ゲニタリアの形状は去年のと比べて、また少し違った印象です。
図だけ見るなら中国蝿類の1114ページの図247の2493あたりはcerciの輪郭は似ていると思いました。
Dichaetomyia declivityata ですが、しかし検索表でストップしたところ以外にも、特性を見ると、
パルプの基半分が褐色とか、小盾板の剛毛の下に黒毛があるとか、胸部は淡褐色とか書いてあり、
これはほとんどが違います。
メスはオレンジのが1匹、色が混ざったようなのが2匹採れました。
オレンジの個体は、オスと同じで、側板とパルプの全体がオレンジなので該当種がありません。
混色の個体の腹部は暗い所が多いので、検索表の6の所で何色とも言いづらいです。
産卵器は引き出した直後に、乾燥する前に撮影するようにしています。
しかしその時からきれいなまっすぐにはならず、ピントが合いづらいので、今回は何枚か合成してみました。
側板がオレンジの個体は腹板が台形をへこませたような感じで、背板は左右に離れています。
混色の個体は腹板が三角形に近く、背板は真ん中でほとんど接しています。
産卵器を見るとこれらはどうも別種のようです。
もっといろいろな個体を集めてみたいと思うようになりました。
Fauna Japonica や中国蝿類で図が出ている限りで見ると、Dichaetomyia の産卵器はだいたいこういうタイプのようです。
側板が明るい色のメスが、採集してきた容器の中で産卵しました。
卵を7つ産みましたが、湿らせたティッシュの上に置いておいたら、ほとんどカビが生えてしまいました。
孵ったのは1匹だけで、長さは2[mm]です。
しかし飼育方が分からないまま残念ながら死んでしまいました。
つい最近中国動物誌の蝿科を買いました。
四十九巻の(一)のほうには幼虫食性という項目があって、146ページには、
”糞食或いは腐敗物食が可能で、口器は専ら肉食に見え、稲のメイガの幼虫を捕食する種類があるとの報道がある”
というようなことが書いてあるみたいです。間違っていたらごめんなさい。
ここでお尋ねしたいのは、幼虫の処理の方法です。
今回はよく調べたわけではなく、なんとなくでしたのですが、
常温で乳酸につけて(ちなみに成虫のゲニタリアの処理も、加熱はしたことはありません)、
水にひたして洗って、グリセリンに浸して、咽頭骨片と気門を保存してあります。
もっと良い方法があるでしょうか。
乳酸は中和する必要があるでしょうか。
とかさずに全体を保存するならアルコールでしょうか。
ご教示いただけたら嬉しく思います。
よろしくお願いします。
大宮さま.
次号の"はなあぶ"に,京都の大石氏がイエバエ科の検索についての長文を投稿していますが,彼が手持ちの標本や大阪自然史博物館のイエバエ科を調べただけでも,まだまだイエバエは解明度が低いと言っておられます.
幼虫の処理については,普通は熱湯で固定した後アルコールで保管しています.
咽頭骨片があるグループは,幼虫を複数採取し液浸とプレパラート用に分けるようです.
乳酸については水ですすぐだけで,中和の必要はないと思います.
茨城@市毛様
中和の必要はないとのことで、安心しました。ありがとうございます。
プレパラートは繰り返し観察するのによさそうですが、封入材の用意と、針刺しの標本と一緒に保管するのは難しそうで、
材料も標本も管理をきちんとする必要があると思いました。
リンクを貼って下さったPDFはまだ少ししか見ていませんが、22ページに、アルコールが蒸発するので少しのグリセリンを混ぜるようなことが書いてあります。
これから勉強していきたいと思います。
”はなあぶ”の次号の内容まで紹介して下さりありがとうございます。
今度ミニ講演で話してくださるようですね。
今度の総会は初めて出席させていただこうと思い、仕事を休んで夜行バスを予約しました。よろしくお願いします。
大宮様.
アルコール管瓶は意外と保管が大変なようです.
万が一,アルコールが無くなった時のためにグリセリンを混ぜておくのは昔からのやり方です.
保管用のスクリューバイアルも色々種類があります.
茨城@市毛様
「六本脚」では「PPセントバイアル」というのを扱っているようです。
ポリプロピレンはアルコールに対して耐性があるみたいで使えるようですね。
いろいろ勉強になります。ありがとうございます。