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一寸のハエにも五分の大和魂・改
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お教えください 投稿者: 投稿日:2010/11/01(Mon) 18:56:05 No.6537  引用 
ハエの素人でよくわかりません。
これはなんの仲間でしょうか。ヤチバエの仲間のようにもみえます。

撮影場所は福岡県糸島市瑞梅寺
撮影年月日は2010年10月31日

山中に無人の鍾乳洞があり、入り口から30mほど入った壁面にいました。洞窟は折れ曲がっており、入り口からの明かりは届きません。洞窟の天井にはキクガシラコウモリが2頭下がっていました。このハエはひょっとするとコウモリの糞の臭いに誘引されたのかもしれません。


Re: お教えください 投稿者: 投稿日:2010/11/01(Mon) 18:57:23 No.6538  引用 
違う角度からです。

Re: お教えください 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/11/02(Tue) 00:06:16 No.6540  引用 
まだ見たことのないハエです。形相はなにやら寒々とした暗い環境で生活しているような感じですね。洞窟内はぴったりです。一見するとベッコウバエ科の印象がありますが、トゲハネバエっぽいところもあります。標本を見ないと私には科の検討がつきません。

Re: お教えください 投稿者: 投稿日:2010/11/02(Tue) 00:57:59 No.6541  引用 
アノニモミイアさんこんばんは。ありがとうございます。

うわ、標本を採取してくればよかったですね。
一瞬、洞穴性かなという思いは頭をよぎりましたが、それだと多少は複眼が退化しているかもと思い直し、外部から迷い込んだのではないかと勝手に想像してしまいました。
でも穴居性かもしれませんね。
鍾乳洞はまだずっと奥に続いていますが、このハエがいたところまでは懐中電灯があれば楽に行けます。もう一ヶ所入り口があってそちらの入り口から少し入ったところではホラズミウマやオオゲジなどを見たことがあります。中で穴は続いているようなのですが、一人で奥まではいって行くにはちょっと心細いです。このハエには今後また気をつけておきます。

Re: お教えください 投稿者: 投稿日:2010/11/02(Tue) 01:32:23 No.6542  引用 
書き忘れました。
発見したときは壁面にじっと止まっていましたが、ソトロボを発光させると這って動き始めました。ストロボを間近で発光させると光と同時に多少なりの瞬間的な圧を感じます。
この光と圧力の両方あるいは片方を受けて歩き始めたと思いますが、数回のストロボ発光にもかかわらず歩き回るだけで飛び立ちはしませんでした。ひょっとしたら洞内の気温が低かったから飛べなかったのかも知れません。

念のため頭部胸部の拡大を載せておきましょう。
カメラが高感度設定になっていましたので、ノイズが目立ちます。


Re: お教えください 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/11/05(Fri) 18:46:39 No.6547  引用 
Pierisさんがわざわざ再度その鍾乳洞にはいって、問題のハエを採集して提供していただきました。写真の黒っぽいのと、より小型で橙色味の強いのがいまして、いずれもトゲハネバエ科でした。属などさらに調べて、ここに投稿します。

トゲハネバエ科はこれから屋内のトイレの窓などを歩いているセンチトゲハネバエのように糞などに発生する種があるようなので、これらの種もコウモリのグアノなどから発生していると思われます。

Pierisさんありがとうございました。さらに調査してみます。

Re: お教えください 投稿者:まあ 投稿日:2010/11/05(Fri) 23:00:12 No.6548  引用 
はじめまして。よく似たハエが出ていましたので、便乗させて下さい。これは今年1月上旬に撮ったものです。木の幹にとまっていました。頭部の割りに体が長くてちょっと変わってるなあと思ってましたが、これもトゲハネバエ科ではないでしょうか?”より小型で橙色味の強いの”に似てませんでしょうか?場所は福島県の阿武隈山地標高600mです。

Re: お教えください 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/11/06(Sat) 00:21:13 No.6549  引用 
まあさん。はじめまして。あなたの撮影されたハエもトゲハネバエ科の可能性が高いとおもいます。しかし、双翅類、とくに無弁翅類と呼ばれるいわゆるコバエの仲間は、顕著な特徴をもった科以外は標本で翅脈相や脚、頭部の刺毛の状態などを精査しないと科の同定さえ困難なものです。

トゲハネバエ科の特徴は翅の前縁に通常の細い刺毛のほかに強いとげ状のものが列生しているのが、顕著な特徴です。他の少数の科にも同様な特徴をもつものがありますが、この特徴をもつハエの多くはトゲハネバエ科です。

双翅類の同定にはこのように標本があると的確な同定ができますので、撮影された折に極力その被写体を標本として採集されることをお勧めします。採集道具がなければ、手の平で軽くつぶしても、科同定の特徴の多くは残るものです。それらを適当な紙で三角包紙を折って、その中に乾燥保存して、同定してくれる人のところに送れば、同定が可能になります。

Re: お教えください 投稿者:まあ 投稿日:2010/11/06(Sat) 09:16:17 No.6550  引用 
アノニモミイアさん、コメントありがとうございます。
肝心の翅の棘の部分が見えてなくて残念ですが、トゲハネバエ科の可能性が高いということですね。私はただの虫好き人間で、虫の事はいろいろ知りたいのですが、情が移っているので自然観察までにしときます。。
まだ不明なハエアブがたくさんいるのですが、写真でわかる範囲で構いませんので、これからもよろしくお願いします。

Re: お教えください 投稿者:アノニモミイア 投稿日:2010/12/28(Tue) 10:25:25 No.6685  引用 
Pierisさん。トゲハネバエの属がわかりました。

写真にある大型の種は、Heleomyza属の1種です。九大カタログによりますと、本属はH. eoa (Godorkov, 1962)が記録されていますが、この種かどうかの判定はまだです。いずれにしてもこれまで私は採集したことがありません。生息場所が限定されているのかと思います。

もう一種、体が橙色味の強い小型の個体がありました。これは同じくトゲハネバエ科のAcantholeria属の1種です。これは同カタログには出ていません。

その後の記録をチェックしていないので、現状では以下の通りの結果です。洞窟の中でこれらの種がどのように生活しているか興味あるところです。なお、同時に採集されたノミバエの1種も面白いもののようでして、これはノミバエの専門家の中山博士にお渡ししてありますので、もし、同博士がこのスレッドをご覧になられたら、属名だけでもお知らせいただければと思います。

Re: お教えください 投稿者:pieris 投稿日:2010/12/28(Tue) 11:50:27 No.6686 ホームページ  引用 
お忙しい中、大変ありがとうございます。
いずれも、興味深い種ということですので、お届けしてよかったなと喜んでいます。
洞窟という特殊な環境が生息に関係しているのでしょうね。面白いです。

Re: お教えください 投稿者:Hypocera 投稿日:2011/01/18(Tue) 17:06:04 No.6710  引用 
Pierisさんが鍾乳洞で採集されたノミバエの方です(写真)。これはTriphleba属の種で(メスです)、やはりコウモリのグアノから発生しているのだと思われます。本属の種は九州平地では冬を中心に晩秋から早春に発生します。種によって発生する時期の早晩はあるようです。写真ではわかり難いかもしれませんが、細長く、華奢な感じがします。本属は日本からはただ一種が知られるのみですが(九大目録には2種ありますが、その内Triphleba nipponicaは実はAnevrina属の種ではないかと考えられています)、実際には相当な種類がいるのではないかと思われます。なお、冬に出るノミバエはMegaselia属にも多く、またいつだったかのスレッドにもありました様にSpiniphora属にも見られます。

Re: お教えください 投稿者:pieris 投稿日:2011/01/19(Wed) 01:36:06 No.6711  引用 
Hypoceraさま、お教えいただき大変ありがとうございます。
トゲハネバエ科も変わっているようですし、こういった洞窟は外界とは違ってやはり少し異質の環境なのでしょうね。秋に入ってよかったです。夏にはこれは見られなかったかもしれませんね。
幸い自宅からは車で1時間ほどで行ける場所ですので、今年も何回か通ってみようかなと思っています。
奥まで入ると面白いのでしょうが難所がありCAVINGをなさっている方でないと素人は危ないです。危なくない場所にもグアノは少しは見ることができますし、そのような場所に結構ハエ目が見られました。

眼力の持ち合わせがなく心もとないのですが、添付の画像は洞窟内で写したもので、たぶん同じ種の生きていた時の画像じゃないかと思います。


Re: お教えください 投稿者:pieris 投稿日:2011/01/19(Wed) 01:39:15 No.6712  引用 
別の角度です。
んーん、同じ種かはちょっと自信がないです。


Re: お教えください 投稿者:Hypocera 投稿日:2011/01/19(Wed) 12:31:14 No.6713  引用 
 Pieris様、6711と6712はMegaselia属の種です(メスです)。夏場に出る種類はもっとでっぷりしていますが、冬(晩秋から早春)に発生する種類は何故か写真の様に細身で華奢になります。従って、一見Triphlebaに似て見えてしまいます。私も冬にTriphlebaだと思って採ったノミバエが顕微鏡で見てみたらMegaseliaだったということがよくあります。Megaseliaには後脚脛節背面に6710 のTriphlebaに見られるような(後脚脛節の幅より長い)独立剛毛がありません(他にもいくつか区別点はありますが)。
 ノミバエに限っていうならば、これらの種は洞窟にのみ生息しているのではないと推測します。幼虫の餌になる動物質の腐敗物があるところなら良いのではないかと(そんな所はあまりありませんが)。例えば福岡市内で最もノミバエが豊富に見られるのは中央区南公園です。ここはカラスのネグラで、土壌表層はカラスのフンに覆われており、またカラスの死体も散見できます。そこでフン混じりの土壌やカラスの腐敗死体からノミバエが発生していると思われます。冬場にはTriphlebaやMegaseliaが複数種みられます。ただ、写真を撮るポイント、ないし生きた虫の観察となると、南公園は茫漠として焦点が絞れないので洞窟の方が良いのかもしれません。また、この洞窟は南公園より高い標高の山中にあるので、平地の南公園とは違った種も期待できるかと。

Re: お教えください 投稿者:pieris 投稿日:2011/01/19(Wed) 21:07:28 No.6714  引用 
そうですか、ノミバエの属ちがいでしたか。
採集道具は空き瓶だけという状態でしたので、採集しようと思ってふたを開けてたら、いったん捕獲したものがまた逃げたり、壁面と空き瓶とで挟んでつぶさないようにと採集時に気を使うと逃げられたりでした。いったん飛ばれると見失ってしまいます。

南公園は飢人地蔵の周辺がカラスの塒になっていて、多量の糞と落鳥の死骸が見られますね。なるほど、そういう環境などにノミバエが見られるのですか。それも冬場に見られるとは。
隣接する動物園では獣糞などはすぐに処理してしまうのかもしれませんね。
ハエは全くの素人でしてお恥ずかしいのですが、アノニモミイアさんの研究室にときどき油を売りに伺っています。

大変興味深いお話をありがとうございます。

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