写真の昆虫は半翅目(カメムシ目)のカイガラムシの仲間の♂の成虫です。おそらくワタフキカイガラムシ科のオオワラジカイガラムシの♂ではないかと思います。この仲間は♀が翅を欠き、寄主植物に口吻を刺したまま固着状態で、体表から蝋状ないし綿状の蝋物質を分泌して、体はこれで覆われていきます。♂も幼虫時代はこのような生活をしていますが、その後蛹化して有翅の成虫に羽化してきます(蛹化といっても、チョウや甲虫のような完全変態群の蛹とは異なります)。後翅が退化しているので双翅目のような外観をしめすので、しばしばこれと間違われます。
オオワラジカイガラムシは主にカシ、クヌギなどの樹幹、大枝などに寄生します。春から初夏にかけて成虫になります。♀成虫はほかのカイガラムシ類とは異なり、かなり移動性があります。 本種の生態の諸相については「福光村昆虫記」で、オオワラジカイガラムシと検索すれば、多数の画像が掲載されています。
アノニモミイアさん、お早うございます。
早速の回答恐れ入ります。 福光村昆虫記・オオワラジカイガラムシで検索、まったく同じような画像を確認することが出来ました。 有難うございました。 |
あなたが撮影した昆虫は、ハエ、カ、アブなどの分類される双翅目(ハエ目)の中のアブ類(直縫短角類)に属するシギアブ科の一種です。シギアブは、鳥のシギ(鴫、鷸)のように長い脚をもっていることに由来した名前です。シギアブ科の中でもキアシキンシギアブなどが含まれるChrysopilus属(ギリシャ語由来のchryso金+pilus毛)キンシギアブ属の一種です。
この仲間は幼虫が地中や朽木の中に棲んでいて、ほかの昆虫などを捕食します。成虫になると多くの種は餌を摂らないようですが、ごく少数の者はアブ科とおなじように吸血します。 アブも含めてハエ類も、あなたが撮影したシギアブと同じようにあるいはそれ以上に体の形、体や翅の色彩や斑紋、体に生えている毛、脚の形など多様なものです。双翅目は体が小さくあまり目立たないので一般に方々は気付かないのですが、甲虫類や蝶蛾よりも多様な昆虫の仲間です。
アノニモミアさん、丁寧に説明して下さりありがとうございます。
シギアブの存在を初めて知りました。 また成虫になると餌を摂らない種が多い、とか非常に興味を持ちました。 ありがとうございました。 |
先日,京都のO氏より双翅学会の「まくなぎ」の新刊が届いたとの話を伺いました.
双翅学会が新体制で再開したとの話は伺っていましたが,入会方法や連絡先等がわかりません. 御存知の方がおりましたら,御教授願い致します.
私が事務局(庶務)を担当しています。
後日、必要事項をご連絡します。 市毛さん以外の方々からもご連絡をお待ちしています。 |
旧サイトの方にアップしてあった三枝先生のオドリバエ科の絵解き検索を新サイトの方に移植しました。
http://diptera.jp/fly/dl/etoki-empididae.pdf です。 なんとか旧サイトの異常アクセスの影響外に置けましたので、ご安心ください。 あとそれから、最近はすごい時代になったもんだなとつくづく思いますが、Entomological Society of Canada のサイトの方で Manual of Nearctic Diptera.のシリーズがPDF公開されてますね。驚きました。 |
達磨大師が紹介すべきことですが、僭越ながら第一報をお先に。日本産の種などについて更に詳しい情報が彼から出ることを期待しておきます。
今日、アメリカのアイオワ州立大学のPetersenらのガガンボ上科についての系統、分類の論文が送られてきました。ガガンボ上科は最近4科に分類される傾向がありますが(北隆館の新訂原色昆虫大図鑑第3巻)、これとはまた別の分類体系が示されて、ヒメガガンボ科やなんとシリブトガガンボ科までガガンボ科に統合され、ガガンボ上科はガガンボ科とオビヒメガガンボ科の2科に分類されています。そして、ガガンボ科の中には多数の亜科が設けられています。シリブトガガンボ科はいわゆるヒメガガンボ類よりTipulaなどの真正ガガンボ類に最も近縁であるとされています。 もちろんこれが最終的なものではないでしょうし、今後の変更も起こるでしょうが、一先ず、形態(全ステイジ)と分子のデータを組み合わせた結果だそうです。 なお、原文をご覧になりたい方は私や達磨大師に申し込まれればこの論文のpdfをメール貼付で送ることが出来るでしょう。ファイルが大きいのでここには貼付できません(私や達磨大師の連絡先はハエ男さんに尋ねると教えてくれるかもしれません)。
三枝先生。Mattからのメール、まだ開いておりませんでした。面目次第も御座いません。科の扱いがしょっちゅう変わると混乱の元なのでもともとの広義のガガンボ科一つとするあつかいが一番落ち着きがいいように個人的には思います。この場合、亜科の扱いで混乱することになりますが。
Pediciidaeが外れて、Tipulidae(狭義の)とCylindrotomidaeが近縁というのは腑に落ちます。 PDFがお入用の方はご連絡ください。
論文を概観しました。現在のLimoniidaeヒメガガンボ科で亜科と扱われているLimnophilinaeがLimnophilinaeとEpiphragminaeに、ChioneinaeがChioneinaeとEriopterinaeに分けられています。ただそれぞれのまとまりは過去にも族などとして指摘されたことがあるので、属のまとまりを再認識してそれぞれ並記した形になり、結局のところ系統関係はよくわからないままでした。これまで側系統群と考えられていたLimoniidaeヒメガガンボ科を単系統と考えられるグループに分割し、Tipulidaeガガンボ科という大きな傘の下におさめたということのようです。
さらに、過去に族の所属が変更されたことがあるなどの問題の属Dicranoptycha, Atarba, Helius, Elephantomyiaがそれぞれ独立に示されていて、やっぱり難しいグループなんだなと感じました。 |
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