。


Re: アシナガバエ科と思うのです... 投稿者:pakenya 投稿日:2008/02/21(Thu) 17:20:43 No.4312  引用 
翅の拡大です。

Re: アシナガバエ科と思うのです... 投稿者:pakenya 投稿日:2008/02/21(Thu) 17:22:57 No.4313  引用 
頭部の拡大です。顔は銀白色微毛で輝きます。

Re: アシナガバエ科と思うのです... 投稿者:pakenya 投稿日:2008/02/21(Thu) 17:52:16 No.4314  引用 
・・と、投稿しているうちに、改訂版の北隆館の図鑑が届きました。

すっごーい!!

アノニモミイア様から前振りを頂いておりましたが、さすがオドリバエ、キノコバエ、アシナガバエなどなどが大幅追加です。

ですが、残念ながらこのハエは見当たらないようです。

Re: アシナガバエ科と思うのです... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/21(Thu) 19:10:15 No.4315  引用 
属はDolichopusと思います.北隆館の,人によってはクズ本と言われる(図版も悪いし,値段も高いなどなど)新訂第3巻にはDolichopus等の属は代表種1種のみしかでていません(Dolichopusは旧版からなぜか1種だけ迷い込んでいますが)が,本属は日本だけで数十種以上生息しています.翅の前縁が肥大していなければ,中央の翅脈が写真のようにジグザグになっているのはD. zigzagという種が台湾にはいます.

持っている標本とそのうち比較してみます.

Re: アシナガバエ科と思うのです... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/22(Fri) 08:13:51 No.4316  引用 
写真のアシナガバエはやはりDolichopusの1種です.私も沖縄本島,奄美大島,山口県などで採集された本種の標本を多数持っています.

日本産水生昆虫の検索表を使った際に,あなたはcouplet 5を引き違えています.本種は触角第1節背面に多数のsetulaeを生じており,この特徴はあなたの写真でもはっきり認められます.ここで検索表を6に移れば,Dolichopusにたどり着きます.

私の日本産Dolichopusの材料の中でも翅の前縁が本種のように長い距離に亘って肥大している種はこれしかありません.そして,日本からのDolichopusの既知種では,Parentによって,Kofou, Japonから記載されたD. crassicosta Parent, 1926があります.本種の原記載はかなり詳しいのですが,残念ながら全く図がありません.ただし,お尋ねの種は翅前縁については本種の特徴と一致しますし,脚の形質などもほぼ一致します.Kofouが甲府でしょう.それで,問題の種は本種の可能性がかなり高いと思いますが,しかし,最終的な同定の確定にはcrassicostaの模式標本との比較が必要でしょう.

現在のところは写真の種はDolichopus crassicosta Parent, 1926,またはその類似種というところでしょうか.

Re: アシナガバエ科と思うのです... 投稿者:pakenya 投稿日:2008/02/22(Fri) 11:19:44 No.4317  引用 
アノニモミイア様、早速のご教示ありがとうございます。

触角の刺毛の点については、もっと長いものを想像したことに失敗の原因があったようです(勉強不足です)。

新版北隆館3巻で属の特徴を確認いたしました。交尾器のcerciの形状など、なるほど・・。日本産水生昆虫で検索した結果を検証できるので、確実性が高まりました。クズ本なんて、とんでもない!すばらしい教科書として愛用させていただきます。

この種名は確定できないようですが、属が確定できたこと、D. crassicostaか、その類似種と絞り込めたことは大きな喜びです。ありがとうございました。

今後ともよろしくお願いいたします。

Re: アシナガバエ科と思うのです... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/22(Fri) 12:58:57 No.4318  引用 
新訂図鑑の448頁5行目の前脚第1付小節は後脚第1付節の間違いです.ご注意下さい.
この小節の背面に剛毛を欠くHercostomusなども日本には夥しい種が生息しています.これからの季節,谷間の路上の水溜りの周囲などを掬うと一ヶ所でも数種以上が採集できます.日本のアシナガバエ科は海浜性のものや渓流性のDiostracusの研究はかなり進みましたが,他の属はほとんど手付かずに近い状態です.ハナアブ科の多くの種のように腹部に特別の斑紋などないので,取り付きにくい面もありますが,大部分の属で雄交尾器の特徴が解剖しなくてもおおよその形状がわかる点や脚の色彩が結構種間で異なっているので,これらの点に注目してソーティングすると手がかりが得られます.

ハエ目昆虫パラタクソノミスト(... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/20(Wed) 20:16:52 No.4310  引用 
双翅目研究者が減る中,なぜか北大で連続して開かれている講座が,「ハエ目昆虫パラタクソノミスト」.

私も出席したいと考えているのですが,6-8月に年休と夏休みを取りまくっているので,今年も断念しました.

毎回,どんな人が出席しているのか,興味津々だったのですが,先ほど昨年10月の写真をちらりと見たら,意外な知合いが出ていました.

そういえば,札幌のK氏からのメールに4人で飲んだと書いてあったような・・・・

できれば,今度の総会で簡単な内容紹介でもお願い出来ませんかね.

メスグロヒラタキノコバエでしょ... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/19(Tue) 17:42:39 No.4303  引用 
7月中旬に,茨城県水戸市近郊(標高50m)で採集した体長12mm程のツノキノコバエ科です.

旧北区の双翅目マニュアルのSciaroideaの検索を引くと,翅脈やLaterotergiteに長毛を備える等の特徴からKeroplatus属と思われます.

日本産昆虫総目録によると,Keroplatus属はK. nipponicusとK. testaceusの2種が記録されており,その後岡田が記載したK. testaceus f.biformisがMatile(1986)により独立種とされて,K. biformisとなっているようです.

Keroplatus biformisと思われますが,如何でしょうか?

なお,標本の交尾器を極東の昆虫の検索に載っている図と比較すると,Gonocoxite腹面の基部中央にある細い切込みを欠くので,K. biformisよりK. lobatusの交尾器に似ているように感じます.

よろしくお願い致します.


Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/19(Tue) 17:43:45 No.4304  引用 
同,交尾器です.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/19(Tue) 17:52:54 No.4305  引用 
極東の昆虫の検索に示された交尾器です.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/20(Wed) 08:20:29 No.4306  引用 
写真の標本はKeroplatus biformis (Okada, 1938)です.

Matile(1990)は本種のタイプシリーズを研究した上で,本種の雄交尾器を図示しています.その図を添付しました.これで明らかのように,市毛さんの標本もZeitzevがK. lobatusとしたのもK. biformisです.

Zeitzev(1999)がMatileより9年後になぜ本種をK. lobatusとして記載したのかの詳細は今手元の文献ではわかりません.彼のbiformisは全く別の種です.

彼のFungus Gnats of the Fauna of Russia and Adjacent Regions. Part 1(Gribnye Komary Fauny Rossii I Sopredelnykh Regionov)に何らかの情報があるのでしょうが,これを私はもたないのでなんともいえません.

私の手元の標本も全てMatileの交尾器の図の通りです.


Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/20(Wed) 08:56:00 No.4307  引用 
アノニモミイア様,ありがとうございます.

やはり,K. biformisで良いのですね.

極東の昆虫の検索のKeroplatidaeは,Zeitzev(1994)から極東に分布しない種類を除外してあるだけのようです.

どうも,ロシアの研究者はタイプを借りて調べるという作業を避けている気がします.

一時期,キノコバエが沢山採れるので標本を集めたのですが,断片的な文献を見ただけでは同定出来ず困りました.
丁度,北大の院生がキノコバエを研究していたので,そのうち知人を介して,北大の院生に見てもらおうと思っていたのですが,彼も別分野に転向してしまったので,仕舞い込んでいました.

ありがとうございました.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/20(Wed) 13:12:20 No.4308  引用 
北大若手のキノコバエ研究者がネマトーダ研究の職務についてしまい,残念至極です.キノコバエ科(広義)は,ツノキノコバエ科,MycomyaとMycetophilaやExechiniなど日本列島だけでも膨大な種が生息しており,これらの研究がこれからの課題です.それにしても,日本で双翅目の分類学の研究で給料を受けている研究者がここ10年ほどで急速に減少して,事態は極めて深刻です.明るい点は中村剛之(ガガンボ科),須島充昭(クロキノコバエ科),山本ジュニア(ユスリカ科),桝永一宏(アシナガバエ科),林利彦(フンコバエ科),岩佐光啓(ツヤホソバエ科など),末吉昌宏(ミバエ科など),舘 卓司(ヤドリバエ科)等の研究者が健闘されていることですが,しかし,これらの人々もまだ就職の見通しが付かない者もおりまして,依然厳しい現実です.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/20(Wed) 20:05:19 No.4309  引用 
確かに,アノニモミイア様が書かれているように,双翅目の専門家が急激に減っていますね.

何とか,盛り返してもらいたいものです.

かわかみ 投稿者:かわかみ 投稿日:2008/02/04(Mon) 12:19:17 No.4226  引用 
2008年2月4日、岐阜市内で撮影しました。
今日は風も弱く、サザンカの花にきている
ハエやアブをみかけました。こちらは
ヒラタアブのなかま。体長10ミリぐらいで
した。腹部の模様が特徴的ですが、名前
がわかりましたら、お願いいたします。


いきなり答えを教えてくれない・... 投稿者:ハエ男 投稿日:2008/02/04(Mon) 16:21:36 No.4228  引用 
昔、学生の頃、某T農業大学の昆虫研で質問のしかたについて教わりました。

昆虫の業界は狭いので、えらい先生(いわゆるその方面の権威)に質問するような場合がままあるのですが、そういう先生はいきなり答えを教えてくれません。

「自分はどの文献とどの文献を調べてこう思うんだけど、いかがでしょうか?」というたずね方をすると、参考となる資料を山ほど教えてくれる。時にはコピーを送ってくれたり、文献を貸してくれたりする(つまりそれを見て勉強しろってことですね)というんですね。良い先生はいきなり答えを教えるのではなく、調べ方や見方、考え方を教えてくれるというんです。(一般的な教育でもそうですよね・・)

この考え方を双翅目に当てはめますと、双翅目の専門的な文献を入手するのは大変ですが、ハナアブ、ムシヒキアブについてはネット上に素晴らしいサイトがありますので、そちらで自分なりに当たりをつけてから質問されるようにするとレスが付きやすいと思います。

ハナアブでしたら市毛さんのサイト「ハナアブの世界ttp://homepage2.nifty.com/syrphidae/index.htm」
ムシヒキアブでしたらtgwさんのサイト「ムシヒキアブ図鑑ttp://www3.kcn.ne.jp/~tgw/」をご参照ください。

Re: いきなり答えを教えてくれな... 投稿者:かわかみ 投稿日:2008/02/04(Mon) 18:23:31 No.4229  引用 
ハエ男さん、ご指導ありがとうございました。
腹部の模様からは、フタスジヒラタアブ属の一種
ではないかと思いますが、いかがでしょうか?

Re: いきなり答えを教えてくれな... 投稿者:pakenya 投稿日:2008/02/18(Mon) 10:56:32 No.4301  引用 
かわかみさま、こんにちは。
半月ほど沖縄に出張しておりました。
だれも、書き込まないので・・・

画像のハナアブは、複眼に毛が無いように見えますのでDasysyrphus属ではありません。おそらく、腹部第3節の斑紋が波を打っているのでフタスジヒラタアブに似て見えたのであろうと想像しますが、フタスジの波は紋の後ろ側ですので逆です。また、フタスジの額は先端が黒色です。

画像のハナアブは、フタホシヒラタアブ Eupeodes corollaeのメスです。斑紋の形状にはずいぶんと変異があって、ナミホシヒラタに似ているものから、この画像のように特異な形のものまで見られます。

ナミホシと共にもっとも普通なヒラタアブです。

Re: いきなり答えを教えてくれな... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/19(Tue) 17:41:51 No.4302  引用 
かわかみ様.

発言を見落としていました;^_^)

pakenya様.

ハナアブ科の一般種は,pakenya様にお任せします;^_^)

ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/02/10(Sun) 10:17:58 No.4245  引用 
こんにちは。

 かっこいいガガンボダマシの後でお恥ずかしいのですが、以前より悩んでいた種があり、何らかのご教示がいただけないかと 投稿させていただけます。

 江戸川(埼玉平野部)の水際の砂地にへばりついていた種で、ほとんど飛び回らずにじっとしていました。(4月採集)

 ヒメガガンボ科ではないかと思っているのですが、『日本産 水生昆虫』で調べたところ、 図示されている範囲の翅脈相は少しずつ異なっていて、どうもよくわかりません。
 ヒメガガンボ科と仮定して、同文献で検索すると、苦し紛れにTeucholabis となりましたが、あやしいです。

 ヒントでも結構ですので、ご教示いただけましたら ありがたいです。
 宜しくお願い致します。


Re: ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者: 投稿日:2008/02/11(Mon) 09:45:50 No.4249  引用 
翅の膜の部分に毛(macrotrichia)が生えていますか?

Re: ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/02/11(Mon) 13:27:13 No.4252  引用 
達磨さん、コメントありがとうございます。

 翅の膜の毛(macrotrichia)を確認しましたところ、キノコバエの翅のような感じに、細かい微毛が全面にありました。

 これの情報で、多少 前に進みますでしょうか?
 念のため、画像もつけます。画像では、SCとRのあたりの横脈が見えなくて、誤解されやすいかと思い、当初は添付しませんでした。

 もう一つ、前回の手書きの図で、h脈が書いてありませんでした。根元の方の図簡略化したので、頭から抜けたようです。
 
 以上、宜しくお願い申し上げます。


Re: ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者: 投稿日:2008/02/13(Wed) 09:46:49 No.4271  引用 
C室(CとScの間)に普通みられない横脈があることと
sc-r横脈の位置がちょっと腑に落ちないのですが、
翅の膜全体に毛が生えているということであれば
Ormosia (Oreophila)亜属(ヒメガガンボ科)に
分類されると思います。

Re: ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/13(Wed) 11:44:45 No.4273  引用 
横から割り込み.

翅面に毛が生えているということですが,キノコバエの場合にはMycetophilaやEpicyptaなどではmicrotrichiaだけです.達磨さんの言っている毛は多分macrotrichiaなのでしょうが,これはキノコバエでもLeptomorphusやNeurateliaのような属にしか生えていません.Macrotrichiaはソケットから生じていて,強く触ると抜けます.

二人の間で翅面に生えている毛に誤解があると正しい同定ができないかと,でしゃばり老爺心から.

Re: ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/02/13(Wed) 21:39:29 No.4283  引用 
アノニモミイア様、達磨様。
 ご教示ありがとうございました。
 
 翅面の毛は、アノニモミイア様のご指摘の通り、私が『ある』としたのはmicrotrichiaで、macrotrichiaではないと思います。
 macrotrichiaは無い、と思います。

 ・・・ということは、ヒメガガンボ科ではないのでしょうか?

 この種は、春にいたガガンボで、当時はいくつもいましたが、地味なので1頭しか採りませんでした。
 今年はいくつか採って、複数比較してみます。

 引き続き、宜しくお願い致します。
 

Re: ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者: 投稿日:2008/02/13(Wed) 22:45:35 No.4285  引用 
アノニモミイア様、ご指摘ありがとうございます。仰るように翅の膜にmacrotrichiaがあるのとないので同定結果が変わってきます。
図をご覧ください。全面に毛が生えているのがOrmosia (Oreophila)、ないほうがHesperoconopaです。毛を取ってしまうと翅脈はよく似ていることが分かります。
Hesperoconopaは北米に何種かいて、日本から未記録です。千島列島にいることが分かっていますし、遠く飛んでインドにも分布していますから、記録がないだけで、ずっといるのでしょう。

いずれにしてもヒメガガンボ科です。


Re: ヒメガガンボ科でしょうか? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/02/17(Sun) 18:49:20 No.4300  引用 
達磨様

 疑問点としてご指摘いただいていました『C室(CとScの間)に普通みられない横脈がある』点ですが、右翅にはありますが、左翅には無いことに気づきました。

 変異のようです。
 今年の追加採集で、どちらが正常か 確認いたします。

 以上、取り急ぎ ご連絡まで。

キノコバエ-Leia billineata? 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/02/16(Sat) 22:19:41 No.4295  引用 
こんちは。

 毎年、冬に越冬中の個体が採れるキノコバエの一種です。
 検索では、Leia 属に行き着きました。

 『皇居、赤坂御用地と常盤松御用邸のキノコバエ、シマバエおよびハモグリバエ』でLeia属の記録を見つけたので、確認してみたところ、Leia billineataフタスジエナガキノコバエの記述と一致しました。
 たぶんこれではないかと思いますが、ご教示やご意見が いただけましたら、ありがたいです。

 何卒宜しくお願い致します。

 


Re: キノコバエ-Leia billineata... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/17(Sun) 00:26:20 No.4296  引用 
「皇居・・・」で本種が正しく同定されているのかどうかは雄交尾器の図が示されていないので,確信がもてませんが,あなたの図示された交尾器の形状はヨーロッパや極東から記録されている本種のそれとは明らかに異なっています.

しかし,キノコバエの場合でも,ヨーロッパ(時には沿海州までを含む大陸旧北区)の集団と日本の集団は雄交尾器にも形態的地理的変異が現われる場合がしばしばあって,これを形態種レベルの認識で別種とするか,亜種とするか,あるいは単に同種内の命名しない地理的変異とするかは各著者の判断にかかわってきています.例えば,Boletina trivittataという種があります.これは笹川・木村の論文では日本産の集団がヨーロッパと同じ種にされていますが,明らかに交尾器の形態に差が見られ,Zeitzevは日本と極東ロシアの集団をsubvittataと言う別種で記載しました.しかし,ヨーロッパでもアルプス系のものと北欧系のものではある程度の変異があり,また北米ではより大きな形態的相違が起っています.一方,ヨーロッパと日本の集団の間でほとんど相違が認められないものもかなりあります.

Handbooks for the Identification of British Insects,MycetophilidaeからL. bifasciata (=bilineata)の交尾器を引用しておきます.Gonostylusがあなたの材料でははるかに幅広い点が異なっています.


Re: キノコバエ-Leia billineata... 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/02/17(Sun) 10:24:21 No.4297  引用 
アノニモミイア様
 ご教示に心より御礼申し上げます。

 ご指摘のとおり、「皇居・・・」に雄交尾器の図が無い点で、正しいのか間違いなのか わからなく行き詰っておりました。
 
 引用いただきました図とは、確かにGonostylusの形状が異なっていると思います。L.bilineataの近似種である事まで確信できたことは、自分にとっては大きな成果です。

 コメントにありました 種か亜種かの解釈などの問題は過去から論議が交わされているように聞いておりますが、変異がある事が生物には当然であることから、大変難しい問題と思います。

 話が変わってしまうのですが、今回の交尾器の画像は、ご覧頂きましたとおり Gonostylusを左右に開いたのですが、この形でよいのかどうか迷っています。
 顕微鏡と、撮影機材の機能から、開かないでの検鏡は、大変見にくい事から工夫したのですが、何か大きな欠点があれば ご指摘いただきたく存じます。

 引き続き、宜しくお願い申し上げます。

Re: キノコバエ-Leia billineata... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/17(Sun) 13:40:54 No.4298  引用 
「今回の交尾器の画像は、ご覧頂きましたとおり Gonostylusを左右に開いたのですが、この形でよいのかどうか迷っています。顕微鏡と、撮影機材の機能から、開かないでの検鏡は、大変見にくい事から工夫したのですが、何か大きな欠点があれば ご指摘いただきたく存じます。」

どのようなアングルで写真を撮ったり,作図したりするかは,その際にいつも考え込むことになります.要はその種の形質が確実に判るアングル(もっとも良く分かるアングルの意味ではありません)ということになります.これは他の人がその図を自分の標本と比較する時に同一のアングルがとれて,しかもその種の形質が確実に示されるアングルということになります.そうなると,最もアングルの同一性を保つのが可能なのは真横から見ることになります.これも,注意しないと後方が下がったり,逆に前方が下がったりしますので(もちろん背中線と腹中線が同一平面に来ることは必須です),対在形質が完全に重なり合うようなアングルを顕微鏡の下で決めてから撮影や作図をするように心がけています.真横から書かれたあるいは撮影されたものでは,他の人が自分の材料を同じアングルに保って,図などと比較することが可能になります.また真横の他に材料によっては真上または真下から見るアングルがあります.これもピッチングといいましょうか,仮想体軸が前や後に傾くと,形状がかなり異なってきますので,真横の場合よりアングルが採りにくくなります.また,双眼実体顕微鏡では左右の接眼レンズからの像は当然のことながら変わってきていますので,材料の背中線や腹中線を視野の中で縦方向に採ると,たとえ材料が完全に左右対称になるような位置に調整をしても,右の接眼レンズからの像はより右側面が広く(左側に傾いた状態)になり,左の接眼レンズではその逆になります.背中線などを視野を横切るように設定するとこの点は容易に調整が可能になります.

しかし,このような規定のアングルでは形質が良く表わされない場合は,問題の形質がもっとも良く現われると自分が判断したアングルでの作図や撮影を行うことになります.この場合は他の人が自分の材料をこれらの図と比較するときに,かなり慎重に照合する必要が起ります.

このようにしても,種の重要な形質が表わされない場合は,部分的または全面的な解剖を行って,問題の形質の作図や撮影が可能な状態にしていきます.

切断などの解剖しない場合は,材料を展開させることになります.この方法がしばしば用いられているのが鱗翅目の雄交尾器の場合です.鱗翅目では糸角双翅目の2小節に分節した生殖肢に相当するものがvalva(把握器)と言う単一の袋状構造に融合していまして,この内面にしばしば多様な突起や刺毛を生じ,これが重要な分類形質になっています.そのためにあなたのLeiaの写真と同様に,valvaeを左右に開いて,しかもスライドグラスの上でカバーグラスによって交尾器を押さえて,それに基づいて作図や撮影が行われます.この場合は押し付け方によってvalvaの変形やアングルが変わるので,このような図はかなりその点を考慮しながら参照せざるをえません.しかも鱗翅目では交尾器全体をこのように展開した状態にしますと,第9-10腹節背板系のtegumen-uncusの形状にかなりのゆがみが生じます.これと同様のことがあなたのLeiaの交尾器の写真でも起っています.これらが欠点と言えば欠点になります.しかし,鱗翅類ではこの方法が簡便で,スライドとして保存しやすいと言うことから広く行われています(私は各部の形状や関連など機能形態学的形質があまり正確に把握されないので,この方法はあまり好ましいものとは思いませんから,鱗翅目でこの方法をほとんどとったことはありません).しかし,この展開法で種の形質がはっきり表れるのであれば,その目的の範囲では有効なアングルではないかと思います.

ご質問には以上でよろしいでしょうか.

Re: キノコバエ-Leia billineata... 投稿者:バグリッチ 投稿日:2008/02/17(Sun) 16:27:32 No.4299  引用 
アノニモミイア様

 詳細にわたってご解説いただき本当にありがとうございます。
 『特徴が捉えやすい』だけでなく、後で 別の方が比較しやすい事を充分考えなければいけないのですね。
 これが ある意味『本当にわかりやすい』と言えるのだと認識しました。
 基本は側面図であり、これにプラスして、特徴を現す図を加えることが必要ということとですね。
 この事を頭に入れて検鏡したいと思います。
 一方で、今回の画像ような方法も 自分なりに 併せて使ってみたいと思います。

 キノコバエの仲間は大きくなく、また 交尾器は意外に毛が多くて、形態がすっきりせずに わかりにくい印象を持っています。
 時間はかかるかもしれませんが、少しづつ 勉強していきたいと思います。

 引き続き、宜しくお願い申し上げます。

ガガンボの1種 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/16(Sat) 18:28:13 No.4293  引用 
4月下旬に,茨城県水戸市近郊の公園(alt.130m)で採集した,体長9mm程のガガンボです.

Tipula属と思われるので,亜属まででも判断出来ないかと,Alexander(1935)の亜属の検索とにらめっこをしましたが,まだまだ翅脈名や交尾器構造が理解出来ていないためか,よく判りませんでした.

恐らく,Cu1脈やM4室の形状から,Schummelia亜属の1種と思われますが,如何でしょうか?

よろしくお願い致します.


Re: ガガンボの1種 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/16(Sat) 18:29:12 No.4294  引用 
同交尾器です.

亜属まででも,教えて頂ければ幸いです.

これはガガンボでしょうか 投稿者: 投稿日:2008/02/08(Fri) 22:47:35 No.4237  引用 
雪の上を走るガガンボと思われるものです。お教え下さい。
2008年2月2日青森県下北半島でとりました。
同時に走っていたメスと思われるものもとりました。2枚目に貼ります。体長は4ミリから5ミリくらいのものです。
走る様子はhttp://snowmelt.exblog.jp/7187392/に動画もあります。クモガタガガンボも近くにおりました。


Re: これはガガンボでしょうか 投稿者: 投稿日:2008/02/08(Fri) 22:49:46 No.4238  引用 
上のメスと思われるものです。
走る速度はメスの方が速いように見えます。


Re: これはガガンボでしょうか 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/08(Fri) 23:52:13 No.4239  引用 
達磨さんからそのうちに連絡があると思いますが,これはガガンボダマシ科TrichoceridaeのTrichocera imanishii (Tokunaga)イマニシガガンボダマシだと思います.♂の翅はやや基部が細くなり,♀ではほとんど平均棍のような形に退化しています.
おーやぎさん.多めに採集できたら少し分けてください.アルコール浸け標本も欲しいところです.宜しくお願いします.

Re: これはガガンボでしょうか 投稿者: 投稿日:2008/02/09(Sat) 21:26:31 No.4240  引用 
アノニモミイアさん、ありがとうございます。
科が異なればガガンボの一種といえばだめでしょうか。許容範囲でしょうか。
ガガンボダマシの一種(今は種までお教えいただきましたが)というのが正しいとは思いますがどうでしょう。
北驫ルの8版しか持っていないのですが、これには カ ガンボダマシ科と書いてありますが、 ガ ガンボダマシでいいのですね。さらに、ガガンボダマシ科のなかに、ニッポンフユガガンボというのがかかれていますがダマシがついていませんね。

いま、オス1、メス3の液浸しかありませんので、明日また出かけます。採れると思いますので、お送りします。

Re: これはガガンボでしょうか 投稿者: 投稿日:2008/02/10(Sun) 00:19:05 No.4241  引用 
呼ばれて飛び出る達磨です。
以前、アノニモミイアさん(本当はさんでなく先生とつけないと気持ちがよくないのですが、、)のもとでガガンボダマシの勉強をしておりました(今もしております)。
写真の虫はTrichocera imanishiiに違いありません。私の知る限り、最北の記録です。
広い意味でガガンボ類といえばこれを含めてもおかしくはありません。でもガガンボダマシの一種とするほうを推奨いたします。カガンボとガガンボ、図鑑の出版された年代などで変わってくるのですが、最近はガガンボのほうが多く使われているようです。わたしはカガンボという表記は使わないようにしています。
ニッポンフユガガンボの和名は私も頭の痛いところです。いずれもガガンボダマシ科に属すのですが、Trichocera属をガガンボダマシ、Paracladura属をフユガガンボと呼んでいるのです。語幹をそろえたほうが気持ちがいいのですが、サビキコリはコメツキムシ科、オオムラサキはタテハチョウ科、ツクツクボウシはセミ科なわけですから、そういうものだと覚えることにしましょう。

Re: これはガガンボでしょうか 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/10(Sun) 01:14:49 No.4244  引用 
和名というのは時折ややこしいことがあります.

1.先ずカガンボとガガンボです.松村松年先生は例えば昆虫分類学(1915)から日本昆虫大図鑑(1931)まで一貫してガガンボを使い,徳永雅明先生は日本動物分類(1939)や原色昆虫大図鑑第三巻(1965)ではカガンボ,日本昆虫図鑑(1957)ではガガンボを使い,同じく江崎悌三先生は日本昆虫図鑑(1957)ではガガンボを使い,高橋三雄氏は原色昆虫大図鑑第三巻(1965)〔上記徳永先生のと同書〕ではガガンボを,伊藤修四郎先生は原色日本昆虫図鑑(保育社,1977)ではカガンボを使っています.このように,カガンボとガガンボは同じような頻度で使われ,時には同人が両語を使っています.語義は「蚊の母」と聞いておりまして,「蚊がん母」となり,本来の仮名表記はカガンボでしょうが,第2音のガに第1音が引かれて濁音になり,その結果ガガンボになったものと思います.近刊の新訂原色昆虫大図鑑第三巻では改訂者中村剛之氏が全てガガンボに統一しています.語源に忠実であればカガンボ,転用されて一般的なのはガガンボということになります.ガガンボの漢字は大蚊で,もちろんこれは当て字です.ガガンボダマシ科には偽大蚊が用いられています.中国でもガガンボには大蚊を用いています.

2.伝統的なガガンボ科Tipulidaeは現在は4科に分割されていますが,これらはいずれもガガンボ上科Tipuloideaに含められる単系統群(単一祖先から分化した全ての子孫のみを含む群)です.しかしガガンボダマシ科Trichoceridaeはこのガガンボ上科とは全く類縁が異なる昆虫群でして,ガガンボ上科の姉妹群でさえもありません.ガガンボ上科とガガンボダマシ科は共に真のA1脈(伝統的なA2脈)を具えることで共通性がありますが,ガガンボダマシ科には単眼があり,また幼虫の構造,特に頭部の形態がガガンボ上科のそれと全く異なっています.ニセヒメガガンボ科,コシボソガガンボ科もそれぞれガガンボ上科やガガンボダマシ科とは類縁が離れた科ですが,それらの概観からガガンボの名称が和名の語幹になっています.

3.上記のような事情にも拘わらず,ガガンボダマシ科のなかで,日本産の2属のうち,Trichocera属にガガンボダマシを用い,付節の第1小節が著しく短縮したParacladura属にフユガガンボを用いています.後者だけが特に冬季(晩秋から早春)に成虫が現われるということではなくて,前者の成虫も主に冬季に出現します.季節的に成虫の発生期が両属で異なると言うことではないので,フユガガンボの名称はその性質から考えるとナンセンスです.ただTrichoceridaeは英名ではwinter crane flyで訳せばもちろん文字通りフユガガンボ(冬鶴蝿)です.このような和名の状況なので混乱を避けるためには,Paracladuraの和名の語幹をガガンボとするのはやめて,私流にいえばPracladuraはヒメガガンボダマシあるいはホソガガンボダマシとでも言ったほうがよさそうです.ただし,Trichocera属にもチビカガンボダマシTrichocera minuta Tokunagaという種がありますので,体の大きさだけで両属を分けるような和名を用いるのも錯綜します.

4.その上さらにややこしいのは,Trichocera imanishii (Tokunaga)イマニシガガンボダマシとParacladura imanishii Tokunagaイマニシフユガガンボがあります.両属に種名のimanishiiが用いられ,命名者Tokunagaは同一で,両種にはさらに和名接頭語イマニシが用いられていることです.

5.もう一つ混同しやすいのは,Trichocera属のT. hiemalis De Geerに対して,フユガガンボダマシの和名があることです.これはParacladura属フユガガンボ属と間違えやすいですね.Paracladuraに類似していると言う意味のダマシではなくて,種名からの直訳でしょう.種名hiemalisはもちろん「冬の」の意味の形容詞です.

6.以上ですから,今回のTrichocera imanishiiイマニシガガンボダマシをガガンボの1種というのは正しくなくて,ガガンボダマシ(科)またはガガンボダマシ属の1種が正しいことになります.しかし,Trichocera属のほかの種は雌雄とも良く発達した翅を具えて飛翔しますので,本種をガガンボダマシ属の1種と呼ぶのは正しいとは言え,そのように呼ぶことで本属全体が押しなべてこのように翅が退化した昆虫であるかのごとき印象を与えなければ,と気がかりではあります.本種の形態と行動はTrichocera属の中でも特異ですから,やはりイマニシガガンボダマシと種の和名で本種を紹介されるほうが適切ではないかと思います.本種に対しては,以前Alexanderによって,その特異な翅(♂の翅脈の退化と翅形の変形,雌の退化翅)の形態を根拠にしてKawasemyia属が創設されたこともあります.

標本につきましてはお手数をおかけしますが宜しくお願いします.

達磨さんからのコメントを期待しています.

追記:これを書いているうちに達磨さんの指摘がありましたね.ご苦労様です.

Re: これはガガンボでしょうか 投稿者: 投稿日:2008/02/10(Sun) 22:33:51 No.4246 ホームページ  引用 
達磨さん、アノニモミイアさん、本当にありがとうございます。プリントアウトしてよくよく読解したいと思います。
最北の記録とありますが、今日、この写真の場所にはみあたらなくて、さらに北10キロぐらいのところで、十数匹とれました。うちメスは二匹でした。アノニモミイアさん、お送りします。
ところで、写真メスのほうの産卵管らしいものは、とがっているのとそうでないのがありますが、とがっていないのは交尾後のなにかでしょうか。

Re: これはガガンボでしょうか 投稿者: 投稿日:2008/02/10(Sun) 23:50:13 No.4247  引用 
詳しい、解説ありがとうございます。
そもそも松村松年先生がこの仲間の和名が付けられたころはそれまで名無しだった様々なグループに(図鑑の出版の都合)大急ぎで和名を付けなくてはいけなかったと想像できます。ガガンボ型類(ガガンボの形をした虫たちという意味、今即興で作った言葉、ガガンボ科の近縁でないグループも含みますので誤解のないように願います)をみても四苦八苦している様子が見て取れます。ガガンボ科の中にナミガタガガンボモドキという和名を持つものがいたり(ガガンボモドキという和名はご存知のように長翅目の一群の和名として使われていますね)、ちょっと後ですがTanyderidaeにガガンボダマシ科という和名が付けられたり(これは後にニセヒメガガンボと言う和名に変えられています)など。ガガンボ型類の科に用いられている和名を挙げるとガガンボモドキ(長翅目)、ガガンボ、シリブトガガンボ、ヒメガガンボ、オビヒメガガンボ、ニセヒメガガンボ、コシボソガガンボ、ガガンボダマシ。正しい知識のない人には混乱のもとのように思えます。その上、頭が痛いことに、こうした科名を種の和名の語幹とすると、どんどん和名が長くなってゆきます。コゲチャトゲフチオオウスバカミキリとかオガサワラチビヒョウタンヒゲナガゾウムシ、ホンシュウオオイチモンジシマゲンゴロウのような長い名前はできれば避けたい。何とかしたいところです。

キリギリスの仲間のカヤ「キリ」、ヒメ「ギス」のようにタケウチ「ンボ」とかカンキツ「ガボ」とかって名前にできないものでしょうかね・・・いや、これは冗談。

>写真メスのほうの産卵管らしいものは、とがっているのとそうでないのがあります
産卵管の先に何かくっついていませんか?毒ビンの中で産卵し、卵を産卵管にはさんだまま標本になるなんてこともよくあります。

Re: これはガガンボでしょうか 投稿者: 投稿日:2008/02/11(Mon) 00:26:45 No.4248 ホームページ  引用 
達磨さん、ありがとうございます。
>産卵管の先に何かくっついていませんか?毒ビンの中で産卵し、卵を産卵管にはさんだまま標本になるなんてこともよくあります。

いま、走っている時の動画を確認しましたが、雪上で見たときからすでに膨らんで(くっついて?)います。

Re: これはガガンボでしょうか 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/16(Sat) 13:20:28 No.4292  引用 
おーやぎさんから標本を送っていただいて,雌の腹の先を顕微鏡でみたところ,膨らんでいる個体は,どういう原因か分りませんが,羽化の時の蛹の産卵管のクチクラが折れて,成虫の産卵管の先に付着したままになっていたようです.雌はそれでも産卵しようとしたのか,産卵管の間に1個の卵が挟まれていました.恐らく羽化したときに産卵管の部分が蛹殻から抜けないので,腹部全体の蛹殻を成虫の腹部につけたまま(頭部や胸部は先に脱げるので)走っているうちに,密着している産卵管の先の脱皮殻だけが成虫の産卵管についてままで,他の部分が破れて落ちたのではないかと,そのいきさつを推定しています.

時々腹の先に蛹の脱皮殻をつけたオドリバエなどが採集されることがあります.今回のガガンボダマシも羽化後は同じような状態だったのでしょう.

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] [15] [16] [17] [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] [28] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] [45] [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59] [60] [61] [62] [63] [64] [65] [66] [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] [75] [76] [77] [78] [79] [80] [81] [82] [83] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92] [93] [94] [95] [96] [97] [98] [99] [100] [101] [102] [103] [104] [105] [106] [107] [108] [109] [110] [111] [112] [113] [114] [115] [116] [117] [118] [119] [120] [121] [122] [123] [124] [125] [126] [127] [128] [129] [130] [131] [132] [133] [134] [135] [136] [137] [138] [139] [140] [141] [142] [143] [144] [145] [146] [147] [148] [149] [150] [151] [152] [153] [154] [155] [156] [157] [158] [159] [160] [161] [162] [163] [164] [165] [166] [167] [168] [169] [170] [171] [172] [173] [174] [175] [176] [177] [178] [179] [180] [181] [182] [183] [184] [185] [186] [187] [188] [189] [190] [191] [192] [193] [194] [195] [196] [197] [198] [199] [200] [201] [202] [203] [204] [205] [206] [207] [208] [209] [210] [211] [212] [213] [214] [215] [216] [217] [218] [219]

処理 記事No 暗証キー

- Joyful Note -
- Antispam Version -