キイロシギアブであることが解りました。ありがとうございました。
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皆様、おひさです。ケンセイです。
最近、双翅目談話会のシラミバエ屋Kさんよりトラツグミの古巣から見つかったハエの蛹が羽化したので見てほしいと標本が送られてきました。それで、トリキンバエとマルヤマトリキンバエについてはファウナヤポニカでたどれるのですが、ヤドリトリキンバエとシナノトリキンバエの文献を持っていないので、もしヤドリやシナノだったらギブアップするしかない状況です。 ということで、もしもヤドリトリキンバエとシナノトリキンバエの文献情報をご存知でしたら教えていただけるとありがたいです。 以上よろしくです。 p.s.私は今年からファネルトラップを自宅の庭と狭山丘陵に設置 して1ヶ月に1回程度の回収頻度で調査を継続しています。 誘引剤はアカネコール、殺虫剤はバポナです。 それで、今までの回収標本をざっと見てのコメントです。 ・採集品はコウチュウとハナバチがメインでたまに脈翅や蛾 類が入ります。一番入ってほしい双翅目はほとんど入りま せん。 ・構造的に墜落形式のトラップには双翅目や半翅目は入りづ らいようです。 ・来年はもう少し双翅目が入るようなマレーズトラップ的 誘引トラップを工夫したいと思います。
シナノトリキンバエの原記載は信州昆虫学会の会誌「New Entomologist」にありました。
Hiromu Kurahashi Japanese species of Orinthoparasitic Blow Flies:Protocalliphora and Trypocallophora (Diptera:Calliphoridae) 42 (1,2)8-15 1993 (一応、トリキンバエ類4種の検索あり) これによると、シナノトリキンバエは上下鱗弁が白色、中胸気門が黒色、翅の第2、第3縦脈結節部の下部に毛を持たないこと、後脛節に 3〜4本の前腹剛毛を持つことでマルヤマトリキンバエとは区別され、前脛節に1〜2本しか後剛毛を持たないことからトリキンバエとは区別されます。 ヤドリトリキンバエは鱗弁が明るいオレンジ色、翅の基部が♂で茶系オレンジ色、♀が明るいオレンジ色で、であることで識別できます。(ヤドリトリキンバエは幼虫がヒナの皮膚内に潜り込むタイプだそうなので、幼虫の形態は他3種とはかなり異なるようです。)
ハエ男様、どうもです。
早速のご教示ありがとうございます。 New Entomologistにシナノトリキンバエの原記載があったのですね!さっそく元本も取り寄せようと思います。 それでは近日中に標本をチェックして結果を報告させていただきます。 ではでは。
ハエ男様、どうもです。
さっそく昼休みに件の標本をチェックしました。 それで、鱗弁は褐色で、中徑節腹面に1剛毛があったので、 トリキンバエ Protocalliphora azurea になりました。 取り急ぎ報告まで。
個仕掛けたところシジュウカラが営巣し、先日巣立ちました。雛鳥の死骸や骨は無く、全員無事育ったのだと安堵したところです。巣箱を掃除したところ、産坐の下に複数の蠅と思われるサナギがありました。トリキンバエのサナギでは無いかと思うのですが、ブログの主様は研究者様でしょうか?また、かつて信大におられた内川公人先生の論文では雛鳥に寄生するとありますが、巣箱の中で雛鳥を食べてしまうようなことは無いのでしょうか?大鹿の地名が出てきますが、南アルプスの様な高山が近い地域で調査されたことはおありですか?
喜久山 様.
小川ら(1989)によると,Protocalliphora トリキンバエ属の幼虫は吸血性とのことです(吸血時以外は巣材の中で生活する). 小川 竜・堀浩二・岩佐光啓. 1989. 十勝におけるトリキンバエ類の生態: 幼虫・蛹期間、化生および寄主特異性. 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨, (33): 67. また,Iwasa & Hori(1998)によると Trypocalliphora braueriヤドリトリキンバエの場合,アオジ等の雛の皮下に寄生するとのことです. Iwasa, M., Hori, K. 1998. A subcutaneous bird-parasitic blowfly of the genus Trypocalliphora Peus newly recorded from Japan (Diptera : Calliphoridae). Jpn. J. Sanit. Zool., 39(3): 267-270. 倉橋(2000)によると,トリキンバエとマルヤマトリキンバエの2種がシジュウカラに寄生するとのことです. 倉橋 弘. 2000. レファレンス・ミュージアムに持ち込まれたトリキンバエの2未記載種. 昆虫と自然, 35(9): 27-30.
喜久山 様
Trypocalliphora ヤドリトリキンバエ属の海外に分布する種の場合,皮下寄生する部位によっては雛が盲目となるため,生存に影響するという言及があります. A. B. Kerimov, L. A. Lavrenchenko & A. L. Ozerov, 1985. Calliphorid (Diptera, Calliphoridae) - parasites of nestling great tit (Parus major) and nacissus flycatcher (Muscicapa narcissina). Byull. Moscow. Ova. Ispt. Priro., Otd. Biol. 90(1):37-39. 以下のリンク先に翻訳が掲載されています.p.50-51. http://larus.c.ooco.jp/bfea10.pdf Iwasa & Hori (1988) の図によると,目の上に寄生する場合があるので,国内でも似たような事例が発生するかもしれません. 私は鳥の巣以外の場所でトリキンバエ類成虫を採集していますが,大滝山と乗鞍岳の高山帯,西穂高岳と白山の亜高山帯,他に岐阜県内の標高約1000m 以上の山で採った事があります. 他には一例だけ,4月に低山地で採集しました.
茨城@市毛さま 大宮さま 詳細にお教えいただきありがとうございました。シジュウカラ巣立ちの数日前に大き目の黒い蠅が巣から出たのを確認し、雛が腐敗?と思って中を覗いたら、ごそごそ羽の生えそろった雛がいて、結局全て無事育ちました。
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![]() 添付の画像はコウカアブでしょうか。腹部背面に白い帯があるようなのですが未確認なので。 よく見られるアメリカミズアブらしきものより一回りは大きかったです。大きめの個体ということでしょうか ![]() 添付のハエは以前バイオームというアプリで質問したところ、たぶん和名がないヤドリバエ科のハエではないか、という回答をいただいたことがあるものです ![]() 虫ナビ(下記サイト)のハエとよく似ている気がしますが、眼の間と体長に違いがあるような気がします。虫ナビでは8ミリとなっていますが、私が見たものは2センチ弱くらいはありそうでした。 https://mushinavi.com/navi-insect/data-hae_nagahari_sp.htm |
グラズ 様.
ご推測通り,Chloromyia属の1種でキンランルリミズアブと呼ばれている未記載種です.
市毛様
ご連絡いただき誠にありがとうございます。 美麗ですが未記載種なのですね。
グラズ 様.
新種記載できるレベルまでミズアブを研究している人が日本にいないのです. なお,日本の双翅目の専門家自体が絶滅に瀕しています. |
![]() このハナバエ科は去年オスを4匹採集しました。 2013年5月24日に1匹、8月2日に2匹、11月22日に1匹、 場所はいずれも岐阜県海津市南濃町です。 体長は6-9[mm]とばらつきがあります。 現地で見た時の印象は、大きめのものでは白っぽく長めに見え、違う種類かもしれないと思っていました。 背の低い植生の上や落ちた枝の上にいて、地面に近い比較的低い所でした。 ![]() Pegoplata 属になりました。 種の検索はここでは2種だけで、この段階ではP. virginea になりました。 図は171ページにP. palposa しかありません。 図を探そうと思って中国蝿類を見ましたが、virginea を探していてその名前では載っていません。 後でjuvenilis の名前で766ページに載っている事が分かりました。 中国経済昆虫誌の花蝿科にはありました。 273ページの図877-879です。 この本は図がたくさんあり、表紙の紙質は簡単なものでとても安かったです。 600円のところを半額セールで買いました。 ![]() 今度は種類が増えていないか、Suwa (1999)、JAPANESE RECORDS OF ANTHOMYIID FILES を見ました。 Pegoplata属は5種になっていました。 fukushii は1990年に記載され、他も調べるとその後2011年にplicatura のシノニムになっています。両方に図があります。 nigroscutellata はNupedia 属から移動してきています。最初に見た文献に図がありました。 palposa はそのままです。 infirma の文献はSuwa, 1983a で、Supplementary notes on the family Anthomyiidae of Japan (Diptera), II.です。 このシリーズはII以外はCiNiiで出てきますが、これだけは収録されているのがAkitu new series で、 収蔵図書館に利用者登録をすれば複写依頼ができるようですが、そこまではしていません。 問題のvirginea はjuvenilis のシノニムになっています。出典は、 Oku et aI., 1989: 245; Fukushi, 1990: 55; Mitsui, 1993: 19. と並んでいます。 和賀岳自然環境保全地域調査報告書、 東京都大田区および埼玉県狭山丘陵のハエ類〔ハエ目(双し目)・ハエ亜目(環縫亜目)〕の分布 I、 の二つはJ-GLOBALで複写申込みしようと思えばできるようですが、ストップしています。 juvenilis は「Very common species 」とあるので超普通種のようですが、名前が変わった理由が分かると面白いと思います。 しかしこれらの文献の中に書いてあるとは限らないとも思います。 日本産昆虫目録データベースではvirginea にミヤマハナバエの和名がついています。 シノニムにいろいろ種類があるのを熟知していませんが、 それまで日本にjuvenilis がいるとはいわれていなくて、シノニムの処理がなされた後にvirginea が残っていない場合、 juvenilis をミヤマハナバエと呼ぶと考えてよいでしょうか。 変更の理由が分かった上でならだいぶ違うと思いますが、無理があると思いながらも、よろしくお願いします。 ![]() 第5腹板は壊れました。 hypandrium など隠れている部分が少し見えるようになりました。 乾燥標本にしようと思った時に場合によってはpregonite やpostgonite も見にくい場合があるので、 複数採集できた時は解離処理するのもいいと思いました。 乳酸ならネット通販でも入手できるようなので将来的にはそれで練習してやってみたいと思います。 うまくいったら投稿したいと思います。
大宮様.
Systema Dipteroroum http://www.diptera.org/index.php で調べると,Statusは両種共に有効名となっているので,Suwaが1974年に旧北区に分布するP. virgineaとしたものが,研究が進んで全北区に分布するP. juvenilisであったことが判明したという経緯と思われます. シノミニックリスト(synonymic list)に,ずばりauthers, misident.(誤同定)と書いてあると解りやすいのですが(^_^;) ここら辺は,多数の文献を見ていないと解り辛い話です.
茨城@市毛様
コメントありがとうございます。Systema Dipterorum を見れば、完全に無効になったかどうかを知ることができるのですね。 「(Available, Valid) Changed Combination」になっています。 両方とも有効で利用可能という事は、統合とか先取権とかいう事ではなくて、あくまでも日本に分布しているものがどちらに属するかという事なのでしょうね。 専門の方が誤同定されるという事は両種が似ているのかもしれません。 本当のvirginea がどういうものか少し気になりますが、確かめるのは簡単ではないと思います。 中国でも、中国経済昆虫誌は1988年で、1994年の中国蝿類ではvirginea は消えてjuvenilis になっています。 近場にいるのはjuvenilis だろうと考えておこうと思います。 なかなか奥が深いようです。 ありがとうございました。
ハナバエ科の同定をしていたところ
本スレッドの種にたどり着きました。 2014年の日本昆虫目録他, 最新の情報によると ここでいうjuvenilisはannulata(Pandellé, 1899)のようですね。 Systema Dipteroroumで調べたところ、annulataはもちろん, juvenilis (Stein, 1898)も有効名になってるので真のjuvenilisが存在する?とは思うのですがよくわかりませんでした。 annulataのシノニムであるという情報は多数出てくるのですが。 -- (以下,図の記載について) 中国経済昆虫誌の花蝿科は未所有なのでわからないですが 今なら Insect Fauna of KoreaのAnthomyiidae (2019)のp.186(fig.101)に顔(側面), 交尾器各種パーツの詳細な図が載っているので調べやすくなってますね。 ありがたいです。
こんにちは
see below, Supplementary catalogue of the Anthomyiidae (Diptera) of China. Mengmeng Wang et al. / ZooKeys 453: 71&-109 (2014) Pegoplata annulata (Pandelle;, 1899) Pegoplata juvenilis (Stein, 1898) [misidentification]. Wei et al. 1998a: 768. Distribution in China. Heilongjiang. Taxonomic note. Griffiths (1986: 622) recognized two subspecies under Pegoplata juvenilis (Stein, 1898), of which the nominal subspecies is Nearctic in distribution and its Palearctic counterpart was named as P. juvenilis nitidicauda (Schnabl, 1911). Bartak et al. (1990: 448) and subsequent European authors treat the Palearctic taxon as a distinct species by the name Pegoplata annulata (Pandelle;, 1899).
ふかさわ様 123様
2022年に岐阜県平湯キャンプ場の採集記録を啓蟄Vol.40 No.74 で報告した際,本種の学名変更の経緯が中国のカタログ(Wang et al., 2014) に書かれていると言及したのですが, それ以上は調べずにストップしていました. Griffiths (1986) はFlies of the Nearctic Region のシリーズと思われ,ハナバエ科の数分冊が大阪自然史の書庫にあったので,今度見てみようと思います. Bartak et al. (1990) は掲載媒体がこの年に終わっており,閲覧方法を探せていません. 樺太のハナバエ科を扱ったSuwa (2013) の186ページに本種が出てきます. Suwa, M. 2013. Anthomyiid flies from Sakhalin (Diptera: Anthomyiidae). Insecta matsumurana. N.S., (69): 133–194. https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/53644/1/133-194p.pdf (PDF内の検索が効きません.) " Pegoplata virginea (Meigen, 1826) " ですが,現在はHydrophoria lancifer (Harris, 1780) のシノニムとなっています. 属が違うので,ハート形の第5腹板など交尾器の特徴が異なるはずです. nitidicauda の名前は,Schnabl (1911) が " Pegomya (Pegoplata) virgiena (Meigen, 1826) " の変種としたところから来ているようです. annulata については,2013年の時点でまだHydrophoria と認識されている事も書かれており,かつては見極めが難しかった事がうかがわれます. (続く)
(リンクが2つ貼れないので投稿を分けます.)
イギリスの目録でこの種が扱われた際の説明があります. Ackland, D.M. 2010. Additions and changes to the British List of Anthomyiidae (Diptera). Dipterists Digest (Second Series) 17: 79-82. https://dipterists.org.uk/sites/default/files/pdf/Dipterists%20Digest%202010%20Vol%2017%20No%201.pdf 81ページの解説を見ると,旧北区のP. nitidicauda (Schnabl, 1911) と新北区のP. juvenilis (Stein, 1898) の脚の色が違う事に触れています. ハナバエ科も多少の色彩変異があり,これが亜種か別種かの判断にどれほど影響するかは難しいと思います. そしてMichelsen (2010) がFauna Europaea でP. nitidicauda をP. annulata (Pandelle. 1899) のシノニムとし,また,P. juvenilis とは別種として扱った事が記されています. annulata とjuvenilis の比較は,この2つの処置が関係するようです.
123様, 大宮様
返信が遅れまして申し訳ありません。 学名変更経緯について教えて下さりありがとうございます。 Pegoplata virginea (Meigen, 1826)は現在、Hydrophoria lancifer (Harris, 1780) のシノニムとなっていること、理解しました。 返信をいただく前に紹介された文献をいくつか見ていたのですが 上手く追えていなかったので非常に助かりました。 |
すいません。大きさ的にはいわゆる害虫のハエより少し小さいかもしれません。ひょっとしてこれがフンバエの類かと思い、写真を撮ってみたのですが、何気にネットで見ていたらブチマルヒゲヤチバエに似ている気ような、と思い貴掲示板で質問させていただきました。この見た感じで何科のハエと見当つけることができるか程度でも幸いです
くまままる 様.
写真が小さく判りづらいですが,翅の前後横脈と中脈の亜端部に2つの暗色部があるので,ご推測通りブチマルヒゲヤチバエである可能性が高いと思います.
ありがとうございました
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