一部訂正!
・Sphegina(Sphegina) mikado ミカドハナダカチビハナアブ 3♂.
=> Sphegina(Sph.) sp.6 モモコブハナダカチビハナアブ 3♂.
sp.6は北方系と思っていましたが,あっさり九州で採れましたね.検索表を作り直さなければ(^_^;)
遅ればせながら、私が持ち帰ったSpheginaの同定が終わりましたので報告します。
・Sphegina (Asiosphegina) sp.8 モモミイロ6♂
・Sphegina (Asiosphegina) sp.5? ツマグロ? 1♀
・Sphegina (s. str.) montana クロケ1♂
・Sphegina (s. str.) sp.1 ? ハラブト? 1♂
ツマグロ?はやや未熟な♀なのですが、額前半が裸体で光沢があることなど♂と共通の特徴があるのでツマグロと判断しました。
ハラブト?とは、交尾器や第4腹板の形状はハラブトなのですが、後腿節下面に小さな瘤があります(モモコブほど顕著ではない)ので疑問符をつけました。もしや市毛さんのもこれでは?
九州の標本は関東以北のものと色彩が合わず、困ったことに和名が適切でないようです。Asiosphegina sp.8のモモは2色です。また、montanaの額と背の毛は黄褐色です。一考が必要ですね。
pakenya様.
御指摘通り,S.(S.) sp.6としたのはsp.6に似た別種でした.(写真のように交尾器が全く違いました)
伯母子岳産のS.(S.) sp.1と同種かもしれませんが,標本を比較して見るまでは仮にS.(S.) sp.7としておきます.
旧北区のS. claviventris species-groupは,従来4種でしたがこれで6種に増えました.
手持ちの標本を調べたところ,山梨県牧丘町(国師ヶ岳山麓)の標本に混じっていました.
なんと,山梨県牧丘町ではS. mikadoとS.(S.) sp.6とS.(S.) sp.7と日本に分布するSph. claviventris group 3種全てが混じっていました.
先日,栃木県の塩原でカエデの花からS. mikadoとS.(S.) sp.7を数頭ずつ得られました.
S.(S.) sp.6は,記載のため北海道産の1♂と山梨産の1♂を除いて全てDr. Mutinに送ってしまっているので,もう少し標本がほしいところです.(Dr. Thompsonの横槍で記載が止まっているます *`へ´*)
描画用に交尾器を解剖するのに,thecaとaedeagusとの結合の仕方が良くわからないので,S. mikadoで練習してみようと思います.
S.(S.) montana クロケは,surstylusでの区別は個体変異があるかもしれません.aedeagusの先端形状で確認すべきです.
幸い,両者はtekaから出ている部分の形状が全く異なるので区別は容易です.
Sphegina (Asiosphegina) sp.5? ツマグロ? については,pakenyaさんの勇み足です.同様の特徴はS.(A.) sp.8の♀でも見られます.
先日も,地元の山でウツギに来るSpheginaを即席の飼育箱に入れて交尾観察をし,やっと2組のペアを得ました.これで,S.(A.) sp.8は4組のペアが得られました.
S.(A.) sp.8の和名については,国内で最初に報告しているのは木村輝夫さんですので,キムラハナダカチビハナアブで良いと思います.
S.(A.) sp.5は今のところ,標高1300〜1500m付近の高地からしか採れていません.
P.S. 昨日,追加標本を得るために再び塩原に行ってきましたが,狙いのS.(S.) sp.7は採れませんでした.
しかし,新手のSphgeina亜属の未知種を採ってしまいました.
極東の昆虫の検索では,S.(S.) tenuifemorataに行くのですが,aedeagusはS.(S.) veraeにドンピシャです.
個体変異?で前付節の先2節が黒化しているので,検索が上手くいかないようです.
残念ながら,S.(S.) veraeの原記載文が載っているThe fauna and ecology of insects in the south of the Far Eastという雑誌が,国内は元より大英図書館にも収蔵されていないのでDr. Mutinにコピーを送ってもらうしかないようです.
S.(S.) veraeと思われる個体の♂交尾器です.
展足した時は,aedeagus先端が良く見えていたのですが,乾燥と共にteka内に入ってしまいました.
surstylusを見ただけで「また未記録種が出た」と思い,喜び半分,困惑半分でした.