皆様こんばんは。またお世話になります。
週末に山形県飯豊町の里山(標高〜600m地点)で撮りました。 新鮮な獣糞(おそらくニホンザルの物)に集っているハエが交尾を始めたので、物好きにも動画に撮ってみました。 http://www.youtube.com/watch?v=ZyQXKJ7Aqys
写真のハエはフンバエ科Scathophagidaeのヒメフンバエ属Scathophagaの1種です。本属には日本にも数種が生息していて、私には写真だけでは同定できません。ヒメフンバエScathophaga stercoraria (Linnaeus)の可能性が高いでしょうが、雄は大型の個体ではいま少し黄色の長軟毛が体や脚に密生しています。
なお、確か本属では後に交尾した雄が、雌の体内にある前に交尾した雄の精子を抜き出す行動を行なう、と言われています。 幼虫は糞の中で生活し、成虫は糞の上や周囲で他の軟弱な昆虫を捕らえて摂食します。
三枝さま
コメントありがとうございました。 あれから私も自分なりに少し調べてみました。 ヒメフンバエにしては♂があまり黄色くないのが気になっていました。 それから素人目には羽に紋が無いように思うのですが、キアシフンバエ(Scathophaga mellipes)の可能性はどうでしょうか? http://www.hegurinosato.sakura.ne.jp/2bangura/vi_abu_hae/himefunbae.htm せっかく交尾ペアを採集したのですけど、あり合わせのフィルムケースに入れて持ち帰ったらお恥ずかしいことに容器が汚れていて体中がゴミ(蛾の鱗粉など)にまみれてしまいました。がっかりしてあまりよく観察もせずに死骸はすぐに捨ててしまいました。 >確か本属では後に交尾した雄が、雌の体内にある前に交尾した雄の精子を抜き出す行動を行なう、と言われています。 とても興味深い行動ですね。機会があれば映像に撮ってみたいと思います。
♂個体も採集しているようなので、♂ゲニをごらんになってはいかがでしょうか。フンバエ類は結構はっきりした違いが出ていると思います。
過去ログにヒメフンバエとキバネフンバエの♂ゲニの画像が出ていますので、ご覧ください。 ページ上部にあるワード検索で、「ヒメフンバエ ゲニ」と検索すると出てくると思います。
Scathophagaについては、福原・倉橋が「昆虫Kontyu」34巻(1966)に4回に分けて「日本産フンバエ科に関する知見」をだしています。この中で、S. scybalariaキバネフンバエ, S. suillaニセキバネフンバエ, S. squalidaクモマヒメフンバエ (3種ともに属をScopeumaとしているので原文では種名の語尾は中性名詞型になっている)を記録しています。私も数種以上の標本を持っていますが、一部は同定できていません。上記論文では、触角がキバネは橙褐色、ヒメフンバエは全体黒色、キアシフンバエは第3節のみ黒色、なので区別できると書いてあります。(昆虫の論文は、日本昆虫学会のホームページで、学会誌(昆虫の目次)、無料一般公開で必要な巻に進むとPDFがとれます)。
なお、ネットでScathophaga stercoraria と入れれば、F. Sifner(2008)の A catalogue of the Scathophagidae (Diptera) of the Palaeractic region, with notes on their taxonomy and faunistics. Acta Entomologca Musei Nationalis Pragae, 48(1):111-196 のPDFを見ることができます。 日本のフンバエ科も諏訪先生や広永さんたちが早く全貌を明らかにしてもらいたいところです。
福原・倉橋の前記論文に出ている触角の色彩によるScathophaga3種について、左がヒメフンバエ、中がキアシフンバエ、右がキバネフンバエに相当するのかと、思います(少なくとも、ヒメ、キバネはハエ男さんが示した交尾器と一致しています)。これらの標本の翅の色彩、斑紋もほぼそれらの種に該当します。
ハエ男さま、三枝豊平さま
お忙しいところ懇切丁寧なレスありがとうございます。 ご紹介のPDFは一応ダウンロードしてみたものの、専門的過ぎてとても私には読みこなせないようです。 今回せっかく採集したペアは持ち帰るまでに容器内で体中がゴミだらけになってしまったので、少し写真を撮っただけで捨ててしまいました。 しかし今後はどこに注目すべきか分かっただけでも収穫です。 少しでも自力で観察検討してみることにします。 念のために生前の映像から♀の触角のアップを切り出してみました。どんなもんでしょうか。 今の私に分かるのは「キバネは否定できそう」ぐらいですね。 ワンランク・アップするために「虫♂のゲニ出し」に漠然と興味(憧れ)はあるものの、素人にはやり方が分からないでいます。 どんな器具(ピンセット?)でどこをどう引っ張り出すのかイメージが沸きません。 一度会得してしまえば意外に簡単なのかもしれませんけど。 「猿でも分かるゲニ出し法」を解説してくれるハウツー動画がどこかにあればなー…(無いものねだり)
福原・倉橋ではヒメフンバエの触角が全体黒色であるとしていますが、基部2節は第3節よりやや色彩が淡色です(私の写真でも判断可能でしょう)。あなたのフンバエは、これら3種のうちのどれに一番合うかというと恐らくヒメフンバエと思います。触角基部2節の色彩、それに脚の腿節が暗色になっている点、からそのように判断されます。キアシは触角の第1,2節はかなり明るい橙褐色ですし、脚もほぼ全面的に明色です。
『「虫♂のゲニ出し」に漠然と興味(憧れ)はあるものの、素人にはやり方が分からないでいます。』 これについては近々このスレッドに記入しておきましょう
重ね重ねご教示ありがとうございました。
ヒメフンバエで納得しました。 これからもよろしくお願いします。 |
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