![]() 写真のヤドリバエを、2022年8月28日に、福井県の自宅にて採集しました。 とっても美麗な種で、捕まえた時、感動しました。 旧北区マニュアルの検索表を使って調べたところ、意外にもDrino属になりました。 こんな色彩のDrinoがいるのか?!と驚くと同時に、 おおよその体型などからは、確かにDrinoの雰囲気が感じられるな、と思いました。 しかし、このような色のDrinoは今まで見聞きしたことがなかったので、 本当にDrinoかどうかと疑問には思いました。 そこで、「中国蝿類」に載っているDrinoの検索表を使ってみました。 すると、D. flavaという種類に落ちました。 (今回の個体はメスだったので、couplet9の次は、10と14の両方に行く可能性が考えられます。ただし、14の方に進むと該当種が存在しないため、結局10に進みました。) ![]() 「腹部は黄色。第三、四背板の中央1/4-1/3は、長方形あるいは台形の黒斑を有す。第四背板後縁1/4と第五背板全体は黒色。腹部全体は灰白色の粉を被る。第三背板の後縁は、黒色の部分を持たない。」 という趣旨の説明が書いてあり、まさに、自分の捕まえた個体と一致する!と思いました。 ただ、Drinoにしては異形な色彩をしているとはいえ、 中国蝿類に載ってない種類で、他にこんな感じの模様のがいる可能性も考えられますし…。 残念ながら、今回の個体はメスのため、交尾器を見るわけにもいかず…。 もし、有用な情報を持ってる方がいらっしゃったら、教えていただきたいです!!
虫キョロリス様
写真の種は採集した事が無く,博物館の収蔵標本を見かけましたが,まだきちんと調べていません. 日本産Drino 属の種名が確定したものは,Mesnil (1949) に出てきます. (フランス語で少し読みにくい) この中の亜属,Drino, Prosturmia (現在ではPalexorista), Zygobothria が現在のDrino 属の範囲になります. https://biblio.naturalsciences.be/rbins-publications/bulletin-of-the-royal-belgian-institute-of-natural-sciences/bulletin-of-the-royal-belgian-institute-of-natural-sciences-1949-1970/25-1949/irscnb_p4087_01013bp_25_bulletin-42.pdf しかし2016年に埼玉県から不明種が5種報告され,もっと研究が進む必要があるようです. 自分自身の採集個体も,ソーティングをしてストップしています.
大宮様、今回もありがとうございます!
>写真の種は採集した事が無く,博物館の収蔵標本を見かけましたが,まだきちんと調べていません. そうですか...ちなみに、その収蔵標本があった博物館って、どこですか? 少し気になりました。 >日本産Drino 属の種名が確定したものは,Mesnil (1949) に出てきます. この文献のことは全然知りませんでした。 確かに、フランス語で読むのが大変そうですが(汗)、今週末あたり、じっくり読んでみようと思います。 >しかし2016年に埼玉県から不明種が5種報告され,もっと研究が進む必要があるようです. そうですよね、Drinoは難しいですよね。未記載種がわんさかいそうです...
標本を見たのは大阪市立自然史博物館です.
ヤドリバエはごく一部を除いて同定されていません. 最近自分が整理を始めたばかりの状態です. ![]() >標本を見たのは大阪市立自然史博物館です.ヤドリバエはごく一部を除いて同定されていません.最近自分が整理を始めたばかりの状態です. そうでしたか!大阪市立自然史博物館には、まだまだ未同定の標本がたくさんあるという話は、以前聞いたことがあります! 標本の整理、頑張ってください! 僕も、将来、標本を見に行きたいものです。 それと、フランス語の文献、先ほど、読んでみました。今回の種類は、やはり、この検索表に載ってない種類の可能性が高そうですね。 というか、この個体、今見ていたら、はっきりと中脚脛節に、4 本のanterodorsal setaeがありますね... とすると、中国蝿類のD. flavaの説明とは一致しない(?)。 複眼が裸なのでcouplet11からcouplet12に進んでましたが、よく見ると、複眼の説明の後にある脛節剛毛の記述を勝手に勘違いしてしまってました。 これじゃ、couplet12には進めないですね... とすると、D. flavaじゃない(?)可能性がありますね。 うーん、難しいです...
虫キョロリスさま
フランス語との格闘おつかれさまです. 例えば腹部の粉の範囲の記述などは文章と現物を照らし合わせるのが難しいと思います. 剛毛も寝ていると分かりにくいですよね. たくさんの標本を見ると勉強になるので,博物館にいつか来られるといいですね. 少しずつ整理を進めておきますね. |
双翅目では画像が無いようですが,基産地の地図が表示されます.
https://animal.depo.msu.ru/?d=a |
Search the Department of Entomology Collections
例) Eristalis oculariusのType画像 http://n2t.net/ark:/65665/310d438e3-92cd-44a8-ae16-5f0a1d47df21 リンクが完全ではありませんが,その他色々とあります. |
忘備録的に投稿しておきます.
台湾のWeb昆虫図鑑を見つけました. http://gaga.biodiv.tw/new23/cp021.htm 2001年開設とのことですが初めて気が付きました. 同定が怪しい所も多いですが,カラフルなハエ・アブが載っています. |
![]() 2022/09/10 神奈川県の逗子市にて、外見がTachina amurensisに類似しているヤドリバエさんを採集しました。 中国蝿類の下巻のTachinaの検索表を辿ると Tachina amurensisに落ちましたが、中国蝿類の下巻に載っている頭部や交尾器の図と比較すると、触角第3節や側尾叶(surstylus)の形態が明らかに異なるように見えるので、amurensisではない可能性があるのではないかと思っています。 (中国語の検索表を辿ることに慣れていないので、どこかで間違ってるかもしれないですが...。) 本個体が何者かわかる方がいらっしゃいましたら、ご教示よろしくお願いいたします。
ふかさわ様
自分も基本的には中国蝿類を参照しているので,Tachina amurensis はだいたいそのようなものだと思っています. 普通種のようでも個人的には5個体ほどしか採っていなかったです. https://www.researchgate.net/publication/262797333_Identification_and_taxonomy_of_the_West_Palaearctic_species_of_Tachina_Meigen_Diptera_Tachinidae_based_on_male_terminalia_and_molecular_analyses amurensis は出てこないのですが,旧北区西部のTachina のオス交尾器の研究があり,中国蝿類の共通種を比べてみると,surstylus 背面先端の印象が異なるものが多いです. 材料の扱い方や描き方のくせが影響している可能性があると思います. ついでになりますが,嶌先生が1990年にまくなぎ誌に投稿された報告によると,T. jakovlevi は日本にはおそらく産しないとの事です. (2014年の日本昆虫目録には一応「?北海道」と載っています) 腹部第三と第四背板に側心剛毛(lateral discal bristle) をもたないものがあれば,もしかしたら真のjakovlevi かもしれません. 探してみるのも面白いかもしれません.
大宮様
ありがとうございます。 材料の扱い方や描き方の癖などによる違いの可能性がある… 1つの文献だけではなく、他の様々な文献見ることは重要だと改めて感じました。 (そもそも多数の文献に載ってないなど、情報が少ないのは別ですが…) 本スレに載せた個体はamurensisと同定いたします。 ---- >ついでになりますが… ネット上に「ヨコジマオオハリバエ」とされてる個体が沢山居ますが、amurensis含めて、複数の種が含まれている気がしています。 Tachinaは詳しく調べる前は何となくヤドリバエ科の中でも比較的区別しやすく、調べやすい分類群なのだろうと思ってましたが 今回調べてみて、別にそんなことは無く、とても奥の深い分類群だと感じました。 今後も、野外で見かけたら積極的に採集しようかと思います。 |
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