Rhamphomyia(Pararhamphomyia) setulosa Saigusa,1964 ?みたいの(画像1枚目)の外見です。
採集データは長野県下伊那郡大鹿村 鳥倉林道標高1600m〜鳥が池キャンプ場です。
続く
3枚目の画像は多分これまでに画像としては出てきていない種ではないかと思います。
挿入器が曲がらずにひたすらまっすぐに伸びています。
外見図です。
3587と同種ではないかと思われます。
中部山岳地帯は今まさに様々なオドリバエの発生の最盛期でしょう.島島谷とか乗鞍荒原など飛んで行きたいくらいの気持ちです.しかし,なんともぐだぐだした仕事のために動けません.アルプス関係はハエ男さんのご活躍を期待します.
最初のは,交尾器や外見からRhamphomyiaではなくて,Empisではないでしょうか.2枚目の本体の写真でR4脈がうっすらと写っているように見えます.口吻もかなり長いので,この点も通常のRhamphomyiaとは違うと思います(R. arakawae群は例外的に長く,これは東亜・北米型分布で日本からはarakawae,japonica,calcariferaが既知種でほかに数種未記載種あり).それでほとんど間違いなくEmpis (Euempis)のtessellata群の種です.日本産はflavobasalis Matsumura, 1915(ネウスオドリバエ,北海道;esoensis Frey, 1955はシノニム)のほかにFreyがstigmatica, 1953(四国)とその亜種とされるapophysis Frey, 1953(大阪),honsyuensis Frey, 1953(八幡平)を記載していて,このほかにヨーロッパから記載されたtessellataを日光から記録しています.この日光からのtessellataはヨーロッパのものとは明らかに別物です.このほかにまだいろいろ日本列島にはいまして,北海道のflavobasalisから九州のstigmatica的なものまでが同一単系統群の地理的集団で,これに近似のもっぱら本州に分布する別の一群があり,これらよりも細身でやや大型のものが盛夏に北アルプスに現われ,さらに大型でどっしりした一群が中部山岳から九州まで分布しており,これも地理的分化が見られます.この大型のは個体数が少なく,群飛もずいぶん高所で(10mカーボン竿でも届かない),しかも通常flavobasalis群とおなじ初夏出現のもので,観察された限りでは,nuptial giftとして,flavobasalis群の雄を狩ります.
今回のは2枚目の写真で拝見する限り,flavobasalis群のものと推測されます.Empis (Euempis) flavobasalis subsp.と一先ず同定されたらいかがでしょう.
本群の日本列島での実態は各地のいろいろな季節の材料を収集しないと分りませんので,興味のある方は是非採集してみてください.オドリバエとしては本群は珍しく雄交尾器に顕著な種間の差がはっきり出ないので,苦労します.近いうちになんとか検索表を作成してみます.
3-5枚目のはHilaraのコシアキ型の種ですが,小楯板剛毛が2対(4本)のH. neglectaとH. melanogyne,3対以上(6本以上)のH. leucogyneとH. itoiが既知種ではあります.6本のタイプはほかに数種近似種があって,特にleucogyneに近いものはhypandriumの先が鉤状に前上方に湾曲したaedeagal sheathになる部分に生じる突起の状態(数,位置,大きさなど)に違いが見られます.これも近々コシアキ型の大型Hilaraの検索表を作成してみます.
今回の写真では交尾器の筋肉が収縮しているために,骨化部が屈曲していて,正常の形になっていないので,大変分りにくく,その点からも,写真だけでは同定できません.また,前述の通りhypandriumiも形状が重要です.クロロフォルムなどで長めに殺すと,筋肉収縮が起ってしまいます.
二つとも種までの同定がこれらの写真では困難でして,確答できないですみません.
アノニモミイアさん>詳細な解説ありがとうございます。
Hilaraのコシアキ型の種の方は小楯板剛毛を見たところ2対でありました。
大鹿村の鳥倉林道は林道の横が絶壁&吹き上げになってるような場所がかなりあり、高いところを群飛や輪舞するようなタイプのハエも比較的容易に採集できます。(いろいろとオドリバエも注意して採集したいと思います。)
オドリバエだけでなく、さまざまな双翅目が見られますので、晴れ間と空き時間がかみ合えばまた行って来たいと思います。
やっぱしご神木はすごいのです・・・いろいろ出てきます。
ヤチニクバエも今年もゲットできましたし・・Piezzura sp.もそこでしたし・・
小楯板剛毛が2対4本のコシアキ型の大型Hilaraの2種,neglectaとmelanogyneの相違点につきましてはNo.3464とNo.3468に少し詳しく書いてありますので参照ください.写真の前脚の第一付小節の太さから判断しますと,H. neglectaの可能性が高いと思います.本種は北海道から九州まで分布していますが,軽微ですがやはり地理的変異がみられます.