Hilara echinata Freyはミャンマーの東北部のKambaitiの材料に基づいて記載された種です.ミャンマーから中国,沿海州,朝鮮半島,日本と分布していまして,徐々に形態変化をおこしています.日本産をFrey自身がechinataに同定していますので,当面日本産を記録する場合はHilara echinata Frey (sensu Frey)とされたら良いと思います.
本種は水面で餌を捕るのを観察したことがありません.この点は本種について最も生態的に興味あるところです.群飛は渓流近くの地上50cm以下の林道や小径で直線水平往復運動をし,飛跡は1m弱です.ちゃんと求愛餌を確かめると♂の狩猟行動がわかるかもしれません.学名の種名にあるように後腿節腹面に強い棘が列生していまして,これは水面捕獲性のHilaraにはあまり見られない形質で,むしろ空中捕獲性のRhamphomyiaやEmpisに見られる形態です.この辺に生態のヒントがあると思います.
アノニモミイア様.
オドリバエ3種についてコメントを頂きありがとうございます. 毎回,種毎に生態のコメントが付くことも驚きです. 採集時にサンプルを分けて持ち帰っているのでしょうか?
Hello, I am a student who is interested in dance flies. I would really appreciate it if you could let me know if you have a Japanese Hilara paper related to this species
トゲアシミナモオドリバエ
Dear Lee,
The following literature is available on the genus Hilara from Japan. Frey, R. 1952. Studien uber ostasiatische Hilara-Arten, (Diptera, Empididae). Not. Entomol., 32:119-143. Frey, R. 1955. Studien über Ostasiatische Dipteren IV. Hilara Meig. (Suppl.), Empis L. (Suppl.), Platypalpus Macq. Not. Entomol., 35:1-14. Saigusa, T.1963.Three new species of the genus Hilara from Japan (Diptera, Empididae). Sieboldia acta biologica,3:177-181. Saigusa, T. 2008. Empididae, pp.405-434, Pl.133-136.In: Hirashima,Y.and Morimoto, K.(eds.) Iconographia insectorum Japonicorum colore naturali edita. Vol.III. Hokuryukan, Tokyo.(in Japanese). Saigusa, T. 2014. Family Empididae, pp.408-432. In: Nakamura T, Saigusa T, and Suwa M (eds.), Catalogue of the Insects of Japan, Volume 8. The Entomological Society of Japan, Fukuoka. Saigusa, T. 2018. Empididae, pp.1479-1556. Aquatic insects of Japan : manual with keys and illustrations Ed.2. Tokai University Press. (in Japanese).
Dear Ichige,
I'm sorry for the late reply. The information you told me was very helpful. I wish you all the best. Thank you very much. トゲアシミナモオドリバエ |
久保田様.
ヒメガガンボ科のDicranomyiaナミヒメガガンボ属に 似たような斑紋を持つ種類がいくつか知られており, ナミヒメガガンボ属の仲間である可能性が高いと思います.
市毛様、ありがとうございました。
D. takeuchiiは本サイトで見ていましたが、脚の色が異なり翅の模様も異なりました。 今回は翅が閉じた写真だけでしたので、これ以上は無理だと思います。 ガガンボの仲間は難しいですね。
久保田様.
日本昆虫目録(2014)では広義のガガンボ科で,89属728種となってますが,この2倍から3倍の種類が日本に分布すると予想されています. 実際,2022年にも4属が日本初記録として報告されています. Kato, D. 2022. Four genera of Limoniidae (Diptera) new to Japan with descriptions of new species. Zootaxa 5168: 401-418. 原記載等で細かく記述されていないと,アマチュアには判断が難しいグループが多いです. |
久保田 様
ヒメガガンボ科の Rhipidia maculata ハマダラクロヒメガガンボかその近縁種の可能性が高いと思われます.
市毛様、ありがとうございました。
一寸のハエの過去ログNo.8047(2013年)に似た写真がありました。ただし、腿節の長さが異なります。 http://diptera.jp/usr/local/bin/perl/dipbbs/img/8047.jpg そこでは、「Limonia (Rhipidia) leconteiマダラクロヒメガガンボ = Limonia (Rhipidia) maculataとなっています.」という記載がありました。 今回はマダラクロヒメではなくハマダラクロヒメとなっていますが、同じでしょうか。
久保田 様.
腿節の長さが異なって見える点は,止まり方の問題と思われます. 日本産昆虫総目録(1990)や原色昆虫大図鑑(1965, 北隆館)では,Limonia(Rhipidia) lecontei マダラクロヒメガガンボとなっていましたが, 昆虫日本昆虫目録(2014)や新訂原色昆虫大圖鑑(2008, 北隆館)では,Rhipidia maculata ハマダラクロヒメガガンボと変わったようです.
市毛様、ありがとうございました。
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皆様こんにちは。久しぶりにまたお世話になります。
2022年8月中旬 タヌキの溜めフンに集まる虫の中に、見慣れない微小なハエを見つけました。体表には金属光沢があり、透明な翅には黒い縁紋が2つあります。 その翅紋を誇示するように休み無く翅を開閉しながらフンを吸汁していました。 獣フン上で獲物を待ち伏せするハネカクシ類に襲われても、このハエは素早く逃げ回ります。 現場は山形県南部(置賜地方)の里山の細い山道(標高約540m地点)で、周囲は二次林です。 このハエの名前(せめて科名だけでも)を知りたいので、どなたかお分かりでしたらご教示願います。
写真をもう1枚貼ります。
手旗信号のように翅を振る様子を動画で接写しましたので、よろしければご覧ください。 この思わせぶりな行動には一体どういう意味があるのでしょうね? 動画のURLを投稿しようとしてもスパムとしてブロックされてしまうようです。 https://youtu.be/cO31dcfxNP4
しぐま様.
Ulidiidaeハネフリバエ科のEuxesta属の1種です.
茨城@市毛様、どうもありがとうございました。
とても助かりました。 その名もズバリ、ハネフリバエ科というのがいるのですね。 ここで以前、ハネフリバエ科の別種を教えてもらったのに、すっかり忘れていました。 |
こんにちは。虫キョロリスです。
写真のヤドリバエを、2022年8月28日に、福井県の自宅にて採集しました。 とっても美麗な種で、捕まえた時、感動しました。 旧北区マニュアルの検索表を使って調べたところ、意外にもDrino属になりました。 こんな色彩のDrinoがいるのか?!と驚くと同時に、 おおよその体型などからは、確かにDrinoの雰囲気が感じられるな、と思いました。 しかし、このような色のDrinoは今まで見聞きしたことがなかったので、 本当にDrinoかどうかと疑問には思いました。 そこで、「中国蝿類」に載っているDrinoの検索表を使ってみました。 すると、D. flavaという種類に落ちました。 (今回の個体はメスだったので、couplet9の次は、10と14の両方に行く可能性が考えられます。ただし、14の方に進むと該当種が存在しないため、結局10に進みました。)
D. flavaのところには、
「腹部は黄色。第三、四背板の中央1/4-1/3は、長方形あるいは台形の黒斑を有す。第四背板後縁1/4と第五背板全体は黒色。腹部全体は灰白色の粉を被る。第三背板の後縁は、黒色の部分を持たない。」 という趣旨の説明が書いてあり、まさに、自分の捕まえた個体と一致する!と思いました。 ただ、Drinoにしては異形な色彩をしているとはいえ、 中国蝿類に載ってない種類で、他にこんな感じの模様のがいる可能性も考えられますし…。 残念ながら、今回の個体はメスのため、交尾器を見るわけにもいかず…。 もし、有用な情報を持ってる方がいらっしゃったら、教えていただきたいです!!
虫キョロリス様
写真の種は採集した事が無く,博物館の収蔵標本を見かけましたが,まだきちんと調べていません. 日本産Drino 属の種名が確定したものは,Mesnil (1949) に出てきます. (フランス語で少し読みにくい) この中の亜属,Drino, Prosturmia (現在ではPalexorista), Zygobothria が現在のDrino 属の範囲になります. https://biblio.naturalsciences.be/rbins-publications/bulletin-of-the-royal-belgian-institute-of-natural-sciences/bulletin-of-the-royal-belgian-institute-of-natural-sciences-1949-1970/25-1949/irscnb_p4087_01013bp_25_bulletin-42.pdf しかし2016年に埼玉県から不明種が5種報告され,もっと研究が進む必要があるようです. 自分自身の採集個体も,ソーティングをしてストップしています.
大宮様、今回もありがとうございます!
>写真の種は採集した事が無く,博物館の収蔵標本を見かけましたが,まだきちんと調べていません. そうですか...ちなみに、その収蔵標本があった博物館って、どこですか? 少し気になりました。 >日本産Drino 属の種名が確定したものは,Mesnil (1949) に出てきます. この文献のことは全然知りませんでした。 確かに、フランス語で読むのが大変そうですが(汗)、今週末あたり、じっくり読んでみようと思います。 >しかし2016年に埼玉県から不明種が5種報告され,もっと研究が進む必要があるようです. そうですよね、Drinoは難しいですよね。未記載種がわんさかいそうです...
標本を見たのは大阪市立自然史博物館です.
ヤドリバエはごく一部を除いて同定されていません. 最近自分が整理を始めたばかりの状態です.
大宮様
>標本を見たのは大阪市立自然史博物館です.ヤドリバエはごく一部を除いて同定されていません.最近自分が整理を始めたばかりの状態です. そうでしたか!大阪市立自然史博物館には、まだまだ未同定の標本がたくさんあるという話は、以前聞いたことがあります! 標本の整理、頑張ってください! 僕も、将来、標本を見に行きたいものです。 それと、フランス語の文献、先ほど、読んでみました。今回の種類は、やはり、この検索表に載ってない種類の可能性が高そうですね。 というか、この個体、今見ていたら、はっきりと中脚脛節に、4 本のanterodorsal setaeがありますね... とすると、中国蝿類のD. flavaの説明とは一致しない(?)。 複眼が裸なのでcouplet11からcouplet12に進んでましたが、よく見ると、複眼の説明の後にある脛節剛毛の記述を勝手に勘違いしてしまってました。 これじゃ、couplet12には進めないですね... とすると、D. flavaじゃない(?)可能性がありますね。 うーん、難しいです...
虫キョロリスさま
フランス語との格闘おつかれさまです. 例えば腹部の粉の範囲の記述などは文章と現物を照らし合わせるのが難しいと思います. 剛毛も寝ていると分かりにくいですよね. たくさんの標本を見ると勉強になるので,博物館にいつか来られるといいですね. 少しずつ整理を進めておきますね. |
双翅目では画像が無いようですが,基産地の地図が表示されます.
https://animal.depo.msu.ru/?d=a |
Search the Department of Entomology Collections
例) Eristalis oculariusのType画像 http://n2t.net/ark:/65665/310d438e3-92cd-44a8-ae16-5f0a1d47df21 リンクが完全ではありませんが,その他色々とあります. |
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