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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/21(Tue) 20:54:22 No.6667  引用 
10月中旬 山形県飯豊町・林道

Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/21(Tue) 20:59:37 No.6668  引用 
おー、やっと通った!
スパムフィルタに弾かれて悪戦苦闘しております。

林道上に下痢便の獣糞が小さな水溜まりのようになっており、集ったハエが交尾していました。
下の♀は口吻を伸ばし断続的に獣糞を舐めています。
横から見ると交尾器は結合していません。


Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/21(Tue) 21:02:41 No.6669  引用 
同一ペアを採取してみました。
これは♂


Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/21(Tue) 21:04:26 No.6670  引用 
♂側面

Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/21(Tue) 21:06:07 No.6671  引用 
これは♀

Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/21(Tue) 21:11:25 No.6672  引用 
同じく♀。

山勘でトゲハネバエ科かな?と思うのですがまるで分からないもので、訳も分からず無闇に貼ってしまいました。

皆様お忙しい時期だと思いますので急ぎませんが、よろしくお願いします。


Re: トゲハネバエ? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/21(Tue) 23:51:46 No.6673  引用 
ベッコウバエ科のNeuroctena属でベッコウバエを除いて、翅の前後の横脈が暗条で囲まれるのは、N. baldia (Kurahashi, 1981)とN. analis (Fallen, 1820) (=N. melanacme (Kurahashi, 1981)があります。前種は脚や腹部が一様に橙色、中胸楯板の前横線部の側部に斑紋を欠き、触角は暗褐色、後種は前、後脛節の先端が黒色、腹部も後半部は暗色、楯板の前横線部の側部に黒点を現わし、触角は橙色となっています。これらの特徴を写真と照合すると、後種、N. analis Fallen ハクサンベッコウバエに一致します。本種は倉橋博士によってDryomyza melanacmeとして白山、立山、尾瀬などからの標本で記載されたものですが、Ozerovはヨーロッパから広く分布しているanalisと同一で、属もNeuroctenaにしています。なお、本掲示板のNo. 6616のLBaconさんのスレッドを見てください。Fallenのeにはアクサンテーギュがつきます。

もし、多数標本があるようでしたら、余分の個体をお送りいただければ幸いです。さらに同定の確認をしてみます。連絡先は本掲示板の管理者にお尋ねいただければわかると思います。

Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/23(Thu) 00:09:30 No.6675  引用 
アノニモミイア様
懇切丁寧なご指導ありがとうございます。
あっという間にハエの正体が分かって嬉しいです。

>多数標本があるようでしたら、余分の個体をお送りいただければ幸いです。
ご親切な申し出に感謝します。
しかし採集したのはこの二匹だけです。
標本を作って保存する余力が今のところ無いため、残念ながら簡単な写真に撮った後は捨ててしまいました。

いくつか質問があります。

Q1:
http://furumusi.aez.jp/wiki.cgi?%A5%D9%A5%C3%A5%B3%A5%A6%A5%D0%A5%A8%B2%CA
7 ハクサンベッコウバエ Dryomyza melanacme Kurahashi.1981
9 エゾベッコウバエ Neuroctena analis Fallen.1820
素人考えですけど、学名の変遷に従えば、和名もエゾベッコウバエに統一して使った方が良くないですか?

Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/23(Thu) 00:11:47 No.6676  引用 
Q2:
http://en.wikipedia.org/wiki/File:Neuroctena_anilis.jpg
Neuroctena anilis? / Neuroctena analis?
これは同属の別種ですか?
それとも学名に表記の揺れがあるのでしょうか? 
Google scholarで検索すると、anilisが多数派のようです。
誰かのタイプミスや誤植が蔓延しているとか?

Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/23(Thu) 00:18:14 No.6677  引用 
Q3:卵の形状について。
交尾していた♂♀ペアにひたすら注目して、まず動画と写真を撮り、直後に同一ペアを採集しました。
よろしければ、こちらのマクロ動画をご覧下さい。(1:51)
http://www.youtube.com/watch?v=CoukGGQNyCE

♂にマウントされた♀が獣糞を舐めている様子が撮れました。
下痢便の表面に大量に浮いている白く薄い鱗片状の物体が気になっています。
No.6667で上の組写真にもピンボケで写っています。
これはハクサンベッコウバエの♀が産み付けた卵なのだろうか。
いわゆるベッコウバエも獣糞に止まって居たのですが、私が近づいたら逃げて下草に移動しました(添付写真)。
ハエの卵にしては見慣れない形状なんですけど、ベッコウバエ科の卵は独特の形状なんですか?
それともハエとは無関係で、何か植物由来の落下物ですかね(花粉とか実?)。

質問は以上です。よろしくお願いします。


Re: トゲハネバエ? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/23(Thu) 08:40:04 No.6678  引用 
質問1:
倉橋博士(1981)はDryomyza melanacmeハクサンベッコウバエを本州中部の山地で記載されて、その原記載に示された特徴は、同博士(2000)が「はなあぶ」No.10に日本新記録としてされて北海道と本州妙高から記録されたNeuroctena analisエゾベッコウバエの写真(図版の説明はチシマベッコウバエとエゾベッコウバエが入れ違っている、aとbがエゾベッコウバエ;同誌12号で訂正されている)に完全に一致します。この辺りの事情は倉橋博士に尋ねてみないとわかりません。あなたの撮影された個体は上記倉橋博士のエゾベッコウバエの写真に完全に一致します。
事情はわかりませんが、「はなあぶ」の中ではエゾベッコウバエとハクサンベッコウバエの相違などについては全く触れられていません。

OzerovがD. melanacmeをD. analisの同物異名(シノニム)として初めて扱ったのは、極東ロシアの双翅類の総説のなかでして、これは2000年の発行になっています。倉橋博士がこのOzerovの総説を参照されたのちにD. analisを日本から記録されたのかどうかは、ご本人に確認しないとわかりませんが、両著の発行年が接しているので、あるいは参照されていなかったかもしれません。

それで、以上のいきさつは別にして、和名には学名のような先取権はありません。どちらを採用するかは、それぞれの著者の任意です。しかし、もし本当にハクサンベッコウバエとエゾベッコウバエが同一物であるのなら、地名由来の名称としてはいずれもあまり適当とは言えません。

さらに問題は、倉橋博士(1981)と同博士(2000)のハエは前著の記載と後著の写真が一致するので同一物である可能性がたかいのですが、もし両著とも2000年の論文の写真のようなものであるとすれば、これはヨーロッパのサイトに示されているN. analisまたはN. anilisの写真とは胸部の斑紋、腹部の色彩などを含めてかなり異なるものです。むしろ、ヨーロッパの個体は倉橋博士(1981)の記載されたN. badia (Kurahashi, 1981)に類似しています(触角の色彩は異なる)。
OzerovがなぜN. melanacmeをN. analisのシノニムにしたのかわかりませんし、また倉橋博士(2000)が写真の日本産の標本をN. analisに同定された根拠も示されていません。
ヨーロッパの標本と日本の標本について交尾器等の詳細な比較の上で決着すべきことだと思います(私の知らないところですでに決着が付いているのかもしれませんが)。

質問2:
確かanalisとanilisの二つの学名があります。北米の双翅目のカタログ(1965)やヨーロッパロシアの双翅類の検索表(1969)などではanilisが使われています。一方、旧北区のカタログ、英国の双翅目の目録(1976)、前述のロシア極東部の双翅目の総説(1984)、旧北区の双翅類のマニュアル(1998)(最後の2著を除いてすべて別著者)ではanalisが用いられています。しかもいずれの著書にも、異名ないし誤植名として相手の学名が挙げられていません。また、旧北区のマニュアルの中で、analisを用いているOzerovは本科の幼生期を扱ったSmith(1980)やBarnes (1984)の論文を参照していますが、これらの文献ではanilisが用いられています。このことから、Ozerovはanilisの学名を承知の上でanalisを用いているのでしょう。

なお、analisもanilisもいずれもFallen(1820)の論文の16ページに記載されたことが、北米および旧北区のカタログで示されていますので、同一原記載に基づく(同一物)ものでしょう。時には同一ページに2種以上記載されることもありますが、両方のカタログで相手の名称が挙げられていないことも、この両名は同一物であることを示しているでしょう。

私は原記載を見ていませんので、どちらという判定はできませんが、上記のとおり私が見た最近の著作ではanalisになっています。倉橋博士の日本からの記録でもanalisを使われています。

質問3:
動画見ました。貴重な生態映像だと思います。問題にされている白い物体はほとんど間違いなくベッコウバエ科のNeuroctena属の卵です。N. analisの卵は旧北区のマニュアルのOzerov(1998)によれば長さ約1.2-1.3mmで白く細長く、両側に卵本体の幅よりやや狭い翼が付いています(浮くための装置で、しばしば水面などに産卵する双翅類の卵に見られます)。これらの特徴はあなたがお尋ねになっている白い物体に一致します。同属のベッコウバエも一緒にいたようですから、どちらの卵かはわかりません。
一方、倉橋博士が記載された日本固有の大型のベッコウバエSteyskalomyza hasegawai Kurahashi, 1982トゲベッコウバエの卵は岩佐光啓博士(2002)によって図示されていますが(Medical Entomology and Zoology, 53, Suppl.2: 133-139)、N. analisの卵とは全く異なり、ショウジョウバエ科の卵のように短いバナナ型で卵本体とほぼ等長の2本の細長い呼吸突起を具えています。同博士によれば、Dryomyzaの卵も同様に2本の呼吸突起を具えているとのことです。

Re: トゲハネバエ? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/23(Thu) 17:20:22 No.6679  引用 
Diptera infoからのNeuroctena anilis(原出典による)の卵と成虫の画像を借用して揚げます。前の投稿の記述と比較してみてください。

添付:6679.doc (90KB)

Re: トゲハネバエ? 投稿者:茨城@市毛_両親介護中 投稿日:2010/12/23(Thu) 20:49:40 No.6680  引用 
気晴らしに,久々に出てきました.

Diptera Sveciaeに掲載されてる,Fallenの原記載を拾ってきました.確かに,Dryomyza vetulaとD. anilisが記載されているようです.

なお,文献の出展は,Biodiversity Heritage Libraryです.http://www.biodiversitylibrary.org/Default.aspx

このデータベースには,WiedemannやMeigen, Latreille等,色々と古い原記載が多数収録されているのですが,ラテン語?等で書かれている為全く読めません(^_^;)


Re: トゲハネバエ? 投稿者:三枝豊平 投稿日:2010/12/24(Fri) 00:44:54 No.6681  引用 
久しぶりに市毛さんのお元気な登場で喜んでいます。最近は専門外の双翅類で孤軍奮闘(?)していました。

Diptera Sveciaeありがとうございました。私も時折このサイトは利用しているのですが、書名で検索しても出てこなかったのであきらめていました。今度は著者名で検索したら当たりました。以前に北米の双翅類を多数記載したLoewのDiptera americae septentrionalis indigenaもここからpdfがとれました。オタワにいたころに本書はコピーしようと思ったのですが、大部なのでしないできましたが、このサイトで取れてよかったです。最近、北米のRhamphomyiaの仕事にエンジンがかかってどうしても参照しなければならなくなりました。
なお、Loewのタイプはハーバード大学のMuseum of Compararive Morphologyにあって、そこのタイプの画像がインターネットで見ることができます。MCZ type databaseです。

Neuroctena analis, anilisの問題はお陰様で、原記載はanilisであることがはっきりしましたが、それではどうして旧北区のカタログなどでanalisがつかわれているか、です。Die Fliegenでもanilisを使っています。

FliegenのNeuroctena anilisの記載を読んでみても、とても倉橋さんの「はなあぶ」に掲載された写真(このスレッドの生態写真と同種でしょう)には合いません。記載はまさにDiptera infoなどに出ているヨーロッパの写真に完全に一致します。おそらく、日本には真のanilis(またはanalis)は分布していなくて、N. melanacmeは独立種ではないでしょうか。本掲示板でも古田氏がN. analisを岐阜県で記録していますね。これも倉橋さんの写真で同定しているので、melanacmeでしょう。

投稿内容が専門的になってきましたので、文責もありますからハンドルネームは用いません。

Re: トゲハネバエ? 投稿者:しぐま 投稿日:2010/12/24(Fri) 18:59:55 No.6683  引用 
回答解説して下さった皆様、どうもありがとうございました。
お礼が遅くなりましてすみません。
昨夜は飲み過ぎてヘロヘロになってしまいました。

名前に関して大体の事情は分かりました。
ややこしやー。門外漢にはとてもついていけません…。
少しお話を伺っただけで分類学者の大変さを垣間見れました。
特に学名のお話(analis/anilis)はミームの点突然変異がコミュニティ内に拡散していくメタファーのようで、無責任な外野は面白く(興味深く)思いました。

獣糞の水溜まりに浮く謎の物体の正体が判明したのが大きな収穫です。
水に浮くための装置を進化させているとは驚きでした(感動!)。
汚水でカメラを汚さないようスリル満点の撮影でした。
今度は求愛、交尾、産卵シーンを観察してみたいものです。

エゾベッコウバエ 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 15:54 No.2690  引用 
画像投稿するのは久しぶりです・・・ネタなかったしなあ・・

岐阜県で得られた獲物の中にエゾベッコウバエNeuroctena analis がありました。ハナアブ誌No.10で倉橋先生が初めて記録した種類です。

ぱっと見では一連のDryomyza属の種とは区別しにくいですが、翅脈(r1)に刺毛がはえてるので、他のDryomyzaとは区別できます。




Re: エゾベッコウバエ 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 15:57 No.2691  引用 
♂ゲニも特徴的で、倉橋のDryomyzaのレビジョン1981に出ているキイロベッコウバエのように大きく曲がっているのですが、骨片が飛び出す方向がこのレビジョンに出ている種とは逆の方向に突出しています。

Re: エゾベッコウバエ 投稿者: 投稿日:2006/09/15(Fri) 16:03 No.2692  引用 
とりあえず、これまでに記録されたのは根室、早池峰山、塩原温泉(栃木)ということなので、今回の岐阜県下呂の記録が西限ということになるのでしょうか・・・


Re: エゾベッコウバエ 投稿者:三枝豊平 投稿日:2010/12/24(Fri) 16:30:05 No.6682  引用 
ベッコウバエのついでに本掲示板の過去のを見ていたら、ハエ男さんの4年前の投稿に気付きました。

写真の個体をハエ男さんはNeuroctena analisに同定していますが、この原因は倉橋博士の「はなあぶ」10号の写真のキャプションが入れ違っていて、それをそのまま信用されたためでしょうか。写真はc、dがNeuroctena analisになっていますが、本当はc、dはParadryomyza spinigeraであって、真のN.analisはaとbです。ですから、ハエ男さんはご自分の標本をNeuroctena analisと同定したはずです。

しかも、No.2692では、
「これまでに記録されたのは根室、早池峰山、塩原温泉(栃木)ということなので」として、今度は倉橋論文の検査標本の記述で、ハエ男さんはParadryomyza spinigeraの採集データを引用されています。

ハエ男さんの標本は、触角もやや前方を向き、後腿節腹面の先に近く小棘を列生していて、明らかにParadryomyzaであって、Neuroctenaではありません。

というわけで、ハエ男さんの岐阜県の標本はParadryomyzaですが、問題は種です。幸いハエ男さんはNo.2691に♂交尾器を示されています。この写真と極東ロシアの双翅類の検索表にあるOzerovさんによる♂交尾器のsurstylusの図を比較すると、ハエ男さんの個体はP. spinigeraではなくて、Paradryomyza setosa (Bigot, 1886)に相当すると思います。

今回はベッコウバエについていろいろと問題点が分かりました。私も大変勉強になりました。最近の本掲示板への二つのベッコウバエ科の投稿を踏まえて、日本産のベッコウバエ科は以下のように整理されるのではないかと、勝手に解釈しています。

Steyskalomyza hasegawai Kurahashi, 1982 トゲベッコウバエ 分布:北海道、本州北部

Paradryomyza setosa (Bigot, 1886)
 Neuroctena analis Furuta, nec.Fallen (本掲示板のハエ男さんのデータ) 国内分布:本州(岐阜県)
Paradryomyza spinigera Ozerov, 1987 チシマベッコウバエ 国内分布:千島(国後島)、本州北部

Neuroctena formosa (Wiedemann, 1830) ベッコウバエ 国内分布:北海道、本州、四国、九州
Neuroctena baldia (Kurahashi, 1981) カミムラベッコウバエ 分布:本州中部
Neuroctena melanacme (Kurahashi, 1981)
 Neuroctena analis, Ozerov, 1999, nec. Fallen ハクサンベッコウバエ(=エゾベッコウバエ) 分布:北海道、本州中部
Neuroctena ecalcarata (Kurahashi, 1981) ワタナベベッコウバエ 分布:北海道、本州中部
Neuroctena amblia (Kurahashi, 1981) キイロベッコウバエ 分布:本州中部

Pseudoneuroctena senilis (Zetterstedt, 1838) 
 =Dryomyza bergi Steyskal, 1957 タテヤマベッコウバエ 国内分布:本州中部山岳

和名がほとんど地名や人名に基づいていて、多くはかなり形態的に特徴的なのに、形質に基づいた覚えやすい和名はないものでしょうか。

なお、Paradryomyzaの2種の検索表をOzerovからいい加減な訳を示しますと以下のようになるのかと思います。

Antenna entirely yellow. Katepisternum densely clothed with blackish pile. Spines on ventral side of hind femur fine, spinulate. Epandrium and surstylus as in fig.341,2. Length 5.4-6.6 mm. Amur, Zabaikal, Sayan. -- North America.・・・・・P. setosa Bigot
Antenna mostly black. Katepisternum sparsely clothed with yellow pile. Spines on ventral side of hind femur short and thick. Epandrium and surstylus as in fig. 341.3. Body length 4.6-7.9 mm. Amur, Southern Primorje, South Kuril (Kunashiri), Zabaikal, Komi, Kareria・・・・P. spinigera Ozerov

倉橋博士が示された写真の個体がはたして上記の2種のどれに相当するか。触角の色彩など少しわかりにくいと思います。

早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/11/30(Tue) 20:31:50 No.6625  引用 
また、見て欲しいハエがおります。
これは早春(5月ですが、こちらではまだ虫が出初めぐらいです)に見つけたのですが、5月上旬から下旬にかけてよく見かけました。ちょっと平たい顔の特徴があったのですが、捜してもわかりませんでした。何かわかりますでしょうか?
左の写真は5月上旬のものです。
場所:阿武隈山地標高550-600mぐらい


Re: 早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/11/30(Tue) 20:33:47 No.6626  引用 
もう一枚。
これは5月中旬のものです。


Re: 早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/11/30(Tue) 20:38:20 No.6627  引用 
これは5月下旬です。
みな同じハエだとは思ってるんですけど。
大きさは5mm改め6-7mmぐらいだったと思います。
一見小さな甲虫に見えました。。


Re: 早春のハエ 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/02(Thu) 02:58:21 No.6628  引用 
キモグリバエ科のPlatycephala属の1種ではないかと、専門外ですが推定しています。Kanmiya (1983)によれば、日本にはP. subelongataとP. sasaeの2種が生息しています。近縁属にPlatycephaliscaやMeromyzaがあります。これらとの差異は標本を見ないと私には何ともいえません。

Re: 早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/12/02(Thu) 20:12:00 No.6629  引用 
アノニモミイアさん、コメント頂きましてありがとうございます。このハエは、類似種がいろいろいるのですね。キモグリバエ科のPlatycephala属の1種ではないかということなので、この後、自分でもなんとか画像を捜してみてみたいと思います。身近な虫の名前が少しでもわかると、余計に興味がわいてきます。

Re: 早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/12/03(Fri) 19:49:09 No.6630  引用 
画像見つかりました!同じに見えました。^^/
ありがとうございました。

Re: 早春のハエ 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/16(Thu) 11:13:36 No.6654  引用 
私がPlatychephalaの一種ではないかと以前投稿しましたが、どうも気になりましたので、キモグリバエ科の分類の専門家である上宮健吉博士に先日お会いした折にお尋ねしましたら、同定をして下さるとのことでした。それで投稿されている3枚の写真のうちの2枚目をお送りして同定を依頼しました。その同定結果は添付書類の通りです。博士からいただいたメールの原文をほぼ用いましたが、一部本筋に関係ないところで私が変更したところもあります。

快く同定の労を取られた上宮健吉博士にお礼を申し上げます。


添付:6654.doc (28KB)

Re: 早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/12/16(Thu) 23:05:22 No.6656  引用 
アノニモミイアさん、再度調べていただき2枚目の写真が、Meromyza nipponensis Nishijima,1955(ニシジマムギキモグリバエ命名予定)であるとのこと、うれしい限りです。でも難しいですね。同定結果読みましたら3枚は同種でない気がします。
私が見つけた写真は「Diptera.info」と言う外国のサイトの中でやはり外国の方が日本で撮ったという写真で、触覚がぷっくりした基部から白く細いヒゲ状のものがシュッと出ていましたが、それがPlatycephala属の特徴なのでしょうか?
1,3枚目のハエと2枚目のは、よく見ると顔の目の上辺りも少し違って見えます。1,3枚目はちょっと不鮮明ですが触覚が長くPlatycephala属なのかもしれませんね。(3枚目の触覚の部分の写真です。)
春になったらその部分に注意してもちょっときれいな写真を撮りたいと思います。


Re: 早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/12/17(Fri) 19:59:39 No.6657  引用 
ハエの触覚のこと全然知らず、すっとんきょうなことを書いてしまいました。
”触覚のぷっくりした基部”がもう第3節だったのですね。
”白く細いヒゲ状のもの”は第3節から出ている毛ということみたいで。。
それで同定結果を改めて読み直しましたら、3枚とも同じハエということですね。非常にわかりやすかったです。^^;
少しずつ各部の名称を覚えていきたいと思いますので、これからもよろしくお願いいたします。
上宮先生、アノニモミイアさん改めてありがとうございました。

Re: 早春のハエ 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/20(Mon) 07:52:00 No.6663  引用 
上宮健吉博士に掲載された1枚だけの写真をお送りして本種の同定を依頼しまして、No. 6654に添付したような結果をいただきましたが、同博士から先般の同定には腑に落ちない点があるとのことで、まあさんが投稿された4枚すべての写真をお送りしました。その結果1枚の写真で前回同定していただいた種、Meromyza nipponensis Nishijimaニシジマムギキモグリバエではなくて、Platycephala sasae Nartshukササノアシブトキモグリバエであろう、という簡易同定結果をいただきました。写真が不鮮明な点が同定を困難にしていたようです。

触角刺毛の写真が不鮮明であったことも、同定を困難にしたようですが、同博士によりますと、「sasaeの触角刺毛のようです。ピンボケで,実際はもう少し細いのかと思います。もし触角刺毛が肥大して剣状になっていれば別属のPlatycephaliscaという中央アジアに分布する属種ですが,そうではないように見えます。」とのことです。

上宮博士からは、「かねて標本を見ないで同定することの危険性から,できるだけ実物による判断を心がけていましたが,その教えの通りになりました。」というコメントをいただきまして、専門家といえども双翅類の同定は写真では常に困難が伴うことが再確認されました。

上宮博士には幾度も同定でお手数をおかけしましたが、親切にご指摘いただきまして、お礼を申し上げます。

Re: 早春のハエ 投稿者:まあ 投稿日:2010/12/20(Mon) 20:51:45 No.6665  引用 
アノニモミイアさん、寛大にも拙い写真を何度も見ていただいて恐縮してしまいます。もう触覚の名称でさえ知らない私のこんがらかった頭で思ったことを書いてしまったことに答えていただいて、16日のコメントは出来れば半分以上消したいと何度思ったことでしょう。。写真での同定では、限界があるということはいろいろな虫屋さんの掲示板やホームページなどでもよく聞いてますし、写真で自分で虫の名を探しているときにも、虫の背景に移っているものやら、一緒に別の虫が重なって違うものに似てしまってたり、あるはずのものが光で飛んでしまってたりで、ハプニングの連続です。・▽・;
それでも、何だろう?知りたい!ってことになっちゃて。
Platycephala属とニシジマムギキモグリバエが属が違うのに見た目では、近いということも知ることが出来ましたし、この辺の種は、触覚をちゃんと撮りたいなあという来年の目標も出来ました。このように気軽に答えていただけることが非常にありがたいです。また、面白いのがいましたら載せたいと思いますので、変なこと書くかも知れませんけど、どーかヒカないでください。

ベッコウバエ? 投稿者:BaconL 投稿日:2010/11/23(Tue) 20:28:24 No.6616 ホームページ  引用 
東京都府中市、2010.11.14の採集です。
ベッコウバエの一種と思うのですが、何という種でしょうか。画像から判ればご教示お願いします。


Re: ベッコウバエ? 投稿者:BaconL 投稿日:2010/11/23(Tue) 20:29:59 No.6617 ホームページ  引用 
側面からです。

Re: ベッコウバエ? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/16(Thu) 14:54:31 No.6655  引用 
お尋ねのベッコウバエは、ベッコウバエ科の、

ワタナベベッコウバエNeuroctena ecalcarata (Kurahashi, 1981)
ではないでしょうか。

本種はDryomyzaで記載されましたが、Ozerov (1999)などはNeuroctena属にしています(ベッコウバエN. formosaも同様)。翅の横脈に暗条がないこと、腹部基部を除いて背板の大部分が黒褐色である点が本種の特徴です。本種は本州中部の山や北海道の山の材料で記載された種で、私の標本もマウントしたものに限れば山梨の増富や月山のものです(他にもたくさん採集していますがマウントしていないので産地はわかりません)。

原記載は、
Kurahashi, H., 1981. A revision of the genus Dryomyza(Diptera, Dryomyzidae) from Japan. Kontyu,Tokyo. 49(3):437-444.
です。CiNiiで無料でpdfがとれます。

Re: ベッコウバエ? 投稿者:BaconL 投稿日:2010/12/20(Mon) 12:19:53 No.6664  引用 
アノニモミイア様、確認させて頂きました。ありがとうございます。

あまり珍しい種ではないようですが、平地でも得られるのですね。
WEB上ではいくつかの本種に見える画像がベッコウバエ科の不明種として掲載されているのが見られます。

キイロショウジョウバエでいいの... 投稿者:ポンチ 投稿日:2010/11/09(Tue) 19:40:50 No.6564  引用 
すみません。
これだけ分類の難しいものだと考えず、検索で出てきた『キイロショウジョウバエ』という名前をそのままあてはめていましたが、このハエも見ていただけますでしょうか。

家庭にも普通にいるという話を聞くと、ちょっと違和感があり、まったく別の種ということも考えられそうな気がしてしまいます。


Re: キイロショウジョウバエでい... 投稿者:ポンチ 投稿日:2010/11/09(Tue) 19:45:23 No.6565  引用 
これも薄暗い林床でも撮影。
この程度の撮影しか無理なのですが、このランの周りにかなりの数がいるようで、花粉を運んでいるのは間違いないようです。

まるで違った「種」だと問題なので、よろしくお願いします。


変な足の上げ方 投稿者:ポンチ 投稿日:2010/11/11(Thu) 07:24:37 No.6567  引用 
前後の写真では普通にとまっているのに、この写真だけ変な角度で足をあげていました。
まったく意味はないかもしれませんが、これだけトリミングして拡大。
ボケちゃいますが。
検索していたら国内にショウジョウバエだけで250種なんていう記述を見つけたので、広義のショウジョウバエととらえる方がいいのでしょうか?
まったくわからないので・・・。


Re: キイロショウジョウバエでい... 投稿者: 投稿日:2010/11/11(Thu) 09:42:40 No.6568  引用 
ポンチ様。たいへん貴重な瞬間をとられた写真を拝見し、感激しました。熊本大学理学部に勤務する杉浦と申します。日本産のラン科植物の受粉生態と保全に関する調査研究をしています(特にレブンアツモリソウ)。ヤツシロラン属の受粉生態に関する報告例はほとんどないので、大変貴重な知見です。何か報文等を発表されていたら、御譲与いただければ幸いです。当方からもレブンアツモリソウやカキラン等いくつかの論文別刷を提供できます。お手数ですが、当方のe-mailアドレスに御連絡いただければたいへん幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

Re: キイロショウジョウバエでい... 投稿者: 投稿日:2010/11/11(Thu) 09:43:41 No.6569  引用 
ポンチ様。たいへん貴重な瞬間をとられた写真を拝見し、感激しました。熊本大学理学部に勤務する杉浦と申します。日本産のラン科植物の受粉生態と保全に関する調査研究をしています(特にレブンアツモリソウ)。ヤツシロラン属の受粉生態に関する報告例はほとんどないので、大変貴重な知見です。何か報文等を発表されていたら、御譲与いただければ幸いです。当方からもレブンアツモリソウやカキラン等いくつかの論文別刷を提供できます。お手数ですが、当方のe-mailアドレスに御連絡いただければたいへん幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

Re: キイロショウジョウバエでい... 投稿者:ポンチ 投稿日:2010/11/11(Thu) 19:30:20 No.6571  引用 
みなさん こんばんは。
スギウラさん、なんて言ってはいけないですね。
スギウラ先生、私はまったくのドシロウトなので、その辺の事情など、メールさせていただきましたが、届いたでしょうか?
なにしろこのハエの正体からして怪しいので、それがわかればということでこちらにお邪魔した次第です。
まだ、なにもわかってはいないのですが、非常に魅力的な対象だと思います。
いろいろ面白いことが・・・。

Re: キイロショウジョウバエでい... 投稿者:はっしー 投稿日:2010/12/07(Tue) 18:05:31 No.6648  引用 
偶然通りかかった者です。1ヶ月ほど前のものなのでまだ居られるかわかりませんが、本題に対する回答が出ていないようでしたので当方の所見を。
林床での撮影とのことですが、キイロショウジョウバエは非常に人家性の高い種であり、人家周辺以外ではほとんどみられないかと思います。
この写真からはSophophola亜族の種であるように見受けますが
正確な同定は難しいと思います。
2枚目・3枚目の写真で見える外見の特徴からはムナスジショウジョウバエ(Drosophila rufa)ではないかと思いますが、正確な同定を行うには情報が不十分ですので、単にショウジョウバエとされるのがよろしいかと思います。

Re: キイロショウジョウバエでい... 投稿者:ポンチ 投稿日:2010/12/19(Sun) 19:30:01 No.6662  引用 
大変失礼しました。
はっしさん、ご意見いただいていたのに、こちらを訪問していませんでした。
すみません。

このハエは、正確な同定にはやはり捕まえるしかないということになっています。
場所は竹林の中なのですが、近くに民家もあることはある。
千葉県のフィールドではアチコチ同じような環境で、しかもそれぞれ同じようにこのハエが周りを飛び回っています。

また来年以降、わかればと思いますが、花の時期は1年の内の2週間ほどでしょうか。
はたしてどうなるのか・・・?

また機会をうかがって調べてみたいと思います。

ありがとうございました.

写真を添付すると、エラーで撥ねられるみたいで、これならばおくれるでしょうか。

ニクバエ科の学名についての質問... 投稿者:バグリッチ 投稿日:2010/12/18(Sat) 19:00:36 No.6660  引用 
皆さん こんにちは。

 ニクバエ科のリストを整理しているのですが、行き詰まりました。

 本掲示板からリンクしている“みんなで作る双翅目図鑑”や“皇居の昆虫相”調査資料では、ニクバエ科の部分で かつてのSarcophaginiの多くの属が Sarcophaga属の亜属に変わっており、またいくつもの属がSarcophaga属に置き換わっているようですが、北隆館の新訂昆虫大図鑑では 変更しない扱いになっているようです。
 作られた時期が異なっていますので、分類体系の解釈が異なっているものと思いますが、現時点ではどちらの解釈が一般的でしょうか?

問題も残っているのかもしれませんが、リストを整理するにあたり迷っております。

ご教示いただけましたらありがたく存じます。
よろしくお願い申し上げます。

Re: ニクバエ科の学名についての... 投稿者:バグリッチ 投稿日:2010/12/19(Sun) 09:25:48 No.6661  引用 
 その後 可能な範囲で調べましたが、『古田 治・村山茂樹:ニクバエ科の分類と和名の取り扱いについて(2006)』には現状の取り扱いの複雑な様が記されており、この状況に則って考えて、当面は、同文献が採用したPape.T(1996)の分類を使って整理しようかと思います。

 ニクバエ科に限ったことでだけでなく、学名や分類体系は変わることがよくあるので、情報量の少ないアマチュアにはわかりにくくなっていることがしばしばありますね。

 ではまた。

マレーズトラップによって捕獲さ... 投稿者:りゅうひ 投稿日:2010/11/24(Wed) 12:14:26 No.6618  引用 
関東同定会に参加されました皆様、お疲れ様でした。
今回は地元栃木県で開催とのことで、できる限りお手伝いをさせていただきましたが、いたらぬ点がありましたことお詫び申し上げます。
さて、お尋ねさせていただきたいのは、栃木県北部の林道に8月〜9月にかけて設置したマレーズトラップで得られたハエです。アルマンキアブモドキなどとともに3個体捕獲されていました。なさけないことにfamiliyもわかりません。ご教示いただければ幸いです。体長約9mmです。よろしくお願いいたします。


Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/11/24(Wed) 18:56:48 No.6621  引用 
ハネオレバエ科Psilidaeと思いますが、今直ちに正確な同定結果を示すことができません。

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:りゅうひ 投稿日:2010/11/29(Mon) 19:09:02 No.6623  引用 
アノニモミイア先生
ご無沙汰いたしております。ご返信ありがとうございました。
このハエについて、後程私信させていただいてもよろしいでしょうか?

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/11/30(Tue) 12:03:32 No.6624  引用 
りゅうひ様。どうぞご連絡ください。

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:ezo-aphid 投稿日:2010/12/07(Tue) 11:45:31 No.6645 ホームページ  引用 
岩佐教授に照会したところ、「Loxocera(Platystyla) sp. near monstrata と思われるが、画像だけでは種名までたどり着けない」とのことでした。興味をひかれたようでしたので、標本送付をお覚悟のうえで、帯広畜大の岩佐教授にご相談なさってはいかがでしょう?

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:ezo-aphid 投稿日:2010/12/07(Tue) 11:54:31 No.6646  引用 

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:ezo-aphid 投稿日:2010/12/07(Tue) 13:32:03 No.6647  引用 
すみません。参考文献の引用に失敗しましたので、6646は削除してください。この文献は、Ciniiのサイトで「 Loxocera Kuril 」で検索すると出てきます。

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:りゅうひ 投稿日:2010/12/07(Tue) 18:54:38 No.6649  引用 
ezo-aphid様
ご返信誠にありがとうございました。
また、お申し出誠にありがたい限りです。
実は標本は今はアノニモミイア先生の元にあります。
岩佐先生の見解と同じ見解をいただいておりまして、いずれも♀個体ですので、来年またマレーズトラップをしかけて♂個体を得ようと思っています。

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:ezo-aphid 投稿日:2010/12/07(Tue) 20:05:50 No.6650  引用 
りゅうひ様
 落着済みとは知らず、差し出がましいことををいたしました。得られているLoxoceraの標本数は、まだまだ少ないようです。発生環境が限られるものなのでしょうかねぇ。

Re: マレーズトラップによって捕... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/12(Sun) 13:45:25 No.6653  引用 
同定結果をりゅうひさんにお知らせして、この場所に示さなかったので、ezo-aphidさんに余計の手数をかけました。

りゅうひさんから送られてきた昆虫は、岩佐光啓氏が記載したLoxocera (Platystyla) monstrataに極めて近縁の未記載種です。L. monstrataとは、

1.体色がほぼ全面的に黒色ないし黒褐色(頬と中胸のkatepisternumが広範に黄褐色)。(L. monstrataでは広範に黄色)。
2.脚は黄色、後脛節の先2/3が暗褐色(L. monstrataでは中、後脛節が淡褐色)。
3.体長が♀で11mm(L. monstrataでは8mm)
4.翅は透明、翅のr-m横脈より先の中室前縁脈から後縁脈にかけて、これらを取り巻くように翅膜は特徴的な褐色条をあらわす(L. monstrataでは翅は透明で淡褐色を帯びる)。
5.翅は8.5mm(L. monstrataでは5.5-6mm)
6.平均棍は黄白色(L. monstrataでは淡褐色)。

の諸点で顕著に異なり、採集時期も8月から9月にかけてで、L. monstrataと同時期であるために、季節型とも考えられません。

なお、Platystyla亜属の模式種であるヨーロッパのL. (P.) hoffmannseggi Meigen, 1826、は胸部が今回の種と同様に光沢ある黒色ですが、本亜属に特徴的な触角刺毛(arista)が白色で白い毛でおおわれ、また第1-3腹節が橙色、さらに触角の基部の2節がかなり長いので、今回の種とは異なります。

3頭とも上記形質を等しく保有しますので、♀のみでも記載可能ですが、りゅひさんの来季の成果に♂の採集を期待してからにしたいと思います。

札幌市平野部のCladura sp. 投稿者: 投稿日:2010/12/04(Sat) 00:57:53 No.6631  引用 
ご無沙汰しております。札幌のウミユスリカこと村山茂樹@インベントリ・リサーチです。

晩秋の北海道はヒメガガンボ亜科のCladura sp.がやたらと目立ちますが、これは札幌平野部、つまり豊平川扇状地から石狩平野泥炭湿地帯への移行部に位置する北大キャンパスで採集したものです。


Re: 札幌市平野部のCladura sp. 投稿者: 投稿日:2010/12/04(Sat) 00:59:23 No.6632  引用 
上記のCladura sp.のゲニタリアです。

ガガンボダマシの未記録種 投稿者: 投稿日:2010/12/04(Sat) 01:28:56 No.6633  引用 
これはヒメガガンボ科のCladuraではなく、ガガンボダマシ科のTrichocera属の一種です。
この交尾器(とくにgonostylus)にそっくりな種が朝鮮半島からC. P. Alexanderによって記載されています。写真の種は国内では北海道内だけで見つかっています。朝鮮半島の種とは体色の記述が合わないので以前(院生時代)は別種と考えていたのですが体色は標本の状態で見方見え方が微妙に異なるので、朝鮮半島の種と一緒と考えて記録しておき、将来、直接的な比較ができるようになったときに確認すればいいかなと今では考えが変わりつつあります。こういうのは判断が難しいですね。

Re: ガガンボダマシの未記録種 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2010/12/04(Sat) 01:39:40 No.6635  引用 
なんと!ガガンボダマシ科でしたか。いやぁ、とんだ誤同定でした。糸角亜目はまだまだ修行が足りません。

この種はとにかく晩秋の北大キャンパス内にはウジャウジャと飛び回っており、隣接した我が家が入っているアパート内にもよく飛び込んできます。

定山渓のガガンボダマシ 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2010/12/05(Sun) 10:34:09 No.6639  引用 
同時期の豊平川水系を遡った定山渓近辺で多く採集されるガガンボダマシです。Dahl and Krzeminska (1997)の検索表でTrichocera sp.と判断致しました。

Re: 定山渓のガガンボダマシ 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2010/12/05(Sun) 10:38:45 No.6640  引用 
上記ガガンボダマシのゲニタリアです。この画像でははっきりしませんが、basal part of forceps の bridgi 部分の中央部分が2尖頭を形成しています。

Re: 定山渓のガガンボダマシ 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2010/12/05(Sun) 10:48:05 No.6641  引用 
ゲニタリアのparamereが薄片状でプレパラート画像ではっきりしないので、乾燥標本のままの横からの画像で示します。札幌の低地のガガンボダマシのparamereに比べて非常に長く伸張して反り返っているのがわかります。

Re: 定山渓のガガンボダマシ 投稿者: 投稿日:2010/12/06(Mon) 09:31:19 No.6643  引用 
魅力的ですが、この写真ではどういった種にあたるか判別は難しいですね。
過去2回北海道でガガンボダマシを採集していますが、面白い場所です。
ガガンボダマシは北方系の昆虫だけあって、北海道ではまだまだ見たことのない種が見つかるものと思います。
意外に、町の中の公園とか、畑のまわりなんていうのは、採集していないので、狙い目かも。

Re: 定山渓のガガンボダマシ 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2010/12/06(Mon) 11:47:11 No.6644  引用 
達磨さま

色々と見ていただいてありがとうございます。

北海道のガガンボダマシは未記録種がまだまだ多く眠っていそうですね。環縫群のハエの採集のついでにでも、晩秋には少しでも心がけて小まめに採集して標本を蓄積しておくように致します。

西表島のムシヒキ 投稿者:pakenya 投稿日:2010/12/05(Sun) 15:46:03 No.6642  引用 
こんにちは

9月下旬の西表島で多数見かけたムシヒキアブです。tgwさんのムシヒキアブ図鑑には画像が収録されていない種のようで、同定できないでいましたが、先日の関東同定会でutgさんに教えてもらいました。

シオヤアブ亜科のPromachus indigenusです。和名は付けられていないんですね。画像がどこにも無いようですので、ご紹介ってことで。

全長29mm、白浜林道の地面や低木の葉上に止まっていました。

アザミオナガミバエ雌 投稿者: 投稿日:2010/12/05(Sun) 01:13:40 No.6638  引用 
2008年4月25日に三重県志摩市の太平洋に面した岩場海岸で,スゲ属の植物に集団で見られたミバエです。
先月の関東同定会において,ミバエの好きな方にオナガミバエ亜科のアザミオナガミバエと教えていただきました。当時の生態写真がありましたので投稿します。幼虫はアザミの頭花の中で暮らしているとも教えていただきました。一種でも多くの双翅目の名前が判明するのは感激です。ありがとうございました。

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