いつもお世話になっております。
さてまたアシナガバエで恐縮ですが、今年の10月中旬に神戸市で採集したアシナガバエです。とりあえずはなあぶ30号の田悟(2010)を見ていますと、その中でGen sp. 4とされている種と酷似していることに気づきました。 一体これはなんでしょう、とお伺いするばかりでは恐縮ですので、中国動物誌を参照してみたところ、Sympycninae亜科に属するHercostomoidesという属のものに非常に特徴が似ているのではないかという結論に至りました。なお、採集したこの個体はおそらく雌だと思いますが、中国動物誌では雌は未知とされています。 この属にはHercostomoides indonesianusという種くらいしかいなさそうなので、ほぼこの種ではないかと思いますが、いかがでしょうか。みなさんのご意見をお伺いしたいと思います。 その種の写真を公開しているサイトもありました。よろしくお願いします。 http://evolution.science.nus.edu.sg/Empidoidea/Hercostomoides_indonesianus.html
書き忘れておりましたが、体長約2mmです。よろしくお願いいたします。
Campsicn様.
確かに,中国動物誌だけを読むとHercostomoides属の可能性が高そうに見えます. しかし,これを如何にして確認するかが大変な作業となるのです. 中国動物誌に書かれているように,このHercostomoides属は近年Telmaturgus属から独立した属ですから,従来のTelmaturgus属との違いを調べなくてはなりません. なぜなら,World catalogによれば,全北区にはT. parvusが,旧北区にはT. tumidulusが,東洋区にはT.indonesianusと同時にIndonesia原産で記載された種類が3種ほど分布しているとなっていますので,混同している可能性を消去しなければなりません. まずは,Hercostomides属を新設したMeuffels et Grootaert(1997)の論文を読み,Telmaturgus属との区別点を調べる必要があります.(Stud. Dipt.は北大農学部にあります) Meuffels et Grootaertの区別点が♀にも適用出来る特徴であれば,Hercostomoides属である可能性がより高くなります. その他,極東ロシア周辺に近縁の属が分布していないかという点も確認する必要があります. 次に,中国動物誌の分布を読むと,Hercostomoides indonesianusは中国でもかなりインドネシア寄りの地域に分布しているようですので,♂を探して交尾器を確認して同種かどうかの判断が材料がそろいます. (交尾器を確認する際に,近縁属が♂交尾器で区別可能な種類であるか確認しておく必要があります.交尾器が図示されているからと言って,交尾器で確実に区別出来るとは限りませんし,個体変異及び地域変異の幅もある程度調べる必要があります. 以前,私はヨーロッパ産の近似種の交尾器と日本産の交尾器だけを調べて区別可能と判断してしまい,恥ずかしい思いをしました(^_^;) 旧北区に広く分布する種類の場合,ヨーロッパ,西部ロシア周辺,東部ロシア周辺,日本と4〜5地点ぐらいの交尾器を見ないと難しい種類の場合があるようです.両端の標本の交尾器では確実に別種と思えるほど形状の差が出ているのですが,中間地点の標本を何点か加えて見ていくと,連続的な変異との意見を否定出来なくなるのです) 結果的には,Hercostomoides indonesianusの近縁種という結論になりそうな気配ですが,日本から未記録の種類を確定するには,このような地道な作業が必要です.
茨城@市毛様
確かに、中国動物誌だけで判断するのは無理がありましたね。危うく勝手に早合点してしまうところでした。未記録種の正確な同定には、地道な確認作業が欠かせないこと、肝に銘じておきます。特に分布の広い種は同定が困難になるようですね…。 Meuffels et Grootaert(1997)は取り寄せて確認してみたいと思います。偶然とれた個体なので、追加で採集できるかはわかりませんが、もし♂も採れたら交尾器も確認してみようと思います。 ご親切にコメントして下さり、ありがとうございます。また何か分かりましたら報告させていただくかも知れませんが、よろしくお願いします。
だいぶ時間がたってしまいましたが、Meuffels et Grootaert(1997)を確認して、あらためて標本を見てみました。
まず一つ間違えていたことが。 雌雄で触角第3節の大きさなどが大分違うらしいということで気づいたのですが、この標本はメスではなくオスだったようです。尾端が脚で隠れてよく見えない上、交尾器自体もかなり小型のようです。 改めてMeuffels et Grootaertを見てみますと、Telmaturgusは ・オスの複眼が額部分で接する ・触角第1節に毛がない ・触角第2節は横長で、第3節に指状に突き出さない ・触角第3節は短く、端刺は基部付近から生じる ・胸部の地の色が金緑色 ・後腿節に前方亜先端剛毛がある などの点でHercostomoidesと異なるようです(あと2,3の相違点がありました)。これらの点についてはこの標本と一致しますので、やはりHercostomoidesで問題ないのではと思います。 ちなみにMeuffels et Grootaertでは、石垣島で採集されたこの属の標本がH. indonesianusと異なる特徴を持っており、別種なのではないかとの記述があります。もしかするとこの標本も、そっちの別種の方なのかも知れません。 ですので、やはり交尾器を詳細に観察したいのですが、下手に触ると脚などが取れそうですし、そもそもこのようなサイズのものを観察できる手立てがなく、どうしたものか思案中です(うちにある双眼実体顕微鏡では、この写真のサイズくらいまでしか見えません)。 正露丸を使って脚などの整形ができるとの書き込みがありましたが、このように時間が経った標本でも出来るのでしょうか…?
Campsicn様.
中形種までは,軟化が可能ですが,微小種は整形するのは危険です.特に,剛毛などの脱落が顕著に起きます. 交尾器の観察には,腹部ごと外して,水酸化カリウム溶液で煮るか乳酸で煮るのが良いと思います.(体長や標本の古さで時間が変わるので結構厄介です.煮過ぎると透明になってしまい観察が困難です) 微小種の交尾器の解剖は,非常にデリケートですので,熟練していないと困難です.(私も,3年間の介護生活の間にすっか り腕がなまってしまいました(^_^;) これだ微小種になると,実体顕微鏡ではなく,光学顕微鏡での高倍率での描画が必要になると思います.
茨城@市毛様様
やはり無理がありそうですね。交尾器を取り出して観察というのは経験がないため、いきなりこのような微小種で行うことはさすがに躊躇してしまいます。沢山の個体を確保できていれば挑戦してみたいとは思いますが…。 光学顕微鏡の入手も含め、まだまだやるべきことがいろいろありそうです。アドバイスありがとうございます。 |
千葉県北西部の雑木林のサルノコシカケ科のキノコ(コフキサルノコシカケ?)にたかっていたハエですが、翅の感じからシマバエ科かミバエ科ではないかと、素人考えで思ったのですが、いかがでしょうか?体長は2〜2.5mmです。
みんなで作る〜で見て見ましたがどれも違うような気がします。
KT様.
ここら辺のグループは,新訂大図鑑の検索表と解説で丹念に科を調べないと,近似のグループと区別し辛いです. 写真を見る限り,ショウジョウバエ科の1種だと思います. 樹液によく見られる,Amiotaマダラメマトイ属が良く似た腹部斑紋を備えています. Amiotaマダラメマトイ属については,下記のURLに比較的細かく書かれています. http://tokyoinsects.blog14.fc2.com/blog-entry-1173.html
市毛様、いつもありがとうございます。
なかなか検索表を使いこなせないでおります。 頭がヒートしそうだったので、みんなで作る〜を一つ一つ見てと横着してしまいました。市毛様がおっしゃるサイトとそのサイトで紹介されているサイトを見たところ、ご指摘のマダラメマトイ属に似ているようです。 先ほど、匿名さんよりメールをいただきました。 「君は一寸のハエにも・・・の掲示板の使用法を間違っています。もう少し双翅目について基本を勉強してから利用すべきです。私などは投稿するだけの力量が無いのを知っているので、皆さんの手を煩わせることなく、拝見することで勉強しています。まずは掲示板の過去スレを見ると参考文献やサイトの紹介などがあります。それを熟読の上投稿してください。みなさんは優しいので迷惑でもお答えしているのです。」 ショックでした。確かに双翅目について何も知りませんが、アマチュアで楽しく取り組めたらと思っておりましたもので…。主に研究対象として取り組むのではなく、せめて地元にいる種類を少しでも分かったらと思っておりました。お返事を差し上げたかったのですがどういうわけか返信できませんでした。 ご迷惑をおかけしていたのであればお詫び申し上げます。
KT様.
今回程度の,写りの良い写真をupして頂ければ,ある程度の推測は可能ですので,あまり恐縮せずに投稿してください. 生態写真だけですと,科の推測すら困難な場合が多いので,出来る限り撮影個体を確保し,標本として手元に置いて頂けると,ここの部分はどうなっているかという問い合わせが可能なので,今回のような投稿は模範的な投稿の一例です. 双翅目の科については,三枝先生による新訂大図鑑の科の検索でさえ完全ではありません(検索で落ちない新しい科が出ています).これについては,日本は比較的研究が進んだ旧北区と,未解明な東洋区との境界に位置しているので,完璧な検索表を作るのは至難な業です. この掲示板は,三人寄れば文殊の知恵といった具合に,プロの参加が殆どないアマチュア同士の交流の場と位置付けています. 確かに,匿名さんがおっしゃるように過去ログには膨大な情報が含まれていますので,時間があるときに一度読み返して頂けると幸いです. 私自身も,ハナアブ科ついては一定レベル以上の知識を持っていますが,その他については未だに自分の検索結果があっているのか不安なことも多いです. 科の検索で困るのは,特に翅脈のCostaが切れているかどうかで,迷子になってしまっうケースが多いようです.私も科すら不明で眠っているの標本が多数手元にあります. 投稿されることによって,自分なりに復習したり,足りない文献を請求したりして,私にとっては勉強の場となっていますので,あまり迷惑とは考えていません. 時間があるときに,回答していますので,仕事が多忙な時期は,回答が困難な場合もありますので,その場合はお時間を頂くことがあるかもしれません. 同じアマチュア同士,お互いにレベルアップしていけるように,頑張りましょう.
KT様、市毛様、コンニチワ。
詳しく検索したわけではありませんが、C脈(前縁脈)の基方(sc切目の手前)が太く刺状になること、 胸部背面が黒くてツヤのあることから、キノコショウジョウバエ属Mycodrosophilaの1種だと思いました。 ショウジョウバエに関しては、 日本ショウジョウバエデータベース http://www.dgrc.kit.ac.jp/~jdd/ の中に「ショウジョウバエ科の生物」があるので参考になります。 リンクをたどると文献のPDFもいくつか見られます。 あと、匿名様のおっしゃることも判りますが、そんなことを言っていたら 掲示板が過疎化してしまいそうな気がします。 ここに貼られたような触角刺毛の枝毛が判る程の鮮明な写真であれば どんどん貼って質問されたらよいと私は思います。 答えてくださる先生方もお忙しいですから、時間の取れるときしか相手出来ないと思いますが、 気長に待っていれば必ず何か返答があります。 大事なのは感謝のレスを必ずすることくらいだと思いますよ。 以前、管理人のハエ男様もこのような趣旨のことをおっしゃっていたと思います。
写真だけからの判定ですが、おそらくショウジョウバエ科のキノコショウジョウバエ属1Mycodrosophilaのハエでしょう。最初の個体と2番目のはおそらく別種であろうと思います(中胸背面の色彩、腹部背板の斑紋などの相違)。Mycodrosophilaには日本に20種ほどの種が生息していて、これらを区別する特徴はいろいろありますが、とくに腹部背面の斑紋が一つの重要な特徴になります。
ありゃりゃ、門外漢の私がちんたら文章を打っている間に先生方からレスが、、、、
え?新訂図鑑にない科がある?弱ったなぁ。。。
KT様
私もMycdrosophilaだと思います。 Mycodrosophilaに関しては、現在金沢大学で準教授をしておられる都野展子さんが京都大学の大学院生時代に、コフキサルノコシカケのような胞子に外膜を持った硬質多孔菌類の胞子を食物としており、さらに外膜だけを消化吸収して胞子を生きたまま排泄、胞子分散に寄与している事を明らかにしております。 また、Mycodrosophilaは雌の導卵突起の形態が種毎に非常に特徴がありますので、この部分だけ引き出してプレパラートにして画像を提示していただければ、比較的容易に同定することが出来ます。
市毛様、ありがとうございます。お手数をおかけすることもあるかとは思いますが、ゆっくり自分のペースで楽しみながらハエと付き合っていこうと思っております。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。
Acleris様、ありがとうございます。ご紹介いただいたサイト、早速拝見いたしました。ダウンロードできるものは全てダインロードしました。キノコショウジョウバエ、なんか興味が湧いてきます。さっそく色々とみて見ます。ごん語ともご指導のほどよろしくお願いいたします。 アノニモミイア様、いつもありがとうございます。2種類かもしれないとのこと、びっくりいたしました。確かに最初のものと2枚目のものは違う個体を撮影しました。当日は一つのキノコから9個体得ましたが、これからじっくりと見てみたいと思います。今後ともご指導のほどよろしくお願いいたします。 ウミユスリカ 様、ありがとうございます。導卵突起を引き出すのには技術が必要なのでしょうか。プレパラートも必要なのはホールのあるタイプでしょうか。検体が小さいうえ40の手習いで上手く行きますでしょうか。とりあえず何でも挑戦してみようと思います。よろしくご指導のほどお願いいたします。
(旧)東京都立大学の教授でショウジョウバエ科の研究者であった故岡田豊日先生の「岡田豊日博士論文選集」(1988)に出ているTaxonomic outline of the family Drosophuilidae of Japanから、Micodrosophila属の種の検索表を私が邦訳したものを添付しておきます。双眼実体顕微鏡か倍率の高いルーペを必要としますが、あなたの採集したショウジョウバエを検索してみてはいかがですか。
添付:7202.doc (33KB)
KT様
アノニモミイア先生翻訳の検索表における『産卵管』が私の『導卵突起』に相当致します。腹部末端の生殖節の腹面先端をよく見ると、豆の鞘状に先端がやや突き出しているのを見ることが出来ます。観察するにはこの生殖節を先端の尖った精密ピンセットでつまみとり、一般のスライドグラスとカバーグラスと水で押しつぶし検鏡するだけで十分です。
2番目の画像のやつですが、アノニモミイア様にいただいた検索表で検索するとM. atrithoraxムナグロキノコショウジョウバエに行きつきました。採集した9個体の内、8個体は同じもののようです。1番目の画像のものだけが胸部にうっすらと黄褐色の紋様があります。しかし翅の黒点などは同じように見えます。個体変異ではないかと思いました。
脇からおじゃまします。門前の小僧ですが、ネットでは見られそうにないOkada(1988)の検索表について質問させてください。
この検索表では「14.R1脈先端の黒点はR1脈の下方にはほとんど達しない・・・・・subgratiosa Okada」となっていますが、subgratiosaの原記載(Okada(1965) Kontyu,33:327-350.)では「Wing・・・・, A black spot below second costal break prominent, reaching R2+3 below.」と記され Fig.36 に前翅の図があります。つまり、この検索表では原記載のsubgratiosaにたどり着けないように思います。これらは、別物なのでしょうか? あるいは、文献のどこかに誤植があるのでしょうか?
ezo-aphidさんのご指摘はもっともです。原文では、
14.Black spot at end of R1 scarcely extending below R1・・・・・・・・subgratiosa Okada Black spot at end of R1 exteniding below R1・・・・・・・・・・・・・・・・15 です。この原文は「選集」の書き下ろしの部分で、退官されるときに岡田先生が作成されたものと思います。先生ご自身はそれまで日本のMicodrosophila全体の論文はお書きでなかったかと思います(東南アジア関係は2論文あります)。 確かに、この検索表ではsubgratiosaには行きつかないでしょう。 むしろ、腹部背板の黒帯の状態をもとにして、検索表を作成した方がいいのかも知れません。私はショウジョウバエ科の分類を専門にしているわけではありませんので、あくまでも推定です。 なお、これらの種の腹部や翅の斑紋は、subgratiosaについてはご指摘の論文に腹部と翅の斑紋が、basalisについてはOkada, 1956, Systematic study of Drosophilidae and allied families of Japan (単行本です)の50ページに腹部と翅の斑紋が、serrataについてはOkada, 1986, Kontyu, 54(1):122に翅と腹部の斑紋が、gratiosaについては「選集」の42ページに全形図が、それぞれ載っています。 なお、「選集」は先生の退官記念論文集として出版されたもので、一般には現在入手が難しいかと思います。せめて書き下ろしの部分(検索表と一部の種の全形図を伴う種のチェックリスト)だけでもpdf化して配布することが可能なら便利ですが。 なお、邦訳検索表の誤入力がありました。 8のwassermanni は wassermani 12の korana は koreana 12の poecilogastra (Loe) は poecilogastra (Loew) です。訂正してください。仕事の合間に投稿しているので、時々誤入力があるので、ご注意ください。
早速のご見解ありがとうございます。
つまり、14番以降の4種については、この検索表によらず、原記載にあたるべきだと理解いたしました。翅脈や全形図で判別できればラクなものですから、どうしてもそれに頼ってしまいます。4種の翅と腹部の斑紋についての登載論文のご案内など、ご丁寧なご教示ありがとうございました。
原図を見て、検索表に最小限の修正をしてみました(14:上段末尾の番号、15:下段の後半全部)。なお、岡田さんはgratiosa(=splendida Okada,1956)としているので、原図はデータベースの「単行本」を見ました。
14.R1脈先端の黒点はR1脈の下方にはほとんど達しない・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 R1脈先端の黒点はR1脈の下に広がる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 15.R1脈先端の黒点はM脈まで達する;腹部背板はほとんど全面的に黒色・・・・・・basalis Okada R1脈先端の黒点はR2+3脈までで、M脈には達しない・・・・・・・・・・・・・・・・ subgratiosa Okada
皆様,こんばんは.
大分盛り上がっていますね. 今回のOkada(1988)の検索表にしろ,日本のイエバエ科のモノグラフ・日本産水生昆虫の検索等,色々な検索表が出ていますが,自筆原稿を当人だけで校正するため,思い込みによる間違いも色々とあるようです. 国際的な学会誌ですと,各分野の専門家同士が互いにレフリーとなって査読するようなので,このような間違いは少ないと考えています.誤記・勘違いの根本に,日本の専門家の絶対数の不足があるのではないかと思っています. そのような訳ですので,色々な分野の疑問点について,この掲示板で知恵を出し合って盛り上がりましょう.
お邪魔します。ショウジョウバエの分類をかじっているものです。
Mycodrosophilaの検索表についての議論について、ezo-aphidさんの修正に従うと、gratiosa,serrataに辿りつけなくなってしまうのではないでしょうか。 これまでの議論にも挙がっているように、subgratiosaを含め、検索表の14.以降に分かれる4種については全て、"R1脈先端の黒点はR1脈の下に広がる" が当てはまるものと考え、以降を繰り上げてしまうのが良いと思われます。 したがって、 14.R1脈先端の黒点はM脈まで達する;腹部背板はほとんど全面的に黒色・・・・・・basalis Okada ー R1脈先端の黒点はR2+3脈までで、M脈には達しない・・・・・・・・・・・・・・・・ 15 とし、 15. において、腹部背板の模様から(serrata)と(gratiosa,subgratiosa)に分けるのが好ましいと思います。 gratiosa,subgratiosa については、外見上の分類は難しく、male genitaliaを参照すべきであると思われます。 余談ですが、写真のハエはMy.gratiosa の可能性が高いかなと思っています(subgratiosa である可能性は捨て切れませんが、分布等から推察するに可能性は低いと思われる)。 1枚目と2枚目で別種との見方もありましたが、1枚目の個体については羽化直後であるなどの理由からくる誤差の範疇かと。
ezo-aphid様、IyoDros様、ありがとうございます。
結局、IyoDros様の検索表のように訂正加筆すればよいのでしょうか。私の検索による結果は間違っているのですね、追加個体も採れたので、再度検鏡してみます。 |
HM様.
写真のガガンボは,Elephantomyia属クチナガガガンボの1種と思われます. ガガンボに限らず双翅目の場合,よほど特色のあるわずかな種類以外は生態写真での同定は不可能で,○○の1種との回答となります.
茨城@市毛様
同定していただきありがとうございました。 たいへん勉強になりました。次回は採集しての同定を試みたいと思います。 |
そうです。写真の個体は♀です。幼虫は様々な腐敗植物質を摂食します。
アノニモミイア様、ありがとうございます。ほっとしました。
ところで本種の越冬体は何でしょうか?腐敗植物も冬場は凍りそうなので、成虫越冬でしょうか?
本種の越冬態は知りません。もともと熱帯系のキノコバエで(沿海州にも1種分布しますが)、どの程度日本本土で越冬しているかわかりません。九州でも春にはほとんど見られず、夏に増えてきます。特に、前日までまったく見なかったのにある朝突然、庭の草木に多くの個体が静止している、というようなこともあって、私は自力か風に乗るのか知りませんがmigrationの可能性も否定できないのでは、と思っています。
なお、昆虫の幼虫は周囲が凍結する温度になっても、体液のグリセリン濃度を上げるとかいろいろな対処で、凍結を防いでいたりしますので、腐食植物質を幼虫が摂食すると言っても、冬季に必ずしも凍死するとは言えません。ただし、Allactoneura属はもともと熱帯系のものなので、対凍性をもっているかどうか、この点が問題でしょう。 地球高温化にともなって、ナガサキアゲハやキマダラカメムシなどの北上のように、双翅類も熱帯系の種を含めて、我々が気付いていないだけで、当然北上しているはずです。この点Allactoneuraの生息記録は重要なデータになると思います。
アノニモミイア様、ありがとうございます。
なにはともあれ、採集し、記録することが「温暖化」を検証する一助にもなるかもしれないということが分かりました。それと緻密な調査や観察も大事ですね。 |
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