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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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中国の現状と双翅目研究の目的 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/24(Sat) 17:47:10 No.5005  引用 
双翅目に興味を持ち、いくつかの本を読んだりネットで資料を探したりするうちに、自分の専門分野とは異なる状況に気がつき、その違いに大いなる興味を持ちました。

双翅目についてたとえば、「中国蠅類」のような分厚い本が出ています。これは中国で出版された本ですが、中国はこのような双翅目について(ひょとすると昆虫全般について)、日本よりも進んでいると理解していいのでしょうか?

中国がこのような分野について研究が進んでいるとすると、それはなぜなのでしょうか?農業や衛生面から実用的な意味があり研究が進んでいるのでしょうか?国が特別の目的で研究促進していると考えるべきなのでしょうか?


そもそも、双翅目の研究は、純粋に博物学的な興味以外では、どのような目的で行われているのでしょうか?

(農作物の害虫や衛生昆虫としては、研究目的がはっきりしています。またショウジョウバエは遺伝子の研究のための対象として取り上げられている。)

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/25(Sun) 08:27:49 No.5010  引用 
赤塚カケス様.

私の憶測としては,分類も科学研究ですから,国力誇示的な考えがあるのではないでしょうか.

中国の場合,文化大革命などで科学が停滞していましたので,追いつき追い越せ的なパワーもあると思います.

また,中国でのタイプ標本の貸出禁止や昆虫標本の国外持出禁止などの話を聞く限り,標本=国有財産となっているようです.

ロシア(ソ連)はかなり分類が進んでいるようで,下記のようなシリーズが多数出版されており,重要文献となっています.
・Fauna of Russia (Fauna of U.S.S.R)
・Keys to the insects of the European part of the USSR
・Keys to the Insects of the Russian Far East

旧ソ連が崩壊してからは,研究の環境(予算等)がかなり悪化したようですが,それでも黙々と色々な論文が出てきます.

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/25(Sun) 11:54:19 No.5012  引用 
茨城_市毛様

レスを頂き有難うございます。

「中国蠅類」まだ入手していないのですが、「書虫」に出ているこの本の写真を見ると凄い情報量のようで、中国の凄さというものを感じます。ただ紙質が悪い、とこぼされている書き込みを見つけたので、せっかくの本が紙質で損なわれているとすれば残念です(途上国は似たようなもので、たとえばタイで出版された本は表紙は立派なのですが、中の紙は藁半紙のような紙で出来たものがあり、途上国の出版事情にその国の方に同情してしまいます。タイ人はあまり本を読まないので出版が成り立ち難いようです)。

昔は、私の分野(土木工学)でも、ロシア語やドイツ語で多数の論文が出されていて、古い先生方の中には、数ヶ国語を読んでおられた方があるようですが、今はほとんど英語で用が足りるようになり、便利になりました。

昆虫の分野は、中国やロシアが進んでいるというのは、私には有る意味で驚きでした。日本もこのような分野(基礎科学)にももっとお金が入ってきて、専門家が育つ仕組みを考えないと国力という点からも心配です。ポスドク問題と併せて、基礎科学の充実が必要ですね。

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:茨城_市毛 投稿日:2009/01/25(Sun) 21:21:25 No.5014  引用 
赤塚カケス様.

「中国蠅類」については,本の厚さを抑えるためか,結構薄い紙が使用されています.紙質が悪いのか,めくった拍子に破けることが時折あります(^_^;)
白色度は悪くないのです.コピーするとバッチリ裏写りしますが・・・.

中国の本は何冊も持っていますが,こんなデリケートな紙は初めてです.

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2009/01/26(Mon) 00:22:45 No.5016  引用 
赤塚カケス様

私は昔、海洋生物学関係の研究室にいたことがあるのですが、そこの先生からいろいろこの辺りの事情を教えていただいたことがあります。

西側各国では分類学の研究対象は基本的には研究者個人の意思に基づいて自由に選ばれてきました。これに対して東西冷戦時代の東側では、国内の生物相は国の財産であるという理念に基づき、大学で研究者の卵の段階から各分類群の分類学の研究者を計画的に割り振って養成し、国家プロジェクトとして生物相の解明を推進してきたのだそうです。

ですから、昆虫に限らず、旧共産圏の生物相は解明度が非常に高いようなのです。

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:赤塚カケス 投稿日:2009/01/26(Mon) 20:42:28 No.5017  引用 
茨城_市毛様

>中国の本は何冊も持っていますが,こんなデリケートな紙は初めてです.

「中国蠅類」は欲しい図書の1つですが、ちょっと心配になってきました。でも結局は購入すると思います。

ウミユスリカ様

>ですから、昆虫に限らず、旧共産圏の生物相は解明度が非常に高いようなのです。

旧共産圏にはそんな秘密があったのですか。生物兵器への利用などもひょっとしたら念頭にあったのかも・・・・ということまで想像を逞しくしてしまいました。

Re: 中国の現状と双翅目研究の目... 投稿者:ウミユスリカ 投稿日:2009/01/27(Tue) 21:16:34 No.5018  引用 
もともとの発想は、共産圏というよりヨーロッパ文化に古くからあるものなのです。

インベントリーInventoryという語をお聞きになったことがありますでしょうか?これは貴族の領地なんかで、領主の狩猟の対象となる動物がどんな種類がどれだけいるのかを調査して、目録にしておく事を指していた語です。現在では商店なんかのたな卸しのことも指していますが、元祖インベントリーも欧米ではずっと行われ続けました。

それどころか、ヨーロッパの勢力が新大陸、アジア、アフリカへと拡大していくと、博物学者を派遣して、その地にどういう(潜在的)生物資源が存在するのかを徹底的に調査するようになります。欧米の植民地帝国を縁の下で支えていたのは、このインベントリー活動でした。当時、日本にもこういう目的でシーボルトが派遣されてきましたよね。

ですから、(日本を除く)西側諸国でも自国の生物相のインベントリーは着実に進められてはいたのですが、共産圏ほどには国家プロジェクトとして計画的には行われなかったと言ったほうがよいのかもしれません。ロシアにしても西ヨーロッパに比べると近代化の遅れた後進国でしたので、その遅れを取り戻そうというあせりは大きかったですから、ソ連時代にはそれを工業化と同じ発想で、計画的に推進したんでしょう。

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