Brachycara yukawai Nagatomi, 1977をインターネットで調べておりましたら,Synonym of Brachycara latifrons James, 1960 とあるのを見つけました.日本昆虫目録第8巻にはB.yukawaiと出ています.いつどこでシノニム扱いとなったのか私にはわかりません.目録が間違っているのでしょうか?
田中川様.
恐らく,下記のカタログだと思います. Woodley, N.E. (2001) A World Catalog of the Stratiomyidae (Insecta: Diptera). Backhuys Publishers, Leiden, 473 pp. ハワイに分布するB. latifronsのシノニムというのも思い切ったものです.
茨城@市毛様
お調べいただきありがとうございます. 10年以上も前にシノニム扱いされていたにも関わらず,そのような情報をわれわれアマチュアが入手することは容易ではありません.たとえば昆虫目録執筆担当者の方々から双翅目談話会の会誌に,そのような新しい情報を提供していただけると助かるのですが.
田中川様.
中々,専門家といえどもすべての情報に目を通すのは困難と思われます. 昨今,大学図書館での学会誌の購読停止が相次いでいますので,今後増々困難になると思われます. また,今回のようなケースでは,収録漏れでない場合もあります.単純に言えば,研究者の見解の相違です. これだけは,難しいですね. |
久しぶりに投稿します。愛媛大の標本を使ったと言うことで、下記のPDFを貰いました。
Nihei, S. S. (2015) Systematic revision of the ormiine genera Aulacephala Macquart and Phasioormia Townsend (Diptera, Tachinidae). Zootaxa 3931 (1): 1–26. Aulacephala hervei Bequaertが再記載されています。和名を調べようと日本昆虫目録を見ましたが和名はありませんでした。目録では命名者がカッコ内に入れられていて、今回の論文と異なります。属のシノニムリストを見ると”Aulacocephala”が”Unjustified emendation”としてリストアップされており、その名前の下で記載されたようです。 この場合は、属名が単なるスペルミス(というか不正な修正)ということで命名者をカッコ内に入れないものでしょうか。関係する論文やICZNを再検討する前に、ここに書き込んでおきます。
吉富様.
これは,日本昆虫目録側の誤記です. 原記載は,Aulacephala herveiとなっています. Hertingのカタログが間違っているので,そのまま転記してしまったと思われます.
市毛様
ご返答ありがとうございました。理解しました。 |
皆様,双翅目談話会 第20回総会 御苦労様でした.
Melanostomaの話で盛り上がった際,orientalisの基産地の話が出たので詳しく調べようとしたところ,日本昆虫目録の記載年が間違っているのに気付きました. 1842ではなく,1824ですね. Wiedemann, C.R.G. 1824, Analecta entmologica :36. 掲載ページは36ページ目ですが,原本で誤植がありヘッダーが56となっています. 基産地は Ind. Or., (E India).となっていました. 困ったもんだ(^_^;) |
鮮明な生態写真ですね。標本も含めて♂の前腿節の基半部腹面に多くの強い刺毛を生じていることと、交尾器の形状、翅がややくすんでいることからTrichoclinocera fuscipennis Saigusa, 1965
ハイイロケミャクシブキバエ(灰色毛脈飛沫蠅)だろうと思います。渓流の湿った岩の上で生活して、その場所にいる双翅目などの幼虫を食べています。
三枝先生ありがとうございます.昨年の昆虫学会でシブキバエの講演を聴いてぜひ野外でみつけてみたいと思っていたところでした.さっそく出会うことができて嬉しく思います.ほかの種も探して見ます.
ハムシさん。シブキバエはやはりハイイロケミャクシブキバエTrichoclinocera fuscipennis Saigusaでした。本種は小楯板背面に短い刺毛を欠き(通常の縁の剛毛に加えて)、後脛節基部の背面に1対の剛毛を欠き、前腿節の後腹面に黒色の剛毛を列生するのが特徴です。他にも本属は数種日本に生息していますが、本種は上記の形質で区別できます。これらの特徴は今回の生態写真に写っています。
本種は西日本の渓流で春早くから活動します。本属の食性や配偶行動はほとんどわかっていません。幼虫は恐らく水生で、渓流の石の表面でブユやユスリカなどの幼虫を捕食していると思います。成虫も活動している石面で同様の餌を捕食しているのでしょう。 Megacyttarusの標本と共にお送りいただいた標本の一部を同定して返送致します。
Rhamphomyia,Trichoclinoceraを確認いただき,ありがとうございました.
Trichoclinocera fuscipennisがたくさんいた岩の表面に幼虫がいないか,今後注意して探してみます. 季節が変わるとほかの種にも出会えると思いますので,今から楽しみにしています.引き続き,ご指導をよろしくお願いいたします. |
すみません.ミナモオドリバエでした.失礼しました.
よろしくお願いいたします.
これはミナモオドリバエ属Hilaraの種ではなくて、ホソオドリバエ属のRhamphomyiaのイミャクオドリバエ亜属MegacyttarusのRhamphomyia (Megacyttarus) geisha FreyゲイシャイミャクオドリバエかR. (M.) argyrosoma Saigusaギンパライミャクオドリバエでしょう。本亜属の種の多くはHilaraと同様に水面を滑走するように飛翔をしながら水面に浮いている小型の双翅目などを狩り、雌への求愛餌にしています。本種もHilaraと同様に前脚を挙げながら飛翔して獲物を見つけ次第それに襲い掛かれる体制をしているのが良く分かり、貴重な画像だと思います。本亜属の狩りの画像は見たことが無いので双翅目談話会の「はなあぶ」等何らかの雑誌に投稿されることをお勧めします。そのために正確な同定が必要でしたら、標本を私の方へお送りください。
三枝先生,詳細な説明ありがとうございます.Hilara以外にもこのような飛翔をする種がいることを初めて知りました.ぜひ報告したいと思いますので,同定をお願いします.発送先は昆虫学会のサイトに出ているところで良いでしょうか.
http://www.entsoc.jp/secr.htm シブキバエの同定も確定していただくとありがたいです. 次はHilaraを見つけたいです.
念の為Trichoclinoceraもお送りください
Hilaraは未記録種を含めて日本に200種以上生息しています。5月上旬に多いHilara neglectaは最もポピュラーな種です。大型で個体数も多く、幅2,3mの流れでも淵の上高さ1-2mの空間に大きな群飛を形成するし、その下の流れでは雄が採餌水面飛翔をしています。
ハムシさん:標本は無事到着しました。Rhamphomyiaの方のMegacyttarus亜属の種はR. (M.) geisha Freyゲイシャイミャクオドリバエでした。本種はR. argyrosomaに大変よく似ていますが、♂の後腿節の腹面基部近くに2,3本と先の2/3あたりに1本の長い黄色の剛毛が生えています。R.argyrosomaにはこれがないか、あっても大変短くて周囲の刺毛と区別ができません。R. geishaは近畿地方から四国、九州にかけて分布しています。
それと最新の画像の種は同じMegacyttarus亜属のR. (M.) brunneostriata Freyケズネイミャクオドリバエです。本種は顔面(触角の下)に刺毛を生じ、♂の中脛節と短い第1付小節が肥大して長めの毛を生じています。これにはvar. monstrosaという型があって、通常型と混じっています。この型は中脚の第2付小節が肥大しています。今回の画像にあるような水面狩猟ができない場所の本種の群飛にはmonstrosa型がもっぱらです。あるいはこの肥大した第2付小節は♀に対するニセのnuptisal giftの役目をしているのかもしれません。 R. geisha,R. brunneostriataともに大変精度の良い水面狩猟の画像ですので、是非何らかの雑誌に報文をだしてください。 イミャクの意味は♀の翅脈相で、中室が変形や拡大をするので、♂の翅脈相と異なることに依拠しています。なお、Megacyttarusとは「大きな翅室」の意味でこれも拡大した雌の中室に依拠していると思います。 |
KURO様.
写真のハナバエは,クロオビハナバエAnthomyia illocataではなく,近縁のA. latifasciataの可能性が高いと思います. 詳しくは, Suwa, M. 1987. The genus Anthomyia in Palaearctic Asia (Diptera: Anthomyiidae). Insecta matsumurana 36:1-37. をご覧になってください.
茨城@市毛 様
回答ありがとうございます。 ご紹介いただいた文献はPDFで公開されていましたが、よく分かりませんでした。 でも、ハナバエ科Anthomyia属まで絞り込めただけでも良かったです。 どうもお世話になりました。 |
採集場所は愛知県あま市,標高3m,採集日は2015年1月23日,体長は6mmです.
針は微針を刺しました. はなあぶ誌37号の検索表で調べるとHebecnemaになります. 116ページのcouplet 16で,「♂の頭部上方はしばしば平圧される」とありますが,なかなか微妙なカーブだと思います. 日本のイエバエ科のクロヒカゲイエバエの説明では,”側額と亜側顔が横顔では見えない”という内容の事が書かれています. 中国蝿類の1071ページの図版231の2425では横顔が出ていて,カーブは多少違うものの雰囲気は似ていると思います. 37号の解説によると少ない種だそうで,採集地でも今までに数えるほどしか見たことがありません. 今回の採集地は標高が低いので山地性というよりは森林性という事になると思います. 冬だからかもしれませんが,ヒカゲではなく日の当たる葉の上にいました
日本のイエバエ科の検索表でも,はなあぶ誌28号の種類が増えた検索表でも,胸背と腹背に明瞭な縦線はないという選択肢になります.
一方で詳しい記述では,胸部に4本のはっきりしない暗い縦条と,腹部第3と第4背板に暗い中央の縦線があります. 手元の標本は暗い線も見当たらず,胸部と腹部で多少の質感の違いはあるものの,およそ黒一色に見えます. もっと違いが目立つのは鱗弁の色で, 教科書通りなら褐色で,黄色い平均棍とは異なる色彩で,Plete 18-12を見ても上下とも暗色なのですが, 手元の標本は明るい色をしています. しかし色彩についてはいろいろあるようで,例えば脚の色を見ると, 日本のイエバエ科では腿節が黒色,脛節が暗褐色であるのに対して, 中国蝿類のH. fumosa では中脚と後脚の脛節は黄色で,ある時には暗褐色で,検索表でも基本的には黄色という事になっています. 異なるカラーバリエーションがあってもいいかもしれないと思います. 今回はゲニタリアは未処理なので,追加個体が採れたら見てみようと思っています. ついでになりますが中国のMydaeinaeの文献を見つけました.英文です. http://jinsectscience.oxfordjournals.org/content/14/1/22 |
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