同定されたようにHybos bicoloripes Saigusa, 1963の♂です.原記載では奥入瀬の1ペアに基づいていますが,国内では結構分布が広く,九州南部の山地でも得られています.後腿節が著しく紡錘形に肥大しており,♂交尾器の背方に突起がのびているのも目安になります.場所と時期を選ぶと意外とまとまった数が採れることがあります.後腿節の先端が暗色のことも含めて識別しやすいものです.H. auriferのように前小楯板域が金色に輝くこともありません.
Hybosは種によっては多産するのですが,林床の葉の上に静止している姿しかほとんどみていないので,じっくり観察したことがありません.多産地で半日くらい費やすつもりで観察するといろいろと分ってくるのではないかと思います.前を向いた長い口吻も摂食時には真下を向くようになりますし.かなり獰猛な捕食者ですが,交尾のときにどのような行動をとるかも観察されていません.
アノニモミイア様,早速の回答ありがとうございます.
私も,Hybos属は葉上に静止している個体ばかり見ています.
先ほど,Dolichocephalaの1種を見つけました.
マウントしたのは覚えていたのですが,永らく行方不明になっておりました.
実は,この属は翅脈が変わっており,最初は検索で上手く落ちませんでした.他の属に比べ,bmやcup室がとても小さいのですね.
体長約1.5mm.7月に茨城県北部の山間部で採集しました.
当間山のオドリバエに描かれている種類とは,翅の斑紋が異なるようですが,別の種類なのでしょうか?
よろしくお願い致します.
これは日本に産する2種のDolichocephalaの片方です.もう1種は本種よりはるかに多数の白斑をあらわす種です.今回のはインドのSimlaから記載されたDolichocephala septemnotata Brunettiに極めて類似して別種と考えています.もう1種(これは伊藤先生が北隆館のミズタママメオドリバエの和名とD. irrorataの学名で掲載されています;しかし,irrorataとは♂交尾器が異なり別種です)に比べると今回の種は個体数がやや少ない傾向があります.
これら2種のほかに,Lamposoma属があり,これも頭部が長く,頸の位置が頭部の背方に移動していますが,DolichocephalaのようにR4がR2+3と横脈で結ばれていません.最近の分類ではこれもDolichocephalaに入れることがあるので,そうすると後2-3種増えます.Lamposomaは翅に水玉模様がありません.
これらの種はほかのClinocerinaeの属と異なって,渓流や岩清水にはいないで,Heleodromia属と同じように切り通し道などの斜面がわずかの漏水で常時湿っているような場所を主な生息場所にしていますので,このようなマイクロハビタートを丹念に繰り返し地上ぎりぎりをスイーピングすると採集できます.
アノニモミイア様.
やはり,別種なのですね.
来年は,御指摘のような場所に注意して,別の1種を狙ってみます.
ありがとうございました.