シリアカニクバエを採りました。北龍館の新訂原色昆虫大図鑑IIIには、
「生息場所が比較的限局している。市街地にのみ見られ、札幌、仙台、東京などに多く、、、」 とあります。普通種かどうか分かりませんが、投稿してみます。 標本にしても赤い尻と頬の白い毛が目立ちます。
採集日は7月12日、採集場所は名古屋市中村区、体長11[mm]です。
名古屋駅に人を送って行ってその帰り、駅から西へ2.5[km]ほど離れた神社で見つけました。 以前にまだ採集はしていなかった時、港区の公園でシリアカ状のニクバエを見かけたことがあり、 採集するようになってぜひ捕まえたいと思っていましたが、今回通りがかりに立ち寄った所で採集できました。 ほかのハエと共に犬の大きな排せつ物にたかっていて、しばらく見ていましたが、 シリアカは個体数が多くなく、飛び去ったり違う個体が来たりすると分かりやすく、 もしかしたら同じ個体があまり長時間とどまらないかもしれないという印象を持ちました。 その時はたまたまだったかもしれませんが。 赤くないニクバエもいて、予想でシリグロニクバエに見えるのは避けてわずかに一匹採りましたが、結果はモトミセラでした。
Googleでcrassipalpisで画像検索すると、オーストラリアのニクバエの交尾器画像や分布が出てくる興味深いサイトがありました。
ページの階層を上がってみるとたくさん出てきます。 http://keys.lucidcentral.org/keys/v3/Sarcophaga/key/Key%20to%20the%20Australian%20Sarcophaga/Media/Html/ オンラインで同定できるようなことも出てきます。 ちなみにオーストラリアのモトミセラは色が赤いのに驚きました。
学名を見ていくと、
Fauna Japonica では、Parasarcophaga crassipalpis 中国蝿類では、Parasarcophaga (Jantia) crassipalpis みんなで作る双翅目図鑑では、Sarcophaga (Parasarcophaga) crassipalpis Flesh Fly Generic Navigator では、Sarcophaga (Liopygia) crassipalpis 先の北龍館の図鑑では、Liopygia crassipalpis と、いろいろ出てきます。 Parasarcophaga属にするかSarcophaga属の亜属にするかという話は少し読んだ覚えがあります。 それだけでは終わらなくてLiopygiaというのもあるようで、難しいと思いました。 それぞれ理由が分かるといいのですが、調べるのは簡単ではないと思います。 何かご存知の方がみえましたらコメントしていただけたらと思います。 よろしくお願いします。
大宮様.
シリアカニクバエ良いですね! 未だ採ったことはありません. 熱帯・亜熱帯に広く分布し,貿易によって温帯や亜寒帯に広がった種類のように思えます.こちらのような田舎にはいないようです(^_^;) 属の取扱いについては,私のようなアマチュアには荷が重い話です. 簡単に言えば,Pape(1996)の世界のニクバエ科カタログに黙って従ってLiopygia亜属とするか,やはり細かく分けるのが望ましいと考えてLiopygia属とするか,研究者によって考えが一致していないということです.
大宮様
茨城@市毛様 みなさまこんばんは. 再びニクバエの投稿をしていただきましてありがとうございます.ニクバエマニアとしてはうれしいかぎりです. 標本の作りも写真もきれいで,いつも感心しております. シリアカニクバエは大きくて白くて,とても見事なハエですよね.都会のハエ感が漂っているようにおもいます.「大都市ではめずらしくない」的なことが書物にかかれていますが,都会がない地元山口県ではめずらしい種類のようで,これまでわずか1個体,それもなぜか人里離れた山の頂上でとっただけです. 犬糞にやってきてはすぐに去って行ったとのことですが,一般にニクバエ類は,腐肉トラップなどを仕掛けて観察すると,♂は滞在時間(摂食時間)が短い場合が多く,少し吸汁すると,すこし離れたところに移動して,ほかのハエや♂が来ると追い払ったり,♀が来ると飛びついたり,要するにケンカと♀に対する興味のほうが食事への興味より強いような奴が多い感じがします.これに対して♀はじっくり滞在して心行くまで食事を続けています.観察されたのは♂だった可能性がありますね. これを書いていて思いましたが,「本種の発生源は不明」的なことが長崎のニクバエの報告に述べられていたように記憶しています.犬糞ですか.たしかに犬糞ならば都市部でも安定的に供給されているでしょうし,栄養も豊富でしょうね. もっとも,摂食源と発生源が異なることも多い(花で吸蜜,死骸に産仔など)ので直ちにつながるわけではありませんが,犬糞も発生源として十分考えられると思いました. オーストラリアのニクバエのサイト,知りませんでした.交尾器の図が多数示されていて,大変に参考になりました.ありがとうございました. この中で,ご指摘のオーストラリアのモトミセラの交尾器ですが,確かに赤いです.しかし一般に羽化後まもないテネラル(未成熟成虫)では,キチンとキチン化していないためでしょうか,交尾器の色が薄いことがあり,赤褐色ないしアメ色に見えることもありますので,交尾器の色だけで種の判断材料とはしにくいです.腹部の市松模様の黒い部分などが赤茶色に見えるような個体ならおそらくテネラルですので注意が必要です. ニクバエ科の研究誌についてはほとんど何も知りません.ただ,亜属Jantiaは現在Liopygiaのjunior synonymになっているらしい(またぎき)ことのみ,コメントしておきます.ニクバエではむしろ和名のほうが変動が少ないので調べるときに大変便利です
皆様コメントありがとうございます。
茨城@市毛様 始めて採れるとうれしいです。 分布については貿易の影響があるのですね。 移動した先で都市部に広がるという点ではクマゼミが連想されます。 属については研究者ごとの考えがあるという事になると、簡単ではないですね。 「はなあぶ」を見ていても両方のパターンが出てくるので、どちらを見ても分かるように慣れたいと思います。 さんご様 やはりなかなか見つからない種のようですね。初めての感動もありますし、今回は変形は少なく、投稿できてよかったです。 性別による行動の違いは気づきませんでした。 言われてみると、周りのキンバエ類には無頓着なのにニクバエ類のオスが来るととたんに追いかけっこが始まるというのを見た覚えがあります。 今後さらに観察してみたいと思います。 発生源については、「はなあぶ」にも、「主たる発生源の解明が待たれる」というような記述が出てきます。(最新号では35号のp56) 漠然と分解者であるというのではなくて、種ごとに違いがあるという考えは驚きでした。 ウジを見つけたら持ち帰って羽化させる方法を調べておきたいと思いました。 テネラルの説明ありがとうございました。キチンについてキチンと知っておきたいと思います。 学名についても貴重な情報ありがとうございます。 初心者の観点からすれば、採集を始めるにあたって、調べる資料が手に入るだろうかという事が気になります。Sarcophaga属に統合されているリストを見ると、 フィールドでおよそ普通のニクバエに見えるのであれば、採集すればSarcophagaの資料で何とかなるのではないかとの予想が働きます。 実際にはニクバエ科の資料はいろいろ入手できるのですが、 知らない人がこれから何をやろうかと思う時に、細かく属に分かれているリストを見ると情報収集が大変ではないかと思うかもしれません。 また、限られた範囲の中でたくさん種類があるというのはセールスポイントにもなると思います。 ガガンボやヒメイエバエが簡単ではないという事になるとこれは当たっていないのでしょうが、 自分の場合は、Sarcophaga属にずらっと並んでいるのを見てニクバエを集めてみようと思った理由の一つになりました。 あまり科学的な観点からではないかもしれませんが。 実際に採集を始めると少しづつですが手を広げていくことになります。ほとんどが弁翅類ですが。 また投稿したいと思います。ありがとうございました。 |
ご無沙汰しております。
久しぶりにみんなで作る双翅目図鑑の更新履歴のページを見たら、スパムでいっぱいになっていました。 空白のページに書き込まれているようで、とりあえず空白にして上書き保存しておきました。 忙しくて書き込みができない間に管理用パスワードを忘れてしまったので、凍結はしていません。 更新履歴がいっぱいになっていたので、それ以前に書き込まれたものがまだ隠れているかもしれません。 というわけで、現在更新履歴が白紙ページばかりになっています。 取り急ぎご報告まで。
Arge様.
私も先日スパムに気づいてハエ男さんにメールしておいたのですが,今のところ返事はありません. ベースとなっているWalWikiやYukiWikiのページを見ると,長年更新されておらず,スパム書き込みなどに対応する予定はないようです. |
こんにちは、こちらには初めて投稿させていただきます。
2013年8月4日に東京都板橋区で採集したツリアブです。コナラの多い雑木林の林縁で見つかり、コナラの葉上に止まっていたり、コウヤツリアブやクロバネツリアブ同様に人の周りを飛ぶこともありました。細身な体で、体長は約6mmと小型です。翅の模様からAnthrax属と思われたので、こちらの「みんなで作る双翅目図鑑」のリストにあるAnthrax属5種を片っ端から調べてみましたが、どうやら皆、体形からして異なるようでした。そこで、海外のBugGide.NetからAnthrax属を探したところ、Anthrax argyropygusという種類がよく似ていました。しかし、体形は似ているものの、翅の黒色部がr5室のr-m付近までクリアであることや、M1脈とR5脈が翅縁近くで並行的であることから別種だと思われました。また"ツリアブの一種"で検索すると、本種と同じ種と思われるツリアブが見つかりました。 こちらのリストに載っていない種となると、Anthrax属の未記載種と考えて宜しいのでしょうか。種名が判ると嬉しいです。 宜しくお願いいたします。 画像1:全体
板橋のK様
写真のツリアブは,ヤマシロツリアブBrachyanax yamashiroensisだと思います. ネット上の写真では,翅端に斑紋を欠く写真が多いですが,松村松年のタイプ標本はこのように翅端まで黒紋が伸びています.
茨城@市毛様
素早いご回答ありがとうございました。 Anthrax属と思い込んでいたために見つからなかったようです。九大目録を見ると、どうやら以前はAnthrax属に所属されていたようですね。 翅の紋についても多少の変異があること、理解いたしました。 また、分からない双翅類がいれば質問に来るかもしれません。そのときは宜しくお願いいたします。
こんにちはです。『Genitalia of the Japanese Species of Anthrax and Brachyanax (Diptera,Bombyliidae)』
というのに♂♀の翅が載ってまして、この翅は♂の翅みたいですね。
まあ様.
フォローありがとうございます. Evenhuis(1981)だけ見て回答していました.Liu et al.(1995)に雌雄の翅が載っていました. 本種の学名についても,Brachyanax aterrimus (Doleschall)と変わっていたのを忘れていました.
蛇足かもしれませんが、ヤマシロツリアブの産卵行動を観察したことがあるので、紹介させてください。
http://hanmmer.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/12008824_1eab.html リンク先のブログではツリアブの1種としていますが、メールでヤマシロツリアブと教えていただいています。動画を見ていただくと産卵の様子がわかると思います。 |
皆様こんばんは.
先の総会で,談話会の編集係が桂孝次郎氏から私にバトンタッチとなりました. 今後は,「はなあぶ」の原稿を私のほうに送付して下さい. なお,メールアドレスは,リンク先のHPや私の報文に記してあります. 原稿をメールに添付して送る際には,念のためファックスでも送付するようにお願い致します. 投稿に関する御質問等は,HPのメールアドレスに御連絡願います. 今後とも,宜しくお願い致します. |
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