ご無沙汰しております。
シマバエ科を調べてみようと標本を一箱に集めてみたのですが、文献が散発的でなかなか種が決定できません。 その過程でネット上の文献を見つけたので貼っておきます。 http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010813734 これで兵庫県が1種増。 ついでに東京のTKM未記録種もひとつ。
Arge様、御無沙汰してます。東京都の記録をご紹介いただきありがとうございます。こういう文献はなかなか気づかないので助かります。
Okadome, T.,2011,Genus Itomyia and a new species from Japan (Diptera, Lauxaniidae), Scientific reports of the Faculty of Agriculture, Meijo University,(47):1-4 東京からはItomyia atrifronsという種が記録されました。 東京都本土部の双翅目は現在1454種で埼玉県昆虫誌を越えました。(昆虫全体で10087種) 今後ともご協力をお願いいたします。 |
皆様
初めて投稿させていただきます。 京都市で採集したキノコ食の双翅類についてご教示お願いします。 Manual of Nearctic Dipteraを調べたところ キノコバエ科のDitomyia属へたどり着きましたが自信がありません。 この掲示板でも以前にDitomyia属についてのスレッドが あったようですが、成虫の見た目はだいぶ違うように思えます。 写真の固体は2012年8月5日に採集したクジラタケから 8月24日に羽化した固体です。
TK様.
ヤマトケヅメカ Asioditomyia japonicaかそれにかなり近い種類だと思います. 参考としては下記の論文があります. http://www.ffpri.affrc.go.jp/pubs/bulletin/419/documents/419-4.pdf
このキノコバエはAsioditomyia japonica (Sasakawa)の♀でしょう。この属はDitomyia属に比べて口器がかなり退化し,小腮鬚はたった1節になっていますので,標本でこの点も確認してください。もし,1節なら確実にAsioditomyiaです。
茨城@市毛さま
参考文献ありがとうございます。referencesも含めて大変参考になりました。 三枝さま ありがとうございます。小腮鬚を観察したところ1節からなるようです。Asioditomyiaで間違いなさそうです。
雄交尾器の形態からみてもAsioditomyia japonicaの可能性が高いと思います。ひとまず本種の交尾器の図を載せておきます。ただgonostylusの形状や小腮鬚の形状にやや疑問が残りますので,もし幼虫や蛹も含めて余分の材料があればお送りくりいただければ,こちらで比較材料と検討します。
なお,Asioditomyia属は日本のほかに,ネパールヒマラヤ,ミャンマー,中国,台湾からの標本を持っていまして,これらはいずれもA. japonicaにかなり類似したもので,たとえjaponicaとは別種であっても異所的な種分化をしたものと思われます。一方スラウェシの高地に分布するCelebesomyia inocellata Saigusa, 1973は上記のような東アジアに分布するAsioditomyiaの祖先種がスラウェシに侵入して特化したものと思われます。種小名の通りキノコバエ類としては例外的に単眼をまったく失った種です。ボルネオやマレー半島などにもおそらくこの仲間が生息すると思われますが,まだ材料が得られていません。 |
最初の個体はRhamphomyia (Calorhamphomyia) formidabilis Frey, 1951の♂です。
2番目の個体は私が越佐昆虫同好会会報50号慶祝論文集の「新潟県の昆虫」に出した「馬場博士採集の新潟県のオドリバエ科」の185ページに,Rhamphomyia (Calorhamphomyia) sp. 4 (complicans 種群)として記録してある未記載種です。本種は本州のほぼ全域に分布し,R. (C.) complicansと同所的で,これより約一か月早く成虫が発生する種です。♂交尾器の第7腹節腹板に生じる突起の形状などにcomplicansとの相違がみられます。新訂原色昆虫大図鑑第3巻にcomplicansの交尾器の写真を出していますので比較されるとよろしいかと思います。
三枝先生.
早速, 新訂原色昆虫大図鑑第3巻で交尾器を比較して違いがよく分かりました. とても分かりやすく教えて頂き,ありがとうございました. |
今年もよろしくお願いします。
このハナバエ科は去年オスを4匹採集しました。 2013年5月24日に1匹、8月2日に2匹、11月22日に1匹、 場所はいずれも岐阜県海津市南濃町です。 体長は6-9[mm]とばらつきがあります。 現地で見た時の印象は、大きめのものでは白っぽく長めに見え、違う種類かもしれないと思っていました。 背の低い植生の上や落ちた枝の上にいて、地面に近い比較的低い所でした。
最初に見たのはSuwa (1974)、Anthomyiidae of Japan ですが、
Pegoplata 属になりました。 種の検索はここでは2種だけで、この段階ではP. virginea になりました。 図は171ページにP. palposa しかありません。 図を探そうと思って中国蝿類を見ましたが、virginea を探していてその名前では載っていません。 後でjuvenilis の名前で766ページに載っている事が分かりました。 中国経済昆虫誌の花蝿科にはありました。 273ページの図877-879です。 この本は図がたくさんあり、表紙の紙質は簡単なものでとても安かったです。 600円のところを半額セールで買いました。
ハナバエ科の交尾器もやはりそれぞれ特徴のある形をしているようです。
今度は種類が増えていないか、Suwa (1999)、JAPANESE RECORDS OF ANTHOMYIID FILES を見ました。 Pegoplata属は5種になっていました。 fukushii は1990年に記載され、他も調べるとその後2011年にplicatura のシノニムになっています。両方に図があります。 nigroscutellata はNupedia 属から移動してきています。最初に見た文献に図がありました。 palposa はそのままです。 infirma の文献はSuwa, 1983a で、Supplementary notes on the family Anthomyiidae of Japan (Diptera), II.です。 このシリーズはII以外はCiNiiで出てきますが、これだけは収録されているのがAkitu new series で、 収蔵図書館に利用者登録をすれば複写依頼ができるようですが、そこまではしていません。 問題のvirginea はjuvenilis のシノニムになっています。出典は、 Oku et aI., 1989: 245; Fukushi, 1990: 55; Mitsui, 1993: 19. と並んでいます。 和賀岳自然環境保全地域調査報告書、 東京都大田区および埼玉県狭山丘陵のハエ類〔ハエ目(双し目)・ハエ亜目(環縫亜目)〕の分布 I、 の二つはJ-GLOBALで複写申込みしようと思えばできるようですが、ストップしています。 juvenilis は「Very common species 」とあるので超普通種のようですが、名前が変わった理由が分かると面白いと思います。 しかしこれらの文献の中に書いてあるとは限らないとも思います。 日本産昆虫目録データベースではvirginea にミヤマハナバエの和名がついています。 シノニムにいろいろ種類があるのを熟知していませんが、 それまで日本にjuvenilis がいるとはいわれていなくて、シノニムの処理がなされた後にvirginea が残っていない場合、 juvenilis をミヤマハナバエと呼ぶと考えてよいでしょうか。 変更の理由が分かった上でならだいぶ違うと思いますが、無理があると思いながらも、よろしくお願いします。
交尾器を開こうとしてとれてしまった標本があったので、こりずに台所用漂白剤に入れてみました。
第5腹板は壊れました。 hypandrium など隠れている部分が少し見えるようになりました。 乾燥標本にしようと思った時に場合によってはpregonite やpostgonite も見にくい場合があるので、 複数採集できた時は解離処理するのもいいと思いました。 乳酸ならネット通販でも入手できるようなので将来的にはそれで練習してやってみたいと思います。 うまくいったら投稿したいと思います。
大宮様.
Systema Dipteroroum http://www.diptera.org/index.php で調べると,Statusは両種共に有効名となっているので,Suwaが1974年に旧北区に分布するP. virgineaとしたものが,研究が進んで全北区に分布するP. juvenilisであったことが判明したという経緯と思われます. シノミニックリスト(synonymic list)に,ずばりauthers, misident.(誤同定)と書いてあると解りやすいのですが(^_^;) ここら辺は,多数の文献を見ていないと解り辛い話です.
茨城@市毛様
コメントありがとうございます。Systema Dipterorum を見れば、完全に無効になったかどうかを知ることができるのですね。 「(Available, Valid) Changed Combination」になっています。 両方とも有効で利用可能という事は、統合とか先取権とかいう事ではなくて、あくまでも日本に分布しているものがどちらに属するかという事なのでしょうね。 専門の方が誤同定されるという事は両種が似ているのかもしれません。 本当のvirginea がどういうものか少し気になりますが、確かめるのは簡単ではないと思います。 中国でも、中国経済昆虫誌は1988年で、1994年の中国蝿類ではvirginea は消えてjuvenilis になっています。 近場にいるのはjuvenilis だろうと考えておこうと思います。 なかなか奥が深いようです。 ありがとうございました。 |
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