初めまして。
このハエはベッコウバチの巣の近くの草に止まり、ハチが穴を掘っている様子を窺うようにしていたところを捕らえたものです。 アナバチヤドリニクバエなどという種名は聞いたことはあるのですが、果たしてこれがそうなのでしょうか。 茨城県の南岸地域での採集品です。検分お願い致します。
Miltoglaminae・ヤドリニクバエ亜科であることは間違いないと思います。(外見は似てる種が多いのでパっと見の絵合わせ同定はほぼ不可能です。)
頭部の雰囲気では♀なのかな?とも思いますが、ニクバエ科の同定は♂交尾器で行うのが基本スタイルとなってしまうので、♀だとかなり難しいです。一応、腹部末端を見て交尾器が引き出せるかどうかを確認してみてください。ニクバエ科の標本処理は翅をきれいにするよりも、まず交尾器を引き出しておくことが大変重要で、採集した日の処理というのが面倒ですが、あとの同定を楽にします。今からですと、湯気で軟化するとか、エタノールを少しかけた脱脂綿入りのフィルムケースに入れて数日置くなどの方法で軟化する方法があります。(♂交尾器の確認が必須とご理解ください。) このグループの参考資料としては Kurahashi Hiromu 著 STUDIES ON THE CALYPTERATE MUSCOID FLIES FROM JAPAN VII. REVISION OF THE SUBFAMILY MILTOGRAMMINAE (Diptera, Sarcophagidae) があり、これはCiNii http://ci.nii.ac.jp/cinii/servlet/CiNiiTop#の方で公開されていますのでご参照ください。(アナバチヤドリニクバエの♂交尾器の図も出ています)
ハエ男さま
ご教示ありがとうございます。 この個体は雌のようでしたが、参考にさせていただきます。 それにしても、雌で調べにくいのは困ったことですね。 もしかしてハチのグループごとに特異的な関係が見つかるのではと思っていたのですが、道は険しいです。
現在、倉橋弘 先生がニクバエ科の♀による同定のキーをまとめられているとのことですが、お話を聞く限りでは一般の方にはなかなか調べにくい部分や細かな部分もキーとしなくてはならないため、ある程度、訓練をつまれてそれらの部分を見るとわかるようになるかもしれません。
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3ヶ月前の投稿でしたが,マガリケムシヒキの仲間は田川勇治さんの論文に検索表があります.標本を採集されていればこれで同定できると思います.
Tagawa, Yuji, 1981. Asilinae in Shikoku, Japan (Diptera:Asilinae). the Transactions of the Shikoku Entomological Society, vol.15, Nos.3-4:187-213. ご参考までに.
おーやぎ様,アノニモミイア様.
田川さんの論文は未読なのですが,マガリケムシヒキ属は未記載種が幾つかあったと思います. 絵解き検索が,大石久志・田川勇治(1997)日本産マガリケムシヒキ属の再検討(1)に載っていたはずです. では,また. |
島根県・石見銀山近くの水田雑草(オモダカ)の花を撮影したときに写りこんできたハエです。
撮影時はアリだと思っていて、PCで見たときに初めてハエだと分かりました。 「アリに擬態している」ということでハエ男さまの「ツヤホソバエ科」にあたり、「Black scavenger fly」で検索して www.cirrusimage.com/fly_black_scavenger_Sepsidae.htm www.biosurvey.ou.edu/okwild/misc/blkscafly.html の画像を見つけました。体色・頭部・翅の紋など、そっくりだと思うのですが、この仲間と考えていいのでしょうか。 1枚偶然に撮った写真だけで申しわけありませんが、よろしくお願いします。
お調べになったとおりツヤホソバエ科SepsidaeのSepsis属の種です.どの種であるかは,体の剛毛の状態や♂前足の構造が分らないと正確には決定できません.
この仲間は獣糞などを幼虫の食餌とし,成虫も糞を吸汁して生活していますので,この写真のように花に来ることは一般的な行動ではありません.牛糞,人糞,犬や猫などの糞にも良く集まっています.
日本で記録のあるSepsis属のうち翅の先の方に黒点があるのは10種類くらいいるはずなのですが、一般的に圧倒的に多いのはヒトテンツヤホソバエで次がオスアカツヤホソバエになると思います。
このグループは♂の前足の形や剛毛、トゲなどの状態を見ないと識別できないのですが、上記2種の識別はFさんもご覧いただいたツヤホソバエのページhttp://furumusi.aez.jp/fly/spotlight/sepsidae/sepsidae1.htmの画像をクリックすると拡大画像が見れるようになっていますのでご参照下さい。 アノニモミイアさんは花に来るのが一般的な行動ではないと書かれていますが、私は低標高の場所(東海地方)の河原の白いキク科の花等でも良く見つけます。(別の獲物を狙って花を網でスイーピングすると一緒にポチポチ入ってきます・・・この場合はヒトテンツヤホソバエが圧倒的に多いです。) また、3月の南アルプスの標高1700mの雪だらけの林道の中で飛んでいたツヤホソバエ科の一種(♀だったので種名は不明)を捕まえて驚いた記憶があります。(現在標本が行方不明なので・・・う〜む困ったもんです) 個人的には細いハエや平べったいハエにすごくあごがれてるのです注目してるハエではあります・・・
アノニモミイアさま
ハエ男さま 素人のぶしつけな質問に再三お答えいただき、ありがとうございました。 動き(花の上を歩き回る)もアリを思わせるものがありました。
ハエ男さんが南アルプスの雪だらけの林道でツヤホソバエを採集されたということですが,Themira属の種はどちらかと言えば寒地性で,真冬でも少し暖かいと獣糞上で活動していることがあります(Themiraは翅端の黒点がない).それと,SepsisやDecachaetophoraの仲間は個体数が多い,すなわち餌になる牛糞などが多い,場所では周囲の低い植生の上にも群がって,徘徊したりそこで交尾したりしている個体がたくさんいます.それで花上でも観察されます.しかし,花で吸蜜しているか確かめたことはありません.
訪花昆虫を採集していますとツヤホソバエが時々捕れます(ヒトテンかなと思っています)。湿地(水面上)ではミツガシワ、エゾノコリンゴなど、草地では木にからんだボタンヅルなどで記録しています。虫が雄蕊または雌蕊に接触していることを確認してから捕っており、採餌行動ではないかと考えているのですが、口器がどんなものか・・・花蜜ではなく花粉ということはないでしょうか。上のFさんの写真のオモダカは雄花ですし、私が採集した他の花も、花粉の多い白色の花です。次に出会ったらよく行動を観察してみたいと思います。
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