暇を見て兵庫県のハエ目のリストをまとめようとしているのですが、どうも450種強で頭打ちのようです。ガガンボやユスリカの報告がないので、東京都の記録には遠く及びません。
その途中でTKMのリストにない東京の記録がいくつか見つかりましたので情報を簡単に書いておきます。 タマバエ科 Jaschhof (2001). ESAKIA, (41): 37-147. 皇居産がいくつかあります. ユスリカバエ科 Okada (1938). Annotationes Zoologicae Japonenses, 17(3-4): 388-394. クロズユスリカバエ, Kogesawa, Takao, Tokyo セスジユスリカバエ, Kogesawa, Takao, Tokyo アブラコバエ科 南川・福原 (1964). Kontyu, 32(4): 503. カイガラコバエ,府中市. ノミバエ科 笹川 (2002). Jpn. J. Ent. (N. S.), 5(2): 29-34. (日本産双翅目ノート 1) この中に,「Schmitz (1952, 1957)は(中略)東京都内で採集した次の4種も・・・」との記述があり,4種の学名が記録されています.原典は「Die Fliegen der palaearktischen Region」のようです. アブ科 東北農試研究資料にアブ科の標本目録がいろいろあり、東京都産のデータも結構あります。 今ホームページがメンテナンス中のようなので、詳しくはまた後ほど書き込みます。 ケシショウジョウバエ科 Sueyoshi & Mathis (2004). Proc. Entomol. Soc. Wash., 106(1): 74-84. 東京都産2種. トゲハネバエ科 原記載はわかりませんが,センチトゲハネバエの学名がOrbellia tokyoensisなので,東京が模式産地と思われます. ヤドリバエ科 福原・真梶 (1964). Kontyu, 32(4): 489. キイロハリバエ,「東京付近」と書いてあるので微妙ですが.
このところ全国各地で昆虫目録が作成されるようになってきました。
長野県でも遅ればせながら松本むしの会内でそういう動きが出てきて(まだ本決まりではありませんが・・・)、多分作ることになると思います。(関連サイトは松本むしの会のサイト内にページが近々出来ると思います・・・) 長野県は文献記録もさることながら、全国から多くの方々が採集に来ているため標本が散逸しています。 もしよろしければ、皆様のお手元の標本のデータをお知らせいただけるとうれしいのですが・・・(今後3〜4年かけて情報収集することになると思います。) とりあえず、双翅目の記録は私がまとめることになりそうですので、ご協力をお願いいたします。
Argeさん>
兵庫県のシラミバエ科、クモバエ科、コウモリバエ科の記録はご存知ですか? とりあえず、5例ほどあるようですが・・
農学情報資源システムのホームページが復活したので、URLを書いておきます。
ここにアブ科目録が7編ほどあり、全部まとめると東京と長野は結構な数になると思います(永冨先生の標本もあるので持っとあるかと思ったんですが兵庫県は意外と少なかった)。 http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/library/jnr/tnaes-s.htm
> 兵庫県のシラミバエ科、クモバエ科、コウモリバエ科の記録はご存知ですか?
> とりあえず、5例ほどあるようですが・ 情報ありがとうございます。 シラミバエは片岡(2000、はなあぶNo.10)のイワツバメシラミバエ、Mogi et al.(2002)のコウモリバエ1種とクモバエ2種、それにデータは未発表のようですが片岡(1999、はなあぶNo.8)のセルリシラミバエを加えて5種の記録が手元にあります。
Arge様
東京都の双翅目情報ありがとうございます。把握していない情報が多数含まれ大変参考になります。特にアブ科は手薄だったのでありがたいです。 またお気づきの情報がありましたらよろしくお願いいたします。 |
イチモンジセセリとオオリリシジミより出たヤドリバエ科について調べて欲しいとの依頼をされヤドリバエ科について調べようとして、九大の嶌 洪先生のページを見ようとしたら消滅してしまっていました。(退官されたのですから当然といえば当然なのですが・・・)
あのサイト内にはヤドリバエ科の既知の寄生主の一覧みたいなのが見れるページがあったと思うのですが、あのサイトのその後をどなたかご存知ありませんか?
サイトの行方は知りませんが,寄主一覧では以下の文献があります.
Shima, H., 2006. A host-parasite catalog of Tachinidae (Diptera) of Japan. Makunagi/Acta Dipterologica, Supplement 2,171pp. 双翅学会は嶌先生がもっぱら動かしていたのですが,退官後どのようになっているか把握していません.しかし,この文献の入手を希望されるのでしたら,下記宛に問い合わせたら連絡が付くかもしれません, 〒810-8560 福岡市中央区六本松4-2-1 九大大学院比較社会文化研究院生物体系学教室内 双翅学会. なお,あるいはお急ぎでしょうから,同書では: イチモンジセセリは Argyrophylax apta (Walker) Bessa parallela (Meigen) Compsilura conscinnata (Meigen) Exorista japonica (Townsend) Halidaia aurea Egger Nemorilla floralis (Fallen) Sturmia bella (Meigen) Thecocarcelia oculata (Baranov) T. sumatrensis (Townsend) オオルリシジミには Aplomyia confinis (Fallen) が寄生者としてリストアップされています.Fallenのeにはアクサンテーギュがつきます.
アノニモミイアさん>情報どうもありがとうございます。
今度の土曜にその現物の受け渡しをするので、お教えいただいた候補を頭に入れ、調べてみたいと思います。 でもハエ屋以外の方から受け取る標本は♀がなぜか多いんですよね・・今度もそうだったら・・・やっぱしわからないかもしれません・・・ちょっと心配です。
Calyptrataeというのは私には全く苦手で,見る前から逃げ出したい気持ちです.ヤドリバエの研究者は良く横顔なんかで分かるものかと,その才能にはただただ感嘆するのみです.ましてや,雌のCalyptrataeは大変でしょうね.
篠永先生のイエバエ科も一度ならず検索を試みるのですが,なんとかアプローチできるのはCoenosiinaeくらいでしょうか.Limonophoraなんかは渓流で良くとれるので一杯標本をもっているのですが,本土産のはごく少数しか篠永先生の本にはでていません.これも検索が難しい. ハエ男さんや皆さんはまあよくもキンバエやニクバエを同定されますね.尊敬です. |
![]() 夏に埼玉の田んぼの脇で採った小型の種を調べていたら、ヌカカ科である事がわかりました。 全体が白い種で、翅に顕著な模様があります。 図があればわかりそうな・・・わからないような・・・ とりあえず、私には、何者か調べるすべはありません。 ヒントがあれば、是非、ご教示下さい。
ヌカカ科だけど、もっとも研究が進んでるCulicoides属ではなさそうな感じがします・・・って書いてるうちにアノニモミイアさんの書き込みが入りましたね・・・でも、ついでなので文献を紹介しておきます。
一応Culicoides属の検索は家畜衛生試験場報告87号p.73-89と91-108の2編がAgropediaの中でPDF公開されています。 http://rms1.agsearch.agropedia.affrc.go.jp/contents/library/jnr/niah-open.htm
東洋のAlluaudomyia属のレビジョンでしたらビショップ博物館のサイト「Pacific insects」関連の中でPDF公開されています。脚の色彩パターンや翅の紋も結構でてるので参考になると思います。
http://hbs.bishopmuseum.org/pi/pdf/6(4)-599.pdf ちょっとリンクが変なので、上記URLをコピペしてブラウザのアドレス欄に貼り付けてご覧ください。
アノニモミイア様、ハエ男様。
ご教示に感謝申し上げます。 アノニモミイア様のアップされた図は、非常によく似ています。Alluaudomyia属で納得しました。 ハエ男様ご紹介のpdfを見て、わかる範囲で調べてみます。 それらしい答えが見つかりましたら、またご報告します。 ではまた。 |
アブ科の種です。
アブ科の同定には♀の顔を正面から撮影した画像と触角の拡大画像が必要な場合が多いのですが、今回の場合は色彩が特徴的なキンイロアブの♂になるのではないかと思います。
ハエ男様
有難うございました。 早速、キンイロアブ(Hirosia sapporoensis)と、名前をつけて、整理します。 |
昆虫採集の是非の水掛論になってしまうので、あまり書きたくはないのですが、採集家と撮影家の方々の意識の違いというのが出てきてしまう部分なのですね。
例え、写真の後ろ姿が吉永小百合さん(あるいは新垣結衣ちゃん)に似ていたとしても、見るべき部分(人間の場合、普通は顔や体の正面)が見えてなければその人であるかはわかりませんよね。(たとえ雰囲気は似てても、断言は出来ないはずです。) 昆虫は他の動物(特に陸上脊椎動物)と比較して、種類数がとてつもなく多いので、識別(同定)に必要な見るべき部分もそれなりに多くなってきます。 それらの部分を確実に見るためには動いてしまう生態の画像撮影ではどうしても無理が出てきてしまうため、正確な種名を調べたい場合には、やはり、撮影後、採集し、現物を確保して、標本処理を行い、見るべき場所を見るといった作業が必要不可欠なのですね。 専門的な勉強をされていない一般の方々でも、撮影した虫の種名を調べたいという気持ちは理解出来るのですが、バードウォッチング的なノリでの撮影の場合は現実的には種名を調べるということはかなり困難であるということが出来ます。 記事4188の方で北大のショウジョウバエ科の検索が出来るサイトhttp://biokey.museum.hokudai.ac.jp/Classification/Top?lang=jaを紹介しましたが、あの検索もかなり細かな作業ですよね。他の双翅目も見る部分に多少の違いがあっても、多かれ少なかれあのノリで見るべき部分をチェックしていくことになりますので、生態画像・・それも単一方向の画像からの同定はかなり難しい作業であるとご理解ください。 人間の識別の場合は一部例外もあるらしく、山で500m先をあるいていて後ろ姿でも、私はハエ男だと識別できると人に言われました。(なんとなく納得できちゃう私なのです・・・) |
ハエ男様.記事No.と暗証キーを正しく入れて記事の変更を行おうとしても,暗証キーが違うと言う表示が出ます.なぜですか.これは一度ならずです.
私の「イエバエのなかまでしょうか?」の二番目のレスで,顕微鏡ファーブルにはデジカメで撮影する機能が付いた機種があることを付け加えたかったのですが.
いろいろとサーバー側からプログラムの方に入り、ログ等をチェックしたのですが、管理者であっても、投稿者のパスワードはわからないようなので、対応策をアノニモミイアさんに直接メールしておきました。よろしくお願いいたします。
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このような写真で同定するのは,科のレベルでも無理です.私が前にケバエで,あなたの本掲示板上での同定について書きましたし,またハエ男さんも書いているように,双翅類の同定は現物があっても特にハエ型類では決して容易な事ではありません.こう言ったらなんですが,日本の双翅目の職業的研究者あるいはその退職者で,日本産の双翅類の標本に基づいて即座に科の名称が同定できる人は恐らく数人といないのではないかと愚考しています.ましてや,写真になると検索上重要な形質があまり表わされていません.私の場合は本掲示板上での同定の依頼に対応でいるのは,
1.形質が良く表わされていて,かつ鮮明な写真であること. 2.同定の必要性をかなりはっきりお書きいただくこと. をお願いしたいと思います.漫然と撮影した不鮮明で形質が判然としない写真での同定依頼には,快く応じるのは難しいことをご了承ください. しかし,どちらかと言えばあまりポピュラーでない昆虫群の双翅目について多くのかたがたが興味を抱き,いろいろな情報を寄せられることは,双翅類の知見を深める上で大変重要なことと自覚しています.ですから,写真の状態や問いかけの具合でどうしても掲載者の態度を判断して,それに応じての回答と言うことになりがちです. 改めて申し上げますが,今回のような翅が全面的に反射していて,脈相が全く分らない上に,頭部や胸部の刺毛状態も分らない写真に基づく同定依頼の掲載は,回答の対象にはなりがたいといわざるをえません.たとえイエバエ科であったとしても,この写真に対する情報をあなたがどのように用いるかについて,全く判断いたしかねるものです. 掲載する写真はできれば背面と側面,翅脈相がなるべくわかるもの,細部が詳細に撮影されているもの,を期待したいとおもいます.それと撮影年月日,撮影場所は必須で,できれば生態情報も欲しいところです.また,同定結果を掲載者がどのような目的に用いられるかも,付記すべきではないでしょうか. 本来同定と言う作業は1種の労働でして,多くのアセス関係では1種の同定に数千円から時には2−3万円を価格として設定しています.これは諸外国でも同様でして,英国の場合には科まではいくら,属はいくら,種はいくら,と分類階級ごとにかなりの同定料の基準をもうけています.例えば骨董品などの鑑定料をお考え下さい.同定できる知識をうるための投資は文献や経験などかなりのものを行っているわけで,その点から同定は1種の労働である,と記したわけです. 本掲示板上での同定は本来は有償であるものを,あくまでボランティアとして行われていると言うことを配慮いただきたいと思います.
ハエ男さんがハナアブ科やムシヒキアブ科について予備的な知識をえてから投稿されたら,と言う趣旨のことをお書きになっています.
1.先ず第1に撮影したハエなどの個体を確実に採集して,適切な標本作製をされること.これによって,生態写真に加えて,私が前便で述べたように背面と側面の写真撮影が可能になります. 2.顕微鏡などをお持ちでなければ,ハエではニコンのファーブルシリーズの簡便な双眼実態顕微鏡が販売されています.30倍くらいですので,キイロショウジョウバエくらいを限度にあまり微小でない限り,ハエの形質をかなり良く観察できます. 3.双翅目の科までの検索ですと,近刊の北隆館発行の新訂原色昆虫大図鑑第三巻には双翅類の形態と日本産の科の検索表が掲載されています.この部分だけでも図書館などでコピーして参照されると,科を同定する練習にはなると思います.この他,いくつかの双翅目の科の検索表については,同書でも紹介されています. 前便では私の考えを述べましたが,もちろん私より快く同定をしていただける専門家の方々もおられるかと思いますので,これからもレスが受けやすいような投稿をされたらと思います. |
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