CMPDのFamilies of Sicaroideaではダメですか?
キノコバエは沢山採れますが、殆どが未記載種のようです。
また、属の検索でも結構高倍率でないと見えにくい特徴を使ったりします。
交尾器も、実体顕微鏡ではかなり辛いと思います。
キノコバエ類の属の検索表は旧北区のマニュアルのほかに,新北区のマニュアル(Manual of Nearctic Diptera)も有効です.日本列島産は多くの未記載種のみならず未記録属もあり,上記2著の検索表に出てくる属はほとんど日本に分布しています.それに加えて,最近はSciarosoma(一見Sciaridaeに類似した感じのやや太めのもので,初夏に出現),Sciaropota(小さい黒いキノコバエでKeroplatinaeの翅脈をしていますが,脚,特に基節が短く,ネットに入っても翅を屋根型にたたんであまり動かない.春に出現)などの変わった属も日本や台湾から記載されています.また,Aspidioniaという大変小さなEpicyptaに類似した属も日本に2種分布しており,これは中胸背板の前半部の背中線に光沢のある縦の隆起条を持っている特異なものです.
上記の2著でかなりの属はわかりますが,MycetophilinaeのExechiniの諸属はTuomikoskiが多くの属に分割しており,東アジア産のものにこの検索表を使うのは一部困難があります.この族は日本で最も未解明のもので,おびただしい新種,未記載種があります.Mycetophilaも既知種は実際に日本に分布している種の数%にも満たないものです.
上左の種はEpicyptaの未記載種のようです.本属は日本から2種記録されていますが,1種は誤記録であり,このほかの10種以上の種が分布し,ほとんどが未記載種です.本属に近いPlaturocyptaは日本では極小数種しかいません.Epyciptaの幼虫は極めて湿潤な状態の朽木(川の水が折々飛沫がかかるようなところとか,地面に落ちて下面に少し隙間があるような)の下面にカビが生じていると,これを食します.幼虫は自分で作った糞のやや柔らかいケースの中に入っていて,蛹化するときはこの数ミリ以下の蛸壺のようなケースの入口に格子のような白い網を吐いて蛹化するという,特異な習性があります.
上右の種はMycetophilaの種で,これに類似した斑紋の種は極めて多数あります.斑紋は安定していて,微妙な相違で種を分けることが可能です.
下左の種もMycetophilaの1種で,これは本属としては極めて特異な斑紋を持ったもので識別容易な種です.これはやや個体数の少ない種です.
下右の種はExechiaの1種です.Cu forkがM forkより先にあること,CがR5より先に伸びないこと,Scが極めて短くて先端がどことも繋がっていないことなどで,属が同定できます.Exechiaは旧北区から70種あまり記録されていますが,日本にも多数の未記載・未記録種が生息しています.
ご参考までに.
日本産の種の同定には,ロシア語のKey to the insects of Russia Far East. Vol. VI. Diptera and Siphonaptera. Pt. I (Vladivostok. Dal'naukas. 1999, 665p.(Syrphidaeが入っている巻))に雄交尾器の新しい図がたくさん載っていますので,かなり参考になります.
市毛さん、アノニモミイアさん、ご教示 本当に ありがとうございます。
市毛さんのご援助によりCMPDのFamilies of Sicaroideaが見られそうですので、まずはこれを使って頑張ってみようかと思います。
ゲニは市毛さんの仰るように かなり小さい種が多いので、苦労しそうですが、手持ちの安物の実体顕微鏡を80倍可能なようにしましたので(解像度は悪いですが)どの辺まで行けるか 試してみます。
アノニモミイアさん、画像種についての詳細までもご教示いただき、ありがたいかぎりです。こんな画像だけで、ここまでわかるとは 驚きです。
未記載種と教えていただいた上左の種は、翅を二つ折りにした上に、ユスリカのように屋根型にたたんでいたので、はじめはキノコバエとは思いませんでした。
上右の種は、ご指摘のように類似した斑紋の種をいくつも見ます。斑紋が安定しているとのことですので、今後 注意して集めてみます。
下左の種は、やや個体数の少ない種とのことですが、意外にも近所ではこの秋から3回くらい採れています。
下右の種は、この秋には一番たくさんいた種で、ゲニも相対的に大きく特徴的でしたので、添付画像に付けてみます。
しばらくは、目を慣らすために、いろいろ採って 並べてみて見ます。まずは 属までの同定が目標です。
また色々ご教示いお願い致します。