![]() 写真のヤドリバエを、2021年9月26日に、福井県の自宅にて採集しました。 以前にも、同種と思われるハエを数個体採集しており、 さらに、今年の7月18日にも1個体採集しました。 旧北区のマニュアルの検索表で同定すると、 Clairvilliopsというあまり聞き慣れない属に辿り着きました。 presutural ac setaeがabsentなのがとても特徴的です。 胸部背面の剛毛については、0+1ac, 2+3dc, 0+2ialです。 katepisternal setaeは2つです。 体長は4mmから6.5mm程度です。 ![]() これだと、突起があまりに短くて、あまりハサミハリバエ族らしくないなぁと思い、本当に同定が合ってるんだろうかと心配になりました。 日本昆虫目録では生息地に本州が含まれていませんでしたが、Tachinidae Resourcesの世界のヤドリバエのチェックリストには、本州も含まれていたので、一応、本州にも生息するようです。 「Annotated keys to the genera of Tachinidae (Diptera) found in tropical and southern Africa」に載っている横顔の図とはおおよそ一致するようですし、 自分の家の周りには、Clairvilliopsの寄主であるクモヘリカメムシが大量発生しているので、Clairvilliopsの可能性は高いんじゃないかなとは思いつつも、 本当にこの部分を「semiglobular corpuscles」と解釈していいのか、不安になったので、質問させていただきます。
虫キョロリス様
分布が日本,コンゴ,タンザニア,マレーシア,台湾. 難易度が高そうですね. 極東の昆虫の検索によると,胸部の剛毛の数は一致しています. メスの腹端部の説明を翻訳サイトに貼り付けると, ”15-20個の短い棘を持つ半円形の小さな葉があります.先端のスパイクは発達していません.” となります. 小さな棘について書いている他の文献が探せていませんが,今回の標本にはなさそうに見えますね. Herting, B. 1981. Typenrevisionen einiger palaarktischer Raupenfliegen (Dipt. Tachinidae) und Beschreibungen neuer Arten. Stuttgarter Beitrage zur Naturkunde. Serie A (Biologie) 346: 1-21. https://ia800205.us.archive.org/19/items/biostor-95787/biostor-95787.pdf Paradionaea orientalis Baranov からClairvilliops inermis Mesnil に変更した文献で,日本の記録も出てきます. Dionaea が大きな鉗子を備えた産卵管をもつのに対して,Clairvilliops は, " Zange des Ovipositors zu zwei kleinen, runden Korperchen reduziert, die zusammen nur so breit sind wie 3/10 der Basis des kegelformigen 5.Tergits. " 翻訳サイトに貼り付けると, ”産卵管のはさみは2つの小さな丸い体になり、それらを合わせると円錐形の5番目の背板の底の3/10の幅になります。” と説明しています. 他のハサミハリバエ族の形状とは異なるようです. PaleKey やMoschWeb では,(=modified pincers) (変化したはさみ)と解釈されています. 自分も採ってみたいものです. ![]() >小さな棘について書いている他の文献が探せていませんが,今回の標本にはなさそうに見えますね. 腹端の突起、顕微鏡で最大限まで拡大して観察してみたのですが、 うーん、棘は無さそうですね。。。 手元にある他の標本も見てみましたが、棘らしきものはやはりありませんでした。 (写真は、産卵管の半円形の葉を、横側から撮ったものです。) Clairvilliops属は、今のところC. breviforceps 一種のみの記録がありますが、 実際は、棘のある種と棘のない種というふうに何種類かいるのかも(?)知れませんね。 >他のハサミハリバエ族の形状とは異なるようです. そうなんですね…あまりに他のハサミハリバエ族と違ったので、びっくりしました… >Paradionaea orientalis Baranov からClairvilliops inermis Mesnil に変更した文献で,日本の記録も出てきます. おぉ、有難うございます!この文献は知りませんでした… これは、かなり細かい特徴書いてありますね! 最近は、色々用事があって、あまり虫の同定をする時間を取れてないのですが、 用事が終わって、時間に余裕ができたら、 この論文の説明と合致するかどうかじっくり精査してみようと思います!!
虫キョロリス様
新しい写真で太めの剛毛のようなものが並んでいますが, 棘がどんなものを指すのか,文献に図がないので分かりませんね. 機械訳の解釈もしんどいので,余裕がある時に取り組んでみてください. |
芋虫のつぶやき 様.
見たことがないガガンボ等が採れたとぬか喜びした後,ルーペで良く見ると体にダニが斑紋のように付いていてがっかりすることが良くあります. 下記の論文によると,Johnstonianidaeジョンストンダニ科のJohnstoniana erransの幼虫は,ガガンボの蛹に集まり羽化時に成体に乗り移るとようです. Wohltmann A. 1996. On the life cycle and parasitism of Johnstoniana errans (Johnston) 1852 (Acari: Prostigmata: Parasitengonae). Acarologia, 37(3): 201-209.
市毛 様
いつもありがとうございます。 私も見た瞬間は腹部が橙色の種と思って色めき立ちました。 ダニが蛹に集まるとは驚きです。どうやって蛹化場所を特定し集まるのか見当もつきません。ダニの世界もまた奥深いですね。 今後ともよろしくお願いいたします。 |
Matile氏による
ツノキノコバエ科の専門書(フランス語) Recherches sur la systematique et levolution des Keroplatidae (Diptera, Mycetophiloidea) 1990 682p. がbiodiversitylibraryからPDFとしてダウンロード出来るみたいなので ツノキノコバエ科に興味ある方は是非. https://www.biodiversitylibrary.org/part/282901 --------- ちなみに、NHBSにて 72.99スターリング・ポンド で販売されています。(紙媒体) ------- 3年ほど前はPDFとしてダウンロード出来るような状態では無かったので とてもありがたいことです。(調査不足なだけだったのかもしれませんが。)
ふかさわ様
ログを確認してみたところ,URLの書き込みが2個あったのがエラーの原因のようです.
市毛様
エラーの原因を教えて下さりありがとうございます。 そういうことでしたか。 投稿内容を修正しておこうと思います |
M 様.
キモグリバエ科のMerochlorops(= Formosina)属の仲間と思われます.初めて見ました. 東京や三重,南西諸島に分布しているMerochlorops cinctus(Formosina cincta)キベリヒロズキモグリバエとは別の種類となります. なお,下記のURLにタイで撮影された同種と思われる写真が載っています. https://www.diptera.info/forum/viewthread.php?thread_id=54264
キベリヒロズキモグリバエの画像は,掲示板の下記のスレッドです.
http://diptera.jp/usr/local/bin/perl/dipbbs/joyful.cgi?list=pickup&num=5665#5665
キモグリバエ科の何か、なんですね。
黒に黄色のワンポイントがカワイイなと思って撮影しました。何も知らず、もっと色々な角度から撮ればよかったです。 どうもありがとうございました。 |
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