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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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先週採ったオドリバエ 投稿者:バグリッチ 投稿日:2006/11/09(Thu) 21:41 No.2778  引用 
オドリバエ勉強、事始めバグリッチです。

 先週 採ったオドリバエです。
 自力で調べた所では、Dapetis(Elaphropeza)sp.となりました。
 これ以上は、無理です。

 ただ、色彩が特徴的に思えたので、アップしてみました。
 ではまた。


Re: 先週採ったオドリバエ 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/11/13(Mon) 11:41 No.2788  引用 
 同定されたとおりElaphropezaの1種です.ElaphropezaはDrapetisの亜属とされているものもありますが,最近の傾向は属扱いです.同様にCrossopalpusも属として扱われています.本属の方がElaphropezaより画然としています(頬が明瞭,触角第2節の下面剛毛の発達など).Drapetisでは後頭部が広範囲に胸部に密着するようになっており,Elaphropezaでは後頭部が円く膨大するので,頸が明瞭です.また,Elaphropezaでは後脛節に背面剛毛を持っている点もDrapetisとの区別点と考えられます.
 本属は主にアジア熱帯から亜熱帯にかけて著しく繁栄しているもので,一地方から数10種が採集されるとも言われています.日本列島もその北端部に相当するので,10種あまりが分布しています.記録されたものは(sp.としてですが)以下の文献にあります.(三枝豊平,1964.八重山群島のオドリバエ科について.九州大学海外学術調査委員会学術報告,(2):173-178)
 本属は日本列島ではどちらかと言えば草原のオドリバエで,夏に草原,畑のあぜ道,土手などを繰り返しスイーピングすると採集できます.繰り返すのは一度掬っただけでは地表近くで活動している個体が草の上部にきたり,舞い上がらないので,二度三度の振りでネットに入れることができます.これはCrossopalpusやStilpon (日本に3種確認しています)でも同様です.
 Elaphropezaは東洋熱帯からかなりの種が記載されており,また中国からも記載されていますが(Sinodrapetisという新属も),既知種の正体がまだ判然としないので中々記載に着手したがたい面があります.
 今回の国際会議ではGrootaertがシンガポールの本属の解説をしており,同地ではマングローブ林でも固有種があるそうです.

Re: 先週採ったオドリバエ 投稿者:バグリッチ 投稿日:2006/11/14(Tue) 21:54 No.2790  引用 
アノニモミイアさん、こんにちは。

 詳細にわたるコメントに厚く御礼申し上げます。
 この個体は、茂みの中のキノコの付いた朽木に止まっていたもので、とても不思議な環境でした。
 かなり難しい種群のように感じますので、まずは 色々な個体を集めることから始めたいと思います。

 ご教示いただいたスイーピングのコツも頭に入れて 成果をあげたいと思います。

 引き続き宜しくお願い申し上げます。
 

エゾキイロオドリバエ? 投稿者: 投稿日:2006/11/13(Mon) 07:40 No.2785  引用 
オドリバエネタです。

エゾキイロオドリバエ Empis(Xanthempis) japonicaと思われます。
腹部が捩れていて交尾器がきれいに採れないのでばらしました。

6月中旬に札幌市郊外で採集しました。体長は約6mmです。


Re: エゾキイロオドリバエ? 投稿者: 投稿日:2006/11/13(Mon) 07:43 No.2786  引用 
コメント入れないと投稿できないのね・・・・・・・・


実体顕微鏡の透過撮影ではなく、光学顕微鏡写真です。


Re: エゾキイロオドリバエ? 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/11/13(Mon) 10:47 No.2787  引用 
 写真はEmpis (Xanthempis) japonica Freyです.本種は北海道では平地から山地にわたって6月頃にかなり普通の種です.この仲間はヨーロッパでは種分化が進んでいますが(20種あまり),日本列島では淋しいものです.今のところはっきりした個体の分布は北海道のみです.
 日本から命名されたものはあと一つ,Empis (Xanthempis) sesquata (Ito, 1961)があります.これはKaryosan (Aki)が模式産地で1953年6月3日に採集された1雄によって記載されたものです.後記するように伊藤先生はXanthempisを属と扱って本種を記載しています.本種はjaponicaより胸部中央黒条が遥かに広く,中胸前半部の両側に1対の楕円形の小暗斑をもち,小楯板が暗色です.また,雄交尾器の背板葉(tergal lobe;2対ある突出物のうち下側のもの)の先端が細く延びるように尖っています.私は同じ広島県の吉和で採集された1雌を持っています.
 しかし,中部地方(山梨増富;長野島島;岐阜天生)では上記2種の中間的な形質を持った個体が少数採集されています.本州ではかなりの珍品です.また,九州(福岡古処山)でも1雄が採集されており,これはテネラルなので斑紋は明瞭ではないのですが,sesquataに近い交尾器を持っています.6月頃に森林の下草を掬うと採集できますので,注意してみてください.なお,本亜属のように橙黄色のEmpisは中部山岳でPlanempisのitoiana群に1種ありますが,Xanthempisのように後頭部が漏斗状に長く伸びないし,触角も短いので区別できます.
 Xanthempisは配偶行動が特異で,葉の上などで求愛給餌なしに行われると言われています.
 EmpisおよびRhamphomyiaの亜属などの分類は現在極めて流動的で,その上Collinのように亜属としながら学名をあたかも属であるかのように表記したりする研究者もあるので,ますますややこしくなっています.1.亜属を属に昇格するにしても,特徴の程度がまちまちなので一斉昇格とはいかないので,昇格基準が難しい;2.EmpisのR4脈が明らかに消失したRhamphomyiaの特定亜属の種が見られる;3.両属のみならずHilara属(ミナモオドリバエ属)を含めた北半球の3属の間を埋めてかつそれらのを結ぶ三角形(形質群の)からはみだす多くの種が南米からオーストラリアにかけて分布しており,これらに対していくつかの属が提唱されている;4.それよりなによりランクは別にしてEmpisやRhamphomyiaの内部のグルーピングがまだまだ極めて不十分,と言うのがこれらの分類階級をどうするかについての困難の原因です(日本列島だけで両属あわせて400種以上生息;中国大陸などは推して知るべしで,北米のRhamphomyiaも記載率20%くらい).それで,Xanthempisも当面はEmpisの亜属扱いをしています(旧北区のカタログも同様).Xanthempisは一番先に属に昇格しても良いものです.

Re: エゾキイロオドリバエ? 投稿者: 投稿日:2006/11/13(Mon) 20:46 No.2789  引用 
アノニモミイア様。

毎回詳細な解説ありがとうございます。

日本などの分類が遅れていると思っていましたが、北米など世界的に解明が進んでいないのですね。

先日、ガガンボについて栃木の某氏より話を伺った際も、Tipula属など世界中に分布する属は例外が出てくるので境界が難しいと言っていました。

今後ともよろしくお願い致します。

学名の誤記 投稿者: 投稿日:2006/11/13(Mon) 07:38 No.2784  引用 
はなあぶNo.22は無事に最終校正&編集会議が終わったようです。

今回は、最終校正で大きな学名ミスが見つかりました。

近年、BrakalovはヒロカオクロハナアブをCheilosia latifasciellaと誤って記していることがわかりました。
これではラテン語でヒロオビの意味になってしまいます。
正しくはlatifaciellaです。(日本語訳された「極東の昆虫の検索」も間違っています)

Barkalovの論文を参考にして原稿を書いていたので、全て間違っていました。
危なかった・・・

アミカ 投稿者: 投稿日:2006/11/12(Sun) 16:59 No.2781  引用 
某所産の双翅目の中に触角の長い長角群のものがありまして、どうせガガンボ類かなぁとタカをくくってたら、実は違ってました。
翅脈はへんだし、頭部もいわゆるカゲロウなんかに見られるターバン眼だし、こんなの見たことないですがな・・う〜ん・・・資料とにらめっこしつつ悩むこと2時間・・ようやく科が判明しました。


Re: アミカ 投稿者: 投稿日:2006/11/12(Sun) 17:06 No.2782  引用 
アミカ科なんですね・・・
極東ロシアの双翅目や環動昆(笹川)を見てもわからなかったのですが、日本産水生昆虫(東海大出版)のアミカ科のところを見てたら翅脈がぴったり合致するのが出てきました。

画像は頭部を腹側から撮影したものです。


Re: アミカ 投稿者: 投稿日:2006/11/12(Sun) 17:13 No.2783  引用 
どうにも撮影のサイズがあわなくてすみません。
ただ、アミカ科成虫の画像は見たことがなかったので、とりあえず出しておきます。翅脈です。(液浸だったので、撮影が・・・)

あと、♀だったので、ゲニ画像はないです。
翅脈では水生昆虫に出ているBlepharicera japonicaニホンアミカに一致しますが、本属には未記載種があるとのことなので、とりあえず、Blepharicera sp.としておくべきかと思っています。

キイロショウジョウバエ? 投稿者:あさきち 投稿日:2006/11/04(Sat) 12:45 No.2766  引用 
皆さん、こんにちは

これは、キイロショウジョウバエでしょうか?

よろしくお願いします。


Re: キイロショウジョウバエ? 投稿者: 投稿日:2006/11/04(Sat) 15:40 No.2767  引用 
大体の大きさ、採集(撮影場所)、撮影日時などの情報をください。

この画像では種を調べるのに決定的に重要な部分が写っていないので、種が絞り込めません。

大きさや現れる時期などの情報があれば、いくつかに絞り込めるかもしれません。

Re: キイロショウジョウバエ? 投稿者:あさきち 投稿日:2006/11/05(Sun) 21:19 No.2768  引用 
ハエ男さん、こんばんわ

撮影日は7月10日
場所は横浜市青葉区
大きさは1cm程度だったでしょうか。

これである程度わかりますか?

Re: キイロショウジョウバエ? 投稿者:猩々 投稿日:2006/11/06(Mon) 14:37 No.2769  引用 
どうもこんにちは.

これはキイロショウジョウバエではありません.
見た感じでは,ショウジョウバエではないような気
がしますが,何科のハエかはわかりません.


Re: キイロショウジョウバエ? 投稿者: 投稿日:2006/11/07(Tue) 01:53 No.2772  引用 
青葉区で本種がいるかどうか?が付くのですが、

1cmぐらいとのことなので、画像を見たときの雰囲気はショウジョウクロバエというクロバエ科のハエに似ているように思えます。

ただし、これもあくまでも、雰囲気が似て見えるといった程度の話です。(信頼度50%弱くらいか?)(やはり翅脈が見えないと科の決定も正確にはできませんので・・・)

Re: キイロショウジョウバエ? 投稿者:あさきち 投稿日:2006/11/09(Thu) 22:50 No.2780  引用 
ハエ男さん、猩々さんありがとうございます。

やっぱり翅がきれいに写っていないと
難しそうですね。

正面からでも撮るので精一杯だったもので・・・

次から気をつけます。

とりあえず・・ 投稿者: 投稿日:2006/11/09(Thu) 22:49 No.2779  引用 
双翅目談話会の関東での開催情報をアップしました〜〜。
http://furumusi.aez.jp/dipterist/dipterist_news.htm

科博分館で11/25(土)10時より開催(予定)です。
基調講演は倉橋 弘先生です。
ミニ講演(10〜15分程度)をご希望の方は3日前くらいをめどにワシまでお知らせください。

furumusiあっとまーくaez.jp (古田)

オオシマハナアブ 投稿者: 投稿日:2006/11/08(Wed) 14:46 No.2775  引用 
今朝は、首都圏から真っ白になった富士山がよく見えました。そろそろ冬が近いなあと思ったら、伊那のほうではすでに寒いようですね。

Web図鑑に使えそうな写真をさらに放出です。
今年の6月に新潟県魚沼市の未丈が岳で撮影したものです。
山頂の陽だまりでテリトリーを形成しておりました。白いセリ科などの花にもよく来ますが、登山道などの裸地で静止する姿の方がよく見られる印象です。



Re: オオシマハナアブ 投稿者: 投稿日:2006/11/08(Wed) 14:55 No.2776  引用 
ついでに、こいつのゲニです。
端部を背面側から見た画像です。

ハナアブのsurstylusは、たいてい左右がほぼ同じ形状をしているように思うのですが、本種は左右が思いっきり違う形です。片方が鋭く長いトゲ状ですが、他方は短いです。雌の尾端も特異な形状なのでしょうか、気になります。

ハナアブ図鑑の改訂版には、全種の♂交尾器を掲載したいものですね。

どうしてくれよう・・ 投稿者: 投稿日:2006/11/08(Wed) 10:26 No.2774  引用 
市毛さんご注文の軽露西亜を過去の標本の中から探したときに出てくるオドリバエがあって、こいつらはやっぱしかたっぱしからゲニがちがうんですよね・・・

まあ、とりあえず、台紙に貼るだけ貼っとくことにしました。

今朝はまじで寒いっすね・・朝、部屋の温度が上がるまで顕微鏡が見れません。・・接眼部がスグ曇るので、ただいまレンズ加温中です。

オカザキタマ 投稿者: 投稿日:2006/11/06(Mon) 17:13 No.2770  引用 
こんにちは

しばらく標本写真が主体で、ちょっと硬い印象を受けましたので、生態写真を・・・

今年の3月に世田谷で撮影して、ほったらかされていた黒くて小さなハナアブの画像です。きっとCheilosiaの1種で、同定できないだろうと思い込んでいましたが、何気なく繰っていたFauna Japonica SyrphidaeUの写真の中に、同じデコ顔!
あわてて図鑑や市毛さんのHPなどを覗いて、オカザキタマヒラタアブ:Chrysogaster okazakii Shiraki,1968であることが確認できました。

日本のハナアブに収録されている標本の写真は、頭が下がっているために特徴のデコが写っていないんですね。

Web図鑑には市毛さんの訪花個体が収録されています。並べて使って頂けたら幸いです。


Re: オカザキタマ 投稿者: 投稿日:2006/11/06(Mon) 21:20 No.2771  引用 
pakenyat様。

確かに標本写真が多いと掲示板が硬くなりますね。

このタマヒラタアブ属Chrysogasterも、最終的には3種ぐらいになりそうです。

数年前のハナアブの解明率は80%程度と話していたのですが、年々下がってしまい、現在60%程度と話しております。

予想以上にハナアブは難しいです。図鑑化を進めるためには、若手の分類屋が3人程度は欲しいです。
それと、北海道や四国・九州・沖縄の標本が大量に必要です。

Help me!!!

Re: オカザキタマ 投稿者: 投稿日:2006/11/07(Tue) 01:55 No.2773  引用 
画像は使わせていただきますね〜〜。

Empis(Planempis) panグループ 投稿者: 投稿日:2006/09/07(Thu) 06:22 No.2660  引用 
お世話になっております。

Empis(Planempis)属のpanグループに属すると思われる種類です。

体長11mm 5月下旬に茨城県北部のブナ帯(alt.900m)で採集しました。

Saigusa(1964)Description of some new species of the Subgenus Planempis from Japan.を調べてみましたが、検索表ではE.(Plan.) xanthotibia Saigusaに辿り着きました。

交尾器は、E.(Plan.) pulchraを頑丈にしたような感じです。

アドバイスよろしく御願い致します。


Re: Empis(Planempis) panグルー... 投稿者: 投稿日:2006/09/07(Thu) 06:25 No.2661  引用 
交尾器です。

Re: Empis(Planempis) panグルー... 投稿者: 投稿日:2006/09/07(Thu) 06:32 No.2662  引用 
同じく、panグループに属すると思われる種類で、E.(Plan.) latro Frayと思われる種類です。

体長12.5mm 5月上旬に茨城県水戸市近郊の雑木林(alt.60m)で採集しました。

交尾器は、E.(Plan.) pulchraの図に似ています。



Re: Empis(Planempis) panグルー... 投稿者: 投稿日:2006/09/07(Thu) 06:36 No.2663  引用 
E.(Plan.) latro Frayと思われる種類の交尾器です。

Re: Empis(Planempis) panグルー... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/09/19(Tue) 22:27 No.2697  引用 
国際双翅目会議で返答の時間がとれません.来月までお待ち下さい.なお,同会議にはカナダのハナアブ学者Vockeroth博士や米国のThompson博士も来日.Vockeroth博士は10月下旬まで九州などで採集されます.両博士に御会いしたい方がありましたらご連絡ください.

Re: Empis(Planempis) panグルー... 投稿者: 投稿日:2006/09/19(Tue) 23:50 No.2699  引用 
アノニモミイア 様。

了解致しました。
急ぎではありませんので、お時間のあるときによろしくお願い致します。

Re: Empis(Planempis) panグルー... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2006/11/01(Wed) 14:50 No.2761  引用 
 Empis (Planempis) 亜属はヨーロッパに1種を産するほかは全て東アジアの種から構成される群です.属内で著しい分化を遂げている割には北米に全く進出していない点が不可解です.恐らく基本的にはアジアの暖温帯起源で,ここで著しい分化を起こして,こく一部の種が後氷期以降に東北アジア冷温帯に進出したものと推定されます.これらの種群のなかで,pan, xanthomelas, holocleroides, laccotheca, microtheca等の典型的なPlanempis型の雄交尾器を具える種群がありますが,syusiroianaや itoianaのようなヨーロッパのLeptempisに類似した雄交尾器をもつ群,これら2群の中間に位置するclausipygaヤautumnalisのような種,更にはこのラインから逸脱したluteipilosaのような群まで,複眼の離眼性,前胸腹板の被毛性,胸部の刺毛状態,脚の膨大化と下面の棘の状態,雌の脚の羽状剛毛の発達,翅の中室の拡大などに極めて著しい多様性が生じています.
 北海道,沿海州から台湾,インドシナ半島北部,ヒマラヤからカラコルムにいたる地域に数知れぬ種が生息しています.現在150種あまりの種をこれらの地域から確認していますが,中国の調査が進めばこの数も飛躍的に増えると思われます.異所的な種分化を研究する上でも大変面白い群です.
 さて,ご質問の最初の種ですが,これはpan群に属するxanthotibiaではなくて,未命名の仮称vitrea群に入るものと思います.本群の多くの種は腹部が暗色で,しかも灰白色のpollinosityで覆われ,翅の基半部のmicrotrichiaが著しく消失するために翅がガラス様透明で,後腿脚は一般に肥大しなくて光沢があり,その下面の棘も節の後半部に集中する傾向があります.本群も東北地方南部から中部山岳(日本アルププスの高山帯にもいる),四国,九州まで多くの地方種(亜種)的なものに分化しています.
 第2の種はほぼEmpis (Planempis) latroに同定できるものと思います.E. pan, latro, pulchra, xanthotibiaを含むpan群は大雑把に本州南岸に分布するlatro,九州,四国に分布するpanがありますが,中部山岳で分化がおこり,これらがxanthotibiaやpulchraです.私の手元にも未記載の本群の中部山岳の種がありますが,今後新しいものが発見される可能性が高いt思います.
 いずれにしても,写真の個体は貴重なものですから,将来東アジア全体のPlanempisを扱う機会に調べさせていただければありがたいです.
 E. microtheca群や仮称vitrea群は一般に平地では早春カエデの花に飛来しているのが採集しやすいので,ハナアブの採集と同時に採集されるものです.一方pan群は平地で5月上旬頃が最盛期で,雄は高木の頂きに大型のケバエをnuptial giftにして集まり,時折数頭で群飛しては休むと言う行動を繰り返し,雌が飛来するとそれを一斉に追って交尾します.ですから採集はやや困難ですが,適当な位置に群飛場所があるとまとまった材料の採集が可能です.いずれにしても両群とも個体数はあまり多くなくて,holocleroides-seminitida群のようにまとまった数は採集しにくいものです.
 なお,Planempisについては,T, Saigusa (1992). Systematic study of the subgensu Planempis of the genus Empis from Shikoku, Japan (Diptera, Empididae). 徳島県立博物館研究報告第2号77-107があります.

Re: Empis(Planempis) panグルー... 投稿者: 投稿日:2006/11/03(Fri) 08:53 No.2765  引用 
アノニモミイア様。

詳細な説明恐れ入ります。
また、徳島県博の論文については全く気がつきませんでした。早速取り寄せて読んで見たいと思います。

ありがとうございました。

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