めたこるじぃと申します。
普段は冬虫夏草を調べていて、クサアブタンポタケの宿主についても興味があります。 ここ最近で2回、ネグロ?クサアブの成虫と地面から生えた抜け殻が近くにセットであるのを見ています。 ただ、抜け殻の尾端にはクサアブの幼虫の特徴的な構造は見られないので違う種なのかも知れないとも思っています。 私は双翅目について詳しくないので、ご教示頂けると幸いです。
発生環境の画像です
めたこるじぃ様.
筆者の手持ちの論文には,日本産クサアブ科の幼虫や蛹の形態を,詳細に報告した論文は見つかりませんでした. 恐らく,本科の幼虫等について詳しく研究しているのは三枝豊平氏だけと思われます. 本科については,はなあぶNo.15-2(2003年)に永冨氏と大石氏がまとめられた総説が載っており,日本に分布する3属についての,幼虫での属の検索表が出ております. なお,同論文の幼虫の検索については,Webb and Lisowski(1983)の形質表を元に作成されており,この論文はネット公開されています. https://archive.org/details/biostor-55950 蛹については,旧北区の昆虫の検索(1997年)にCoenomyia属とDialysis属との区別点が載っています. その他,本掲示板のNo.6355からのスレッドにもクサアブについての三枝豊平氏からのコメントがあります. ご参考にしてください.
市毛様
大変返信が遅くなり申し訳ありません。 調べて下さり感謝です。 「旧北区の昆虫の検索」気になります。 情報ありがとうございました |
こんにちは. いつもお世話になっております.
大学の生物学研究会で, 上級生の方が, 美麗な双翅目の写真を見せてくださいました. 外見の雰囲気や翅脈からしてミズアブ科ではないかと思うのですが, 調べてもこれに似た色彩のものが出てきません. 日本昆虫目録を見てもそれらしいものが見つかりません... 採集日は 2024.03.24 採集場所は 西表島の大富林道 とのことです. 何者でしょうか? もし, この部位を細かく見る必要があるとか、ある論文の検索表を使って精査する等の必要があれば, 本人に写真を撮って送ってもらうか標本を借りて検鏡するかします. よろしくお願いします.
虫キョロリス 様.
恐らく,インドや中国に分布するCibotogaster auricollisや台湾から記載されたC. fumipennisもしくはその近縁種ではないかと思います. 大阪市立自然史博物館の永冨コレクションには,まだまだ未発表のミズアブが色々と含まれています. なお,よく似た写真が,シンガポールのサイト(Biodiversity of Singapore)に出ています. https://m.singapore.biodiversity.online/species/A-Arth-Hexa-Diptera-000956
市毛 様.
非常に早い返信をいただき, 驚嘆しております.こんなにすぐに属がわかるとは…! ご提示くださったサイトの写真は, 確かにそっくりです. >大阪市立自然史博物館の永冨コレクションには,まだまだ未発表のミズアブが色々と含まれています. そうなのですか. ミズアブ科もまだ研究があまり進んでいないんですね. ものすごく美麗で目立つ種でしたので, 日本からすでに記録があるだろうと思っいたのですが, まだまだミズアブ界も謎に包まれているとは… メールもありがとうございました. 時間があるときに調べてみます.
こんにちは.
市毛様から頂いたKrivosheina (1993)を読みました. 検索表ではCibotogaster fumipennisに落ち, fumipennisのメスに関する記述も, その多くが当てはまりました. ただ, fumipennisのメスに関する記述の中で, 4つ分からなかった点があるので質問させてください. 1. “Vertex, as well as frontal stripe, ferrugineous.”という文があります. ferrugineousは検索したところ, 赤茶色という意味のようです. しかし, この4つ前の文に “Frontal stripe entirely yellow.” という文章があり矛盾しているように感じます. 手元の標本を見ると, 頭頂と前額帯は黄色です. “Vertex, as well as frontal stripe, yellow.”の誤植でしょうか? 2. “Stripe bordered with silver hairs forming 3 connected spots on either side; 2 of them red, triangular, and extended”という文があります. 胸部背面の毛によって, たしかに, 両側に, 3つの点がつながったような模様が形成されています. しかし, そのうち前方にある一対が赤色というのは少し違うように感じます. 明らかに金色です. “Golden hairs present on pronotum and lateral sides of mesonotum above humeral tubercles.”という文章の箇所では金色と表現されているにも関わらず, 後のほうでは赤色と表現されているのが不思議です. 3. 一番最後に, “So far, C. fumipennis is the only known species in which the scutellum (in ♀) lacks silver hairs.”という説明があります. 上に, 手元の個体の小盾板の写真を添付しています. 小盾板の毛は多くが黒色です(光を反射してやや銀色っぽく写っているものはありますが). しかし, 銀色毛もかなりあるように思います. どの方向から見ても銀色なので, 光の反射ではないようです. 黒い毛よりも少し太めで長いです. なので, 小盾板に銀色毛がないという記述は当てはまりません… 私が思うに, この論文では雌が一個体しか検査されておらず(Materialでホロタイプ1♂とパラタイプ1♀を用いたと記されています), その一個体で銀色毛が脱落していたのではないかと推測しています. 実際, 手元の個体も, 左側でやや銀色毛が脱落しているようです. ちなみに, 原記載の論文には小盾板の銀色毛の話は書かれていませんでした. ただ, 銀色毛が完全に脱落してしまうことがあるんでしょうか?個体差かそれとも別種なのか... 4. “medial teeth of scutellum”という部位が説明に出てきていますが, これがどこを指すのかわかりませんでした... 小盾板の棘のうち真ん中一対のことなのかなと思って読んでいたのですが, その後にmedial teethとは別に”spines”というのも出てきて, わからなくなりました. たくさん質問して恐縮です. 時間があるときでいいのでお返事いただけるとありがたいです. 私も大学の課題で忙しいので, お返事いただいた後すぐには見れないかもしれませんが, お許しください. (追記) ハエハンドブック買いました!とても素敵でした. 最後の方の, 「日本未記録種か新種の可能性がある種」のヤドリバエのところに, PeleteriaらしきものやTriarthriaらしきものが載っていますね(勘違いかも...). またDinera?ぽいものも, 私が以前掲示板でお尋ねしたものとは別種かもしれませんが載ってますね.
虫キョロリス様.
1. 色については,標本の状態等や著者の色の認識等で変わるので難しい問題です. 2. redのところは誤訳のようです.原文は以下のとおりです. Полоска ограничена серебристыми волосками, образующими с каждой стороны 3 соединенных друг с другом пятна: 2 краевых треугольных и удлиненное поперечное срединное, расположенное перед срединным швом. 注)Entomological reviewは,ロシアで発行されているEntomologichcskoye ObozreniyeをEntomological Society of Americaが翻訳しているとのことで,著者が直接英語で書いているわけではないようです.しばしば誤訳や欠落が有り,疑問に思ったら原本と比較する必要があります. なお,Entomologichcskoye ObozreniyeとKeys to the Insects of the European Part of the USSR, Volume V: Diptera and Siphonapteraの2つは,英語版も出ているのでロシア語の勉強に便利です. 3. 小楯板の銀毛については,他種との比較ですのでよくわかりません.ご推測通り調査した標本が脱落していたのかもしれません. なお,Cibotogaster fumipennisについては,ヘルシンキ動物学博物館に収蔵されていたKerteszのタイプシリーズの可能性がある標本を調べたとなっております. 注)Kerteszのタイプ標本やコレクションは,1956年のハンガリー動乱で国立博物館が爆撃されて失われたものも多いとのことです. 4. medial teethについては,Cibotogaster属の定義に"Scutellum with 4 conical spines directed posteriorly"とありますので,spinesと同義と思われます.
市毛様.
丁寧にお答えくださり, ありがとうございます. >Entomological reviewは,ロシアで... それは知りませんでした. 調べが足りませんでした... Krivosheina (1993)の一番最初のページにもそう書いてありましたね... そうなるとやはり原本見ないといけなかったですね. そして, redのところは誤訳の可能性が高いんですね. さすがにこれを赤と見るのは無理があるのでは?と思っていました. >なお,Entomologichcskoye Obozreniyeと... Полоска ограничена...の一文の中にも, すでに大学の授業で習った単語やその派生語らしきもの, 格変化がちらほら垣間見れて楽しいです. ロシア語の論文どんどん読んでいこうと思います. >medial teethについては,... medial teethはspinesと同義ですか. ありがとうございます. 夏休みに入ってから, もう一度, medial teethの箇所含めて, 検鏡し直してみます. 今回もたくさん教えてくださり, 本当にありがとうございました. |
りゅうひ様.
ムシヒキアブ図鑑のLaphriinaeの検索ではどうだったのでしょうか? http://www3.kcn.ne.jp/~tgw/web_page/Laphriinae/key_Laphriinae.htm 念の為,検索での比較対象となっているコムライシアブの口吻の写真と,Yang&Hradsky(2007)のC.amurensisの頭部の図を貼っておきます. 参考文献 Young, C.L. & M.M. Hradsky. 2007. Robber flies of South Korea III. South Korean species of the Subfamily Laphriinae Macquart, 1838 (Diptera: Asilidae). Zootaxa 1388: 1-23.
市毛様
ご無沙汰いたしております。 やはり図と比較しても、胸背の毛の感じもコムラではありませんので、アムールとしてよいのかなと思っております。 ありがとうございました。 |
R.B様.
アブ科のオスは難しいです. 専門的に研究している方でないとわからないようです. なお,メスと同時期同所で採れた個体であれば,翅脈や斑紋から類推出来る場合もあります. 海浜性のアブ科は,2018年にも新種Hybomitra litoralisが記載されていますのでまだ未解明の種類がいるのかもしれません. 参考文献) Yonetsu, A., Shinogi, Y. & M. Watanabe. 2018. Hybomitra litoralis sp. nov., a new species of the family Tabanidae (Diptera) from Japan. Med. Entomol. Zool., 69(1): 13-18. 余談ですが,日本産アブ科については標本写真が図示された文献が北隆館の昆虫大図鑑以外は皆無に近かったですが,弘前大学白神自然環境研究センターの論文に初出の種類の写真が色々と載っています. 参考文献) Seki, A. & T. Nakamura. 2015. Horse fly fauna of the Shirakami Mountains and adjacent areas, Honshu, Japan (Diptera, Tabanidae), a preliminary report. Shirakami-Sanchi, 4: 20-26. Seki, A. & T. Nakamura. 2017. Horse fly fauna of Mt. Goyosan and adjacent areas, Iwate Prefecture, Honshu, Japan (Diptera, Tabanidae). Shirakami-Sanchi, 6: 18-22.
茨城@市毛 様
いつもありがとうございます。 オスの方がむしろ難しいのですね… 文献情報ありがとうございます。確認してみます。 |
7月9日に記録した5mm程のちいさなハナアブです。
場所は葛飾区、綾瀬川沿いの土手草地です。 マメヒラタアブ属(キアシマメヒラタアブが近いか?)ではないかと思いますがいかがでしょうか? よろしくお願いいたします。
小金井虫さま.
ご推測通り,キアシマメヒラタアブで良いと思われます.
茨城@市毛様
いつもお世話になっております。 ありがとうございました。 ちいさなハナアブも地味ですが面白いです。 |
失礼しました。撮影日は2024.7.15の誤りです。
芋虫のつぶやき様.
No11119のスレッドにあるように色々と見ないと判断が難しいようですが,外見的には先のスレッドの写真と大差無いようですので,Dinera属の1種として良いと思われます.
茨城@市毛 様
いつもありがとうございます。 Dinera属の1種とのこと。了解いたしました。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
特徴的な腹部なので撮ってみましたが調べられませんでした(7/13 徳島県)。
Cylindromyia属に似た腹部を持つ画像が幾つか紹介されていますが、同属と見なしてよろしいでしょうか。 また「ナガハリバエの一種」として紹介されている画像も見つけましたが、「ナガハリバエ」に特定の属との紐づけはあるのでしょうか? 初歩的な質問で恐縮ですがよろしくお願いいたします。
木佐浩之 様.
Cylindromyia属は,もっと腹部が長いヤドリバエです. 写真のヤドリバエは,私としてはDexia flavipesに似ていると思います(近縁種も多そうです). ご指摘どおり,ナガハリバエという和名は特定の属を表していません. ヤドリバエ類では,極一部の種類に和名が付いているだけで, 和名も安定していませんので,極力学名を併記するのが良いと思います. なお,ヤドリバエの属については下記の旧北区の属の検索という文献に日本に分布する大部分の属が載っています. https://www.naturkundemuseum-bw.de/fileadmin/forschung/entomologie/Publikationen/TschorsnigRichter1998.pdf
茨城@市毛 様
ご解説ありがとうございます。 腹部が細く白い横帯があることで「Cylindromyia」に似た画像を見つけましたが、 胸部の感じはご指摘頂いた「Dexia flavipes」に近いのでその近縁種かもしれませんね。 「ナガハリバエ」は分類上の名称ではないことも分かりましたので、 「ナガハリバエの一種」とすれば差し障りがないように思います。 どうもお世話になりました。 |
- Joyful Note -
- Antispam Version -