2枚目です。
2枚目と同じ個体のポーズ違いです
KT様.
1枚目は,KT様のご指摘通り,シナヒラタヤドリバエ(シナヒラタハナバエ)で良いと思います.
2-3枚目は,翅脈等の細かな情報が見えないため,フンバエ科の1種とまでしか判別出来ません.
市毛様、いつもありがとうございます。
1.やはりシナヒラタヤドリバエですよね、ほっとしました。
2.科が分かっただけでもありがたいです。
ところで、最近、ハエに興味がどんどん湧いてきておりまして、良い入門書などありますでしょうか?例えば、標本の作り方とか(良く標本画像で、虫ピンを逆さまにして虫体をさしているように見えるのがありますが・・・)。すこしずつ勉強したいと思っております。よろしくお願いいたします。
KT様.
簡単そうで,最も難しい質問がきましたね(^_^;)
入門書については,日本では古くから図鑑文化という障害があり,簡単なものはほとんど無いのが現状です.
昔からの図鑑に載っている絵と現物を見比べて同定するという,変わったアマチュア昆虫学を育ててしまったため,双翅目のように剛毛配列や翅脈・交尾器を精査しないと区別が困難なグループは避けられているようです.
一応,標本作成方法として北隆館のグリーンブックスから「昆虫の採集と標本の作り方」という本が出ています.専門的には九州大学出版より「新版 昆虫採集学」,川島書店より「昆虫分類学」という本が出ています.
現時点では,北隆館の新訂原色昆蟲大図鑑 第III巻のハエ目(双翅目)の解説が最も優れていると思います.
国外では,P. ChandlerらによるA Dipterist's Handbook 2nd editionという優れた入門解説書が出版されています.敷居が高そうに見えますが,The Amateur Entomologists' Societyというアマチュアの団体の出版物です.双翅目の高次分類リストに始まり,各科の同定用参考文献リスト,採集方法,標本作成方法,幼虫及び成虫の生息環境,昆虫化石等,525頁にわたってぎっしりと解説されています.さらに,各解説に参考文献が書かれており,興味のある人が読むべき文献までフォローしている親切さです.
日本の書籍が頼りにならないのは,出版社側が双翅目の多様性について無知なため,各目毎に記述するスペースを一定に割り当てるのが原因と思われます.今年,初めて月刊の昆虫雑誌から執筆依頼を受けましたが,参考文献は10件までとの制限にかなり泣かされました.
先にあげた新訂大図鑑は,某先生が出版元とかなり交渉した結果なので,双翅目の概論は他のグループとは力の入り方が異なっています.ぜひ,御一読下さい.
具体的な標本作成方法ですが,甲虫目や鱗翅目では下等な科から高等な科まで体の造りがそれほど変わりませんので,教科書的な作り方でカバーされます.
双翅目の場合は,下等なグループは「カ」と呼ばれる体形をしており,それが進化して「アブ」と呼ばれる体形となり,最も進化したグループが「ハエ」と呼ばれる体形となっています.これらの3グループをひとまとめに双翅目と呼んでいますので,それらのグループ毎に標本の作り方が違ってきます.
また,大きさもスズメバチ大からショウジョウバエより小さいグループまでかなり差があるので,直接体にピンを刺す場合と,微針と呼ばれるより細いピンを使う場合や,三角台紙に体の側面の一部を張り付ける場合と様々です.(かなり簡素化した乱暴な説明です.諸先生方お許しください(^_^;)
この他に,♂交尾器や♀産卵管を引き出しておく必要のあるグループもあります.
まずは,標本にする双翅目がどのグループに含まれそうか判断し,種類を判別する重要な場所が見易い標本を作る事が求められます.図鑑に載せられている写真は,図鑑用に特別に展翅・展足した標本である場合が多いです.(某研究所には,図鑑用標本という双翅目の標本箱が残っています)
私も,指導を受けたことがないアマチュアですので,未だ試行錯誤している状態です.
過去にも,何度か色々な討論がありましたので,膨大な量になりますが,この掲示板の過去ログを読んでみることをお勧めします.
なお,この掲示板が敷居が高いと敬遠される方が居られてますが,○○の仲間的な回答で良ければ気軽に御質問下さい.(実際に,標本を見ても科のレベルで判断に迷う場合もあるので,写真だと余計正確な回答が困難なのです)
市毛様
ご丁寧なご回答ありがとうございました。
北隆館の新訂原色昆蟲大図鑑 第III巻は所持しておりますので、早速読んでみます。いままで興味があるのですが、談話会に入会するのも、それこそ敷居が高いと感じておりました。
まずは身近な物を採集して、少しずつ学んでいこうと思います。文献等も必要な時に必要な物を少しづつ揃えたいと思います。またご指導お願いいたします。
KT様.
学会と異なり,談話会という形式にしてあり,98%アマチュアの集まりです.会費も年3000円と低額におさえていますので,気軽に入会できます.
現在200人強の会員がいますが,比較的ハイレベルなアマチュアは1割程度です.
今年は,11月末に神奈川県博で関東同定会が開かれます.
来年は,4月に九州大学で総会を開く予定です.
市毛様、ありがとうございます。
思い切って談話会に入会しようと思います。
今後ともよろしくお願いいたします。