このような単独での行動はハナバチやハエの仲間で時折観察されます.ずっと見ているとそのうちに飲み込んで,さらに再び出すことがあります.決して吐き出して捨ててしまうのではありません
. 想像ですが,おそらくそ嚢cropに飲み込んだ液体を,外気にさらして濃縮しているのだろうと思います. チョウ類などでは,湿った地面に止まって吸水しますが,この場合は長時間吸水する過程で,肛門から次々と水滴をぽたぽたと落としています.この行動の解釈は,体温を下げているというのと,吸収する必要がある成分を吸収したのちに残りの残液を排泄している,とがあります.この行動がしばしば♂に限られていることから,前説はやや疑問がります.♂だけということは,多分生殖に関係して,例えば交尾中に雌の交尾嚢に♂が形成する精包の材料をえているのでは,というようなことが考えられます. ハエなどはそ嚢に液体をいっぱい吸収すると,それをただちに中胃に送り出すのではないようですから,多くの栄養成分を得るためにそ嚢の中身を蒸発して,そ嚢の容積を有効につかっているのか,と思います.あくまでも想像ですから,事実とは信じないでください.
アノニモミイアさんありがとうございます。確かに、何度も吸って出してを繰り返していました。5分くらいして、最終的には飲み込んで飛んでゆきました。その際、水滴が小さくなったかどうか、、、次回はそこも見てみたいと思います。ありがとうございました。
taroさん.
今後このような行動をほかのハエでも観察されたら,詳しく経過を見てください. それにしても,鮮明な画像ですね.撮影機材など教えていただければありがたいです.
横から失礼します。
私も同様の行動を見たことがあります。 動画に撮りましたのでよろしければご覧ください。 http://sigma-nature-vlog.blogspot.jp/2011/01/blog-post_2772.html 最後に水滴を吐き出したかどうか、残念ながら見そびれてしまいました。 この行動にどんな意味があるのか長年の疑問に対して、今回専門家のご意見(仮説)をお聞きして勉強になりました。 ついでに、あつかましいのですが動画のハエの名前がもし分かるようであれば教えてください。 (写真は撮れていません) ◯◯科、だけでも助かります。 ここで以前教えてもらったハクサンベッコウバエと素人目には似ている気がします。
しぐまさん.興味深い動画をありがとうございました.このベッコウバエはNo.6667のスレッドで書き込みをしておきましたように,ハクサンベッコウバエでよろしいと思います.本種の学名(種名,種小名)については,あのスレッドの最後あたりに書き込みましたが,現在melanacmeとanalisの関係がどうなっているかは調べていません.
コメントありがとうございます。
蝿の名前も分かって嬉しいです。 アノニモミイアさんの仮説をどうやったら実証できるか考えてみたのですが、蝿の口元の水滴を注射器でサンプリングして時間経過とともに成分を分析するぐらいしか思い付きませんでした。 単に水滴が小さくなっただけでは一部を飲み込んだのか蒸発したのか分かりませんよね。 野外では間違いなく逃げられてしまいそうですし、果たして飼育下で吐き戻しを再現してくれるか難しそうですね。 冷却効果の有無については、虫の体温をサーモグラフィーで見てみたいものです。 |
いつもご指導ありがとうございます。
再度になりますが、シギアブ科Rhagio属について質問させていただきます。 7720、7727でうかがったRhagio属の個体と6月13日に静岡県裾野市で採集した個体の翅脈を比較してみたところ、少しずつ違いが見られました。(たとえば○印をつけた部分)このような違いは個体変異ととらえるべきでしょうか。それとも種の違いの可能性を示唆するものでしょうか。初歩的な質問で恐縮ですが、ご教示願えましたら幸いです。よろしくお願いいたします。 1.6月3日採集 2.6月7日採集 3.6月13日採集 FS
双翅目の翅脈の相対長,曲がり具合,他脈となす角度,翅縁での位置,翅脈相互の間隔などは概してかなり安定した重要な分類形質です.しかし,それでもある程度の個体変異はあります.その幅が近似種における変異幅とどのような関係にあるかは,実のところ個々のケースで異なっています.
それぞれの分類群で多くの種について個体変異を研究することによって,はじめてその関係がわかってくるものと思います.シギアブ科の翅脈相を詳細に調べた経験がないのではっきりしたことは言えませんが,かつてBolbomyiaの翅脈相を多数の個体についてかなり調べたことがあります.その経験では今回の程度の変異は個体変異の範囲にふくまれるかな,という印象を持っています. 多くの個体で調査して変異の状況をつかむとともに,ほかの形質を調査して,研究した個体群が同一種に入るかどうかを検討し,その上で問題の変異について判断を下すことが大事ではないでしょうか.
アノニモミイア様
詳しくご教示いただき心より感謝申し上げます。 何を念頭において調査を進めるべきなのかが、よくわかりました。できるだけ多くの個体を採集して比較を試みたいと思います。 今後ともご指導よろしくお願い申し上げます。 FS |
Flytimes No.48が発行されました。ネットでFlytimesと入力すれば,Flytimes-American Dipterists Societyが出ますので,それをクリックして,Issue 48をダウンロードできます。
直接には,http://www.nadsdiptera.org/News/FlyTimes/issue48.pdf でも見れます。 また,小型昆虫を全方向からの照明で撮影するDome lightingの方法の改良法が示されています。これは双翅目の標本撮影に関心のある方々には参考になる方法です。 なお,本誌にはそれまで出版された双翅目の文献が列挙されています。双翅目談話会もカナダ,オタワの中央実験農場にある昆虫分類研究室に「はなあぶ」を創刊号から贈呈していまして(多分現在も送られているのかと思います),今回も「はなあぶ」に掲載されている論文もこの文献リストに挙げられています。 ![]() Flytimesの最新号の情報ありがとうございます. Dome LightのFisher氏も,マクロレンズ(or 顕微鏡対物レンズ)+image stackingを使用していますね. 私も,頑丈なコピースタンド(Nikon PF-4)がオークションで入手出来,やっと安定して高倍率が撮れるようなシステムが完成しました.実用倍率で約20倍程度まで,最大倍率では約35倍まで撮影可能です.
Dome Lightの記事にあるLEDライトを調べてみたら,eBayで購入可能でした.送料込みの価格が7000円強と国内で売っている商品に比べて激安ですね.
LEDのリングライトについて は,Gainexpressのが結構機種が多く,しかも値段が安いです(国産の半値以下)。香港の会社でおそらく中国製ですから,少々安かろう悪かろうの面がなきにしもあらずです。インターネットでgainexpress.comと検索して,会社がでたら,microscope, camera, illuminatorをクリックするといろいろなリングライトの広告がでてきます。私はKD-200(89USドル,80LED)と GX860(94.5USドル,144LED)の2種類を買ってつかっています。顕微鏡の鏡筒下部の直径を考えて適したものを購入する必要があり ます。ただLEDリングライトは,1)影がなくなるので標本がフラットな印象に見える,写真も同様な結果になる,2)液などに入れて解剖する場合にピンセットなどの周囲の水面が凹面になると,これに多数のLEDが小さく反射して解剖材料が見にくい,の二つの弊害があります。それで私は冷光ファイバー照明も併用しています。なお,gainexpress のLEDについては私が紹介した最新のFly TimesにもDome lightingの記事で紹介されています。
三枝様.
ファイバー照明に比べると安い代わりに欠点もあるのですね. ありがとうございました.
GX860が到着しました.
HPに20000Luxと表示しているだけあって,減光しないと眩しいです.現在使用している,150Wハロゲンランプを光源としたリング照明より明るいのには驚きました.拡散版を付けても明るそうです. また,三枝様が指摘していたように,一つ一つのLEDが離れて見えるので,反射した明かりが均一ではありません.(LED自体は互いに接するように並べられていますが,封入樹脂やレンズ部に比べLED素子自体が小さいので,構造的に仕方が無いようです.) GX860は内径が61mmですので,レンズ径が67mmと大きいLecia MZやCanon MP-E65には直接付けられません.アームスシステムの「LED照明装置・60φ〜70φ顕微鏡取り付け用アタッチメント 」を利用すると取り付けられそうです. 同社のKD200であれば内径70mmまで直接取り付けが可能なようです. |
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