今年の1月11日に、我が家(東京都世田谷区西部)の庭で撮りました。植木鉢の下で越冬していました。
翅脈相(見難いですが・・・)や左右の複眼が触角基部で接(合一?)している様に見える点などからクロ(バネ)キノコバエ科ではないかと思います。しかし、外観は脚が長いため余りクロキノコバエ的ではなく、脛節端の距は不明瞭です。また、触角にはかなり長い毛が生え、翅の色は青色です(構造色ではなく、肉眼でも青色でした)。これでもクロキノコバエ科でしょうか。 北隆館の大圖鑑では、検索表にはクロキノコバエ科はありますが、本文にはありません。本邦では殆ど研究されていない科と聞き及んでおりますが、そのせいでしょうか。 宜敷御教示下さい。
翅脈相がはっきり分からない写真なので,断言は出来ませんが,タマバエ科の幼虫が腐植を摂食するLestremiaの仲間ではないかと思います。この仲間は寒冷期にもよく活動します。翅脈相はかなりクロキノコバエのそれに似ていますが,前縁脈の位置などに相違が見られます。
クロキノコバエ科は須島充昭さんや笹川満廣先生が研究されていますが,おびただしい種数で,日本産の概要が分かるのはまだまだでしょう。TuomikoskiやFreyなど本科の先駆的研究者がいたフィンランドでも,次々と未記載種が現れているのが現状です。なお,一般的な図鑑で本科の昆虫を図示しても,属レベルであってもほとんど同定の参考にはなりません。
アノニモミイア先生.
御回答有難う御座います。もう少しでブログに「クロキノコバエの1種?」として掲載してしまうところでした。やはり、疑問を感じたときは、此方に御伺いを立てるべきである事を痛感致しました。 タマバエ科について色々調べてみましたが、ゲニの図ばかりで翅脈に関する情報は少ない様です。それでも、この写真の虫にかなりよく似た翅脈の図も見つかりました。タマバエ科の翅脈には、色々なパターンがあることが良く分かりました。 ブログには「タマバエ科の1種(Lestremia sp.?)」として掲載することに致します。 御指導有り難う御座いました。今後とも宜敷御願い申し上げます。
MNDから引用したLestremiaの種の翅脈相を示しておきます。M3+4とCuA(図ではM3とCuA2)が共通の柄を持たないこと(Sciaridaeでは柄がある),r-m横脈が著しく短いことなども区別点です。マクロトリキアは種によって必ずしもこのようなものではありません。
Lestremiaはこれから早春にかけて,外から窓に飛来して,窓ガラスの外側などに静止していることがしばしばありますので,注意してみたらいかがでしょうか。 いずれにしても,Sciaridaeには脛節に端距があるので,これを欠くタマバエ科とは容易に区別できます。
アノニモミイア先生.
翅脈相の図、有り難う御座います。写真の方は些か不明瞭ですが(Rsやr-m)、ソックリと云う感じがします。 http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Lestremiini_wing_veins.svgと云うサイト(信頼度不明)に、Lestremiiniの翅脈として先生御提示のものとよく似た図が出ていますが、九大目録を見ると同族には他にAneretellaと云う属がありました。 この属がどの様なものか調べても全く分かりませんが、写真の虫が生態的にもLestremiaと一致するのであれば、「タマバエ科の1種(Lestremia sp.?)」の「?」は取り去っても宜しいでしょうか?
Lestremiaの所属するLestremiiniにはAnaretella(綴りはAneretellaではない)を含めてアジアにも分布している数属があり,いずれもLestremiaと翅脈相の基本は全く同一です(私が最初に”Lestremiaの仲間”と書いたのはこの意味です)。翅脈相の微妙な相対的位置関係,触角の鞭節数,鞭節の形状,それに生える刺毛の形状などを根拠にこれらの属が分類されています。しかも,触角の形質は雄に現れる形質が多いです。
このような分類が行なわれていますし,あなたの写真の個体は雌でして,しかも残念ながらこれらの属を識別する形質が私には判断できません。私としてはLestremiini族の1種としておくでしょう。
アノニモミイア先生.
御回答有難う御座いました。それでは「Lestremiini族の1種」とすることに致します。 Anaretellaで検索したら沢山出て来ました。九大目録の綴りも時に間違っていることがあるのですね。TKMの方もAneretellaになっていました。 今後とも宜敷御指導下さい。 |
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