今日も自分なりに色々調べたらキアシオオブユではなくてアオキツメトゲブユだとわかりました。
どうでしょうか?
どなたからもレスポンスがないので私から.
本掲示板ではしばしば指摘されていますが,双翅類を一般的な生態画像で種まで同定するのは,よほど顕著な形質を現す種(例えば同定困難なヤドリバエ科でもセスジハリバエのような)や,近似種が全くない種(例えばハルカ科のハマダラハルカ)でない限り,不可能なことが一般的です.
精緻な写真の生態画像に基づいた場合には,双翅目の科までの同定はこの掲示板の関係者で可能でしょう.しかし,属,さらに種までの同定は順を追って困難になります.とくに種の同定には,その群の分類学者でも♂交尾器の構造などを顕微鏡下で観察しないと不可能なものがほとんどです.体や脚に生じている毛の分布,翅脈相の詳細も同定には必要になります.これらの特徴は一般の生態写真では概して表現することができません.この点で,鱗翅類や大型甲虫,大型カメムシ等の同定とはその困難性が根本的に異なっています.
さらに,本掲示板にはブユの分類学者は関係していないので,そのような研究者からの返答は残念ながら期待できません.
というわけで,私もブユ科には全くの素人ですが,あなたが,図鑑を調べられて見当をつけたアオキツメトゲブユですが,図鑑(例えば北隆館の原色昆虫大図鑑)などで見ると脚の色彩などが類似しているようにみえます.しかし,「日本産水生昆虫」の成虫の検索表でも,本種と近似種の識別には♀腹端部の特徴だけを使っています.ですから,あなたに”どうでしょうか?”と問いかけられましても,”わかりません”としか言いようがありません.このことがこれまでレスポンスがなかった原因でしょう.
双翅類の同定にはまずは個体を採集して,何らかの形で標本にしておくことが必須ですので,今後はこのようになさることをお勧めします.殺虫用具を持たない場合にはポリ袋などに入れて軽く押し殺してもいいでしょうし,温暖期では冷凍庫に1日位入れて凍死させるとか,寒冷期では白熱球の下で熱死させるなどの方法もあります.ただし,ポリ袋内に何日も放置するとカビが生えて標本として使い物にならなくなります.
標本は乾燥して三角台紙(ケント紙などを長さ(高さ)10mmの細長い二等辺三角形に切ってつくる)の底辺近くに針を刺し,三角形の先端に市販の糊で胸部などをはりつけることで普通は十分です.それに採集した場所,年月日,採集した人の名前を記入した小さなラベルを針に刺しておくことが肝要です.
科までなら本掲示板で返答が期待されますので,今回に懲りずに双翅類に興味を持ってくださることを期待しています.昆虫群の中で双翅類ほど形態的な多様性をもったものは他になく,双翅類は深く知ることで限りなく興味が広がる昆虫群です.
アノニモミイアさん返信ありがとうございます。
詳しく書かれていて非常に参考になりました。
僕は今のところ基本撮影だけですが、おそらく来年は標本の作製方を学ぶ機会があるのでその時は採集し交尾器まで調べられたらなと思います。
未見双翅目は何でも撮影しています。
今後はもっと頑張っていきたいです。
アノニモミイアさんがおっしゃる通り、ブユの分類の専門家も日本にはそれ程多くはおられません。得られる機会が少ないのかも知れませんが、ブユは他の双翅目類と異なり、雄での記述は大変少ないです。論文を見ても殆どは雌の生殖器に基づいて行われています。ブユを調べるには、まず翅脈が重要になります。また、ある属では脚の第一跗節の形状などが大切な分類形質となります。キアシオオブユとツメトゲブユでは属も異なり、翅脈などの特徴も異なります。ブユを調べられるのなら、インターネットで検索してみれば沢山の情報を得ることが出来ます。Uemoto Kiichi,Takaoka Hiroyuki,Ono Hirosiと言った研究者が沢山の論文を書かれています。種までとなると、雌の生殖器を詳細に検討しなければなりません。
エリユスリカさん返信ありがとうございます。
ブユに関する同定する上でのポイント助かります。
今後撮影する時には、翅や足も重点的に撮影していきたいと思います。
ブユ類はよく来るので標本を残すのと共に撮影にもより力を入れていきます。