こんちは。
以前、Empis (Polyblepharis) compsogyneと、Empis (Polyblepharis) sp. について教えていただいたのですが、近似種で Empis (Polyblepharis) sjoestedti FREY,1953というのがいるようなのですが、初めの2種との関係がわかりません。 相当 似ているようなのですが、もしかしたら別名でしょうか? ご教示いただけましたら 幸いです。
E. sjoestedtiはカムチャツカから知られている種です.本種はcompsogyneに酷似していて,あるいは同種かも知れませんが,今のところ後者が北海道などから知られていませんので,一先ず別種としておきます.前者は1雄で記載され,その標本の交尾器aedeagusの先端は露出されていますが,乾燥状態なのでcompsogyneと正確な比較ができませんが,やや異なります.以下に私の手元にある材料に基づく日本産のPolyblepharis亜属の種にsjoestedtiを加えた検索表を下に示しておきますので,これを参照してください(添付書類にしようかと試みたのですが,「アップロードできません」と言う表示なので,参照しにくいでしょうが下に付けます).分らない点や,この表でおかしいところ,または追加すべき形質などありましたら,教えていただければ幸いです.なお,この場に示しておきますが,この検索表は未発表データですので,他での引用,特に印刷物での引用はしないでください.
日本産Empis (Polyblepharis)亜属の種の検索表(カムチャツカ産P. sjoestedtiを含む) 1.脚は部分的ないし全体的に黄褐色;雄は合眼的;雌の脚には羽状剛毛がある;acrostichalsがある.中型ないし大型種・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 脚は全面的に黒色;雄は離眼的;雌の脚に羽状剛毛を欠く;acrostichalsを欠く.大型種・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 2.雄の第7腹節後縁は正常で,第6腹節腹板と大差なく,通常の刺毛を生じる;雌の中脛節には羽状剛毛を生じる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 雄の第7腹節腹板の後縁は第6腹節腹板のそれと異なり,第8腹節腹板前縁との間に顕著な段差があり,後縁亜側部に上(第8腹板前縁方向)を向く強い剛毛群を生じる;雌の中脛節は羽状剛毛を欠く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P. multinodosa Frey・・・・・・3 3.Dorsocentralsは前端部を除いて1列;雄の後腿節の前腹刺毛は疎ら・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・P. multinodosa (北海道集団) Dorsocentrals不規則に2列;雄の後腿節の前腹刺毛は密・・P. multinodosa(カムチャツカ集団) 4.小楯板剛毛は4本以上;雄の後腿節はその全長にわたって前腹剛毛を生じる(moiwasanaの対馬集団では基半部に剛毛を欠く);雌の後脚第1付小節は羽状剛毛を欠く・・・・・・・・・・・5 小楯板剛毛は2本;雄の後腿節の基部1/3から1/2には前腹剛毛を欠く;雌の後脚第1付小節には羽状剛毛を生じる…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 未記載種A(本,四,九) 5.雄・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・6 雌・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 6.付節は黄褐色;presutural dorsocentralsは前半部で不規則な2列;アエデアグスの先端部にある第一湾曲内縁の先半部に1個の小形突起を生じる・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 付節は暗褐色ないし黒褐色;presutural dorsocentralsはその前端部を除いて1列;アエデアグスの先端部にある第一湾曲内縁は突起を欠き,一様・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・8 7.前腿節背面は暗色;中胸背のpollinosityの地色は黄褐色・・・P. compsogyne Frey(本,四,九) 前腿節は一様に黄褐色;中胸背のpollinosityの地色は灰褐色・・P. sjoestedti Frey(カムチャツカ) 8.雄の後腿節は全長に亘って前腹剛毛を生じる・・・・・・P. moiwasana Matsumura(北海道集団) 雄の後腿節の前腹剛毛は先半部にほぼ限定される・・・・・・・・・・P. moiwasana (対馬集団) 9.後脛節は部分的に黄褐色;presutural dorsocentralsは不規則な2列・・・・・・・・・・・10 後脛節はほとんど全面的に黒色;presutural dorsocentralsはほとんど1列・・・P. moiwasana (北) 10.中胸背のpollinosityの地色は黄褐色・・・・・・・・・・・P. compsogyne Frey(本,四,九) 中胸背のpollinosityの地色は灰褐色・・・・・・・・・・・・P. sjoestedti Frey(カムチャツカ) 11.雄の第3−6腹節背板は全面的に黄褐色のpollinosityで覆われる;雌の中・後腿節は細く,円筒型,小棘を生じる顕著な隆起を欠く・・・・・・・・・・・・・・ 未記載種B (日本アルプス) 雄の第3−6腹節背板中央部は光沢のある黒色;雌の中・後転節は著しく肥大して紡錘型,腹面特に基部近くに小棘を生じる顕著な小隆起を生じる・・P. cylindracea Frey(北関東,南東北)
アノニモミイア様
貴重な知見につきまして、詳細をご開示賜りました事、深く御礼申し上げます。P. sjoestedti は、カムチャツカでの記録で、日本では記録が無いのですね。 また、P. moiwasana (北海道集団)(対馬集団) P. cylindracea Frey など、初めての名前で、まだまだそう簡単には、行き着けない オドリバエの奥深さが 今更ながらに実感できました。 たくさんの情報を頂きましたので、引き続き勉強をしてみます。 今後とも、宜しくお願い申し上げます。 重ねまして、御礼申し上げます。 |
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