皆様、おひさです。ケンセイです。
最近、双翅目談話会のシラミバエ屋Kさんよりトラツグミの古巣から見つかったハエの蛹が羽化したので見てほしいと標本が送られてきました。それで、トリキンバエとマルヤマトリキンバエについてはファウナヤポニカでたどれるのですが、ヤドリトリキンバエとシナノトリキンバエの文献を持っていないので、もしヤドリやシナノだったらギブアップするしかない状況です。 ということで、もしもヤドリトリキンバエとシナノトリキンバエの文献情報をご存知でしたら教えていただけるとありがたいです。 以上よろしくです。 p.s.私は今年からファネルトラップを自宅の庭と狭山丘陵に設置 して1ヶ月に1回程度の回収頻度で調査を継続しています。 誘引剤はアカネコール、殺虫剤はバポナです。 それで、今までの回収標本をざっと見てのコメントです。 ・採集品はコウチュウとハナバチがメインでたまに脈翅や蛾 類が入ります。一番入ってほしい双翅目はほとんど入りま せん。 ・構造的に墜落形式のトラップには双翅目や半翅目は入りづ らいようです。 ・来年はもう少し双翅目が入るようなマレーズトラップ的 誘引トラップを工夫したいと思います。
シナノトリキンバエの原記載は信州昆虫学会の会誌「New Entomologist」にありました。
Hiromu Kurahashi Japanese species of Orinthoparasitic Blow Flies:Protocalliphora and Trypocallophora (Diptera:Calliphoridae) 42 (1,2)8-15 1993 (一応、トリキンバエ類4種の検索あり) これによると、シナノトリキンバエは上下鱗弁が白色、中胸気門が黒色、翅の第2、第3縦脈結節部の下部に毛を持たないこと、後脛節に 3〜4本の前腹剛毛を持つことでマルヤマトリキンバエとは区別され、前脛節に1〜2本しか後剛毛を持たないことからトリキンバエとは区別されます。 ヤドリトリキンバエは鱗弁が明るいオレンジ色、翅の基部が♂で茶系オレンジ色、♀が明るいオレンジ色で、であることで識別できます。(ヤドリトリキンバエは幼虫がヒナの皮膚内に潜り込むタイプだそうなので、幼虫の形態は他3種とはかなり異なるようです。)
ハエ男様、どうもです。
早速のご教示ありがとうございます。 New Entomologistにシナノトリキンバエの原記載があったのですね!さっそく元本も取り寄せようと思います。 それでは近日中に標本をチェックして結果を報告させていただきます。 ではでは。
ハエ男様、どうもです。
さっそく昼休みに件の標本をチェックしました。 それで、鱗弁は褐色で、中徑節腹面に1剛毛があったので、 トリキンバエ Protocalliphora azurea になりました。 取り急ぎ報告まで。
個仕掛けたところシジュウカラが営巣し、先日巣立ちました。雛鳥の死骸や骨は無く、全員無事育ったのだと安堵したところです。巣箱を掃除したところ、産坐の下に複数の蠅と思われるサナギがありました。トリキンバエのサナギでは無いかと思うのですが、ブログの主様は研究者様でしょうか?また、かつて信大におられた内川公人先生の論文では雛鳥に寄生するとありますが、巣箱の中で雛鳥を食べてしまうようなことは無いのでしょうか?大鹿の地名が出てきますが、南アルプスの様な高山が近い地域で調査されたことはおありですか?
喜久山 様.
小川ら(1989)によると,Protocalliphora トリキンバエ属の幼虫は吸血性とのことです(吸血時以外は巣材の中で生活する). 小川 竜・堀浩二・岩佐光啓. 1989. 十勝におけるトリキンバエ類の生態: 幼虫・蛹期間、化生および寄主特異性. 日本応用動物昆虫学会大会講演要旨, (33): 67. また,Iwasa & Hori(1998)によると Trypocalliphora braueriヤドリトリキンバエの場合,アオジ等の雛の皮下に寄生するとのことです. Iwasa, M., Hori, K. 1998. A subcutaneous bird-parasitic blowfly of the genus Trypocalliphora Peus newly recorded from Japan (Diptera : Calliphoridae). Jpn. J. Sanit. Zool., 39(3): 267-270. 倉橋(2000)によると,トリキンバエとマルヤマトリキンバエの2種がシジュウカラに寄生するとのことです. 倉橋 弘. 2000. レファレンス・ミュージアムに持ち込まれたトリキンバエの2未記載種. 昆虫と自然, 35(9): 27-30.
喜久山 様
Trypocalliphora ヤドリトリキンバエ属の海外に分布する種では,皮下寄生する部位により雛が盲目となるため,生存に影響するという言及があります. A. B. Kerimov, L. A. Lavrenchenko & A. L. Ozerov, 1985. Calliphorid (Diptera, Calliphoridae) – parasites of nestling great tit (Parus major) and nacissus flycatcher (Muscicapa narcissina). Byull. Moscow. Ova. Ispt. Priro., Otd. Biol. 90(1):37–39. 以下のリンク先で翻訳が掲載されています.p.50-51. http://larus.c.ooco.jp/bfea10.pdf Iwasa & Hori (1988) の図によると,目の上に寄生する場合があるので,国内でも似たような事例が発生するかもしれません. 私は鳥の巣以外の場所でトリキンバエ類成虫を採集していますが,大滝山と乗鞍岳の高山帯,西穂高岳と白山の亜高山帯,他に岐阜県内の標高約1000m 以上の山で採った事があります. 他には一例だけ,4月に低山地で採集しました. |
![]() 添付の画像はコウカアブでしょうか。腹部背面に白い帯があるようなのですが未確認なので。 よく見られるアメリカミズアブらしきものより一回りは大きかったです。大きめの個体ということでしょうか ![]() 添付のハエは以前バイオームというアプリで質問したところ、たぶん和名がないヤドリバエ科のハエではないか、という回答をいただいたことがあるものです ![]() 虫ナビ(下記サイト)のハエとよく似ている気がしますが、眼の間と体長に違いがあるような気がします。虫ナビでは8ミリとなっていますが、私が見たものは2センチ弱くらいはありそうでした。 https://mushinavi.com/navi-insect/data-hae_nagahari_sp.htm |
グラズ 様.
ご推測通り,Chloromyia属の1種でキンランルリミズアブと呼ばれている未記載種です.
市毛様
ご連絡いただき誠にありがとうございます。 美麗ですが未記載種なのですね。
グラズ 様.
新種記載できるレベルまでミズアブを研究している人が日本にいないのです. なお,日本の双翅目の専門家自体が絶滅に瀕しています. |
![]() このハナバエ科は去年オスを4匹採集しました。 2013年5月24日に1匹、8月2日に2匹、11月22日に1匹、 場所はいずれも岐阜県海津市南濃町です。 体長は6-9[mm]とばらつきがあります。 現地で見た時の印象は、大きめのものでは白っぽく長めに見え、違う種類かもしれないと思っていました。 背の低い植生の上や落ちた枝の上にいて、地面に近い比較的低い所でした。 ![]() Pegoplata 属になりました。 種の検索はここでは2種だけで、この段階ではP. virginea になりました。 図は171ページにP. palposa しかありません。 図を探そうと思って中国蝿類を見ましたが、virginea を探していてその名前では載っていません。 後でjuvenilis の名前で766ページに載っている事が分かりました。 中国経済昆虫誌の花蝿科にはありました。 273ページの図877-879です。 この本は図がたくさんあり、表紙の紙質は簡単なものでとても安かったです。 600円のところを半額セールで買いました。 ![]() 今度は種類が増えていないか、Suwa (1999)、JAPANESE RECORDS OF ANTHOMYIID FILES を見ました。 Pegoplata属は5種になっていました。 fukushii は1990年に記載され、他も調べるとその後2011年にplicatura のシノニムになっています。両方に図があります。 nigroscutellata はNupedia 属から移動してきています。最初に見た文献に図がありました。 palposa はそのままです。 infirma の文献はSuwa, 1983a で、Supplementary notes on the family Anthomyiidae of Japan (Diptera), II.です。 このシリーズはII以外はCiNiiで出てきますが、これだけは収録されているのがAkitu new series で、 収蔵図書館に利用者登録をすれば複写依頼ができるようですが、そこまではしていません。 問題のvirginea はjuvenilis のシノニムになっています。出典は、 Oku et aI., 1989: 245; Fukushi, 1990: 55; Mitsui, 1993: 19. と並んでいます。 和賀岳自然環境保全地域調査報告書、 東京都大田区および埼玉県狭山丘陵のハエ類〔ハエ目(双し目)・ハエ亜目(環縫亜目)〕の分布 I、 の二つはJ-GLOBALで複写申込みしようと思えばできるようですが、ストップしています。 juvenilis は「Very common species 」とあるので超普通種のようですが、名前が変わった理由が分かると面白いと思います。 しかしこれらの文献の中に書いてあるとは限らないとも思います。 日本産昆虫目録データベースではvirginea にミヤマハナバエの和名がついています。 シノニムにいろいろ種類があるのを熟知していませんが、 それまで日本にjuvenilis がいるとはいわれていなくて、シノニムの処理がなされた後にvirginea が残っていない場合、 juvenilis をミヤマハナバエと呼ぶと考えてよいでしょうか。 変更の理由が分かった上でならだいぶ違うと思いますが、無理があると思いながらも、よろしくお願いします。 ![]() 第5腹板は壊れました。 hypandrium など隠れている部分が少し見えるようになりました。 乾燥標本にしようと思った時に場合によってはpregonite やpostgonite も見にくい場合があるので、 複数採集できた時は解離処理するのもいいと思いました。 乳酸ならネット通販でも入手できるようなので将来的にはそれで練習してやってみたいと思います。 うまくいったら投稿したいと思います。
大宮様.
Systema Dipteroroum http://www.diptera.org/index.php で調べると,Statusは両種共に有効名となっているので,Suwaが1974年に旧北区に分布するP. virgineaとしたものが,研究が進んで全北区に分布するP. juvenilisであったことが判明したという経緯と思われます. シノミニックリスト(synonymic list)に,ずばりauthers, misident.(誤同定)と書いてあると解りやすいのですが(^_^;) ここら辺は,多数の文献を見ていないと解り辛い話です.
茨城@市毛様
コメントありがとうございます。Systema Dipterorum を見れば、完全に無効になったかどうかを知ることができるのですね。 「(Available, Valid) Changed Combination」になっています。 両方とも有効で利用可能という事は、統合とか先取権とかいう事ではなくて、あくまでも日本に分布しているものがどちらに属するかという事なのでしょうね。 専門の方が誤同定されるという事は両種が似ているのかもしれません。 本当のvirginea がどういうものか少し気になりますが、確かめるのは簡単ではないと思います。 中国でも、中国経済昆虫誌は1988年で、1994年の中国蝿類ではvirginea は消えてjuvenilis になっています。 近場にいるのはjuvenilis だろうと考えておこうと思います。 なかなか奥が深いようです。 ありがとうございました。
ハナバエ科の同定をしていたところ
本スレッドの種にたどり着きました。 2014年の日本昆虫目録他, 最新の情報によると ここでいうjuvenilisはannulata(Pandellé, 1899)のようですね。 Systema Dipteroroumで調べたところ、annulataはもちろん, juvenilis (Stein, 1898)も有効名になってるので真のjuvenilisが存在する?とは思うのですがよくわかりませんでした。 annulataのシノニムであるという情報は多数出てくるのですが。 -- (以下,図の記載について) 中国経済昆虫誌の花蝿科は未所有なのでわからないですが 今なら Insect Fauna of KoreaのAnthomyiidae (2019)のp.186(fig.101)に顔(側面), 交尾器各種パーツの詳細な図が載っているので調べやすくなってますね。 ありがたいです。
こんにちは
see below, Supplementary catalogue of the Anthomyiidae (Diptera) of China. Mengmeng Wang et al. / ZooKeys 453: 71&-109 (2014) Pegoplata annulata (Pandelle;, 1899) Pegoplata juvenilis (Stein, 1898) [misidentification]. Wei et al. 1998a: 768. Distribution in China. Heilongjiang. Taxonomic note. Griffiths (1986: 622) recognized two subspecies under Pegoplata juvenilis (Stein, 1898), of which the nominal subspecies is Nearctic in distribution and its Palearctic counterpart was named as P. juvenilis nitidicauda (Schnabl, 1911). Bartak et al. (1990: 448) and subsequent European authors treat the Palearctic taxon as a distinct species by the name Pegoplata annulata (Pandelle;, 1899).
ふかさわ様 123様
2022年に岐阜県平湯キャンプ場の採集記録を啓蟄Vol.40 No.74 で報告した際,本種の学名変更の経緯が中国のカタログ(Wang et al., 2014) に書かれていると言及したのですが, それ以上は調べずにストップしていました. Griffiths (1986) はFlies of the Nearctic Region のシリーズと思われ,ハナバエ科の数分冊が大阪自然史の書庫にあったので,今度見てみようと思います. Bartak et al. (1990) は掲載媒体がこの年に終わっており,閲覧方法を探せていません. 樺太のハナバエ科を扱ったSuwa (2013) の186ページに本種が出てきます. Suwa, M. 2013. Anthomyiid flies from Sakhalin (Diptera: Anthomyiidae). Insecta matsumurana. N.S., (69): 133–194. https://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/bitstream/2115/53644/1/133-194p.pdf (PDF内の検索が効きません.) " Pegoplata virginea (Meigen, 1826) " ですが,現在はHydrophoria lancifer (Harris, 1780) のシノニムとなっています. 属が違うので,ハート形の第5腹板など交尾器の特徴が異なるはずです. nitidicauda の名前は,Schnabl (1911) が " Pegomya (Pegoplata) virgiena (Meigen, 1826) " の変種としたところから来ているようです. annulata については,2013年の時点でまだHydrophoria と認識されている事も書かれており,かつては見極めが難しかった事がうかがわれます. (続く)
(リンクが2つ貼れないので投稿を分けます.)
イギリスの目録でこの種が扱われた際の説明があります. Ackland, D.M. 2010. Additions and changes to the British List of Anthomyiidae (Diptera). Dipterists Digest (Second Series) 17: 79-82. https://dipterists.org.uk/sites/default/files/pdf/Dipterists%20Digest%202010%20Vol%2017%20No%201.pdf 81ページの解説を見ると,旧北区のP. nitidicauda (Schnabl, 1911) と新北区のP. juvenilis (Stein, 1898) の脚の色が違う事に触れています. ハナバエ科も多少の色彩変異があり,これが亜種か別種かの判断にどれほど影響するかは難しいと思います. そしてMichelsen (2010) がFauna Europaea でP. nitidicauda をP. annulata (Pandelle. 1899) のシノニムとし,また,P. juvenilis とは別種として扱った事が記されています. annulata とjuvenilis の比較は,この2つの処置が関係するようです.
123様, 大宮様
返信が遅れまして申し訳ありません。 学名変更経緯について教えて下さりありがとうございます。 Pegoplata virginea (Meigen, 1826)は現在、Hydrophoria lancifer (Harris, 1780) のシノニムとなっていること、理解しました。 返信をいただく前に紹介された文献をいくつか見ていたのですが 上手く追えていなかったので非常に助かりました。 |
すいません。大きさ的にはいわゆる害虫のハエより少し小さいかもしれません。ひょっとしてこれがフンバエの類かと思い、写真を撮ってみたのですが、何気にネットで見ていたらブチマルヒゲヤチバエに似ている気ような、と思い貴掲示板で質問させていただきました。この見た感じで何科のハエと見当つけることができるか程度でも幸いです
くまままる 様.
写真が小さく判りづらいですが,翅の前後横脈と中脈の亜端部に2つの暗色部があるので,ご推測通りブチマルヒゲヤチバエである可能性が高いと思います.
ありがとうございました
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![]() 発見した際には既に死んでいて状態が悪く、標本は作成できませんでした。 ハマダラツリアブモドキに見た目はよく似ていると思われます。 この種の同定がしたい、というよりはゴキブリに寄生する双翅目が日本に存在するのかどうか、軽く調べても見つからなかったので有識者様たちのお力をお借りしたいです。
匿名希望 様.
ご推測通り,ハマダラツリアブモドキである可能性が高いと思います. ヤエヤママダラゴキブリから羽化したとの情報が下記のURLにあります. https://www.cic-net.co.jp/blog/%E3%83%A4%E3%82%A8%E3%83%A4%E3%83%9E%E3%83%9E%E3%83%80%E3%83%A9%E3%82%B4%E3%82%AD%E3%83%96%E3%83%AA%E3%80%80%E5%AF%84%E7%94%9F%E3%82%A2%E3%83%96/ |
![]() 高一になって、以前より採集に行ける回数が減ってしまった、虫キョロリスです。 それでも、最近は、 ヤドリバエのProdegeeria属、キモグリバエのTogeciphus属、ニセヒメコバエのTenuia属など、、とてもカッコイイ双翅目を採集できていて、 楽しい毎日を過ごしております。 そして、今回も、再び ヤドリバエについて質問させてください。 採集日時:2021年6月20日 採集地:福井県嶺南地方 ![]() 観察してみると、Dexia属とは特徴がところどころ異なりました。 その後、Twitterで、小須田貴延様から、 「Dexia属ではなく、Estheria属かDinera属だろう」とのご指摘をいただき、 旧北区のマニュアルで同定したところ、 31番目の項目がよく分かりませんでしたが、 おそらくDinera属にたどりつくようでした。 ![]() (https://www.researchgate.net/publication/265966479_A_systematic_study_of_the_genus_Dinera_Robineau-Desvoidy_from_the_Palaearctic_and_Oriental_regions_Diptera_Tachinidae) 腹部第1・2背板の溝は 背板の後縁まで届いているので、検索表の2に進み、 側顔が裸のため、3に進みます。 Palpusの長さは普通なので、4に進み、 そして、dc3+3なので、5に進みました。 そこから、D. angustifrons か D. orientalis のどちらかになると思うのですが、 この個体(♀)は、「pc orb sが1本である」、「mid tibiaが1 ad setaeである」などの特徴を持っていて、どちらの種類とも合わないに思えてしまいます。 このヤドリバエは何者でしょうか? そもそも、属が間違ってるでしょうか? もし知っておられる方おられましたら、ぜひ教えていただきたいです。
虫キョロリス 様
couplet 31については図105-106を見比べてください. 後胸気門の蓋状の覆いが,前後に対称か非対称かが問題です. Zhang & Shima(2006)で多数のDinera属が解説されていますが,日本に分布しているのはfuscataとtakanoiの2種だけです.
虫キョロリス 様
前のAnechuromiya のスレッドに書いた,Shima(1979) Blondeliini I. のほうの文献に, Prodegeeria もちょうど載っていますね. 自分はDinera を2種3頭しか持っておらず,どちらもZhang & Shima(2006) で落ちず, もっと採りたいと思っているところです. ![]() couplet 31について説明してくださり、ありがとうございます! 早速、後胸気門の部分を見てみました。 それが、この写真です。 画像中央の、平均棍の右に写っている丸っぽい形をしたのが、 「後胸気門の蓋状の覆い」なのかなと思ったのですが、 これを見ると、どうも前後に対称なように思えてしまいます。。 とすると、、couplet 32の方に進むべきなのでしょうか?? そもそも、見る場所を間違えてたら すみません。 大宮 様 Prodegeeria属の検索表が載っている場所を教えてくださって、ありがとうございます! この論文に載っていたとは、、気付かなかったです ^^; 僕が捕まえた個体は、3 stplで、中脛節に強い v setaがあるので、P. japonicaのようです! > 自分はDinera を2種3頭しか持っておらず,どちらもZhang & Shima(2006) で落ちず,もっと採りたいと思っているところです. なるほど。。日本には、Zhang & Shima(2006)に載っていないDineraが意外とたくさん生息しているのかもしれませんね! 興味深いです!
図の106は前の覆いと後の覆いとが別々にあって,大きさも形もほぼ同じです.
105のほうは後ろの覆いのみ発達しており,前のものは確認できません. これらの図とは別に,後の覆いが大きく,前の覆いが小さいため非対称であるケースがあります. 写真のように丸く見える場合は非対称であると判断できます.
大宮 様
なるほど、、そういうことだったんですね! すると、この個体は、Dinera属として良さそうですね。 お二方、 この度はありがとうございました!
こんにちは.4年前の投稿に訂正します.
久しぶりにこの標本を改めて調べたのですが,一般的なDineraと見た目が違うと感じ,別属の可能性を考えていました.Dineraは基本的に黒褐色の見た目なのです.しかし,旧北区の検索ではやはりDineraに落ちます.Billaeaという見た目でもないですし,実際形態は違います.むしろ見た目はDexiaのようです(細かい形態が異なりますが). 先日,似たようなハエの写真が,iNaturalistで,マレーシアとインドネシアからあがっているのを見て,東洋区の検索表を調べる必要を感じました.Crosskey(1976)の検索表をひいた結果,Dineraと非常に似た特徴を持つPhilippodexia属に行きつきました.Philippodexiaは,2nd costal sectionが無毛な点やpropleuronが有毛な点を満たしています.そこで,Townsend(1926), Townsend(1926), Mesnil(1953)の原記載を調べました.いずれもメスの記述はないですが,額が前方で急速に広がる・翅にcostal spineはない・脚が黄色・頭部胸部背面が明るい金色の粉で覆われる・胸部に4つの黒線があり横線後で内側二つが合併する…など非常に一致します.Mesnil(1953)でのP. pallidulaの記載文には,腹部の色の詳しい記述もありますが,非常によく似ていると思います. その他 特にわかりやすい特徴が,2nd costal sectionの長さです.Philippodexiaでは非常に長いと記述されていますが,実際本個体で1st costal sectionと同長程度あります.他のDexiiniを確認してみても,ここまで長いものはなかなかいないようです. そのため,DineraでなくPhilippodexia sp.の可能性が高いと考えました.本属は,インドネシア・マレーシア・フィリピンから4既知種が記録がありますが,日本に生息することが認識されているかはわかりません.未記載種でまだ発表されていないだけかもしれません.No.11703の芋虫のつぶやきさんの写真も同属のようです.iNaturalist上には中国からも同属と思われる写真があげられていました. 自分の手元の標本は,少し腐ってしまったのか,一部が黒く変色してしまっています.追加個体を得たいところです.
虫キョロリス 様
東洋区の属ですか,素晴らしいですね. 日本で研究されているかどうか分かりません. Philippodexia 属の記載(Townsend, 1926β: 533-)の中の,腹部第1節に中縁剛毛があるという記述が多少の違いですが.それ以外はよさそうですね. 相違点が少ないのはP. longipes Townsend, 1926 あたりでしょうか. 他の細かな違いを拾っていくと, P. pallidula Mesnil, 1953 は,内外の頭頂剛毛がとても細く短い, P. sumatrensis Townsend, 1926 (γ: p.30)は,見かけ上の腹部第4節の両脇に強い側心剛毛がある,胸部の縦条は横線後で合流しない. 両者はst の数が異なるようです(P.pallidula は2). P. montana (Townsend, 1926) の当初のMalayodinera 属の記載(γ: p.27)は色々と違い, メスの額帯幅は側額の2倍,横線後dcは通常4,横線前ac4,r5室は翅端の少し前で閉じる,腹部は最初の2節に中縁剛毛がない. 他には世界の種目録のPhilippodexia 属の所には,Kurintjimyia jacobsoni Townsend, 1926 (γ: p.38) というのが挙がっているのですが, これがTachina 属の亜属不定の所にも出てくるので不思議です. この機会に調べたところ,旧北区と東洋区の検索に収録されていないDexiini の属として,中国の両方の地理区から報告されているPseudodexilla O’Hara, Shima & Zhang, 2009 というのがあるようです. もとはPseudodexia Chao, 2002 という属だったのがホモニムで無効のため変更になりましたが,記載の内容は海南森林昆虫(Chao, Liang & Zhou, 2002) を見ないと分からないようです. 近いうちに複写依頼を出すついでがあるので,頼んでみようと思います.
大宮 様
返信ありがとうございます. そうなのです,腹部第1節の中縁剛毛の有無が違うのですが,雌雄の違いだろうかなどと思っています.仰せの通り,P. longipesが相違点が少ないようです.そして,各種の細かな違いを整理してくださってありがとうございます.まだ十分精査しきれていないところもあるので,近いうちに細かいところまで観察して文献と比較しようと思います.いずれの記載文も古いため,脚の剛毛など細かい部分の特徴までは十分載っていなかったり,図も一切なく,強い確信を持って属を断定できないのが少し歯痒いですが… それから,P. longipesのシノニムとして,P. majorとP. separataが,Malloch, J.R. (1935) Exotic Muscaridae (Diptera) [concl.].-XXXIX. で記載されていることに今気づきました.メスの特徴が載っていないだろうかと気になりますが,Malloch(1935)はネット上で見れなかったので,今後 複写申し込みのついでに頼んでみます. P. montanaはかなり特徴的に違いますよね.元々別属にされていたのも納得ですし,本当に現在のように同属としてふさわしいか少し気になります. Kurintjimyiaについては全く気づいていませんでした.たしかに,Philippodexiaの箇所にもTachina の箇所にも載っています.不思議です.記載文を読むとPhilippodexiaとは違うように思います.Eudoromyiaと比較されているあたりも,Tachinaのほうであると考えた方が自然です… なぜPhilippodexiaのシノニムとしても掲載されているのか謎です. >この機会に... Pseudodexillaというのもいるのですね.これは知りませんでした.比較的最近記載されていますね,この属の可能性もまだありますね.気になります. |
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