56345728
一寸のハエにも五分の大和魂・改
[トップに戻る] [通常表示] [アルバム] [留意事項] [ワード検索] [過去ログ] [旧過去ログ] [管理用]
1: 興味深い有弁類 (4) / 2: ニセジョウザンケイ? (1) / 3: アシマダラブユ亜属? (2) / 4: 4枚翅のハエ? (4) / 5: ヤドリバエの仲間だと思うのですが (2) / 6: ガガンボ類の幼虫でしょうか? (6) / 7: トゲヒメヒラタアブでしょうか? (2) / 8: 京都府で得られたショウジョウバエ (5) / 9: 房総半島海浜のツルギアブ科(不明種?) (3) / 10: 富士山のアブ (2) / 11: クシツノアブ科について (2) / 12: Eupachygaster tarsalisメス? (1) / 13: ネグロクサアブ?の抜け殻 (7) / 14: ミズアブ科?不明種について (5) / 15: ハナアブ科不明種 (3) / 16: Choerades amurensisでしょうか? (6) / 17: Tabanus属? (2) / 18: 無題 (2) / 19: 無題 (3) / 20: ヤドリバエの不明種につきまして (2) /


[ 指定コメント (No.4309) の関連スレッドを表示しています。 ]

メスグロヒラタキノコバエでしょ... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/19(Tue) 17:42:39 No.4303  引用 
7月中旬に,茨城県水戸市近郊(標高50m)で採集した体長12mm程のツノキノコバエ科です.

旧北区の双翅目マニュアルのSciaroideaの検索を引くと,翅脈やLaterotergiteに長毛を備える等の特徴からKeroplatus属と思われます.

日本産昆虫総目録によると,Keroplatus属はK. nipponicusとK. testaceusの2種が記録されており,その後岡田が記載したK. testaceus f.biformisがMatile(1986)により独立種とされて,K. biformisとなっているようです.

Keroplatus biformisと思われますが,如何でしょうか?

なお,標本の交尾器を極東の昆虫の検索に載っている図と比較すると,Gonocoxite腹面の基部中央にある細い切込みを欠くので,K. biformisよりK. lobatusの交尾器に似ているように感じます.

よろしくお願い致します.


Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/19(Tue) 17:43:45 No.4304  引用 
同,交尾器です.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/19(Tue) 17:52:54 No.4305  引用 
極東の昆虫の検索に示された交尾器です.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/20(Wed) 08:20:29 No.4306  引用 
写真の標本はKeroplatus biformis (Okada, 1938)です.

Matile(1990)は本種のタイプシリーズを研究した上で,本種の雄交尾器を図示しています.その図を添付しました.これで明らかのように,市毛さんの標本もZeitzevがK. lobatusとしたのもK. biformisです.

Zeitzev(1999)がMatileより9年後になぜ本種をK. lobatusとして記載したのかの詳細は今手元の文献ではわかりません.彼のbiformisは全く別の種です.

彼のFungus Gnats of the Fauna of Russia and Adjacent Regions. Part 1(Gribnye Komary Fauny Rossii I Sopredelnykh Regionov)に何らかの情報があるのでしょうが,これを私はもたないのでなんともいえません.

私の手元の標本も全てMatileの交尾器の図の通りです.


Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/20(Wed) 08:56:00 No.4307  引用 
アノニモミイア様,ありがとうございます.

やはり,K. biformisで良いのですね.

極東の昆虫の検索のKeroplatidaeは,Zeitzev(1994)から極東に分布しない種類を除外してあるだけのようです.

どうも,ロシアの研究者はタイプを借りて調べるという作業を避けている気がします.

一時期,キノコバエが沢山採れるので標本を集めたのですが,断片的な文献を見ただけでは同定出来ず困りました.
丁度,北大の院生がキノコバエを研究していたので,そのうち知人を介して,北大の院生に見てもらおうと思っていたのですが,彼も別分野に転向してしまったので,仕舞い込んでいました.

ありがとうございました.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2008/02/20(Wed) 13:12:20 No.4308  引用 
北大若手のキノコバエ研究者がネマトーダ研究の職務についてしまい,残念至極です.キノコバエ科(広義)は,ツノキノコバエ科,MycomyaとMycetophilaやExechiniなど日本列島だけでも膨大な種が生息しており,これらの研究がこれからの課題です.それにしても,日本で双翅目の分類学の研究で給料を受けている研究者がここ10年ほどで急速に減少して,事態は極めて深刻です.明るい点は中村剛之(ガガンボ科),須島充昭(クロキノコバエ科),山本ジュニア(ユスリカ科),桝永一宏(アシナガバエ科),林利彦(フンコバエ科),岩佐光啓(ツヤホソバエ科など),末吉昌宏(ミバエ科など),舘 卓司(ヤドリバエ科)等の研究者が健闘されていることですが,しかし,これらの人々もまだ就職の見通しが付かない者もおりまして,依然厳しい現実です.

Re: メスグロヒラタキノコバエで... 投稿者:茨城@市毛 投稿日:2008/02/20(Wed) 20:05:19 No.4309  引用 
確かに,アノニモミイア様が書かれているように,双翅目の専門家が急激に減っていますね.

何とか,盛り返してもらいたいものです.

処理 記事No 暗証キー

- Joyful Note -
- Antispam Version -