写真の種は同定されたとおり,Rhamphomyia (Calorhamphomyia) longistigma Frey, 1953の雄です.本種は秋田県八幡平黒湯産の2雄に基づいて記載されたものですが,北海道から中部地方にかけて広く冷温帯樹林から寒温帯樹林に亘って棲息しています.北海道では最も普通のRhamphomyiaの一つです.1961年に伊藤修四郎先生がRhamphomyia (Eorhamphomyia) imminuta Ito, 1961を志賀高原から2雄2雌に基づいて記載されています.先生はR harpago(四国から紀伊半島)とR. longistigmaと比較されていますが,longistigmaとの相違点は,脚や腹部の色彩の相違だけです.R. longistigmaは中部地方に向かって淡色部が拡大する傾向がありまして,imminutaはlongistigmaの色彩上の地理的クラインの一つに過ぎません.
|
昨日、調べ物をしていたら"Manual of Diptera of Central America"というタイトルを見つけました。
詳細は、"Thompson, F. C., Rotheray, G. E. & Zumbado, M. In Press. Family Syrphidae. In Brown, B.(ed.), Manual of Diptera of Central America"と書かれているので数年程度で発行されるとものと思います。 中央アメリカも面白そうな昆虫が多数生息しているので、早く眺めて見たいと思います。コスタリカから記録されたビルゲイツハナアブEristalis gatesiも載るはずですね。 |
アノニモミイア様、はじめまして。
双翅目談話会のケンセイと申します。 お役に立つかどうかわかりませんが私の見解を述べさせていただきます。 最初の奴はクシヒゲムシヒキ亜科(Ommatiinae)のOmmatius sp. だと思われます。私も熊本の阿蘇の周辺の調査のときに本種と思われる奴をたくさん採集しました。関東周辺でもたまに採れます。双翅目談話会の同定会の際に春澤さんに聞いたところ、本種のグループは東洋区で繁栄しているグループのため日本の標本だけでの記載は非常に危険であり、東洋区の標本を中心に検討する必要があるため、現状では種名を確定できないとのことでした。 2番目の奴はヒゲボソムシヒキアブ亜科(Stenopogoninae )のサヤノムシヒキ Scylaticus sayano Nagatomi,1983に近似の別種のような気がしますがあまり自信はありません。 なお、ムシヒキアブについては田川さんのウェブサイト http://www3.kcn.ne.jp/~tgw/ でいろいろな画像や情報を得ることができますので、見に行かれたらよろしいかと思います。 ケンセイ@生息地:小平市
ケンセイ様 ムシヒキアブ2種の名称についてご教示有難うございました.ムシヒキアブ図鑑にOmmatius sp.が掲載されているのですが,名称だけで,この仲間が日本でどのようになっているのか全く知らなかったものです.阿蘇でも採集されたとのことで,大変参考になりました.第二の種は脚が全面的に黄色なので,サヤノムシヒキのような感じではあったのですが,図鑑の写真ですと翅が良く見えていないので,どんなものかと思っていました.八重山の種ですし,こちらの標本は翅端が暗色になっていまして,この点が図鑑では分かりにくいところです.採集地でも少ないようで,4年間ほど通った場所ですがこの1頭だけでした.有難うございました.
久しぶりに訪問しました.
ムシヒキアブについての投稿があるとのことでお誘いをいただきましたので、割り込んで申し訳ないですが書き込ませていただきます. 2種目についてですが、これは未記録種です.翅脈の特徴からか埼玉昆虫誌(?)でしたか、それにはOrthogonis sp.と記録されたことがありますが、Orthogonisではないと思います.それ以後長く気になっている種なのですが、なかなか手につきません.一昨年、写真でしか見ていませんが、同種もしくは近似種らしきものが韓国で採集され(♀のみ)、その標本を手に入れたチェコの研究者が新属新種ということで記載しようとしています.♀のみでの記載はやめてほしいとお願いしており、♂が採集されて日本産と比較してから発表されると思います.族の扱いも難しく、Laphriini族の所属にするのかAtomosini族にするのか意見が分かれるほど難解な種です.
tgwさんコメント有難うございました.第二の種は触角の形状からはLaphriinaeかとも思ったのですが,脚が全面的に黄色なのでサヤノムシヒキに外観的に似ていると思った次第です.本種はすでに日本で雄も採集されているのでしょうか.また,Laphriinaeに属することは確実なのでしょうか.ご連絡いただければありがたいです.
以前に四国のAsiniinaeの論文の別刷をいただいたのですが,あるいはお礼の返事をお出ししていなかったかもしれません.とすれば失礼しました.また,あなたの図鑑は大変有用でありがたいです.
アノニモミイア様
もう25年ほどが経つでしょうか.四国産Asilinaeをまとめる際にはムシヒキアブの獲物を同定していただきありがとうございました.大勢の方の協力をいただいてまとめることができました.その後はしばらくムシヒキから遠ざかっていましたが、このところ少しずつですが関わっています. さて、この種の♂は国内で採集されています.私の手元にも四国産と本州産のがいくらかあります.すでにデジカメで撮影をしていますので近いうちにホームページにアップしておきます.(久しく更新していません.お役に立てば幸いです) Atomosini族をAtomosinae亜科と扱う研究者もいますが、Laphriinae亜科でいいと思います. |
市毛さん、こんちは。
黄色っぽくて いいヤチバエですね。 キタヤチバエ属っぽいですが、同定されたら 教えてください。 このあたり、こちらでは なかなか採れないです。
多分キイロキタヤチバエTetanocera arrogans Meigen, 1830ではないでしょうか.「日本産水生昆虫」の末吉昌宏のヤチバエ科の検索表を引いてみてください.
アノニモミイア様、色々なハエについてコメントありがとうございます。
日本産水生昆虫の検索を見ると混乱したのですが、素直にSueyoshi(2001)を見ると、キタヤチバエのようです。 日本産水生昆虫の検索は、属への検索でKey5のpresutural supr-alar setaの有無でつまづきました。文章が逆なんですね。 過去ログを見たらと、この間違いについて猫又さんがコメントしてました。 また、キタヤチバエ属の種への検索で、Key1の「後脚腿節先端に対になる剛毛を2本持つ」でもつまづきました。 Sueyoshi(2001)では、後脚背面前方の剛毛の有無しか問われていないのでキタヤチバエのようです。 相変わらず、アブ科やトビケラの間違いについても正誤表を出していない、東海大学出版には困ります。 特に、案内にミギワバエ科と書いてあったのにも腹が立ちますし、未だにHPにはこのまま載せています。 広告に偽りありで、内容を見た後で即座に返却すれば良かったかな! 消費生活センターにでも苦情を届けます? |
写真のオドリバエはOcydromia属ではなくてSyneches属の種です.OcydromiaやLeptopeza,Leptodromiella,さらにBicellariaなどのいわゆるOcydromiinaeのオドリバエは,口吻が大変短く,この点でSyneches, Hybos, Syndias等のいわゆるHybotinaeのものと区別できます.ただし,Chillcottomyiaや日本から記録されていませんがEuhybus(日本に3種確認)の場合は口吻があまり長くないので,Ocydromiinae的な感じを受けます.
Syneches属は一見Hybos属に似ていますが,後頭部のふくらみを欠き(結果的に頭部は半球状),cell CuA (いわゆるanal cell)が第2基室より短く,雄交尾器が左右相称である,などの点で区別できます. SynechesにはEpiceia,Parahybos, Synechesなどの亜属がみとめられていますが,必ずしも自然群ではありません.しかし,この分類によりますと,今回の写真はR4+5脈とM1脈が先端に向かって接近するので,Epiceia亜属に含まれます. この亜属は日本から,S. grandis Frey, 1953, S. rufitibia Frey, 1953(grabdis rufitibiaとして原記載),S. shirozui Saigusa, 1962,(南西諸島から)S.claripilosus Saigusa, 1964, S. flavipalpis Saigusa, 1964, S. amamiensis Saigusa, 1964が記載されていますが,本土にもまだ数種ほどに未記載種があります.これらのうち,grandis, rufitibia, shirozuiは後腿節がかなり肥大し,下面に強い棘を生じています.Syneches亜属も本土に数種分布していますが,これらはほとんど未記載です. 写真の種は中脛節が赤褐色でS. rufitibiaに相当する種ですが,本種やgrandis,shirozuiを含めて,どうも地理的変異がみられるようで,決定的なことがいいにくい面があります.しかし,現在では写真の種はrufitibiaと同定して良いだろうと思います.本種は中部地方から九州にかけて一般に平地から低山地に普通の種で,4月から5月にかけて出現し,林間の空間をほとんどホバリング飛翔を行いながら,近くを通る小型の昆虫を捕らえて吸血します.ランダムに襲うので,しばしば甲虫を捕らえることもありますが,このような場合にはすぐに放棄します.餌が双翅類などの場合は近くの葉に止まって,前脚でぶら下がるようにしながら,餌を摂食します.このような行動は他の種でも観察されています.配偶行動は観察されていませんが,雌雄とも自ら狩りをしますので,Empisなどのような求愛給餌行動はありません.S. claripilosusに近い種が,青森県奥入瀬で数頭が地上2mくらいの位置で群飛しているのが観察されており,これはmating swarmであったと考えられます.
アノニモミイア様。
大変失礼しましたm(__)m 検索表の文面を一部読み飛ばしてしまったようです。 種名まで判明して大変うれしく思います。 ありがとうございました。 |
Iam Heavy weight Champion of Entomologist.
A
おっと・・全角文字が入ってれば投稿できちゃうんですね・・
日本語Only設定というよりは半角のみの投稿を拒否する設定になったようです。
新しい設定につきましては、今一度、留意事項をご確認下さい。
The text of only half width is refused.(ライブドア翻訳に頼ってしまいました・・半角だけの文章は拒否されますって書いたつもり・・) |
- Joyful Note -
- Antispam Version -