タマバエ科であることは間違いないのですが、重要な形質である付節の基部の状態が写真ではやや不明瞭です。しかし、3枚目の写真の左後脚の付節基部をよく見ると、付節幅の3倍くらいの部分でくびれないし色調の差が生じているように見えます。おそらくこの部分が第1付小節と第2付小節の分節部と思われます。そうであれば、写真の種は日本産タマバエ科の3亜科のうちのLestremiinaeではありません。残りはPorricondylinaeとCecidomyiinaeです。翅脈の状態から判断するとPorricondylinaeでしょうが、属までは画像だけでは判断できません。
タマバエ科の多くは触角鞭節の各小節がこのように変形して、多様な形状の刺毛を生じます。写真の種のように、各小節の基半部が太く、先が細く円筒状になる傾向は、クロキノコバエ科SciaridaeのZygoneura属などでも起こりますので、この特徴だけでタマバエ科と判断するのは早計ですが、多くはこの特徴でタマバエと推定して間違いないでしょう。
アノニモミイアさん
お忙しい中、大変ありがとうございます。 これを見たのは例の洞窟です。紛れ込んできたのでしょうね。 それにしても面白い触角をしていますね。撮影時は「あ、触角が長い」ぐらいにしか見えませんでしたが、PCで拡大して初めてこのような形状であることがわかりました。 |
ご推察の通りシマバエ科のTrigonometopusかその近縁属の種です。これに関しては本掲示板のNo. 5103でアーチャーンさんが「Trigonometopusの1種?}という投稿があり、このスレッドをご覧になると参考になるかと思います。
アノニモミイアさん
ここのバックナンバーを手がかりに少しずつ特徴的な種の、科までの見当をつけてみています。 まだまだまったく何の類かがわからないハエ目が山積しています。 お忙しい中、ありがとうございます。また、忙しくなる材料を放り込んでいます(笑)。 |
![]() ドロバチに寄生するハエについてお尋ねします。 この夏、借坑性の蜂を観察するために竹筒トラップを2束仕掛けました。(里山の麓@山形県) 8月上旬、泥で封じられた一本を割ってみました。 独房内に蜂の子や貯食物は残っておらず寄生虫の蛹が数個転がっているだけでした。 同じ頃、隣の竹筒束ではオオフタオビドロバチの営巣活動を直接観察していますので、寄主はおそらくこれだろうと思っています。
ドロバチヤドリニクバエですかね?
http://www.ffpri.affrc.go.jp/labs/seibut/bamboohymeno/species/amobia-distorta/0001.html ![]() ちなみにAmobia属は、他のヤドリニクバエ類に比べて、頭の形が丸っこいのと、額の幅が狭くて、細くて短めの眼縁剛毛が列生しているのが特徴的です。Kurahashi(1970)に頭部の図があります。CiNiiで閲覧できますので、ご覧になってみるとよいでしょう。 Kurahashi Miltogramminae をキーに検索するとその論文がヒットします。 なお、ドロバチヤドリニクバエの学名について、 T. Pape氏の説に従えば Amobia distorta (Allen, 1926) は Amobia oculata (Zetterstedt, 1844) のシノニムということなので、現行では A. oculata ってことになります。
猫又さん
とても丁寧に解説していただきましてありがとうございます。 交尾器を自分で調べるスキルは未だありませんが、どうやらドロバチヤドリニクバエで良さそうですね。 今回、羽化直後の成虫が翅を延ばす様子を観察することが出来ました。 気になったのは、頭頂部で風船のような膨らみが脈動していた点です。 本で調べたらこれを使って蛹の殻を中から割り、更にはドロバチの巣も破るのだそうですね。 一見弱々しいハエにそんな力があるとは俄には信じがたいですけど、ツリアブの仲間とはまた違った脱出戦略に感動しました。 蜂の泥巣に寄生するヤドリバエやツリアブの生き様はまるで密室殺人の鮮やかな完全犯罪トリックのようで、とても面白いです。 |
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