あなたが撮影した昆虫は、ハエ、カ、アブなどの分類される双翅目(ハエ目)の中のアブ類(直縫短角類)に属するシギアブ科の一種です。シギアブは、鳥のシギ(鴫、鷸)のように長い脚をもっていることに由来した名前です。シギアブ科の中でもキアシキンシギアブなどが含まれるChrysopilus属(ギリシャ語由来のchryso金+pilus毛)キンシギアブ属の一種です。
この仲間は幼虫が地中や朽木の中に棲んでいて、ほかの昆虫などを捕食します。成虫になると多くの種は餌を摂らないようですが、ごく少数の者はアブ科とおなじように吸血します。 アブも含めてハエ類も、あなたが撮影したシギアブと同じようにあるいはそれ以上に体の形、体や翅の色彩や斑紋、体に生えている毛、脚の形など多様なものです。双翅目は体が小さくあまり目立たないので一般に方々は気付かないのですが、甲虫類や蝶蛾よりも多様な昆虫の仲間です。
アノニモミアさん、丁寧に説明して下さりありがとうございます。
シギアブの存在を初めて知りました。 また成虫になると餌を摂らない種が多い、とか非常に興味を持ちました。 ありがとうございました。 |
先日,京都のO氏より双翅学会の「まくなぎ」の新刊が届いたとの話を伺いました.
双翅学会が新体制で再開したとの話は伺っていましたが,入会方法や連絡先等がわかりません. 御存知の方がおりましたら,御教授願い致します.
私が事務局(庶務)を担当しています。
後日、必要事項をご連絡します。 市毛さん以外の方々からもご連絡をお待ちしています。 |
旧サイトの方にアップしてあった三枝先生のオドリバエ科の絵解き検索を新サイトの方に移植しました。
http://diptera.jp/fly/dl/etoki-empididae.pdf です。 なんとか旧サイトの異常アクセスの影響外に置けましたので、ご安心ください。 あとそれから、最近はすごい時代になったもんだなとつくづく思いますが、Entomological Society of Canada のサイトの方で Manual of Nearctic Diptera.のシリーズがPDF公開されてますね。驚きました。 |
達磨大師が紹介すべきことですが、僭越ながら第一報をお先に。日本産の種などについて更に詳しい情報が彼から出ることを期待しておきます。
今日、アメリカのアイオワ州立大学のPetersenらのガガンボ上科についての系統、分類の論文が送られてきました。ガガンボ上科は最近4科に分類される傾向がありますが(北隆館の新訂原色昆虫大図鑑第3巻)、これとはまた別の分類体系が示されて、ヒメガガンボ科やなんとシリブトガガンボ科までガガンボ科に統合され、ガガンボ上科はガガンボ科とオビヒメガガンボ科の2科に分類されています。そして、ガガンボ科の中には多数の亜科が設けられています。シリブトガガンボ科はいわゆるヒメガガンボ類よりTipulaなどの真正ガガンボ類に最も近縁であるとされています。 もちろんこれが最終的なものではないでしょうし、今後の変更も起こるでしょうが、一先ず、形態(全ステイジ)と分子のデータを組み合わせた結果だそうです。 なお、原文をご覧になりたい方は私や達磨大師に申し込まれればこの論文のpdfをメール貼付で送ることが出来るでしょう。ファイルが大きいのでここには貼付できません(私や達磨大師の連絡先はハエ男さんに尋ねると教えてくれるかもしれません)。
三枝先生。Mattからのメール、まだ開いておりませんでした。面目次第も御座いません。科の扱いがしょっちゅう変わると混乱の元なのでもともとの広義のガガンボ科一つとするあつかいが一番落ち着きがいいように個人的には思います。この場合、亜科の扱いで混乱することになりますが。
Pediciidaeが外れて、Tipulidae(狭義の)とCylindrotomidaeが近縁というのは腑に落ちます。 PDFがお入用の方はご連絡ください。
論文を概観しました。現在のLimoniidaeヒメガガンボ科で亜科と扱われているLimnophilinaeがLimnophilinaeとEpiphragminaeに、ChioneinaeがChioneinaeとEriopterinaeに分けられています。ただそれぞれのまとまりは過去にも族などとして指摘されたことがあるので、属のまとまりを再認識してそれぞれ並記した形になり、結局のところ系統関係はよくわからないままでした。これまで側系統群と考えられていたLimoniidaeヒメガガンボ科を単系統と考えられるグループに分割し、Tipulidaeガガンボ科という大きな傘の下におさめたということのようです。
さらに、過去に族の所属が変更されたことがあるなどの問題の属Dicranoptycha, Atarba, Helius, Elephantomyiaがそれぞれ独立に示されていて、やっぱり難しいグループなんだなと感じました。 |
連続で恐縮ですが、また、複眼の緑が綺麗なハエがいました。
体長5mmで、茨城の県南でフキの葉の上でうろうろしていました。 体長、翅の模様などからは、タンポポハマダラミバエと思われます。問題は中胸盾板のやや細い3本の筋模様などですが、図鑑では、明確には記載されていません。 しかしながら、クサギハマダラミバエははっきりした4本の黒条だけ(みんなで作る双翅目図鑑)ですし、市田忠夫さんも関係している「あおもり昆虫記」のタンポポハマダラミバエも拡大すると筋模様が入っているように見えます。 タンポポハマダラミバエでよいでしょうか、それとも、未知の種なのでしょうか?また、尾部の形状からこの個体は雄なのでしょうか? よろしくご教示のほどお願いします。
手持ちの資料によると、タンポポハマダラの場合は胸背は全体的に褐色とあるので、タンポポには?がつきます。
翅の向きが微妙なので紋の詳細な検討は出来ないのですが、胸部を拡大して確認できる紋からすると、タテジマハマダラミバエかシラホシハマダラミバエになるのではないでしょうか。 とりあえずタテジマハマダラミバエに一票入れておきます。
ハエ男さま レスありがとうございました。
翅の写真を添付します。 なお、タテジマハマダラミバエ及びシラホシハマダラミバエについては、以下の写真から、絵合わせですが、該当しないのではないかと考たところです。 タテジマハマダラミバエ♂ については、 Kazu’s Digital Insects Photo Gallery 「moth2001.hp.infoseek.co.jp/5-48.html」 シラホシハマダラミバエについては、あおもり昆虫記の「www.toonippo.co.jp/photo_studio/insects/abu_hae/abu_hae_ka/pic101.html」
翅の模様だけを見ると、タンポポかタラノキハマダラミバエのように見えますね。
ただ、胸部の拡大画像を見る限り、タテジマとせざるを得ません。 同定する側としては、文献を参考にせざるをえませんので、悩んでしまいますね。やはり、胸部、翅の紋、頭部の剛毛配列、♂ゲニ等を総合的に判断するよりほかにはなさそうですね。 個体変異や近縁種のハイブリッド、未記載種、未記録種などの可能性もゼロではないだけに、外見だけの画像で掲示板で断言するのは、少し考えてしまいますね。
タンポポマダラミバエHelmilea infuscata Hering, 1937についての伊藤修四郎先生のミバエ科の総説を貼付しておきます。胸部背面の縦筋の記載があなたの写真の個体とは異なる点が気にはなります。
添付:6328.pdf (29KB)
翅の図です。
Lenitovenaの2種の記載や翅の図も伊藤修四郎先生の総説についていますが、写真の種とは全く異なっています。これらの種では触角刺毛の上下(背腹)にかなり長めの分岐が多数生じていますが、タンポポマダラミバエでは触角刺毛はほとんど裸です。Parahypenidium polyfasciataクサギマダラミバエやPseudhemilea longistigmaタラノキハマダラミバエもタンポポに類似した翅斑をあらわしているようですね。 添付:6330.pdf (15KB)
ハエ男さま、三枝先生 ありがとうございました。
学問的には、見た目ではなく、文献などを参考に、しっかり確認しなければならないことが、なんとなく分かりました。厳しいものですね。 さて、添付していただいた図(頭部及び翅)については、この個体についても確認できるようです。特に、下額眼縁剛毛については、どれだか良くわからなかったのですが、3対、後向きであることが確認できました。 ドイツ語の解説のほうはお手上げなのですが、肩から翅の付け根まで淡い黄色、肢は明るい黄褐色などは同じようですが、中胸盾板については、鮮やかな赤黄色とはいえても、2対の縦の打ち跡?などは分かりません。何か模様があるようなのですが、この記載では4本の模様のように読めます(訳があっているのか不明)? タラノキハマダラミバエは、大きさや翅の模様なども似ているようですが、中胸盾板前端から後端に達する1対の暗色条を持つとされているようです(原色昆虫大圖鑑3)。 この綺麗なミバエ科の類も、名前までは、なかなかつかないようですが、色々ご教示ありがとうございました。
ちなみに参考にされていたサイトのKazu’s Digital Insects Photo Galleryのタテジマハマダラミバエとされている画像の個体はキバラハマダラミバエの誤同定だと思います。
シラホシハマダラミバエの方については大丈夫だと思います。 画像に種名をつけて公開しているサイトの場合、同定者名がわからないサイトや同定につかった文献または根拠がわからないサイト( 特に個人でいろいろな目を幅広く掲載しているサイト)の場合を参考にする場合は注意が必要です。
ハエ男さま
なんにでも興味があるほうですので、耳が痛いです。 これまで以上に注意をしていきたいと思います。
こんにちは。
このあたりの種を採った つたない経験からしますと、標本になった時に、胸部背面の斑紋がすっかり消える種がいます。 たとえば画像は Vidalia sataeに似た翅斑の不明種ですが、この種の胸部背面の斑紋は、標本にすると完全に消失します。 (画像は 針に刺した直後の個体で、まだ斑紋ははっきりしてます) このような、生時だけの斑紋が、どのように記載されているかはわかりませんが、ミバエの場合には注意が必要と思っています。 yamasanaeさんのミバエも標本なった後では斑紋が変化するかもしれません。どうでしょうか? |
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