同,交尾器です.
極東の昆虫の検索に示された交尾器です.
写真の標本はKeroplatus biformis (Okada, 1938)です.
Matile(1990)は本種のタイプシリーズを研究した上で,本種の雄交尾器を図示しています.その図を添付しました.これで明らかのように,市毛さんの標本もZeitzevがK. lobatusとしたのもK. biformisです.
Zeitzev(1999)がMatileより9年後になぜ本種をK. lobatusとして記載したのかの詳細は今手元の文献ではわかりません.彼のbiformisは全く別の種です.
彼のFungus Gnats of the Fauna of Russia and Adjacent Regions. Part 1(Gribnye Komary Fauny Rossii I Sopredelnykh Regionov)に何らかの情報があるのでしょうが,これを私はもたないのでなんともいえません.
私の手元の標本も全てMatileの交尾器の図の通りです.
アノニモミイア様,ありがとうございます.
やはり,K. biformisで良いのですね.
極東の昆虫の検索のKeroplatidaeは,Zeitzev(1994)から極東に分布しない種類を除外してあるだけのようです.
どうも,ロシアの研究者はタイプを借りて調べるという作業を避けている気がします.
一時期,キノコバエが沢山採れるので標本を集めたのですが,断片的な文献を見ただけでは同定出来ず困りました.
丁度,北大の院生がキノコバエを研究していたので,そのうち知人を介して,北大の院生に見てもらおうと思っていたのですが,彼も別分野に転向してしまったので,仕舞い込んでいました.
ありがとうございました.
北大若手のキノコバエ研究者がネマトーダ研究の職務についてしまい,残念至極です.キノコバエ科(広義)は,ツノキノコバエ科,MycomyaとMycetophilaやExechiniなど日本列島だけでも膨大な種が生息しており,これらの研究がこれからの課題です.それにしても,日本で双翅目の分類学の研究で給料を受けている研究者がここ10年ほどで急速に減少して,事態は極めて深刻です.明るい点は中村剛之(ガガンボ科),須島充昭(クロキノコバエ科),山本ジュニア(ユスリカ科),桝永一宏(アシナガバエ科),林利彦(フンコバエ科),岩佐光啓(ツヤホソバエ科など),末吉昌宏(ミバエ科など),舘 卓司(ヤドリバエ科)等の研究者が健闘されていることですが,しかし,これらの人々もまだ就職の見通しが付かない者もおりまして,依然厳しい現実です.
確かに,アノニモミイア様が書かれているように,双翅目の専門家が急激に減っていますね.
何とか,盛り返してもらいたいものです.