サリー 様.
ご推測通りタマバエのような気がしますが,キノコバエ類でも同じような姿勢で止まる種類もいますので,細かな翅脈を見ないと判別できません.
市毛様、お忙しい中お返事して頂きありがとうございました!
翅脈が重要ですね!写真の撮り方にも気をつけてみます。 |
ミッフィー 様
巨大な複眼と翅の翅脈から見ると,カゲロウ目のようにも見えます. 虫ナビのような色々な昆虫を扱っているサイトで聞いてみてください.
お返事ありがとうございます。
他のサイトで調べてみます。 教えていただき、ありがとうございました。 |
こんにちは. 虫キョロリスです. いつもお世話になっております.
先日, 奥多摩の日原へ採集に行きました. 東京とは思えない大自然でした. そこで, 小型の黒いヤドリバエを2個体採集しました. いずれも地表の落ち葉に止まっていました. 残念ながら両個体とも雌でした. なんとなく, これがPhytomypteraなのかなと勝手に思っていたのですが, 家に帰ってから検鏡・同定してみると全然違いました. ものすごく独特な特徴を持ったヤドリバエでした. 独特な特徴としては, 1st aristomereと2nd aristomereが異様に長く, 触角刺毛がジグザグしている点・Parafacial全体に前傾剛毛の列がある点・単眼剛毛が横向きである点・R1脈, R4+5脈, CuA1脈に剛毛が生える点・1+1+1 stplである(3本が横一列に並んでいる)点・postpronotumには2本しか剛毛がない点 などが挙げられます. 早速CMPDで同定したところTriarthria属になりました. 宿主はハサミムシだそうです. 僕はハサミムシ寄生性のヤドリバエと何か縁があるようです… O’Hara(1996) EARWIG PARASITOIDS OF THE GENUS TRIARTHRIA STEPHENS (DIPTERA: TACHINIDAE) IN THE NEW WORLDに本属の既知種4種の検索表がありました. オープンアクセスではなかったですが, 有難いことに 大学の図書館に雑誌Canadian Entomologistが置いてありました! まず, R1, R4+5, CuA1脈の背面 広範囲に剛毛が生えることからT. legeriとT. tienshanensisを除外できます. この2種はR1脈の基部半分とR4+5脈のr-mまでにしか剛毛が生えないそうです. さらに, 本個体はparafacialの下部に強い剛毛があることと翅に模様がないことからT. parvaも除外でき, 最終的に T. setipen・nis (←迷惑投稿としてはねられてしまうので今後このように表記します) に行き着きます.
本種の細かな特徴が載っている論文があまり見つからなかったのですが, 下記サイトのSteven Falk氏の説明を参考にしました.
https://www.flickr.com/photos/63075200@N07/albums/72177720306996745/ 今回の個体の形質は, ここに書いてある特徴とほぼ合致しました. 違ったところとしては, サイトには 雌の額が頭の幅のちょうど半分くらいと書いてありますが, 本個体では0.43倍であったことです. それから, 小盾板の先端剛毛に関しては, 本個体の剛毛が曲がって本来の方向を向いていなかったため, 発散していることを確認できませんでした. しかし, それ以外の部位に関する形質は全て確認できました. (サイトのM脈基部に剛毛...云々 は CuA1脈の間違いと思います. ) ただし, Palpusの色は, 一方の個体が橙色なのに対しもう一方は黒色でした. これは前者が, 昔からT. setipen・nisとされていたもので, 後者が, 昔T. spinipen・nisとされていたものらしいです(van EmdenのRES Handbookを参考にしました). 現在, 後者は前者のシノニムとされています. ということで, 今回の2個体はT. setipen・nisと判断して良さそうに思います. ところで, Triarthria属は日本からの記録がまだないように思います. 特に本種については, もともとヨーロッパが主な原産地で, その後北アメリカに移入したとされています. ヨーロッパや北アメリカでは比較的有名な種のようですが, 東アジアでは今まで極東ロシアからしか記録がないようです. それが不思議です. 僕は奥多摩の標高600m辺りの地点で採集しましたが, ここら辺に急に外国から移入してきたとは考えられません. 前から日本にいたのではないかと思います. しかしここまで特徴的なヤドリバエが見過ごされていることがあるのでしょうか? もしどこかに国内でのTriarthria属の記録が過去にあれば教えていただきたいです. 時間のあるときで大丈夫です. よろしくお願いします.
虫キョロリス 様.
スパムの件は,最初の投稿でURL内の大当たりの数字がフィルターに引っかかったようです. 国内のTriarthria属は,下記の3つの文献で出てきます. 玉木長寿. 1999. 「埼玉県の双翅類」への訂正と追加. 埼玉県昆虫誌 別巻, pp.48-49. 福士 襄. 1990. 青森県と秋田県のヤドリバエ(第2報). 青森県生物学会誌, 27: 41-47. s嶌 洪. 1989. 寄生生活への道〜ヤドリバエの場合〜 3. インセクタリゥム, 26(3): 88-94. 嶌(1989)では,同じ属の別種が本州や九州の産地などに生息していると書かれています.
市毛 様.
早速の返信ありがとうございます. 僕の調べ方が甘かったですね... こんなにたくさんの文献で出てきていたとは... O'Hara(2020)の世界のヤドリバエのリストに日本が生息地に含まれておらず, 日本昆虫目録にも全く載っていなかったので, まだ記録がないのだろうか?と思ってしまいました. というのもヨーロッパに生息するのとは別種の可能性があるのですか... 未記載種で研究が進んでいないのかもしれませんね. T. setipennisとは何が違うんでしょう? 雄を採集して交尾器を比較してみたいものです. 福士(1990)と嶌(1989)は以前Anechuromyiaの件のときにお教えいただいた文献ですね. 今後この辺りの文献も見るようにします. ちなみに, どうやって国内のTriarthria属が書かれた文献をお見つけになったのでしょうか? このような 短報(?)ってとりわけ探しにくく感じます. Googleでいろいろ検索していけば最終的に出てくるものなんでしょうか?それとも, いくつか書いてありそうな文献に目星をつけてその中を探すんでしょうか?もしくは, ワード検索みたいなのでTriarthria属が書かれた文献を一気に絞ることができるんでしょうか? お教えいただけると幸いです.
虫キョロリス 様.
私の文献の管理は, ・全てPDF化して,英語でOCRをしておく. ・Adobe社が提供するPDF iFilterをインストールしておく(これがないとPDFの全文検索が出来ません). ・PDFを配置したフォルダをインデックスのオプション(Windowsサーチ)で指定して,全文のインデックスを自動作成するように設定しておく. ・新しい文献やPDFを入手する度,処理して同フォルダに保存する. あとは,エクスプローラーの検索窓から検索できます. 恐らく,ヒット率は8割程度です(元文献の書体や汚れ等が原因で正しくOCRで文字化されていないため). https://ascii.jp/elem/000/000/938/938533/ Macですと,Spotlightのインデックスで同様の事ができそうです. なお,日本語や中国語・ロシア語の文献でもすべて英語でOCRをかけるのが重要です.特に日本語でOCRした文献内の学名は,従来試した内外10数種類のOCRソフト全てでまともに読み取れていませんでした.
茨城@市毛 様.
文献の管理の仕方について教えていただき本当にありがとうございました. OCR初めて知りました. 英語でOCRをかけるのが重要なんですね! 参考にさせていただきます.
市毛 様
国内の既報をありがとうございます. 虫キョロリス 様 Triarthria いいですね. 自分は岐阜県の3地点で2♂2♀採っています. Canadian Entomologist を見ていませんが,T. tienshanesis の記載論文を見ました. Ziegler,J. 1991. Zwei neue Raupenfliegenarten (Dipt., Tachinidae) aus Usbekistanund faunistische Notizen zu weiteren Arten aus Mittelasien. [Two new tachinid species (Dipt., Tachinidae) from Uzbekistan and faunistic notes on further Central Asian species] Entomologische Nachrichten und Berichte, 35(2): 83-90. (ドイツ語で書かれた中央アジアのヤドリバエ相) https://www.researchgate.net/publication/366019819_Zwei_neue_Raupenfliegenarten_Dipt_Tachinidae_aus_Usbekistanund_faunistische_Notizen_zu_weiteren_Arten_aus_Mittelasien_Two_new_tachinid_species_Dipt_Tachinidae_from_Uzbekistan_and_faunistic_notes_on_fu 既にご覧になったかもしれませんが,旧北区産の3種については,横顔と挟子背面が載っています. 採集した個体はT. setipennis に一番近いように思うものの,尾葉の先端が小さく二股になる点が異なりました. (解剖した個体は博物館へ入れたので,今は手元にありません.) 投稿画像の左側は伊吹山山麓で2020年5月初旬に採ったオス個体です. (脂で黒くなっています) 側顔下方に目立つ剛毛がありますが,それ以外の剛毛はT. setipennis の図よりも弱いようです(写真写りも悪いのですが). 投稿画像の右側はCerretti (2010) I tachinidi della fauna italiana に掲載されたT. setipennis のメスです. 側顔の下方1/3あたりの所に他よりも目立つ剛毛があり,Ziegler (1991) に掲載されたオスの図と似ています. しかし採集したメス個体では,側顔下方の剛毛の強さは隣り合った剛毛とあまり違わず,下へ向かうにつれて徐々に長くなるようです. このあたりが既知種との違いである可能性があります. 大阪自然史博にはTriarthria 属がユニットボックス1つ分くらいあるので,将来研究する材料になると思います.
大宮 様.
返信ありがとうございます. やはりヤドリバエを正確に同定するには, 交尾器を見るのが一番ですね. たしかにZiegler(1991)の図を見ると, T. setipennisの尾葉だけ二股になっていませんね. 日本の種の場合は小さく二股に分かれるのですか... 側顔の剛毛もたしかに異なりますね... 勉強になります. ちなみにCanadian EntomologistのO'Hara(1996)には, あまり詳しい特徴の説明はなかったのですが, その代わりにT. setipennisの交尾器や第五腹板のより細かな図が載っていました. >大阪自然史博にはTriarthria属がユニットボックス1つ分くらいあるので,将来研究する材料になると思います. そんなにたくさんTriarthriaの標本あるんですか! 想像しただけで狂喜乱舞しそうです. |
ちなみに、虫の大きさは、体長1mmぐらいです。
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福岡県小郡市の栗と梅の果樹園で、草刈りされたのり面の水仙の葉に止まっていました。以前(30年前)採れた福岡市東区の住宅地空き区画家庭菜園ののり面でも水仙の葉にとまっているのを採集しました。東区のほうは多産地でしたがアパート建設により消滅しました。以下のサイトの種とよく似ています
https://cjai.biologicalsurvey.ca/articles/sbc-48/#keyEmbed |
tosaka 様.
マルマダラヒロクチバエ Pterogenia sp.2, Kusama et Tamaki,2004 と思われます. Pterogenia sp.2は,台湾から記載されたPterogenia hologaster Hendel, 1914の可能性が高いです.
市毛様
早速のご返答ありがとうございます。 |
5月9日、北区の緑地公園にて小型の双翅類を撮影しました。
ハエの類と思い調べましたが、なかなかわからなかったのですが…ハラキンミズアブ属に近い種がヒットしましたが、いかがでしょうか? よろしくお願いいたします。
小金井虫 様.
ご推測通り,ハラキンミズアブの仲間と思わます.
茨城@市毛様
ありがとうございます! この公園周辺では初記録となりました。 |
4月の双翅目談話会総会では大変お世話になりました。熊澤です。
総会でも紹介させていただきましたが、2024年5月末に書籍『ハエハンドブック』が発売となりますので、こちらでも紹介をさせていただきたく投稿します。 本書では、日本のハエ約400種を白バック写真・原寸大シルエットとともに紹介し、ハエ目の検索の手助けとなる捕まえ方・標本の作り方から参考文献までを掲載しています。ハエ目についてまず知ってみたい・調べる手がかりにしたいという方々にご活用いただければと思います。 ■書誌情報 【書名】ハエハンドブック 【ISBN】978-4-8299-8175-7 【著者】熊澤辰徳 解説、須黒達巳 写真 【本体価格】2,600円 【判型】新書判 176ページ 並製 【発売予定日】2024年5月31日 【発行】文一総合出版 備考:電子版発売予定あり(書籍発売より1ヶ月以内を予定しています) 出版社ページ https://www.bun-ichi.co.jp/tabid/57/pdid/978-4-8299-8175-7/ ■著者紹介 熊澤辰徳(くまざわ・たつのり) 1988年生まれ、神戸育ち。大阪市立自然史博物館 外来研究員。『ニッチェ・ライフ』編集委員長。大学で植物の生態を研究している際、飛んできたハエに関心を持って、卒業後に在野でハエの研究に関わる。著書に『趣味からはじめる昆虫学』(編著、オーム社)、『在野研究ビギナーズ』(分担執筆、明石書店) ■須黒達巳 (すぐろ・たつみ) 1989年生まれ、横浜市育ち。専門はハエトリグモの分類学。慶應義塾幼稚舎にて理科の教諭を務めるかたわら、構内の昆虫・クモ相の調査に取り組む。生物の名前を知ることに強い幸福感を得るタイプで、最近は植物への関心も高まっている。著書に『ハエトリグモハンドブック』(文一総合出版)、『図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?』(ベレ出版)、『世にも美しい瞳 ハエトリグモ』(ナツメ社)。 ■お求め方法 全国の書店・ネット書店等で予約受付中です。 埼玉県の未来屋書店 北戸田店さんでご購入の場合、特典カバーがつきます!(安斉俊さんイラスト) 談話会の方を中心に、多くの方のご協力をいただいたおかげで出版の運びとなりました。改めまして、ご協力いただいた皆様に感謝申し上げます。 |
小川博久 様.
ご推測通り,スイセンハナアブで良いと思われます. 投稿時には,撮影した時期及び場所と大凡の体長を記入するようお願いします.
御教示有難うございます。
体長は、15mm未満。 撮影日は5月9日、場所は栃木県茂木町の里山 |
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